神官長は勇者に囚われて

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11 シン視点

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 「勇者さま! 神官長さまが! 神官長様が
何物かに連れ去られました!」
イリアスの付き人が慌てて入ってきた。

シンは必死に神殿へ駆けようとしていた。
 だが、広間で彼を待ち受けていたのは王女リシェルだった。

 「勇者さま! お待ちください!」
 彼女はドレスの裾を握りしめ、涙に濡れた瞳で道を塞ぐ。

 「イリアス様は貴方を惑わせています! あの方から離れてください! どうか……私を見てください!」

 彼女の声は純粋だった。愛しているからこそ、必死に訴えている。
 しかし、シンの黒い瞳は揺れなかった。

 「……どけ」
 「わ、私の想いを踏みにじるのですか……? 教会は正しいのです! イリアス様は――」

 「黙れ!!」

 怒声が広間に響き、王女は震えて立ちすくむ。
 「俺にとって正しいのは、イリアスだけだ。……誰が何を言おうと、あの人は俺のすべてなんだ」

 黒い瞳が燃える。
 「邪魔をするなら、王女だろうと斬る」

 リシェルの顔から血の気が引き、涙が溢れる。
 だがシンは振り切り、剣を手に神殿の奥へと駆けた。

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