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奴隷の日常
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自由とはなんだろう。
最近はそればかりを考えている。
変化のない日々に嫌気がさし、私は故郷を飛び出した。
外の世界は初めて見るものばかりで、気の向くままに歩いていたあのときは確かに自由だったと思う。
しかしその自由も長くは続かなかった。
考え無し。
小さい頃から何度も言われてきたその言葉。
ただうるさいだけの言葉だと思っていたが、現状を見るに間違っていなかったらしい。
手持ちの金は早々に尽きた。
街に出れば簡単に稼げると思ったが、現実はそんなに甘くはなかった。
気がつけば金を借りるような事態に陥り、返す当てなどない私は当然のように借金奴隷へと落ちた。
自由を夢見て故郷を飛び出したというのに奴隷だなんて笑い話にもならない。
「起きろ、飯の時間だ」
鉄格子の向こうからかけられた声に、私は冷たい寝床から抜け出した。
牢屋についた小窓から差し入れられたそれは決して豪勢な料理などではないが、それでもゴミを漁っていたときに比べれば何倍もマシだった。
あまり多くないそれを食べ終えた私は自慢の尻尾を抱き締めると目を閉じる。
次目を開けたとき、そこに自由があることを願って。
◇
奴隷は大きく分けて二種類ある。
一つは犯罪奴隷。
罪を犯した者が断罪され、なるのが犯罪奴隷だ。
犯罪奴隷の扱いは悪く、過酷な環境での労働が課されることが多い。
もう一つが借金奴隷であり、金のために自分を売った者である。
つまり私だ。
犯罪奴隷が国の管轄なのに対して、借金奴隷は奴隷商人の管轄である。
借金奴隷となった私はゴルドランド領にある奴隷商の商品となった。
商品の価値を保つために最低限の生活は保障されているが、それだけだった。
奴隷商に来て初めにされたのが、奴隷としての立場を叩き込まれることだった。
命令に対してすぐに行動する。
さもないと魔道具である首輪から電流が流れるのだ。
あの痛みは私の心を折るのに十分だった。
私はどんなに屈辱的なことでも命令に従った。
それだけ電流を恐れていたのだ。
そして数日もしないうちに私は立派な借金奴隷へと成り果てていた。
「お客様がお越しだ。出ろ」
その声に私はすぐさま着ている服を脱いだ。
脱いだと言っても簡素な貫頭衣一枚だけである。
それだけで私は生まれたままの姿になった。
違いは首輪だけだ。
そんなあられもない姿を晒しながら、私は一切隠すことはしない。
そう調教されたからだ。
牢を出ると、そこには四人の女がいた。
四人とも私と同じ全裸に首輪だけの姿をしていた。
奴隷商に連れられて応接室へと入ると、そこには小綺麗な格好をした男が一人座っていた。
私たちは男の前に横並びになると、笑顔を作る。
初めて出会う相手の前で裸体を晒す。
そんなことができるようになってしまった自分が悲しい。
「お待たせいたしました。
こちらが当商会に今いる中でも随一の女たちにございます。
容姿は勿論のこと、夜の相手もお客様を満足させること間違いなし。
それでいてご希望通り初物にございます」
奴隷商の言葉を聞きながら、男は私たちの身体をなめ回すように眺めた。
奴隷になるまで誰にも見せたことのなかった女の部分。
そこに視線を感じる度に肌が粟立つ。
しかし、それでも隠したりはしなかった。
「本当に初物か確認することはできるかい?」
「勿論でございます。お見せしなさい」
奴隷商の言葉で私たちは肩幅に足を開くと、両手で女を開いた。
他人に見せてはいけないそこを命令一つで開いてしまう自分に、改めて奴隷になってしまったのだと自覚させられる。
男は席を立つと私たちの前まで来てしゃがみ、一人ずつ覗き込んでいった。
今男の前には開かれた女の全てが見えているはずだ。
「……確かに皆初物のようだね」
一通り確認して満足したのか、男は再び席へと戻った。
誰にしようか、いや、どれにしようか悩んでいるのだろう。
男の視線が私たちの身体の上を撫でていく。
そしてその視線が私で止まった。
「見た目は悪くないけど、獣人は好みじゃないんだよね。下げていいよ」
(はっ?)
つい漏れそうになった声をなんとか堪える。
あれだけ人の身体を見て、あまつさえ女の部分まで開かせたというのに獣人だから下げるのだという。
獣人であることなど部屋に入ってきた時点でわかったはずだ。
頭の上には耳、後ろには尻尾がついているのだから。
そもそも獣人はいらないと初めから指定していれば、私がここまで来ることもなかった。
この男は買うつもりもない私をただ辱しめるためだけにこの場へと残していたのだ。
辱めるだけに私に女の部分を曝け出させたのだ。
こんな男に選ばれなくて良かったと思う一方で、耐え難い屈辱が沸き上がる。
私は部屋を退出させられると牢へと戻された。
売れなかった私はまた次の購入希望者が訪れるまでこの狭い場所で待つことしかできない。
自由とはなんだろう。
あんな失礼な男ではない。
もっといい人に買われれば自由になれるのだろうか。
私は冷たい寝床へと潜りこむと、尻尾を抱えあの屈辱を忘れようと目を閉じた。
最近はそればかりを考えている。
変化のない日々に嫌気がさし、私は故郷を飛び出した。
外の世界は初めて見るものばかりで、気の向くままに歩いていたあのときは確かに自由だったと思う。
しかしその自由も長くは続かなかった。
考え無し。
小さい頃から何度も言われてきたその言葉。
ただうるさいだけの言葉だと思っていたが、現状を見るに間違っていなかったらしい。
手持ちの金は早々に尽きた。
街に出れば簡単に稼げると思ったが、現実はそんなに甘くはなかった。
気がつけば金を借りるような事態に陥り、返す当てなどない私は当然のように借金奴隷へと落ちた。
自由を夢見て故郷を飛び出したというのに奴隷だなんて笑い話にもならない。
「起きろ、飯の時間だ」
鉄格子の向こうからかけられた声に、私は冷たい寝床から抜け出した。
牢屋についた小窓から差し入れられたそれは決して豪勢な料理などではないが、それでもゴミを漁っていたときに比べれば何倍もマシだった。
あまり多くないそれを食べ終えた私は自慢の尻尾を抱き締めると目を閉じる。
次目を開けたとき、そこに自由があることを願って。
◇
奴隷は大きく分けて二種類ある。
一つは犯罪奴隷。
罪を犯した者が断罪され、なるのが犯罪奴隷だ。
犯罪奴隷の扱いは悪く、過酷な環境での労働が課されることが多い。
もう一つが借金奴隷であり、金のために自分を売った者である。
つまり私だ。
犯罪奴隷が国の管轄なのに対して、借金奴隷は奴隷商人の管轄である。
借金奴隷となった私はゴルドランド領にある奴隷商の商品となった。
商品の価値を保つために最低限の生活は保障されているが、それだけだった。
奴隷商に来て初めにされたのが、奴隷としての立場を叩き込まれることだった。
命令に対してすぐに行動する。
さもないと魔道具である首輪から電流が流れるのだ。
あの痛みは私の心を折るのに十分だった。
私はどんなに屈辱的なことでも命令に従った。
それだけ電流を恐れていたのだ。
そして数日もしないうちに私は立派な借金奴隷へと成り果てていた。
「お客様がお越しだ。出ろ」
その声に私はすぐさま着ている服を脱いだ。
脱いだと言っても簡素な貫頭衣一枚だけである。
それだけで私は生まれたままの姿になった。
違いは首輪だけだ。
そんなあられもない姿を晒しながら、私は一切隠すことはしない。
そう調教されたからだ。
牢を出ると、そこには四人の女がいた。
四人とも私と同じ全裸に首輪だけの姿をしていた。
奴隷商に連れられて応接室へと入ると、そこには小綺麗な格好をした男が一人座っていた。
私たちは男の前に横並びになると、笑顔を作る。
初めて出会う相手の前で裸体を晒す。
そんなことができるようになってしまった自分が悲しい。
「お待たせいたしました。
こちらが当商会に今いる中でも随一の女たちにございます。
容姿は勿論のこと、夜の相手もお客様を満足させること間違いなし。
それでいてご希望通り初物にございます」
奴隷商の言葉を聞きながら、男は私たちの身体をなめ回すように眺めた。
奴隷になるまで誰にも見せたことのなかった女の部分。
そこに視線を感じる度に肌が粟立つ。
しかし、それでも隠したりはしなかった。
「本当に初物か確認することはできるかい?」
「勿論でございます。お見せしなさい」
奴隷商の言葉で私たちは肩幅に足を開くと、両手で女を開いた。
他人に見せてはいけないそこを命令一つで開いてしまう自分に、改めて奴隷になってしまったのだと自覚させられる。
男は席を立つと私たちの前まで来てしゃがみ、一人ずつ覗き込んでいった。
今男の前には開かれた女の全てが見えているはずだ。
「……確かに皆初物のようだね」
一通り確認して満足したのか、男は再び席へと戻った。
誰にしようか、いや、どれにしようか悩んでいるのだろう。
男の視線が私たちの身体の上を撫でていく。
そしてその視線が私で止まった。
「見た目は悪くないけど、獣人は好みじゃないんだよね。下げていいよ」
(はっ?)
つい漏れそうになった声をなんとか堪える。
あれだけ人の身体を見て、あまつさえ女の部分まで開かせたというのに獣人だから下げるのだという。
獣人であることなど部屋に入ってきた時点でわかったはずだ。
頭の上には耳、後ろには尻尾がついているのだから。
そもそも獣人はいらないと初めから指定していれば、私がここまで来ることもなかった。
この男は買うつもりもない私をただ辱しめるためだけにこの場へと残していたのだ。
辱めるだけに私に女の部分を曝け出させたのだ。
こんな男に選ばれなくて良かったと思う一方で、耐え難い屈辱が沸き上がる。
私は部屋を退出させられると牢へと戻された。
売れなかった私はまた次の購入希望者が訪れるまでこの狭い場所で待つことしかできない。
自由とはなんだろう。
あんな失礼な男ではない。
もっといい人に買われれば自由になれるのだろうか。
私は冷たい寝床へと潜りこむと、尻尾を抱えあの屈辱を忘れようと目を閉じた。
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