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1.花嫁に選ばれた王女
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レーヴル王国とラング王国。
隣接する二つの国は、長きにわたる戦いで疲弊していた。
数多の国民が犠牲となり、川のような血が流れた。
もはや争いに勝てたとして、獲るものよりも、失ったものの方が多い現状。
そんな二国の未来を憂えた今代の王たちは、争いの歴史に終止符を打つために、和平を結ぶことを決意。
ついに、傷の絶えなかった両国に平和が訪れた。
和平を結ぶにあたって両国は、互いに王族から無垢な姫を一名選び、花嫁として相手国へと嫁がせることにした。
これは友好の証であると共に、再び争いを起こさぬための人質だった。
そしてレーヴル王国から選出された姫というのが私――ルナール・レーヴルである。
レーヴル王と第一王妃の間に産まれた、正統な血筋を引く王女だ。
側室や妾の子ではなく、正妃の子を選ぶということからも、どれだけこの和平を大切にしているかということがわかるだろう。
王族に産まれた以上、自由に恋愛ができるとは思っていなかった。
王族としての責務を果たすという点において、争いの歴史に終止符を打つという平和の象徴になれるのだから、これ以上の幸福はないだろう。
嫁ぎ先は我が国の民を殺してきた国の王族であり、まず間違いなく過酷な未来が待ち受けているはずだ。
なにせ相手からしたら私は、家族を、仲間を殺してきた国の王族なのだから。
だがもし、一縷の望みがあるとすれば。
和平に応じた今代のラング王も、理知的な人物であるかもしれないということだ。
そうであるならば、平和の象徴となる私に対して、過度に無体なことはしないだろう。
そしてその子であり、私の婚約相手であるオネスト王子。
未だ顔を合わせたことすらない相手ではあるが、ラング王の影響を受けて育ってきたとすれば、きっと誠実な人のはずだ。
それが私の儚い願望なのだとしても。
嫁ぐまでの短な間だけでも、一人の少女として夢を見ていたかった。
隣接する二つの国は、長きにわたる戦いで疲弊していた。
数多の国民が犠牲となり、川のような血が流れた。
もはや争いに勝てたとして、獲るものよりも、失ったものの方が多い現状。
そんな二国の未来を憂えた今代の王たちは、争いの歴史に終止符を打つために、和平を結ぶことを決意。
ついに、傷の絶えなかった両国に平和が訪れた。
和平を結ぶにあたって両国は、互いに王族から無垢な姫を一名選び、花嫁として相手国へと嫁がせることにした。
これは友好の証であると共に、再び争いを起こさぬための人質だった。
そしてレーヴル王国から選出された姫というのが私――ルナール・レーヴルである。
レーヴル王と第一王妃の間に産まれた、正統な血筋を引く王女だ。
側室や妾の子ではなく、正妃の子を選ぶということからも、どれだけこの和平を大切にしているかということがわかるだろう。
王族に産まれた以上、自由に恋愛ができるとは思っていなかった。
王族としての責務を果たすという点において、争いの歴史に終止符を打つという平和の象徴になれるのだから、これ以上の幸福はないだろう。
嫁ぎ先は我が国の民を殺してきた国の王族であり、まず間違いなく過酷な未来が待ち受けているはずだ。
なにせ相手からしたら私は、家族を、仲間を殺してきた国の王族なのだから。
だがもし、一縷の望みがあるとすれば。
和平に応じた今代のラング王も、理知的な人物であるかもしれないということだ。
そうであるならば、平和の象徴となる私に対して、過度に無体なことはしないだろう。
そしてその子であり、私の婚約相手であるオネスト王子。
未だ顔を合わせたことすらない相手ではあるが、ラング王の影響を受けて育ってきたとすれば、きっと誠実な人のはずだ。
それが私の儚い願望なのだとしても。
嫁ぐまでの短な間だけでも、一人の少女として夢を見ていたかった。
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