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11.この弟子は優秀かもしれないわ
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「今日から修行を始めます」
「はーい!」
エミの元気な声が訓練場に響く。
彼の家の地下。
私が造った訓練場に二人はいた。
エミの修行をするにあたって、問題となったのが修行場所だ。
幼いエミが自由に外出できるわけもない。
私が転移魔法で連れ出しても良かったが、毎回送迎するというのも手間がかかる。
そこで白羽の矢が立ったのがこの地下室というわけだ。
エミの部屋にエミの魔力にだけ反応する転移陣を設置。
それを起動させることで、エミが一人でも地下室に来ることができるようにした。
また、修行にともない、地下室の拡張も行なっている。
居住スペースとは別に、訓練場を新たに造ったのだ。
魔法の練習もできるよう、壁には念入りに防御結界を張った。
それなりに気合いを入れて造ったので、私が本気を出してもしばらくは耐えられるだけの強度になっているはずだ。
「まず初めに、魔力を感じ取れるようになってもらおうかしら」
この世界において、魔力というものはすべての基本といっても過言ではないだろう。
魔法の行使はもちろん、剣術等の肉弾戦においても、魔力で身体強化をするのが一般的である。
要するに、魔力を認識し、強化していくことが強くなるための第一歩なのだ。
「今から私の魔力をエミに流すから、何か感じたら教えてくれるかしら?」
「わかった!」
私はエミの両手を取ると、ゆっくり自身の魔力を流し込み始めた。
塞き止められていた水を少しずつ流していくように、エミの体内にある魔力を動かしていく。
「あっ! なんかきた! あったかいの!」
「そう、それが魔力よ。今度は自分でそれを動かすよう意識してみて。
ゆっくりでいいから」
「う~ん……」
エミは目をぎゅっとつむり、魔力を動かそうと試みる。
初めてのことだ。
どこに力を入れていいのかわからないのだろう。
不必要に身体が強張っていて、なんだか微笑ましい。
そういえば、私も初めはこんな感じだった気がする。
私はエミの鳩尾にそっと手を置いた。
「この辺りに意識を集中してみて」
「こう?」
言われた通りにエミが意識を向ける。
すると、少しずつエミの魔力が流れ始めた。
「そうよ、その感じ。
そのまま少しずつ魔力の流れを早くしていくの」
エミに教えながら、私は少し驚いていた。
私が自身の魔力を動かせるようになるまで数日はかかった気がする。
独学だった私と、師匠がいるエミとでは一概に比較はできないが、それでもエミが優秀であることにかわりはないだろう。
クスリと思わず笑みが浮かぶ。
「おば……、おねえさんどうかしたの?」
「いや、なんでもないわ」
きっとエミは強くなるだろう。
それは私が彼と結婚することとは別に、嬉しいことだと思えた。
「はーい!」
エミの元気な声が訓練場に響く。
彼の家の地下。
私が造った訓練場に二人はいた。
エミの修行をするにあたって、問題となったのが修行場所だ。
幼いエミが自由に外出できるわけもない。
私が転移魔法で連れ出しても良かったが、毎回送迎するというのも手間がかかる。
そこで白羽の矢が立ったのがこの地下室というわけだ。
エミの部屋にエミの魔力にだけ反応する転移陣を設置。
それを起動させることで、エミが一人でも地下室に来ることができるようにした。
また、修行にともない、地下室の拡張も行なっている。
居住スペースとは別に、訓練場を新たに造ったのだ。
魔法の練習もできるよう、壁には念入りに防御結界を張った。
それなりに気合いを入れて造ったので、私が本気を出してもしばらくは耐えられるだけの強度になっているはずだ。
「まず初めに、魔力を感じ取れるようになってもらおうかしら」
この世界において、魔力というものはすべての基本といっても過言ではないだろう。
魔法の行使はもちろん、剣術等の肉弾戦においても、魔力で身体強化をするのが一般的である。
要するに、魔力を認識し、強化していくことが強くなるための第一歩なのだ。
「今から私の魔力をエミに流すから、何か感じたら教えてくれるかしら?」
「わかった!」
私はエミの両手を取ると、ゆっくり自身の魔力を流し込み始めた。
塞き止められていた水を少しずつ流していくように、エミの体内にある魔力を動かしていく。
「あっ! なんかきた! あったかいの!」
「そう、それが魔力よ。今度は自分でそれを動かすよう意識してみて。
ゆっくりでいいから」
「う~ん……」
エミは目をぎゅっとつむり、魔力を動かそうと試みる。
初めてのことだ。
どこに力を入れていいのかわからないのだろう。
不必要に身体が強張っていて、なんだか微笑ましい。
そういえば、私も初めはこんな感じだった気がする。
私はエミの鳩尾にそっと手を置いた。
「この辺りに意識を集中してみて」
「こう?」
言われた通りにエミが意識を向ける。
すると、少しずつエミの魔力が流れ始めた。
「そうよ、その感じ。
そのまま少しずつ魔力の流れを早くしていくの」
エミに教えながら、私は少し驚いていた。
私が自身の魔力を動かせるようになるまで数日はかかった気がする。
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クスリと思わず笑みが浮かぶ。
「おば……、おねえさんどうかしたの?」
「いや、なんでもないわ」
きっとエミは強くなるだろう。
それは私が彼と結婚することとは別に、嬉しいことだと思えた。
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