3 / 5
シスターの日常
しおりを挟む
空が白み始めたころ、私は重い目蓋を擦りながらベッドを抜け出した。
窓を開け、涼しい風で胸を満たす。
寝間着を脱ぎ修道服に着替えると食堂へと移動した。
かまどに火を入れ屑野菜のスープを作る。
黒パンを並べたら子供たちを起こしにいく。
「みんな朝よ」
子供部屋の窓を開けると年長者から順番に起きていく。
起きた子と協力しながら小さい子を連れて食堂へと向かう。
スープを取り分けると皆が着席したのを確認して食前の祈りを捧げる。
「主よ、この食事を糧として今日も生きていきます。我々に祝福を」
先程まで寝ぼけていたというのに、食事となると途端に騒がしくなる。
子供たちの元気溢れる姿に自然と笑みが漏れる。
ゴルドランド領は比較的豊かな土地であり、教会への支援も充実している。
しかし、食べ盛りの子供たちに毎食十分な食事を用意してあげられるわけではない。
今日のような質素な食事の日は少し申し訳ない気持ちになってしまう。
朝食が終わると掃除の時間だ。
年長者を中心に手分けをして教会と自分たちの居住スペースの清掃を行う。
私は洗濯を担当した。
子供たちが踏んだり揉んだりして洗ったものを一つずつ受け取って干していく。
「あっ! セレーネのパンツだ!」
洗濯物の中にあった私の下着を見つけた子が、広げて皆に見せつけていた。
「こら、遊ばないの」
「司祭様にも見せてこよ!」
「それはやめなさい!」
私は慌てて自分の下着を奪い取った。
子供たちのおもちゃにされるのは日常茶飯事なのですでに諦めているが、さすがに上司である司祭に自分の下着を見られるのは恥ずかしい。
洗濯が終わると畑仕事だ。
畑といっても教会の裏庭の一角にある小さなものだ。
管理しているのが私と子供たちだけなので、これ以上の規模となると手に追えなくなる。
少しでも子供たちにいろいろ食べてもらおうと私が作ったものであり、多少は食事の彩りに貢献してくれていると思う。
日が上りきったところで昼食になる。
といってもメニューは朝と同じなのだが。
午後は年長者二人を連れて買い物に行く。
食料だけでなく日用品なども買うとなると私一人では大変なので、子供とはいえ荷物持ちがいてくれるのはありがたい。
「セレーネちゃん、ほらこれ持ってきな」
野菜を買いに行くと店主のおじさんが籠に入った野菜を出してきてくれた。
それは形が悪かったり、多少虫に食われたりしている所謂不良品だが、食べる分にはなにも問題ない。
この店の店主は私たちの懐事情を知っていて、こうして不良品を融通してくれるのだ。
「いつもすみません」
「いいって、俺たちも教会には世話になってるんだから。
セレーネちゃんやガキたちには元気でいてもらいたいしな」
「ありがとうございます」
この店だけではない。
他のところでも同様に助けてもらっている。
本当にこの街の人たちには頭が上がらない。
買い物が終わるとお務めの時間だ。
今日は子供たちとともに街のゴミ拾いである。
子供たちとともにできる奉仕活動は限られているが、日頃の恩を返すために手を抜くようなことはない。
日が暮れてくると夕食の時間だ。
今日は少し奮発して肉を出した。
といっても屑肉を一切れだけだが、それでもやはり育ち盛りの子供たちにとって肉は嬉しいものなのだろう。
美味しそうに食べる姿を見ているだけでこちらまで幸せになる。
夕食が終わると洗い場に行って子供たちを一人ずつ洗っていく。
自分で洗える子もいるが、面倒がって適当に済まそうとする子もいるのでそういう子を捕まえて磨き上げるのだ。
「ほら、じっとして」
教会にいるのは皆孤児だ。
孤児はそれだけで見下されることもある。
身綺麗な服を買い与えてやることはできないが、せめて清潔にしてあげたいというのが私の願いだった。
「セレーネのことは俺たちが洗ってやるよ」
そう言って手の空いている子供たちが私の身体へと手を伸ばしてくる。
「そう言ってまた悪戯するんでしょう」
「そんなことしないって」
しないと言いつつ、子供たちの手付きは明らかに洗うためのものではなかった。
私の胸や尻を揉んだり、抱きついたり。
本当なら叱るべきなのだろうが、母親の温もりを知らない子供たちの生い立ちを考えると、これもその反動から来るスキンシップなのだろう。
いつも一生懸命小さな身体で私の手伝いをしてくれているのだから、私をおもちゃにすることくらい微笑ましいものだ。
「ありがとう。私はもういいから、風邪を引く前に身体を拭いて服を着なさい」
身体にまとわりつく子供たちを引き剥がしながら服を着せていく。
「あははは!」
「こら、待ちなさい」
裸のまま駆け出していく子を捕まえるために私も洗い場を飛び出す。
しかしここで事故が起きた。
飛び出した私はなにかにぶつかったのだ。
「おっと、大丈夫ですかシスター・セレーネ?」
顔を上げるとそこにいたのは司祭、ギークだったのだ。
私は慌てて頭を下げた。
「申し訳ありません、司祭様」
シスターが走って司祭にぶつかるなど、場合によっては叱責どころの話ではないだろう。
「いつも子供たちのお世話ありがとうございます。さあ、いつまでもそんな格好をしていると風邪を引きますよ」
そこで私は己の格好を思い出しはっとした。
一糸まとわぬ全裸。
なにも隠さぬ状態で異性であるギークの前に立っていたのだ。
「も、申し訳ありません!」
私は慌てて手で恥部を隠した。
顔を赤くして狼狽える私。
それを微笑ましそうに見ているギークと、面白そうに見ている子供たち。
なんとも居たたまれなかった。
窓を開け、涼しい風で胸を満たす。
寝間着を脱ぎ修道服に着替えると食堂へと移動した。
かまどに火を入れ屑野菜のスープを作る。
黒パンを並べたら子供たちを起こしにいく。
「みんな朝よ」
子供部屋の窓を開けると年長者から順番に起きていく。
起きた子と協力しながら小さい子を連れて食堂へと向かう。
スープを取り分けると皆が着席したのを確認して食前の祈りを捧げる。
「主よ、この食事を糧として今日も生きていきます。我々に祝福を」
先程まで寝ぼけていたというのに、食事となると途端に騒がしくなる。
子供たちの元気溢れる姿に自然と笑みが漏れる。
ゴルドランド領は比較的豊かな土地であり、教会への支援も充実している。
しかし、食べ盛りの子供たちに毎食十分な食事を用意してあげられるわけではない。
今日のような質素な食事の日は少し申し訳ない気持ちになってしまう。
朝食が終わると掃除の時間だ。
年長者を中心に手分けをして教会と自分たちの居住スペースの清掃を行う。
私は洗濯を担当した。
子供たちが踏んだり揉んだりして洗ったものを一つずつ受け取って干していく。
「あっ! セレーネのパンツだ!」
洗濯物の中にあった私の下着を見つけた子が、広げて皆に見せつけていた。
「こら、遊ばないの」
「司祭様にも見せてこよ!」
「それはやめなさい!」
私は慌てて自分の下着を奪い取った。
子供たちのおもちゃにされるのは日常茶飯事なのですでに諦めているが、さすがに上司である司祭に自分の下着を見られるのは恥ずかしい。
洗濯が終わると畑仕事だ。
畑といっても教会の裏庭の一角にある小さなものだ。
管理しているのが私と子供たちだけなので、これ以上の規模となると手に追えなくなる。
少しでも子供たちにいろいろ食べてもらおうと私が作ったものであり、多少は食事の彩りに貢献してくれていると思う。
日が上りきったところで昼食になる。
といってもメニューは朝と同じなのだが。
午後は年長者二人を連れて買い物に行く。
食料だけでなく日用品なども買うとなると私一人では大変なので、子供とはいえ荷物持ちがいてくれるのはありがたい。
「セレーネちゃん、ほらこれ持ってきな」
野菜を買いに行くと店主のおじさんが籠に入った野菜を出してきてくれた。
それは形が悪かったり、多少虫に食われたりしている所謂不良品だが、食べる分にはなにも問題ない。
この店の店主は私たちの懐事情を知っていて、こうして不良品を融通してくれるのだ。
「いつもすみません」
「いいって、俺たちも教会には世話になってるんだから。
セレーネちゃんやガキたちには元気でいてもらいたいしな」
「ありがとうございます」
この店だけではない。
他のところでも同様に助けてもらっている。
本当にこの街の人たちには頭が上がらない。
買い物が終わるとお務めの時間だ。
今日は子供たちとともに街のゴミ拾いである。
子供たちとともにできる奉仕活動は限られているが、日頃の恩を返すために手を抜くようなことはない。
日が暮れてくると夕食の時間だ。
今日は少し奮発して肉を出した。
といっても屑肉を一切れだけだが、それでもやはり育ち盛りの子供たちにとって肉は嬉しいものなのだろう。
美味しそうに食べる姿を見ているだけでこちらまで幸せになる。
夕食が終わると洗い場に行って子供たちを一人ずつ洗っていく。
自分で洗える子もいるが、面倒がって適当に済まそうとする子もいるのでそういう子を捕まえて磨き上げるのだ。
「ほら、じっとして」
教会にいるのは皆孤児だ。
孤児はそれだけで見下されることもある。
身綺麗な服を買い与えてやることはできないが、せめて清潔にしてあげたいというのが私の願いだった。
「セレーネのことは俺たちが洗ってやるよ」
そう言って手の空いている子供たちが私の身体へと手を伸ばしてくる。
「そう言ってまた悪戯するんでしょう」
「そんなことしないって」
しないと言いつつ、子供たちの手付きは明らかに洗うためのものではなかった。
私の胸や尻を揉んだり、抱きついたり。
本当なら叱るべきなのだろうが、母親の温もりを知らない子供たちの生い立ちを考えると、これもその反動から来るスキンシップなのだろう。
いつも一生懸命小さな身体で私の手伝いをしてくれているのだから、私をおもちゃにすることくらい微笑ましいものだ。
「ありがとう。私はもういいから、風邪を引く前に身体を拭いて服を着なさい」
身体にまとわりつく子供たちを引き剥がしながら服を着せていく。
「あははは!」
「こら、待ちなさい」
裸のまま駆け出していく子を捕まえるために私も洗い場を飛び出す。
しかしここで事故が起きた。
飛び出した私はなにかにぶつかったのだ。
「おっと、大丈夫ですかシスター・セレーネ?」
顔を上げるとそこにいたのは司祭、ギークだったのだ。
私は慌てて頭を下げた。
「申し訳ありません、司祭様」
シスターが走って司祭にぶつかるなど、場合によっては叱責どころの話ではないだろう。
「いつも子供たちのお世話ありがとうございます。さあ、いつまでもそんな格好をしていると風邪を引きますよ」
そこで私は己の格好を思い出しはっとした。
一糸まとわぬ全裸。
なにも隠さぬ状態で異性であるギークの前に立っていたのだ。
「も、申し訳ありません!」
私は慌てて手で恥部を隠した。
顔を赤くして狼狽える私。
それを微笑ましそうに見ているギークと、面白そうに見ている子供たち。
なんとも居たたまれなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる