190 / 244
190話 ラスカリア 20
しおりを挟む行きと同じように"位相転移"を使い無駄な戦闘をせず一直線でダンジョンを脱出、ラスカリアのギルドまで戻ってきた。
ギルドの中は何時もと同じように…いや、何か何時もと違う真剣さの含まれた騒がしさだ。
「…おかえり、リルトくん。
大丈夫だとは思ってたけど、無事で良かったわ」
レシアナさんが入り口近くのカウンターで出迎えてくれた。
オレとポラリスはギルドカードを置く。
「ただいま、無事達成して来ました…何かありました?」
レシアナさんはオレ達のギルドカードを横にいた受付嬢に渡し、処理をさせながら騒ぎの方を見る。
「ええ、新人パーティーが一組 探索予定を1日過ぎても戻っていなくて。
捜索隊を出すかちょっと揉めてるのよ…」
「あらら、でも1日ですか…」
冒険には良い事も悪い事もトラブルは付きものだ。
探索予定が1~2日ズレる事も別に珍しくない。
たぶん揉めてるのは捜索隊が出されてしまうと、スケジュール管理力が甘い、自分の実力を正しく把握出来ていない、等の理由でギルドの評価が下がるからだ。
だから通常は長く潜る場合、2~3日余裕を持たせて申告するのが通例になってるんだけど。
「だけど、そのパーティーはまだ見習い卒業したばかりの12歳の子達でね…」
「は?それはすぐ捜索隊出すべきでしょ?」
それは話が全く変わる。
授職したばかりなんて職業スキルだって基礎的なものしか使えないし、技術も経験も素人同然だ。
トラブルだったとしたら一刻を争う状況で躊躇せず捜索一択なんじゃないか?
「そうなんだけど…」
「あいつらの事は俺達が一番分かってるんだ!
どうせ捜索出させて俺達の評価下げるのが狙いなんだろ!」
…騒ぎの中心で周りの冒険者に噛みついてるのは、オレにケンカ売って来たニルってヤツだ。
「…あれですか?」
「そう。戻って来ないパーティーは彼らの"サポート対象"なのよ。
そのパーティーがけっこう優秀なのと、彼らがトラブルを否定してるのとでギルドも強く言えなくて捜索を出すか揉めてるの」
冒険者ギルドには新人のサポート制度がある。
"見習い"を卒業して1年はギルド的にはまだ半・見習いと見なされ、その新人をサポートする事を申告する事でギルドから評価が貰えるシステムだ。
しっかりサポートしてその新人が活躍すれば何もしなくてもギルドの評価が上がるので意外と人気があるシステムなんだけど、こんな弊害があるのか…
オレが横に並ぶポラリスを見ると、ポラリスは黙って頷く。
「レシアナさん。
捜索対象のパーティー構成と名前、今回出された探索予定を」
「リルトくん」
「あんなバカに付き合っていたら間に合わなくなります、ほっといてボク達ですぐに行きます」
ーーーーーーーーーー
夕闇が迫る中、ゴーレム馬車を走らせ"コボルド街"に戻って来た。
今回の"攻略認定"達成で二人ともEランク上位に上がった。上がるのは分かっていたから今日は攻略達成&ランクアップのお祝いでもしようと思っていたのに…
オレ達は姿を消してダンジョンを疾走している。
捜索対象は「白の聖杖」というパーティー。
剣士2、魔術師1、神官1の4人構成だ。
希少な神官が入っているのでアンデッドの出るコボルド街なら活躍出来る将来有望なパーティーだ。
どうやらその優位性を活かしてアンデッドの階層でメキメキレベルを上げていたらしく、調子づいて今回は7~8階層へ初めての遠征に出たらしい。
(初めての"泊まり"でトラブルか…夜営でミスったか?)
眠くて判断力の落ちる夜営はミスが起きやすい、普通は馴れている者と夜営訓練するらしいけど、あのニルってヤツは教えてたんだろうか?
コボルド街の前半階層は、
1F…平原&森 2F…洞窟(坑道) 3F…洞窟(拠点)
コボルドのみ出現。
4F…湿地&森 5F…洞窟(坑道) 6F…洞窟(拠点)
アンデッドコボルドのみ出現。
7F…湿地&平原 8F9F…洞窟(拠点)
アンデッドとノーマル両方が出現する。
"コボルド街"全体を通してアンデッドとノーマルは共闘しないので、おそらく8、9階層のアンデッド側拠点を狙って進んだ、というのがポラリスとオレの推測だ。
だが道中でトラブルが起きた可能性も否定出来ない。
オレ達は各階層で蛇行するように"空間察知"で全域を見ながらジリジリと進む。
10
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました
たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。
「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」
どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。
彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる