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第一章 【第一星巡り部隊】
第二十節 知るべきこと
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真偽同調魔法の効力は本物だ。
隠したいことも隠し通せないほど強い効力なため扱うには許可が必要であり、それを受けたのならば他部隊の纏の疑いも晴れるだろう。
事を起こした第六星巡り部隊を除いて…だが。
「第六星巡り部隊の処遇はどうなるのですか」
「今のところ、期日なしの謹慎という形で留まっています。通常通り部隊として動き出すためには、部隊員の疑いが完全に晴れ、新たな纏の存在が必要になります」
新たな纏の存在。
ウンライが離反したことでそうなることは想像できたが、他の部隊員たちはそれを許すだろうか。
年に二回ほどある星巡り部隊総合演習の際に見かけた限りでは、第六星巡り部隊の統率力は他より秀でていた。ウンライの能力の高さもあるだろうが、一番に言うなら隊員の纏に対する信頼度の高さが結果に出たのだろう。
言い換えれば、第六星巡り部隊はウンライが纏でなければ内側から崩れていく。
部隊員の疑いが晴れるのはそう遠くない話だろうが、第六星巡り部隊として動き出すのにはかなりの時間を要するだろう。
「先ほど幇助した者がいた、っと言っていましたが。なぜそのような話が?」
「禁忌の呪封じが施された報告書は読みましたね?」
「はい。ウンライ・シエル・レプリカントが規定に背き、向こうの世界で親しくしていた相手がいた、と」
「第六星巡り部隊の導に施した視覚同調魔法では、その者の素顔は分からず、背格好しか把握できていません。そして、その者と出会ってから部隊の動向がかなり変わっていきました。本部では、その者を黒幕と仮定し水面下で追っています。そのため些細なことでもいい、情報が欲しかったのです」
ウンライの気持ちが変わるほどの、人物。
報告を聞く限りでは、一件の黒幕として最重要人物になる。今は本部内で事を荒立てないよう動いているようだが、それが公になった場合本格的に俺たちが動かなくてはいけない案件になってしまう。
離反した人物を捕え、世界の均衡を乱す黒幕を処罰するためだけに、動くことになってしまう。
本当にそれでいいのだろうか。
向こうの世界で親しくしていた相手。その人がウンライを唆し、人が変わってしまうほどの一件を起こした黒幕なのだろうか。
(……調べてみるか)
本部も水面下で動いているということは、まだ別の要因もあると踏んでいるのだろう。
正式な指令が下りるまでは俺は俺で情報を集めなければ。
ウンライの一件を間近で見て、多くの情報を握っていそうな第六星巡り部隊に直接聞くのが手だ。
「第六星巡り部隊は今どこにいるのですか?」
「私もそこまでは知りえていないのです。申し訳ありません」
それもそうか。
教会の聖職者である司祭が、全部隊の居場所を逐一本部から報告されるいわれもない。
「……?」
ふと、違和感が頭をかすめる。
何か小さなことを見落としているような、何かを忘れているようなそんな感覚だ。
(本部から司祭に向けて報告はされない…)
そうだ、司祭はあくまでも補佐。教会内での行動は全て司教にゆだねられている。
それ故に、本部からの通達は全て司教に送られ、その都度可能な範囲で周知されている。そして、今回の“真偽同調魔法”を扱う際には、通達を受けた司教も同席されるはず。
『今朝、星巡り本部より通達がありました。第六星巡りの纏ウンライ・シエル・レプリカントの行方に関する重大な一件のようで、対外秘匿の措置を取られ司教は本部にまで赴かれています』
本部から通達されるのは、司教に向けてのみ。
その司教は今本部に赴いているため、本部からの通達は周知できない。
だが司祭は本部から“真偽同調魔法”を扱い、俺たち纏の全ての真実を開示させるよう通達があったと、そう言っていた。
嘘を言っているようには見えない。
だとするなら、本部から直接すべてのことが行われたのだ。
…つまるところ。
「真偽同調魔法の内容は、全て本部に筒抜けなのですね」
確信を得たようにつぶやく俺の言葉に、司祭は一瞬体を強張らせ息を吐きながら眼鏡を押し上げた。
「その通りです。司教自ら、貴方の発言を本部より監視しておりました。先ほど全ての処理が終えたとの通達があり、この後本部より戻られます。リーディルク様、お疲れ様でございます」
恭しく腰を追って、司祭は俺に礼をする。
詳しいところまでは語られなかったが、おそらくは俺の想像通りだったのだろう。
司教は本部から司祭に通達し、あの問答も司教からの問いだったわけだ。
円形の台座から下り、魔法の効力外に出たところで俺は知らず知らず息を吐きだしていた。
流石にこの範囲の中で言葉を探すのにも苦労してしまう。
問いかけるならまだいいが、相手から問われてしまえば嘘など通用しない。今回は仕方なかったとはいえ、あまりこの魔法の範囲内には入りたくないものだ。
隠したいことも隠し通せないほど強い効力なため扱うには許可が必要であり、それを受けたのならば他部隊の纏の疑いも晴れるだろう。
事を起こした第六星巡り部隊を除いて…だが。
「第六星巡り部隊の処遇はどうなるのですか」
「今のところ、期日なしの謹慎という形で留まっています。通常通り部隊として動き出すためには、部隊員の疑いが完全に晴れ、新たな纏の存在が必要になります」
新たな纏の存在。
ウンライが離反したことでそうなることは想像できたが、他の部隊員たちはそれを許すだろうか。
年に二回ほどある星巡り部隊総合演習の際に見かけた限りでは、第六星巡り部隊の統率力は他より秀でていた。ウンライの能力の高さもあるだろうが、一番に言うなら隊員の纏に対する信頼度の高さが結果に出たのだろう。
言い換えれば、第六星巡り部隊はウンライが纏でなければ内側から崩れていく。
部隊員の疑いが晴れるのはそう遠くない話だろうが、第六星巡り部隊として動き出すのにはかなりの時間を要するだろう。
「先ほど幇助した者がいた、っと言っていましたが。なぜそのような話が?」
「禁忌の呪封じが施された報告書は読みましたね?」
「はい。ウンライ・シエル・レプリカントが規定に背き、向こうの世界で親しくしていた相手がいた、と」
「第六星巡り部隊の導に施した視覚同調魔法では、その者の素顔は分からず、背格好しか把握できていません。そして、その者と出会ってから部隊の動向がかなり変わっていきました。本部では、その者を黒幕と仮定し水面下で追っています。そのため些細なことでもいい、情報が欲しかったのです」
ウンライの気持ちが変わるほどの、人物。
報告を聞く限りでは、一件の黒幕として最重要人物になる。今は本部内で事を荒立てないよう動いているようだが、それが公になった場合本格的に俺たちが動かなくてはいけない案件になってしまう。
離反した人物を捕え、世界の均衡を乱す黒幕を処罰するためだけに、動くことになってしまう。
本当にそれでいいのだろうか。
向こうの世界で親しくしていた相手。その人がウンライを唆し、人が変わってしまうほどの一件を起こした黒幕なのだろうか。
(……調べてみるか)
本部も水面下で動いているということは、まだ別の要因もあると踏んでいるのだろう。
正式な指令が下りるまでは俺は俺で情報を集めなければ。
ウンライの一件を間近で見て、多くの情報を握っていそうな第六星巡り部隊に直接聞くのが手だ。
「第六星巡り部隊は今どこにいるのですか?」
「私もそこまでは知りえていないのです。申し訳ありません」
それもそうか。
教会の聖職者である司祭が、全部隊の居場所を逐一本部から報告されるいわれもない。
「……?」
ふと、違和感が頭をかすめる。
何か小さなことを見落としているような、何かを忘れているようなそんな感覚だ。
(本部から司祭に向けて報告はされない…)
そうだ、司祭はあくまでも補佐。教会内での行動は全て司教にゆだねられている。
それ故に、本部からの通達は全て司教に送られ、その都度可能な範囲で周知されている。そして、今回の“真偽同調魔法”を扱う際には、通達を受けた司教も同席されるはず。
『今朝、星巡り本部より通達がありました。第六星巡りの纏ウンライ・シエル・レプリカントの行方に関する重大な一件のようで、対外秘匿の措置を取られ司教は本部にまで赴かれています』
本部から通達されるのは、司教に向けてのみ。
その司教は今本部に赴いているため、本部からの通達は周知できない。
だが司祭は本部から“真偽同調魔法”を扱い、俺たち纏の全ての真実を開示させるよう通達があったと、そう言っていた。
嘘を言っているようには見えない。
だとするなら、本部から直接すべてのことが行われたのだ。
…つまるところ。
「真偽同調魔法の内容は、全て本部に筒抜けなのですね」
確信を得たようにつぶやく俺の言葉に、司祭は一瞬体を強張らせ息を吐きながら眼鏡を押し上げた。
「その通りです。司教自ら、貴方の発言を本部より監視しておりました。先ほど全ての処理が終えたとの通達があり、この後本部より戻られます。リーディルク様、お疲れ様でございます」
恭しく腰を追って、司祭は俺に礼をする。
詳しいところまでは語られなかったが、おそらくは俺の想像通りだったのだろう。
司教は本部から司祭に通達し、あの問答も司教からの問いだったわけだ。
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