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Aurora
しおりを挟む私は何もない世界に産まれ堕ちた。
ある日、車が行き交う人の街でオーロラを見た。
何もないこんな世界であれど私にとっては未知の光景であったと言えよう。
そこで過去の記録を伝い正体不明のオーロラを調査する。
何もないこんな世界で低空飛行で道行く者達に訪ねながら私は旅に出る。
オーロラを求めその遥か彼方を目指し探検へと。
旅立つ前に手にした"音曲符丁つづりからくり"をアシュラ仮想四次元寺院へ。
"ならび符号"と共に"おぼえ札"に収め託しこれを次なる当地へ。
この"往復おぼえ札"により「不幸」の猛威を恐れる必要はなくなる。
これより旅芸人に身を窶し、百国百町の巡礼興業に出てオーロラ探索へ向かう。
初めに辿り着いた村では老女は私に言った。
「あぁ飲めや喰らえや踊れやでそりゃあどうしてどうして大騒ぎのてっぺんだ。
こんな嫁取りにテッカした事ない。
人は大勢居るし、ゴッツォはイッペェあるし。
いやぁ~踊るやら踊るやら歌うやらで、まあなんたらごったいだ。
こんな祝儀に最近会った事ない。
まあえらいわけだ。」
きっとこの意味は歓迎と捉えても良いのだろう。
残念ながら私とて全てを理解出来る能力は持ち合わせていない。
不確かであり不気味であるが今はそう思うしかあるまい。
だがとある男が言っていたあの老女は箱を開けていたらしい。
すると空は黒く太陽は影になり、綺麗な波が中を漂っていたと。
「どうしたっちゅうたい。年寄りから若けえもんから子供から、泣かねえ人は一人もいない。
あんたはとんだことをしてくれたってそう言うん。
え~何を? あの不幸入った箱の蓋を開けて逃げてくれって頼んだのよ。
あれを開けてみたねっとこう言うん。見たんだから見ねえと。
ああ見た。何が入ってるのか見たよ。」
男は老女と話、もしかするとあの箱が原因かもしれないとのことだった。
その箱は今どこにあるか尋ねてみた。
男は言った「ここにはもうない。」と。
すると何処からか老女は現れ男と私にこう言った。
「あんたはとんだことをしてくれたとんでもねえ。」
不思議な事だ。
鶴がはたを織る姿を秘密にするように、あの謎の箱には何か見てはいけない何かが入っていたのだろう。
これは四次元寺院の者達も憂鬱になる不幸なるものなのだろうか。
次なる町で侍に出会い情報を得た。
暖炉に火をくべ、鳥に餌をあげ、水飲み場では馬を先に飲ませ笛を吹いては羊を迎えに行った。
鳥のように優雅に考えの中で行く。
侍には片足がない。
そんな侍が重い口を開いた。
船の帆で見晴らすこの島へと馳せよいざ着けと黄金の杯で浴びる世で花の姫が歌う時、春の野で酌み交わせば思い忘れられぬ「預けた不幸はいかが?」と陽が問う。
すると宝降る雨あられと絹の艶のような砂子の浜で想い起こされる地の果てでコントラバスの声が「不幸の空のキミはいかが?」と問う。
普く旅の道すがらに時折届く便りの妙と合わせ見る、この浮世に移り昇り行く幾歳過ぎるのうちに不幸こそ芳しく焦がれる時、箱は我が身に届き開けて見れば「局留めの不幸」は空に艶やかな波が現れるとのこと。
だが等価交換にて何かを失う。
何も関係ない侍は箱を開けてしまったせいか不幸にも片足を無くした。
侍曰くその箱は老女が落とした物だと言う。
そんな中、芳しい匂いと共に陽は影に隠れ、艶やかな波が空を覆った。
その光景はあの頃見たオーロラと酷似しており、道すがら手を広げている男は局留めの不幸を「オーロラ」と呟いた。
町の人達はオーロラが現れるとき不幸の前触れとうたわれた。
古来より震災や天変地異による恐怖を神の審判と捉えているのと同じであり、局留めの不幸と呼ばれるオーロラも天の審判と捉えたのだろう。
侍は急ぎ箱を刀で切り捨てた途端、オーロラは空の裂け目に呑み込まれ、空は青に染まり周囲は安堵の表情へ。
何事も無かったかのように廻る時に別の恐怖を感じた私は再び周辺の怪異の調査をすることにした。
侍は刀を託し、手を広げていた男は知恵を私に託した。
次なる町へと向かう時、謎の存在が亀裂を発し私はそこから姿を消した。
この記憶は培養炉に記録された。
そして培養炉に文字が映し出される。
「パラネシアン」と。
END
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