五つの星々、転生管理ー星巡りの護りビトー

神谷凪紗

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第一章 【第一星巡り部隊】

第十九節 偽れない真実

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手足が震えて、司祭の顔をまともに見れない。
取り繕う言葉すらももはや思い浮かばない。―間違っていないからだ。俺と、ウンライは言葉の通りの関係だからだ。

「第一星巡りの纏、レナトゥス・リィン・リーディルク。第六星巡りの纏、ウンライ・シエル・レプリカント。貴方とこの者の関係が敵、というのは…?」
「敵、好敵手。競い合う相手…。私はウンライをそう見ている。けれど、相手は違う。ウンライは俺を嫌い、対立し、ひどく憎悪していたようだった」

すらすらと出る言の葉に、眩暈がしてくる。
これは俺の“本音”だ。俺はウンライに会う度、好敵手として接してきたつもりだった。それでも、噂として俺の耳に入ってきた情報は俺の思っていた関係とは真逆だった。

―ウンライは、俺を嫌っている。

そのたった一言では表せない、憎悪の目線を俺はたびたびウンライから向けられていた。
俺自身、ウンライに何かした記憶はない。けど、人は知らず知らずのうちに相手の侵してはならない領域に入り込み、怒りの琴線に触れてしまっているのだ。俺も、そのたぐいだろう。

憎悪の目線を向けられるが、表立って何かされたことはなく会話をすれば、ぶっきらぼうながらも一言二言は返してくれる。

だから俺はウンライとの関係を“好敵手”として考え、良い方向で捉えていこうと思ったんだ。

「なぜ、貴方を憎悪していたのか。理由は分かりますか?」
「いいえ」

ここまで問われて、俺はようやく気が付いた。
俺が本音を隠せれないのは、漆黒の祭壇の傍に立っているからだ。祭壇というよりも、円形の台座の範囲が“それ”の効果範囲なのだろう。考えうる魔法は、“真偽同調魔法”

端的に言えば、真実、嘘。どちらか片方を述べることが出来なくなるものだ。

けれど、この魔法は疑わしきもの・・・・・・、判別不能なものにしか使ってはいけない。そうだとしたら、俺は…

「司祭様。私は、疑われているのですか?」

俺の問いにピクリと肩を震わせる司祭。
一瞬の間、返す言葉を探すように無言になっていた司祭だったが、言葉が見つからないのか曖昧な表情で俺と視線を合わせ、軽く首を振った。

この問答が終わるまでは、何を言うつもりはないみたいだ。

ならば、手早く終わらせてしまった方がいいだろう。その意志を込めてじっと司祭を瞳を見つめ、俺の視線の意味に気が付いた司祭は咳ばらいを溢して、俺に問いかける。

「最後にもう一度問います。第六星巡りの纏、ウンライ・シエル・レプリカントに関して…私たちに、報告していないことはありませんか」
「…いいえ、ありません」

ふと、購入した魔石のペンダントが脳裏によぎる。
“この世界”には絶対に存在しないであろう、コクヨウセキに似たその魔石には、純粋な魔力ではないモノが蓄積されていた。俺の知識のどれにも当てはまらない正体不明の“何か”が蓄積された魔石のペンダント。

今の時点で、この魔石とウンライが起こした一件との関連性はないに等しいが、何故だか心に引っかかったまま靄が晴れない。

「良いでしょう。…第一星巡りの纏、レナトゥス・リィン・リーディルク。今この場でのみ貴方の問いにすべて答えます」

表情は変わらないものの、幾分か声音をやわらげ俺にそう言葉をかけてくる。
司祭自身が疑っていたのではなく、何かしらの要因があって俺に疑いをかけざるを得なかったのだろうか。気になった俺はもう一度、あの問いを司祭に投げかける。

「私は疑われているのですか?」
「そうですね…疑っていました。ですが、貴方に限った話ではございません。ウンライ・シエル・レプリカントを除いた十三の部隊の纏、一人一人に嫌疑がかかっています」

そう紡ぐ司祭は、淡々と言葉を重ねていく。

「星巡り部隊の一人…纏という立場にいる人物が離反しました。
本部とも繋がりがあり、王族とも謁見したことのある者が傷害を起こし、異世界に留まったまま。
このことを重く見た星巡り部隊の総責任者は、纏全ての人物に疑いをかけ情報を探るよう私たちに言い渡しました。

その際“真偽同調魔法”による強制的な情報開示に同意されたのです」

ウンライの一件は、全部隊の纏の信用が落ちてしまうほど星巡り部隊にとって致命的なことだったのだろう。

司祭の話によると、俺たちを含めた四つの部隊は教会所属のため、仕えている教会の者によって真偽同調魔法による情報開示が行われる。
その他の部隊は、直接本部に赴き星巡り部隊総責任者の目の前で情報開示が行われるのだという。

…なんというか、緊張で心が締め付けられる話だ。
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