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第二十一話
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唇が重なる。誘うように口を開けると舌を差し込んできて、煽るように口蓋を撫でる。
頭の中がふわふわする。まるで砂糖たっぷりのミルクティーに浸っているようだった。
シャツをたくし上げられ、まじまじと見つめられる。恥ずかしいのに興奮に熱が肌に宿る。感触を確かめるようにその肌を手が這う。
「ん、……」
くすぐったさに身を捩る。それでも秀司は手を止めない。じっくりと堪能するように指先がつうっと肌を撫で、体の曲線をなぞる。その指先を目で追っているとなんだか胸がドキドキして指先の感触を鋭敏に感じ取ってしまう。
段々と手は上へと向かっていき遂に胸に到達する。男だから胸は平べったい。けれど秀司は円を描くように胸を揉み始めた。
「っ……、しゅうじ、こんなとこ揉んだって……」
きっと愉しくも何もないだろう。そう思って言ったのだが秀司は違うようだった。
「大きくても小さくても透のなら全部かわいい。大丈夫、気になるなら俺が毎日揉んで育てるよ」
そうして目を弧にする秀司は本当に楽しそうだった。
目をとろんとさせ、ない胸を揉んで夢中に感触を味わう。秀司はだいぶご執心のようだった。
俺も俺でなんだかむずむずするような変な気分になってくる。少し指先が胸の尖りを掠めただけで「っ……!」とビクリと体が震えた。
それを秀司が見逃すはずがなかった。焦らすように振れるか触れないかの距離で何度も乳首を掠め、途端ぎゅっとつねってきた。
「あっ……!」
思わずあられもない女のような声が漏れる。恥ずかしくて唇を噛んで耐えていると、秀司が首元に吸い付くようなキスをしてくる。
「……透、声我慢しないで。声もっと聴かせて」
言い聞かせるように優しく囁き、ぎゅっぎゅっとつねってくる。促されるまま我慢できず「あっ、あ、あっ……!」と声が出てしまう。それに気をよくしたのか、秀司は一層責めを強めて乳首を口に含んだ。
「っしゅ、秀司……! あっ──」
驚くのと同時にびりっとした感覚が駆け巡る。舌で転がすように乳首を弄られ、片方の胸も捏ねたり押し潰されたりと繰り返される。
「あっ、あっ、んあ……」
片方の胸も当然のように秀司の舌で遊ばされ、ちゅと水音が響き、軽く噛まれた胸の尖りが伸びて離される。
散々いじめられた両胸の尖りは赤く充血し、性器のように勃ち上がっていた。
「はぁ」とたまらないと言うように秀司が息を吐く。胸に向かれて吐かれた息はそれだけで敏感になった尖りを刺激し、「あっ……」と情けない声が出てしまう。その様子に秀司がくすっと笑う。
「これじゃあ絆創膏を貼らないと外にも出られないな」
からかうような言いぶりにカァと顔が熱くなる。
「秀司がそうしたんだろ!」
「大丈夫、帰りドラッグ寄った時一緒に絆創膏も買っておいたから」
「そういう問題じゃない!」
「はは、怒る透もかわいいな」
浮かれているのか秀司は全く俺を相手にしていないようだった。頬を膨らませてむくれていると秀司が慰めるように目元に軽いキスを贈る。
「そんなに怒らないで。いつか俺がいないと満足できない体になるくらい気持ちいいことしか考えられなくしてあげるから」
「それお前がそうしたいだけじゃん!」
「透は俺としたくない?」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
「……良かった」とふっと秀司が微笑む。
「俺もずっとこうしたかった。寮部屋で透と過ごしてて俺がどんなに苦労したか。……でももう我慢しなくていいんだよな」
「しゅうじ……?」
体を抱き寄せ、柔らかな唇が肌に触れる。ちゅ、ちゅとリップ音が部屋に響く。吸い付くような口付けの雨。その跡は俺のものだと主張するようだった。
口付けはそのままにお互い向き合う形で、下に手を入れられ、先端を包まれ上下に弄られる。
「っあ、あ、しゅうじ……」
急な直接的な刺激。自分でするのとは全く違くてなにより容赦がない。思わずやめてくれと秀司の腕を掴むも、そのまま動きは止まらず高められた快感に背中に腕を回して耐える。胸元に顔を埋めていると、耳元で秀司が強請るように囁く。
「イク姿、俺に見せて」
顔を上げると頬を上気させ、興奮した瞳が俺を映していた。途端、下に触れる刺激が強まる。
「ぁああ──!」
急激に湧き上がる快感に抗えるはずもなく、秀司を見つめたままびゅうと彼の手に白濁を放つ。
秀司の手はそれから俺の服へと伸び、上も下も脱がされる。下肢から受け止めきれなかった精液がぴちゃりと白い糸になって途切れた。
露わになった先端は勃ち上がり、先走りで濡れていた。羞恥に脚を閉じようとすると、太ももを手で抑えられ秀司の視界に晒される。
「中に欲しいってひくついてる。透、期待してる?」
俺からはどうなっているか見えない。まじまじと見つめられ、といっても欲を制御することも出来ず、顔を赤くして耐えるしかなかった。くすりと秀司が笑い、指先がひくつく後ろへ触れる。
「挿入るな」
白濁で滑った秀司の節くれだった指が中に挿入ってくる。尻餅でもついたような形で両手をベッドにつき、開かされた脚からは全貌は見えないものの、蠢く腸壁を進む感覚に指を呑み込んでいく様がよく分かった。
「っ……!」
手つきは優しく丁寧で痛みは感じない。けれどまじまじと俺の一挙一動を秀司に見つめられているのが恥ずかしくてぎゅっと目を瞑る。
「……透」
痛みに耐えているのかと思ったのか、秀司がリラックスさせようと唇に甘やかなキスをする。
段々と数が増え、三本の指がぐちゅぐちゅと何かを探すようにバラバラに動く。ふと一点を押し潰され、「あっ──!」と体がビクンと震えた。
「見つけた」
舌舐めずりでもするようにニヤリと秀司の口角が上がる。
「あっ、ああっ、あ、あっ……!」
一点だけを狙ってトントントンと押し潰す。一定間隔で刻まれる刺激の度に声が漏れ出る。痺れるような感覚に腕は体を支えきれず、くたりとベッドに倒れ込んでしまった。
「あ、あっ、ああ、おかし、ああっ──! やだ、しゅ、しゅうじ、やめ、そこばっかりぃ……!」
このままだと頭がおかしくなりそうだった。けれど秀司は更に追い討ちを掛けるように膨らんだ前立腺をくりゅっと捏ねて弄ぶ。
「ひあっ──!」
湧き起こる熱い濁流。肌に飛び散った白濁は一度目よりも薄く勢いもなかった。
けれど俺は射精したことにも気付いていなかった。駆け巡る刺激に何も考えられなくなる。ビクビクと体を震わせて快楽の余韻に感じ入るしかなかった。
「上手にイケたな」
秀司が柔らかな微笑みを浮かべ、頭を撫でる。頭がふわふわして深く考えられなかったが、その撫でられる感覚が心地良くて頬がだらんと緩む。
もっと秀司に褒められたい。
「秀司……」
そんな思いが湧き立って、力の入らない体でなんとか起き上がり、重力に任せて秀司を押し倒した。胸について跨ると秀司は驚いたように目を見開いて俺を見つめる。
「秀司は動かなくていいよ。そのまま俺に任せて」
尻に当たるそれは既に硬くなっていて、うずうずして尻を押し付けてしまう。けど今は自分の欲を満たすのではなく、秀司に気持ちよくなってもらいたい。
上を脱がせると六つに割れた立派な腹筋が現れた。俺も高校時代、腹筋はあったが薄く見える程度でこんなに立派なものは見たことがない。思わずぷにぷにと指先で触れる。
「凄いな。流石プロ野球選手。やっぱり毎日鍛えてるのか?」
俺の興味は完全に筋肉に移っていて、ぺたぺたと締まった筋肉に触れていた。
ああ言っておいて胸なんか俺よりもあるじゃないか。
鍛え上げられた胸筋を揉んで柔らかな感触を味わっていると、ガシリと腕を掴まれてしまった。ハッと意識を戻す。
「焦らすのもいい加減にしてくれ」
耐えるように眉根に皺を寄せ、秀司の頬は赤く染まっていた。
どうやら俺は知らず知らずのうちに酷なことをしてしまっていたらしい。
「ご、ごめん」
視線を下に移す。いざとなると怖気づいて中々手を出せなかった。戸惑いながらも下を脱がせる。途端、ぶるんと聳り立ち血管の浮いた秀司の怒張が露わになる。
お、大っきい……。
想像以上のそれに思わず息を呑む。身長で言えば大人と中学生くらいに体格に差があるわけで、やはり俺のと比べて大きさは段違いだった。でもこんな大きいの俺の中に全部納めることができるのか。
と、とりあえずやってみよう。
不安全開でしゃがむような姿勢になって腰を浮かせる。片手を割れた腹筋に置いて体を支え、空いたもう片方の手で陰茎の位置を調整する。
「っん…………!」
スローモーションのようにゆっくりと挿入れていく。やっぱり大きくて中々スムーズに進まない。けれど挿入らないってことはないようだった。
時間をこれでもかと掛けてようやっと全部挿入りきる。はぁはぁと荒くなった呼吸を整える。お腹の圧迫感がひどいが、全て受け入れられたことに喜びを感じ、湧き上がる愛おしさに手を添えてお腹を撫でる。
「はぁ……、秀司の全部挿入った……」
幸せに酔いしれて笑みを浮かべる俺を見て何を思ったのか、中で存在感を放つ熱い主張が更に大きくなる。
「っ……!」
またひどくなる圧迫感に瞳を閉じて耐える。けれどその分かりやすすぎる反応が面白かった。
「はは、なに? 興奮したの?」
からかうように笑うと、参ったように額に掌を乗せて「お前がそんなこと言うからだろ……」と余裕なさげに返事がくる。
「いーよ、気持ちよくなって。秀司のその顔、もっと俺に見せて」
顔を近付けて煽るような笑みも一緒に誘惑の言葉を囁く。そんなこと俺が言うなんて想像もしていなかったのだろう。秀司が衝撃に息を呑む。
膝立ちになって胸に置く手を支えに腰を上下させる。そこでついさっき言ったことを後悔した。
やばい。こんなの絶対続かない。
最初は秀司の快楽に浸る顔が見たくて頑張っていたが、どうにも弱いところに当たってしまって気力が削がれていく。
「っん、ん、……あっ……」
ペースは段々遅くなっていき、既に甘い吐息が漏れ始めていた。
「どうしたんだ? あんなこと言っておいてもうバテたのか?」
秀司の顔はからかうように口角が上がっていた。優位にいたのに完全に立場が逆転してしまっていた。
「んっ、いやまだだ……」
なんだか負けた気分になって悔しかった。溢れる甘い吐息を抑えて反抗心丸出しでそう答える。
ぐちゅぐちゅと腰を浮かせて、血管の浮き立つ怒張を呑み込んでいく。弱いところを避けながら、そう意識して慎重に動いていく。
「っふ、……ん、ん……」
一度上下させるのも一苦労で、思った以上に時間が掛かってしまう。じっとりとした視線を秀司に向けられるが、気を揉んでいるなんて感じ取れない程、意識は中に持っていかれていた。
「んあっ、しゅ、秀司!?」
突然、指から肉がはみ出るくらい強く尻を掴まれる。
「ああっ──!」
ズンッと腹に貫くような強い衝撃が走る。膨れた前立腺を押し潰されて、駆け巡る刺激に背がビンと弓形になる。
「透がその気だから我慢してたけど無理。もう待てない」
余裕のない高ぶりを宿した秀司の瞳が俺を映す。
「ま、待って。ちゃんとやるから! だからもう少し待っ──ぁああ!」
主導権をここで取られたら確実に壊れる。そう確信して必死に懇願するが、無慈悲に腰を持ち上げられ重力に従って落とされる。
あまりの快楽に力が抜けて、秀司の胸元に項垂れるように体を預ける。それでも秀司は止める気などないらしく、腰を両手で固定され、下から激しく突き上げられる。
「あう、っあ、あ、んぁあ、あ……!」
ゴリゴリと敏感なそこを何度も押し潰される。開いた口からは喘ぎがダダ漏れであった。
「あっ、や、うあっ、あ、っあ、はげし、っあ、あ……!」
「嫌じゃないだろ。こんなに締め付けて。もっとって強請ってるじゃないか」
「うぅ、っあ、あ、ねだってないぃ」
ぎゅうと秀司がクッションのように俺の背中に腕を回して抱きつく。体格差がありすぎるためか、腕の中にすっぽりと体が収まる。おかげで体を逸らすことも、逃げることも出来なかった。強制的に浴びせられる快楽に前後左右も分からなくなって、涙で顔がぐしゃぐしゃになる。
秀司は伸びた俺の髪を後ろへ撫で付けるように押さえて、前髪で隠れていた前を開けさせる。そんなことしたって涙で見るに耐えない俺の顔がよく見えるようになるだけなのに、秀司は情欲で滾った瞳で薄く微笑む。
「あ、ああ……! しゅうじ、やめ、頭おかしくなる」
「いいよ、おかしくなって。もしそうなったら俺が責任持って面倒見るよ。だから透のその顔もっと見せて」
わざと俺が言った言葉を文字る。下からの突き上げが更に速くなって駆られる衝動を俺に叩きつける。一緒に前立腺を苛める間隔も短くなって、目の前の快楽以外何も考えられなくなる。
「あ、んぁ、ぁああ、や、なんかくるぅ!」
射精とは違った感覚に思わず叫ぶ。けれど秀司は聞く耳を持っていないようで、興奮にまた動きを速くさせる。
経験したことのないような押し寄せる絶頂の波。逃れようと一瞬緩くなった腕から起き上がる。だがすぐさま拘束するように両手首を引っ張るようにして掴まれてしまった。
「や、でちゃう、あっ、あ、ああ、やぁぁああ──!」
「くっ……!」
電撃が背筋を走り、仰け反って昇ってくる熱い奔流を全身で浴びる。ぷしゃあと白濁ではない透明の液体が昂りから噴水のように湧き上がる。
同時に秀司も達したようだった。吐き出された熱い白濁が中にじわりと広がっていくのを感じる。
「あ、ああ……」
余韻にビクビクと体が震える。瞳は焦点が合わず、口はだらんと半開きになり意識が曖昧になってしまっていた。
だから中で再び硬さを取り戻す陰茎に危惧さえできなかった。
「ひあっ……!」
突如体をベッドへと押し倒される。そのまま中に挿入れたまま移動したため、敏感に反応してしまった。
両手で脚を持ち上げられ、脚ごと一緒に覆い被さる。膝が胸につくくらい折り曲げられ、間近に迫った秀司の顔は切羽詰まったように眉間に皺を寄せていた。一筋の汗が秀司の額から俺の頬に落ちる。
秀司が腰を引くと、蠢く腸壁は行かないでと名残惜しく吸い付く。そのまま抜かれると思った。けれど気を抜いたのも束の間、ズンと怒張が奥に叩きつけられる。
「っかは──!」
内臓を押し潰す勢いに肺から空気が押し出される。苦しさに息を吸い込むと同時に恐ろしいほどの突き込みが俺を襲う。
「あ、っああ、やぁぁ、んあっ、っうあ、んああ──!」
パンパンと尻とふくらみが当たって弾けるような音が部屋に響く。
「あ、ぁああ、や、まって、イッた、イッたばっかりだからぁ」
肩を掴んで引き剥がそうとしても圧倒的体格差の前では無意味で、受け入れることしか許されなかった。ふと視界に入った秀司の瞳は一言では表しきれない感情を浮かばせて淀んでいた。
「っ──!」
ズンと奥深く突かれ、陰茎が入ってはいけない場所、その入り口にぷちゅっと突き当たる。衝撃に声さえ出なかった。その様子に秀司が悦びに目を細めて、ふっと笑う。
「ここは初めてみたいだな」
抜きかかるくらいに腰を引き、何度も何度も結腸の入り口を叩く。
「っは──あっ、ああ! っだめ、そこ、はいっちゃ……!」
「中に挿入れて。透の初めて俺にちょうだい」
耳元で甘く秀司が囁く。コンコンと結腸を執拗にノックし、開けてと強請る。
囁きに体は従順だった。うねる腸壁は奥へ奥へと誘い、扉は緩んで高ぶりが顔を出す。
受け入れる態勢が整ったことを感じ取ったのか、ずるると中から抜いていき、どちゅんと勢いよく怒張が結腸を抜いた。
「っ──!」
呼吸が途切れる。視界にパチパチと星が散った。
「っぁ……あ……」
受け止めきれない快楽に目を見開いて、ただ翻弄されることしかできない。そんな俺の顔を見て、秀司が小さな喘ぎを溢す唇へ愛おしそうにキスをする。
「……分かる? 俺のここまで挿入ってる」
開かれた脚の間から見えるお腹へ手を滑らせて、秀司の大きな掌が臍の下をさわさわと撫で、ぐいっと圧を掛ける。
「あっ……!」
外からの圧に、ありありと秀司の形が分かってしまう。今、挿入ってるんだ。誰も受け入れたことのないところに秀司のがここに。
そう思うと、暴力的な快楽の前で意識が飛びかかっていた胸の奥からじんわりと悦びが滲み出てきた。
情欲だけじゃない濁った瞳が俺を閉じ込める。
「俺の、俺だけの透……。大丈夫、これが初めてじゃなくたって、こんな簡単に潮を吹くような淫乱な体に作り変えられていたって俺が全部塗り潰してやるから」
それは自分を安心させるために言っているようだった。そこでやっと気付く。
秀司は嫉妬しているのだ。俺の初めてだけでなく体全てを捧げたあの人に。
だからちゃんと言わなきゃいけないと思った。誤解されたままなんて嫌だった。
「……俺はこういう行為は相手のためだけにやってた。そこで俺の欲求なんて叶えられたことはなかった。だから秀司だけだ。こんなにきもちよくなったのも、し、潮吹いたのだって秀司が初めてだ……!」
後半恥ずかしさで顔が真っ赤になる。でもちゃんと言い切った。
俺の言葉に秀司は茫然としていたが、段々と頬に朱色がのって嬉しそうに緩んでいくのが見て分かった。
「透!」
「っあ……!」
ガバリと秀司が俺に抱きつく。その勢いで結腸に嵌っていた陰茎が奥に進む。敏感だったところを更に刺激されてまた意識が飛びかけた。
「しゅ、秀司、待って。一回抜いて……」
こんなんじゃ気が持たない。けどそれを無かったようにするように舌を入れて口を塞ぎ、「透、愛してる」と言葉を囁く。
「……うん、俺も秀司を愛してる。だから──」
「透の初めて、あるもの全部俺にくれ」
「分かった。全部秀司にあげるから。だから一回抜いて……!」
「良かった。じゃあ透、今夜はいっぱい気持ちよくなろうな」
俺の話など一言も聞いてはいない。秀司の頭の中は俺への愛で埋め尽くされているようだった。
それは自分にとってはたまらなく幸福を感じるはずなのに今は焦りしか感じなかった。
「ぁああっ──!」
秀司が覆い被さり、上から突き刺すように腰を動かす。ぐぽっぐぽっと陰茎が結腸口を出入りする。逃げたい。けれどあろうことか体は更に快楽を得ようと背中に腕を回して抱きつく。逃げたいのにもっとと秀司を求める。もう頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「あっ、んぁあ! あああ、イクぅぅ──!」
絶頂に達し、ビクビクと体が痙攣する。けれどいつまで経っても波が引かない。全身を巡る快感がずっと続いていた。困惑している俺に秀司が興奮気味に言う。
「初めてメスイキしたんだな。ほら見て。透のからは何も出てないよ」
見えやすいように抱きついた状態から秀司が上体を離すと、くたりと力なく垂れる俺の陰茎が視界に映った。思わず「……嘘」と声を漏らす。
途端、グイッと最奥をノックされる。
「ああっ──!」
イッたばかりなのに。こんな容赦のない責め、耐えられるわけがない。
「っんああ、ま、待ってまだ……!」
胸に手を押さえて訴えるも、両腕を掴まれそのまま頭の上でシーツに縫い付けられる。
「ほら休む暇はないぞ。今夜は透の初めて全部奪うって決めたんだからな」
そんなの聞いていない。けど抗議する前に結腸を貫き最奥を叩かれて思考が霧散してしまった。
その後は朝まで休みなく行為が続いた。俺が気絶しても叩き込まれる快感に目が覚めてを繰り返して、何度果てたか分からない。秀司よりは多いことは確かだろう。秀司も俺の中に沢山射精して、突くごとに後孔から白濁が溢れ出ていた。
終わりの見えないような絶頂に何度も浸されて次第に理性は消え失せる。口から唾液を垂らし、ふにゃりと頬を緩めて、もっともっとと秀司を求める。頭が馬鹿になったんじゃないかと思った。
けれどおかげで秀司の愛情を純粋に感じることが出来た。
もう胸にぽっかりと空いた穴はない。自分の存在価値に嘆くことも、周囲を憎むこともない。俺の心は溢れ返るくらい秀司の愛で満たされていた。
幸せとはこういうものなのだと人生で初めて理解する。
秀司はずっと俺のそばにいてくれた。辛い時は一層俺を想ってくれた。秀司の存在の大きさに気付くことはだいぶ遅れたけれど、これからは違う。
隣に秀司がいる。それだけで俺は幸せなんだ。
頭の中がふわふわする。まるで砂糖たっぷりのミルクティーに浸っているようだった。
シャツをたくし上げられ、まじまじと見つめられる。恥ずかしいのに興奮に熱が肌に宿る。感触を確かめるようにその肌を手が這う。
「ん、……」
くすぐったさに身を捩る。それでも秀司は手を止めない。じっくりと堪能するように指先がつうっと肌を撫で、体の曲線をなぞる。その指先を目で追っているとなんだか胸がドキドキして指先の感触を鋭敏に感じ取ってしまう。
段々と手は上へと向かっていき遂に胸に到達する。男だから胸は平べったい。けれど秀司は円を描くように胸を揉み始めた。
「っ……、しゅうじ、こんなとこ揉んだって……」
きっと愉しくも何もないだろう。そう思って言ったのだが秀司は違うようだった。
「大きくても小さくても透のなら全部かわいい。大丈夫、気になるなら俺が毎日揉んで育てるよ」
そうして目を弧にする秀司は本当に楽しそうだった。
目をとろんとさせ、ない胸を揉んで夢中に感触を味わう。秀司はだいぶご執心のようだった。
俺も俺でなんだかむずむずするような変な気分になってくる。少し指先が胸の尖りを掠めただけで「っ……!」とビクリと体が震えた。
それを秀司が見逃すはずがなかった。焦らすように振れるか触れないかの距離で何度も乳首を掠め、途端ぎゅっとつねってきた。
「あっ……!」
思わずあられもない女のような声が漏れる。恥ずかしくて唇を噛んで耐えていると、秀司が首元に吸い付くようなキスをしてくる。
「……透、声我慢しないで。声もっと聴かせて」
言い聞かせるように優しく囁き、ぎゅっぎゅっとつねってくる。促されるまま我慢できず「あっ、あ、あっ……!」と声が出てしまう。それに気をよくしたのか、秀司は一層責めを強めて乳首を口に含んだ。
「っしゅ、秀司……! あっ──」
驚くのと同時にびりっとした感覚が駆け巡る。舌で転がすように乳首を弄られ、片方の胸も捏ねたり押し潰されたりと繰り返される。
「あっ、あっ、んあ……」
片方の胸も当然のように秀司の舌で遊ばされ、ちゅと水音が響き、軽く噛まれた胸の尖りが伸びて離される。
散々いじめられた両胸の尖りは赤く充血し、性器のように勃ち上がっていた。
「はぁ」とたまらないと言うように秀司が息を吐く。胸に向かれて吐かれた息はそれだけで敏感になった尖りを刺激し、「あっ……」と情けない声が出てしまう。その様子に秀司がくすっと笑う。
「これじゃあ絆創膏を貼らないと外にも出られないな」
からかうような言いぶりにカァと顔が熱くなる。
「秀司がそうしたんだろ!」
「大丈夫、帰りドラッグ寄った時一緒に絆創膏も買っておいたから」
「そういう問題じゃない!」
「はは、怒る透もかわいいな」
浮かれているのか秀司は全く俺を相手にしていないようだった。頬を膨らませてむくれていると秀司が慰めるように目元に軽いキスを贈る。
「そんなに怒らないで。いつか俺がいないと満足できない体になるくらい気持ちいいことしか考えられなくしてあげるから」
「それお前がそうしたいだけじゃん!」
「透は俺としたくない?」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
「……良かった」とふっと秀司が微笑む。
「俺もずっとこうしたかった。寮部屋で透と過ごしてて俺がどんなに苦労したか。……でももう我慢しなくていいんだよな」
「しゅうじ……?」
体を抱き寄せ、柔らかな唇が肌に触れる。ちゅ、ちゅとリップ音が部屋に響く。吸い付くような口付けの雨。その跡は俺のものだと主張するようだった。
口付けはそのままにお互い向き合う形で、下に手を入れられ、先端を包まれ上下に弄られる。
「っあ、あ、しゅうじ……」
急な直接的な刺激。自分でするのとは全く違くてなにより容赦がない。思わずやめてくれと秀司の腕を掴むも、そのまま動きは止まらず高められた快感に背中に腕を回して耐える。胸元に顔を埋めていると、耳元で秀司が強請るように囁く。
「イク姿、俺に見せて」
顔を上げると頬を上気させ、興奮した瞳が俺を映していた。途端、下に触れる刺激が強まる。
「ぁああ──!」
急激に湧き上がる快感に抗えるはずもなく、秀司を見つめたままびゅうと彼の手に白濁を放つ。
秀司の手はそれから俺の服へと伸び、上も下も脱がされる。下肢から受け止めきれなかった精液がぴちゃりと白い糸になって途切れた。
露わになった先端は勃ち上がり、先走りで濡れていた。羞恥に脚を閉じようとすると、太ももを手で抑えられ秀司の視界に晒される。
「中に欲しいってひくついてる。透、期待してる?」
俺からはどうなっているか見えない。まじまじと見つめられ、といっても欲を制御することも出来ず、顔を赤くして耐えるしかなかった。くすりと秀司が笑い、指先がひくつく後ろへ触れる。
「挿入るな」
白濁で滑った秀司の節くれだった指が中に挿入ってくる。尻餅でもついたような形で両手をベッドにつき、開かされた脚からは全貌は見えないものの、蠢く腸壁を進む感覚に指を呑み込んでいく様がよく分かった。
「っ……!」
手つきは優しく丁寧で痛みは感じない。けれどまじまじと俺の一挙一動を秀司に見つめられているのが恥ずかしくてぎゅっと目を瞑る。
「……透」
痛みに耐えているのかと思ったのか、秀司がリラックスさせようと唇に甘やかなキスをする。
段々と数が増え、三本の指がぐちゅぐちゅと何かを探すようにバラバラに動く。ふと一点を押し潰され、「あっ──!」と体がビクンと震えた。
「見つけた」
舌舐めずりでもするようにニヤリと秀司の口角が上がる。
「あっ、ああっ、あ、あっ……!」
一点だけを狙ってトントントンと押し潰す。一定間隔で刻まれる刺激の度に声が漏れ出る。痺れるような感覚に腕は体を支えきれず、くたりとベッドに倒れ込んでしまった。
「あ、あっ、ああ、おかし、ああっ──! やだ、しゅ、しゅうじ、やめ、そこばっかりぃ……!」
このままだと頭がおかしくなりそうだった。けれど秀司は更に追い討ちを掛けるように膨らんだ前立腺をくりゅっと捏ねて弄ぶ。
「ひあっ──!」
湧き起こる熱い濁流。肌に飛び散った白濁は一度目よりも薄く勢いもなかった。
けれど俺は射精したことにも気付いていなかった。駆け巡る刺激に何も考えられなくなる。ビクビクと体を震わせて快楽の余韻に感じ入るしかなかった。
「上手にイケたな」
秀司が柔らかな微笑みを浮かべ、頭を撫でる。頭がふわふわして深く考えられなかったが、その撫でられる感覚が心地良くて頬がだらんと緩む。
もっと秀司に褒められたい。
「秀司……」
そんな思いが湧き立って、力の入らない体でなんとか起き上がり、重力に任せて秀司を押し倒した。胸について跨ると秀司は驚いたように目を見開いて俺を見つめる。
「秀司は動かなくていいよ。そのまま俺に任せて」
尻に当たるそれは既に硬くなっていて、うずうずして尻を押し付けてしまう。けど今は自分の欲を満たすのではなく、秀司に気持ちよくなってもらいたい。
上を脱がせると六つに割れた立派な腹筋が現れた。俺も高校時代、腹筋はあったが薄く見える程度でこんなに立派なものは見たことがない。思わずぷにぷにと指先で触れる。
「凄いな。流石プロ野球選手。やっぱり毎日鍛えてるのか?」
俺の興味は完全に筋肉に移っていて、ぺたぺたと締まった筋肉に触れていた。
ああ言っておいて胸なんか俺よりもあるじゃないか。
鍛え上げられた胸筋を揉んで柔らかな感触を味わっていると、ガシリと腕を掴まれてしまった。ハッと意識を戻す。
「焦らすのもいい加減にしてくれ」
耐えるように眉根に皺を寄せ、秀司の頬は赤く染まっていた。
どうやら俺は知らず知らずのうちに酷なことをしてしまっていたらしい。
「ご、ごめん」
視線を下に移す。いざとなると怖気づいて中々手を出せなかった。戸惑いながらも下を脱がせる。途端、ぶるんと聳り立ち血管の浮いた秀司の怒張が露わになる。
お、大っきい……。
想像以上のそれに思わず息を呑む。身長で言えば大人と中学生くらいに体格に差があるわけで、やはり俺のと比べて大きさは段違いだった。でもこんな大きいの俺の中に全部納めることができるのか。
と、とりあえずやってみよう。
不安全開でしゃがむような姿勢になって腰を浮かせる。片手を割れた腹筋に置いて体を支え、空いたもう片方の手で陰茎の位置を調整する。
「っん…………!」
スローモーションのようにゆっくりと挿入れていく。やっぱり大きくて中々スムーズに進まない。けれど挿入らないってことはないようだった。
時間をこれでもかと掛けてようやっと全部挿入りきる。はぁはぁと荒くなった呼吸を整える。お腹の圧迫感がひどいが、全て受け入れられたことに喜びを感じ、湧き上がる愛おしさに手を添えてお腹を撫でる。
「はぁ……、秀司の全部挿入った……」
幸せに酔いしれて笑みを浮かべる俺を見て何を思ったのか、中で存在感を放つ熱い主張が更に大きくなる。
「っ……!」
またひどくなる圧迫感に瞳を閉じて耐える。けれどその分かりやすすぎる反応が面白かった。
「はは、なに? 興奮したの?」
からかうように笑うと、参ったように額に掌を乗せて「お前がそんなこと言うからだろ……」と余裕なさげに返事がくる。
「いーよ、気持ちよくなって。秀司のその顔、もっと俺に見せて」
顔を近付けて煽るような笑みも一緒に誘惑の言葉を囁く。そんなこと俺が言うなんて想像もしていなかったのだろう。秀司が衝撃に息を呑む。
膝立ちになって胸に置く手を支えに腰を上下させる。そこでついさっき言ったことを後悔した。
やばい。こんなの絶対続かない。
最初は秀司の快楽に浸る顔が見たくて頑張っていたが、どうにも弱いところに当たってしまって気力が削がれていく。
「っん、ん、……あっ……」
ペースは段々遅くなっていき、既に甘い吐息が漏れ始めていた。
「どうしたんだ? あんなこと言っておいてもうバテたのか?」
秀司の顔はからかうように口角が上がっていた。優位にいたのに完全に立場が逆転してしまっていた。
「んっ、いやまだだ……」
なんだか負けた気分になって悔しかった。溢れる甘い吐息を抑えて反抗心丸出しでそう答える。
ぐちゅぐちゅと腰を浮かせて、血管の浮き立つ怒張を呑み込んでいく。弱いところを避けながら、そう意識して慎重に動いていく。
「っふ、……ん、ん……」
一度上下させるのも一苦労で、思った以上に時間が掛かってしまう。じっとりとした視線を秀司に向けられるが、気を揉んでいるなんて感じ取れない程、意識は中に持っていかれていた。
「んあっ、しゅ、秀司!?」
突然、指から肉がはみ出るくらい強く尻を掴まれる。
「ああっ──!」
ズンッと腹に貫くような強い衝撃が走る。膨れた前立腺を押し潰されて、駆け巡る刺激に背がビンと弓形になる。
「透がその気だから我慢してたけど無理。もう待てない」
余裕のない高ぶりを宿した秀司の瞳が俺を映す。
「ま、待って。ちゃんとやるから! だからもう少し待っ──ぁああ!」
主導権をここで取られたら確実に壊れる。そう確信して必死に懇願するが、無慈悲に腰を持ち上げられ重力に従って落とされる。
あまりの快楽に力が抜けて、秀司の胸元に項垂れるように体を預ける。それでも秀司は止める気などないらしく、腰を両手で固定され、下から激しく突き上げられる。
「あう、っあ、あ、んぁあ、あ……!」
ゴリゴリと敏感なそこを何度も押し潰される。開いた口からは喘ぎがダダ漏れであった。
「あっ、や、うあっ、あ、っあ、はげし、っあ、あ……!」
「嫌じゃないだろ。こんなに締め付けて。もっとって強請ってるじゃないか」
「うぅ、っあ、あ、ねだってないぃ」
ぎゅうと秀司がクッションのように俺の背中に腕を回して抱きつく。体格差がありすぎるためか、腕の中にすっぽりと体が収まる。おかげで体を逸らすことも、逃げることも出来なかった。強制的に浴びせられる快楽に前後左右も分からなくなって、涙で顔がぐしゃぐしゃになる。
秀司は伸びた俺の髪を後ろへ撫で付けるように押さえて、前髪で隠れていた前を開けさせる。そんなことしたって涙で見るに耐えない俺の顔がよく見えるようになるだけなのに、秀司は情欲で滾った瞳で薄く微笑む。
「あ、ああ……! しゅうじ、やめ、頭おかしくなる」
「いいよ、おかしくなって。もしそうなったら俺が責任持って面倒見るよ。だから透のその顔もっと見せて」
わざと俺が言った言葉を文字る。下からの突き上げが更に速くなって駆られる衝動を俺に叩きつける。一緒に前立腺を苛める間隔も短くなって、目の前の快楽以外何も考えられなくなる。
「あ、んぁ、ぁああ、や、なんかくるぅ!」
射精とは違った感覚に思わず叫ぶ。けれど秀司は聞く耳を持っていないようで、興奮にまた動きを速くさせる。
経験したことのないような押し寄せる絶頂の波。逃れようと一瞬緩くなった腕から起き上がる。だがすぐさま拘束するように両手首を引っ張るようにして掴まれてしまった。
「や、でちゃう、あっ、あ、ああ、やぁぁああ──!」
「くっ……!」
電撃が背筋を走り、仰け反って昇ってくる熱い奔流を全身で浴びる。ぷしゃあと白濁ではない透明の液体が昂りから噴水のように湧き上がる。
同時に秀司も達したようだった。吐き出された熱い白濁が中にじわりと広がっていくのを感じる。
「あ、ああ……」
余韻にビクビクと体が震える。瞳は焦点が合わず、口はだらんと半開きになり意識が曖昧になってしまっていた。
だから中で再び硬さを取り戻す陰茎に危惧さえできなかった。
「ひあっ……!」
突如体をベッドへと押し倒される。そのまま中に挿入れたまま移動したため、敏感に反応してしまった。
両手で脚を持ち上げられ、脚ごと一緒に覆い被さる。膝が胸につくくらい折り曲げられ、間近に迫った秀司の顔は切羽詰まったように眉間に皺を寄せていた。一筋の汗が秀司の額から俺の頬に落ちる。
秀司が腰を引くと、蠢く腸壁は行かないでと名残惜しく吸い付く。そのまま抜かれると思った。けれど気を抜いたのも束の間、ズンと怒張が奥に叩きつけられる。
「っかは──!」
内臓を押し潰す勢いに肺から空気が押し出される。苦しさに息を吸い込むと同時に恐ろしいほどの突き込みが俺を襲う。
「あ、っああ、やぁぁ、んあっ、っうあ、んああ──!」
パンパンと尻とふくらみが当たって弾けるような音が部屋に響く。
「あ、ぁああ、や、まって、イッた、イッたばっかりだからぁ」
肩を掴んで引き剥がそうとしても圧倒的体格差の前では無意味で、受け入れることしか許されなかった。ふと視界に入った秀司の瞳は一言では表しきれない感情を浮かばせて淀んでいた。
「っ──!」
ズンと奥深く突かれ、陰茎が入ってはいけない場所、その入り口にぷちゅっと突き当たる。衝撃に声さえ出なかった。その様子に秀司が悦びに目を細めて、ふっと笑う。
「ここは初めてみたいだな」
抜きかかるくらいに腰を引き、何度も何度も結腸の入り口を叩く。
「っは──あっ、ああ! っだめ、そこ、はいっちゃ……!」
「中に挿入れて。透の初めて俺にちょうだい」
耳元で甘く秀司が囁く。コンコンと結腸を執拗にノックし、開けてと強請る。
囁きに体は従順だった。うねる腸壁は奥へ奥へと誘い、扉は緩んで高ぶりが顔を出す。
受け入れる態勢が整ったことを感じ取ったのか、ずるると中から抜いていき、どちゅんと勢いよく怒張が結腸を抜いた。
「っ──!」
呼吸が途切れる。視界にパチパチと星が散った。
「っぁ……あ……」
受け止めきれない快楽に目を見開いて、ただ翻弄されることしかできない。そんな俺の顔を見て、秀司が小さな喘ぎを溢す唇へ愛おしそうにキスをする。
「……分かる? 俺のここまで挿入ってる」
開かれた脚の間から見えるお腹へ手を滑らせて、秀司の大きな掌が臍の下をさわさわと撫で、ぐいっと圧を掛ける。
「あっ……!」
外からの圧に、ありありと秀司の形が分かってしまう。今、挿入ってるんだ。誰も受け入れたことのないところに秀司のがここに。
そう思うと、暴力的な快楽の前で意識が飛びかかっていた胸の奥からじんわりと悦びが滲み出てきた。
情欲だけじゃない濁った瞳が俺を閉じ込める。
「俺の、俺だけの透……。大丈夫、これが初めてじゃなくたって、こんな簡単に潮を吹くような淫乱な体に作り変えられていたって俺が全部塗り潰してやるから」
それは自分を安心させるために言っているようだった。そこでやっと気付く。
秀司は嫉妬しているのだ。俺の初めてだけでなく体全てを捧げたあの人に。
だからちゃんと言わなきゃいけないと思った。誤解されたままなんて嫌だった。
「……俺はこういう行為は相手のためだけにやってた。そこで俺の欲求なんて叶えられたことはなかった。だから秀司だけだ。こんなにきもちよくなったのも、し、潮吹いたのだって秀司が初めてだ……!」
後半恥ずかしさで顔が真っ赤になる。でもちゃんと言い切った。
俺の言葉に秀司は茫然としていたが、段々と頬に朱色がのって嬉しそうに緩んでいくのが見て分かった。
「透!」
「っあ……!」
ガバリと秀司が俺に抱きつく。その勢いで結腸に嵌っていた陰茎が奥に進む。敏感だったところを更に刺激されてまた意識が飛びかけた。
「しゅ、秀司、待って。一回抜いて……」
こんなんじゃ気が持たない。けどそれを無かったようにするように舌を入れて口を塞ぎ、「透、愛してる」と言葉を囁く。
「……うん、俺も秀司を愛してる。だから──」
「透の初めて、あるもの全部俺にくれ」
「分かった。全部秀司にあげるから。だから一回抜いて……!」
「良かった。じゃあ透、今夜はいっぱい気持ちよくなろうな」
俺の話など一言も聞いてはいない。秀司の頭の中は俺への愛で埋め尽くされているようだった。
それは自分にとってはたまらなく幸福を感じるはずなのに今は焦りしか感じなかった。
「ぁああっ──!」
秀司が覆い被さり、上から突き刺すように腰を動かす。ぐぽっぐぽっと陰茎が結腸口を出入りする。逃げたい。けれどあろうことか体は更に快楽を得ようと背中に腕を回して抱きつく。逃げたいのにもっとと秀司を求める。もう頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「あっ、んぁあ! あああ、イクぅぅ──!」
絶頂に達し、ビクビクと体が痙攣する。けれどいつまで経っても波が引かない。全身を巡る快感がずっと続いていた。困惑している俺に秀司が興奮気味に言う。
「初めてメスイキしたんだな。ほら見て。透のからは何も出てないよ」
見えやすいように抱きついた状態から秀司が上体を離すと、くたりと力なく垂れる俺の陰茎が視界に映った。思わず「……嘘」と声を漏らす。
途端、グイッと最奥をノックされる。
「ああっ──!」
イッたばかりなのに。こんな容赦のない責め、耐えられるわけがない。
「っんああ、ま、待ってまだ……!」
胸に手を押さえて訴えるも、両腕を掴まれそのまま頭の上でシーツに縫い付けられる。
「ほら休む暇はないぞ。今夜は透の初めて全部奪うって決めたんだからな」
そんなの聞いていない。けど抗議する前に結腸を貫き最奥を叩かれて思考が霧散してしまった。
その後は朝まで休みなく行為が続いた。俺が気絶しても叩き込まれる快感に目が覚めてを繰り返して、何度果てたか分からない。秀司よりは多いことは確かだろう。秀司も俺の中に沢山射精して、突くごとに後孔から白濁が溢れ出ていた。
終わりの見えないような絶頂に何度も浸されて次第に理性は消え失せる。口から唾液を垂らし、ふにゃりと頬を緩めて、もっともっとと秀司を求める。頭が馬鹿になったんじゃないかと思った。
けれどおかげで秀司の愛情を純粋に感じることが出来た。
もう胸にぽっかりと空いた穴はない。自分の存在価値に嘆くことも、周囲を憎むこともない。俺の心は溢れ返るくらい秀司の愛で満たされていた。
幸せとはこういうものなのだと人生で初めて理解する。
秀司はずっと俺のそばにいてくれた。辛い時は一層俺を想ってくれた。秀司の存在の大きさに気付くことはだいぶ遅れたけれど、これからは違う。
隣に秀司がいる。それだけで俺は幸せなんだ。
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