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75話 出会いの旅路 3

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「おはようございます」

 まだ辺りは薄暗い早朝、オレ達はマーカス商会の裏手にある倉庫前に集合している。



「おはようございますリルトさん」
「おはようございます!リルトお兄ちゃん!」

 エリザベットさんとジャネットちゃんは、チュニックにパンツと動きやすそうな格好で表情も明るい。

 二人の背後には、確か店長さんと見覚えのある女性店員さんがいる、その後ろにはジョンさんもいる。

 と、エリザベットさんが二人を前に促す。

「店長のトマスと店員のサミーです。
 御者として同行します」

「おはようございますリルトさん、今日はよろしくお願いいたします」
「よろしくお願いします」



 依頼者の自己紹介が終わったので、後ろのガルフさんを振り返ると、小さくアゴをしゃくる。

(お前が仕切れって事か)

 オレはギルドカードを取り出し、エリザベットさん達に見えるよう提示してソッと魔力を流す。
 と、カード中央に冒険者ギルドのマークがうっすらと光のラインで現れる。

「本日の護衛依頼を担当しますE下級のリルトです。
 職業クラスは"魔斥候"です」

 これが依頼者に会った時の正式な挨拶。
 カードが光るのは生活魔法の"名印サイン"の技術の応用で、偽造カードでは無い事の証明だ。


 続いて背後を手振りで紹介する。

「こちらが戦闘を受け持つパーティー"灰狼はいろうの牙"の皆さんです」

(グレーハスキーなのに灰狼…ぷぷ)



 ガルフも他のメンバーもカードを提示している。

「リーダーのガルフだ、職業は剣士、メンバーは全員C中級だ」

「斥候のビアンカです」

「風魔術師のナーグルです」

「回復を担当する光魔術師のマーガレットです」

 ガルフのパーティーは男女2人づつの4人。
 5~6人で構成するパーティーが多いからちょっと珍しいが、ガルフが強いので彼らにはこれで丁度いいんだろう。

 こちらの紹介を聞くと、御者の二人は素早く動き出し、出発の準備を始める。


 今回の移動は大型の箱馬車1台、荷物よりも人員輸送が主だ。
 御者は店員の二人が交代で。
 御者台にナーグルさんとマーガレットさんが交代で乗り、騎馬が1頭先導して、ガルフとビアンカさんが交代で乗る。
 オレは中に乗りっぱなし、まぁ、そういう要員だからしょうがない。





 オレは全員の肩に触れながら、アイテムストレージの中へ誘導する、ついでにジョンさんも。

「おおぉ」
「これがアイテムストレージかぁ」
「整っててキレイな部屋ですね」
「すごーい!」


「今、ここにいるメンバーを登録しましたので、旅の間は扉が開いていれば一人で入れます」

 オレは全員にトイレ、風呂の場所を、食事の準備をする店員の二人には時間停止倉庫の場所を教える。
 ちなみにオレ用の倉庫は許可を出していないので、誰も入れない。

「基本的には全員がお手洗い、お風呂、交代で食事に利用します。
 夜はエリザベットさんとジャネットちゃんはここで寝ますので、夜間に入る場合はお静かに」

 一応部屋の形を横長にして、扉から離れた所の衝立ての先を寝室にした。
 まだストレージの熟練度が低く、この部屋数でいっぱいいっぱいなので、苦肉の策だ。


「無いとは思いますが、危険な状況になった場合も、許可が無い者はここには入れないので、撤退するよりも籠城した方がいい場合もあると思います。
 その判断はガルフさんにお願いします」

「分かった」




 ガルフが騎馬の手綱を持ち、他のメンバーは所定の場所へ、エリザベットさんとジャネットちゃんはジョンさんとハグを交わし馬車へ。



ガルフの号令がかかる。
「それでは出発する!」




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