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第一章 【第一星巡り部隊】
第二十七節 部隊の仲間
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本部内は全四階層になっている。
部隊ごとに割り当てられた一室があるのが一階層。
宿所とは違い、あくまでも会議用・緊急用の作戦会議のためのものであり、室内には必要最低限のものしか置かれておらず、それらもまた本部の備品の一つなため扱いには十分な注意が必要だ。
星巡り部隊全員が集まれる広さを持つ大広間があるのが二階層。その他に、本部直属の部隊員の会議室。閲覧可能な資料倉庫や、魔道具保管倉庫などがある。
星巡り部隊員でも、限られた人物でしか入れない三階層。
三階層に上がれる人物は公にはされないが、王族が立ち入る階層のため、おそらくは王族に仕えている部隊が入ることができるのだろう。
そして、地下層。
上階層の広さよりもはるかに広い面積で、この星全ての者たちを助けれるほどの大きさはないが、それでも一つの国の民ならば余裕で避難できそうな場所だと、聞き及んでいる。
地下層も三階層も、限られた人物しか入れないため実際に目にしたことはない。
本部内は、星巡り部隊員ほぼ全てが揃っているようだ。
廊下で出会う人物は見知った顔ぶれが多く、皆一様に硬い面持ちを貫いていた。―それもそのはずだ。第六星巡り部隊の纏であるウンライは消息不明、慣れない厳戒命令に気持ちを落ち着かせる一瞬なんてない。
そして、星巡り全部隊の本部招集。
訓練でも演習でもない、緊急時に直接下される招集指令がかかったのは今朝のことだった。
―招集指令がかからなくても、俺は一度本部に向かうつもりだったため驚きはしたが、さほど緊張はしていない。
“第一星巡り”とだけ書かれた一室の前に立ち、俺はゆっくりと扉を開けた。
「アラ、レナト。遅かったじゃナイ」
「レナトさん、おはようございます。昨日はよく休めましたか?」
扉を開いてすぐ、ステラとシュテルンが言葉をかけてくる。
ふわり、っと宙を舞い俺の肩に座り込んだステラは小さくあくびをかみ殺していた。シュテルンはお茶の準備をしている最中だったのか、カップを置いた態勢のまま俺に視線を向けていた。
「また貴様がレナトを迎えに行っていたのか」
「うるせえな、昨日の帰りはお前が行っただろうが。これでお相子だろ」
一室に入ってすぐ、喧嘩腰になるエトワルとノヴァ。
不服そうな顔をしながらも、今この場で決闘まがいの言い合いをするつもりは全くないようだ。ノヴァは椅子に腰かけ、エトワルは壁によりかかって腕を組んだ状態のまま動かなかった。
きょろ、っと辺りを見渡せばそこには数週間ぶりに見るみんなの姿があった。
「レナトが帰ってきたみたいだよ、プラネ」
「ええそうね。何日ぶりかしらね、ネイト」
お互い手を取り合いながら、似通った顔立ちの二人が歩んでくる。
真っ白な肌に、真珠のように真っ白な髪色。唯一の色彩は、その整った顔立ちに光る深紅色だけ。彩度の違う二対の瞳に見据えられながら、俺は口元が緩みそうになるのを堪えられそうになかった。
「プラネ、ネイト…」
呟いた言の葉は思ったよりも弱々しくなってしまい、二人に怪訝そうな顔で見られてしまう。
任務で仕方なかったとはいえ、俺は思った以上に自分の隊の皆と会えないことが寂しかったようだった。心配そうに眉を寄せる二人に何でもない、と一言だけ溢して笑みを作る。
プラネット・フロイントリヒ。
プラネイト・フロイントリヒ。
妖精族と人族との契りで生まれた双子であり、俺たちの部隊の優秀な“護”でもあった。
長い髪を後ろでゆるく結んでいるのが、プラネット。短い髪で、前髪をまっすぐ切りそろえているのがプラネイト。お互いを略称で呼び、俺たちにも特別に略称で呼ぶのを許してくれている。
「レナト、少し痩せたかしら」
「そうだね、少し痩せたように見えるよ」
「ご飯は、きちんと食べてるのかしら?」
「ご飯は、きちんと食べないと駄目だよ」
プラネとネイトは相槌をうつかのように交互に言葉を紡ぎ、息を合わせたかのように同じタイミングで俺の心配を向けてくる。
お互いを繋いでいない方の手を俺の頬にあててた二人に挟まれる形になってしまい、逃げるにも逃げられない。彩度の違う深紅と、真横からの虹色の瞳にじっと見据えられて、観念して正直に話す。
「……向こうの世界の食事が俺には合わなくて。一人だったから、っていうのもあるかもだけど」
己の寂しさを吐露してしまうことに、恥ずかしさを憶えて苦く笑う。
「そうね、一人は辛いわよね」
「僕もね、一人でいるのはとても辛いよ」
笑いもせず真摯に言葉を返してくれる二人。
二人は生まれた時から今まで、ほとんど別々に行動したことがない。一回だけ、二人が別々の依頼をこなしているところを見かけただけ。離れた二人は、見るからに気落ちしていた。
その一回があったからこそ、俺の気持ちに深く頷いてくれるのだろう。
「レナト」
「お帰りなさい」
二人の真っ直ぐな気持ちを受けて、今度こそ素直に笑みを浮かべることができた。
感謝の言葉と共に、ただいま、っと喋ろうと口を開きかけたが、二人は俺の背を押してくる。後ろ手で扉を閉めてすぐに聞えてくるのは、低い声音と、少し高めの声音。
「レナトサマ、お帰りくださいマセ」
「違う違う。“お帰りなさいませ”って言わなきゃダメっスよ~アストロ君」
「お、カエリいまナイセ?かえリ、イマセン」
「ダメダメ、全然だめっス」
プラネ達に挨拶を交わし、一室の奥へ足を踏み入れれば特徴的な言葉遣いと共に二人が顔を出す。
部隊ごとに割り当てられた一室があるのが一階層。
宿所とは違い、あくまでも会議用・緊急用の作戦会議のためのものであり、室内には必要最低限のものしか置かれておらず、それらもまた本部の備品の一つなため扱いには十分な注意が必要だ。
星巡り部隊全員が集まれる広さを持つ大広間があるのが二階層。その他に、本部直属の部隊員の会議室。閲覧可能な資料倉庫や、魔道具保管倉庫などがある。
星巡り部隊員でも、限られた人物でしか入れない三階層。
三階層に上がれる人物は公にはされないが、王族が立ち入る階層のため、おそらくは王族に仕えている部隊が入ることができるのだろう。
そして、地下層。
上階層の広さよりもはるかに広い面積で、この星全ての者たちを助けれるほどの大きさはないが、それでも一つの国の民ならば余裕で避難できそうな場所だと、聞き及んでいる。
地下層も三階層も、限られた人物しか入れないため実際に目にしたことはない。
本部内は、星巡り部隊員ほぼ全てが揃っているようだ。
廊下で出会う人物は見知った顔ぶれが多く、皆一様に硬い面持ちを貫いていた。―それもそのはずだ。第六星巡り部隊の纏であるウンライは消息不明、慣れない厳戒命令に気持ちを落ち着かせる一瞬なんてない。
そして、星巡り全部隊の本部招集。
訓練でも演習でもない、緊急時に直接下される招集指令がかかったのは今朝のことだった。
―招集指令がかからなくても、俺は一度本部に向かうつもりだったため驚きはしたが、さほど緊張はしていない。
“第一星巡り”とだけ書かれた一室の前に立ち、俺はゆっくりと扉を開けた。
「アラ、レナト。遅かったじゃナイ」
「レナトさん、おはようございます。昨日はよく休めましたか?」
扉を開いてすぐ、ステラとシュテルンが言葉をかけてくる。
ふわり、っと宙を舞い俺の肩に座り込んだステラは小さくあくびをかみ殺していた。シュテルンはお茶の準備をしている最中だったのか、カップを置いた態勢のまま俺に視線を向けていた。
「また貴様がレナトを迎えに行っていたのか」
「うるせえな、昨日の帰りはお前が行っただろうが。これでお相子だろ」
一室に入ってすぐ、喧嘩腰になるエトワルとノヴァ。
不服そうな顔をしながらも、今この場で決闘まがいの言い合いをするつもりは全くないようだ。ノヴァは椅子に腰かけ、エトワルは壁によりかかって腕を組んだ状態のまま動かなかった。
きょろ、っと辺りを見渡せばそこには数週間ぶりに見るみんなの姿があった。
「レナトが帰ってきたみたいだよ、プラネ」
「ええそうね。何日ぶりかしらね、ネイト」
お互い手を取り合いながら、似通った顔立ちの二人が歩んでくる。
真っ白な肌に、真珠のように真っ白な髪色。唯一の色彩は、その整った顔立ちに光る深紅色だけ。彩度の違う二対の瞳に見据えられながら、俺は口元が緩みそうになるのを堪えられそうになかった。
「プラネ、ネイト…」
呟いた言の葉は思ったよりも弱々しくなってしまい、二人に怪訝そうな顔で見られてしまう。
任務で仕方なかったとはいえ、俺は思った以上に自分の隊の皆と会えないことが寂しかったようだった。心配そうに眉を寄せる二人に何でもない、と一言だけ溢して笑みを作る。
プラネット・フロイントリヒ。
プラネイト・フロイントリヒ。
妖精族と人族との契りで生まれた双子であり、俺たちの部隊の優秀な“護”でもあった。
長い髪を後ろでゆるく結んでいるのが、プラネット。短い髪で、前髪をまっすぐ切りそろえているのがプラネイト。お互いを略称で呼び、俺たちにも特別に略称で呼ぶのを許してくれている。
「レナト、少し痩せたかしら」
「そうだね、少し痩せたように見えるよ」
「ご飯は、きちんと食べてるのかしら?」
「ご飯は、きちんと食べないと駄目だよ」
プラネとネイトは相槌をうつかのように交互に言葉を紡ぎ、息を合わせたかのように同じタイミングで俺の心配を向けてくる。
お互いを繋いでいない方の手を俺の頬にあててた二人に挟まれる形になってしまい、逃げるにも逃げられない。彩度の違う深紅と、真横からの虹色の瞳にじっと見据えられて、観念して正直に話す。
「……向こうの世界の食事が俺には合わなくて。一人だったから、っていうのもあるかもだけど」
己の寂しさを吐露してしまうことに、恥ずかしさを憶えて苦く笑う。
「そうね、一人は辛いわよね」
「僕もね、一人でいるのはとても辛いよ」
笑いもせず真摯に言葉を返してくれる二人。
二人は生まれた時から今まで、ほとんど別々に行動したことがない。一回だけ、二人が別々の依頼をこなしているところを見かけただけ。離れた二人は、見るからに気落ちしていた。
その一回があったからこそ、俺の気持ちに深く頷いてくれるのだろう。
「レナト」
「お帰りなさい」
二人の真っ直ぐな気持ちを受けて、今度こそ素直に笑みを浮かべることができた。
感謝の言葉と共に、ただいま、っと喋ろうと口を開きかけたが、二人は俺の背を押してくる。後ろ手で扉を閉めてすぐに聞えてくるのは、低い声音と、少し高めの声音。
「レナトサマ、お帰りくださいマセ」
「違う違う。“お帰りなさいませ”って言わなきゃダメっスよ~アストロ君」
「お、カエリいまナイセ?かえリ、イマセン」
「ダメダメ、全然だめっス」
プラネ達に挨拶を交わし、一室の奥へ足を踏み入れれば特徴的な言葉遣いと共に二人が顔を出す。
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