カミシロ様

かがみゆえ

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第0話 プロローグ

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 誰にだって、許せないことがある。
 どんなに後悔や懺悔しても許されないことがある。

 その時は軽い気持ちで行ったことが、取り返しのつかない事態を引き起こすことがある。

「ごめんなさいごめんなさい……」
「ごめんねごめんね……」

 いくら謝罪しても、届かない。

「許して」
「許さないで」

 謝罪の後に求めるのは許し。
 謝罪の後に求めるのは戒め。

 あの日に戻ってくれと何度願っても、戻ることはない。
 時間は流れ、明日へと向かうだけ。
 決して昨日に進むことはない。


『ユルサナイ、ゼッタイニユルサナイ』


 時には憎しみ。
 時には悲しみ。
 時には苦しみ。

 その負の感情が膨れ上がれば上がるほど、時には予期せぬ事態を招くことがある。




『……カミシロ様、カミシロ様。どうか、私の願いを叶えてください……』




 一人の少女が祠の前で願う。
 少女が願いと引き替えに捧げたものは、少女にとって自分の命よりも大切なもの。

 その後、一人の少女がいなくなった。
 これが後に起こる惨劇へと繋がることになるのだった。

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