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113話 新たな道標 4
しおりを挟む「り、リルトきゅ~~ん!」
バフッ!
「うわぁっ!」
昨日、目覚めた事を知ってファル爺やセリアナさん、ナザリオさんが駆けつけ、セリアナさんに謝罪されたりファル爺に魔法の修行をつけてもらう約束などをした。
大司教に、
「半年も魔法とポーションだけで命を繋いできたのですから、もう少しここで療養すべきです」
と言われ、それもそうだともうちょっと御厄介になる事を決めて翌日の今日。
オレはレシアナさんの突撃を食らっていた…
「レシアナさん、どうして王都に?」
「リルトきゅ~ん」
「キューン♪」
(この人もう隠そうとしなくなったな…)
レシアナさんはベッドに腰掛けていたオレの胸元に抱きつき、何故かレシアナさんの頭に登ったラテルがオレの顔に抱きついている、太ももにフワフワな重量物の感覚が…
色んな意味で動けないんだが…
「半年前から王都に来てるのよ」
開け放たれたままだったオレの部屋のドアからセリアナさんが入って来る。
(そういえば二人は"出来る女"って雰囲気も似てるけど、名前も"アナ"で似てるんだな…だからなんだって話だけど)
「レシアナったらリルトさんが負傷した連絡を受けた途端に有給を取って王都に来たのよ。
それでリルトさんをギルド入会時から一番そばで見て、色々教えてきたポジションを本部にアピールして、リルトさんのサポート要員として正式にここにいるの」
セリアナさんは少し呆れ顔だ。
「キューン♪」
「きゅ~んだよね~♪」
「キュキュ!」
レシアナさんはオレの横でベッドに腰掛け、ラテルはその膝に座って一人と一匹にしか分からない謎の会話で盛り上がっている。
君ら今さっき会ったばっかじゃないの?
「で、レシアナさん。
なんで昨日は来なかったんですか?」
「え、いや、その~…」
「毎日リルトさんの顔見に行くばっかりでサポートする為の資料まとめてなかったから、昨日慌てて資料まとめてたら面会時間を過ぎちゃったのよ」
「ギルド長!バラさないで下さいよ!」
レシアナさんは顔が赤い。
「もうそんな事で恥ずかしがるような年じゃないでしよ? もう25くらいだっけ?」
「まだ22です!」
「え? レシアナさんて22歳なんですか?」
(思ってたよりだいぶ若いんだな…27~8くらいだと思ってた)
「何よリルトくん、その驚いた顔は!」
「あ、いや、…落ち着いて見えたからもっと年上かと思ってただけですよ」
何となくジト目で見られているが、気づかないフリで誤魔化す。
(うーん。レシアナさんかぁ…)
レシアナさんがオレに好意を持ってくれてる事は前々から分かってたけど、どうにもオレは踏ん切りがつかない。
キレイで、よくよく付き合うと面白くて、性格もいいと思うけど、彼女は一般人、オレは冒険者。
そして彼女は人間、オレはハーフエルフ。
いつ突然帰って来なくなるか分からない危険な仕事のオレが、彼女や妻を持っていいのか?
そして、100年もしないうちに一人老いて先立つレシアナさんをオレは受け止められるのか?
レシアナさんは耐えられるのか?
もちろんこの世界には数えきれないほどの冒険者の夫婦がいるし、異種族のカップルだっている。
そもそもオレの親だって人間とエルフ(という設定)だ。
でもそれはこちらの世界で産まれ、生きてきた中で育まれた人々の価値観だ。
いきなりそれに合わせるのは難易度が高い…
(恋愛以前のところで思考停止してるんだよなぁ…)
この事も、そのうちしっかり考えないといけないなぁ。
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