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5.車椅子生活

車椅子生活③

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「じゃあ、さくらちゃんは、車椅子の乗り方は教えなくても分かるんだね?」
「うんっ! 一輪車みたいに操作が楽しいよっ!!」
「そっかそっか♪ じゃあ、行ってみますか」
「わーいっ!!」

 だけど……。

「………」
「さくらちゃん、どうしたの?」
「いや、付き添いがいるのは分かってたけど、付き添い……多くないですか?」

 病院の中を探検するだけなのに、付き添いは医師にお母さん、それに看護師さん3人の計5人。
 明らかに、わたしみたいな子ども一人の為に付き添いが多過ぎる。
 わたしはどこかのお金持ちのお嬢様か?

「いやぁ~。さくらちゃんに病院の中を案内するの初めてだからさ」
「医師とお母さんは良いとして……看護師さんたち、お仕事しなくて良いんですか?」
「大丈夫よぉ~。私たち今、休憩時間だもんねぇ~」
「えっ!? じゃあ、看護師さんにとって休憩時間は貴重なんですから、自分の時間を大切にして下さいっ」
「さくらちゃんは優しいね。でも、良いのよ」
(わたし、優しくないよっ! 良くもないよっ!)
「だって私たちね、医師に言われたからじゃなくて、自分の意思でさくらちゃんに付き添ってるんだもん」
「……え、どうして……?」
「さくらちゃんの“笑顔”が見たいから!!」
「わたしの笑顔……?」
「うん。さくらちゃん、意識取り戻してから今日初めて笑ってるんだよ。自分で気付いてる?」
「あ……」

 そういえばそうだ。
 わたしは意識を取り戻してから、泣いたことはあっても、笑ったことはなかった。

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