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番外編
姉へ幸せを幼なじみへ鉄拳を
しおりを挟む私には同じ年、同じ日に生まれた全く似てない姉がいる。
波打つブロンドの髪の私に対し姉はストレートのブラウンの髪をしている。
平均くらいか少し大きいくらいの身長をした私だけど姉はそんな私より頭ひとつ分ほど小さい。
あんまり(というか全然)頭の出来の良くない私だけど姉はとっても勉強ができる。
運動はできる私(令嬢に必要か?)だけど姉は全く運動神経がない(きっと引き千切れてる)
比較的しっかりしている私にものすごくドジな姉。
私の姉は私と血が繋がっているのを疑うほど可愛い。
世間は私を綺麗だ美しいと褒めそやすけど何にも嬉しくない。そうやって私を上げるのと同時に姉を貶すのだ。(お前らの髪引きちぎってやろうか)
そんな私たちには幼なじみというものがいた。こいつがまたお姉さまを大好きすぎて腹立たしい。
私のお姉さまだぞふざけるな。
お姉さまのドジというのが割と人命に関わるようなものも多数ありそんなお姉さまを見守り守るのが私と幼なじみの役目で合った。
ちなみに私は、はじめて私の目の届かないところでお姉さまが危険な目にあった時そんなお姉さまを助けた幼なじみへボディーブローをくらわしてやった。
それから2人で話し合いをし2人で見守るということになったのだ。
お姉さまの毎日は慌ただしい。
窓を開ければ開いた勢いのままに窓の外へ落ちそうになる。廊下を歩いていれば何もないのに転ける。カーペットを新調すれば滑って階段を落ちそうになる。庭へと出ればトゲの取っていない薔薇を素手で触る。うつ伏せで寝ていると思えば呼吸困難に陥る。勉強でうたた寝をしてると思えばそのまま床へ真っ逆さま。お気に入りの髪飾りをつけていると思えばカラスに取られたと一生懸命追いかけているし、お姉さまの悲鳴がしたと慌てて姿を探せば子犬にのし掛かられていた。
それらに私と幼なじみはすぐに反応して対応する。そんなことを続けていく数年。まさか私と幼なじみの仲をお姉さまに疑われることになるとは思っていなかった。
お姉さまは幼なじみの瞳が物語っているだとか訳のわからないことを言っていたけれど本当にそうならば答えは単純すぎるだろう。私とあいつが一緒にいる時なんてお姉さまの話しかしていない。絶対そのせいだ。
そんなお姉さま大好きな私だがはじめからお姉さまのことが好きだったかと言えばそんなことはない。むしろ物心ついたころ私はお姉さまが大嫌いだった。
私のところを訪れる家庭教師はみんなお姉さまのことを褒めて私にもっと努力しろと言う。
お茶会なんてすれば聡明なお姉さまは色々なお話をして話題を集めるけど私は毎回「見た目が美しいだけね」なんて言われる。
両親は私の成績を見て姉を見習えしか言わない。
勉強が嫌で逃げ出し木の上に登る私をみて使用人はなんてご令嬢らしくないとため息をつく。
私とお姉さまを比べる奴ら全員、お姉さまだって大っ嫌いだった。同じ日に生まれたのに、同じ年なんだから姉でも妹でもないのに「妹のできは悪い」そんなふうにみんなが言う。そんなわけでお姉さまが大嫌いだった私はその頃お姉さまにほとんど近寄らなかった。嫌いな人にわざわざ会いたいなんて思わない。
そんな時、本当に偶々、偶然お姉さまの部屋の近くを通った。声がすると思って覗いてみればそこにはお姉さまと侍女がいて、そこがお姉さまの部屋なのだと初めて知った。
私はそれまで私がこんなに嫌な思いをしているのだからお姉さまはさぞかし褒められているに違いないと思っていた。そんな私の耳に聞こえた、侍女とお姉さまの会話。
「お嬢様少しお休みなられては如何ですか」
「いいえ、大丈夫よ。私勉強しか取り柄がないのだもの。これくらいやらなくちゃ」
「そんなことございません。お嬢様はとてもお可愛らしいですし、御令嬢が外を走り回る必要なんてないのです」
「ありがとう、ここが終わったら休憩するわ」
「第一妹御様の成績が芳しくないのだってお嬢様のせいではございません。彼女の努力が足りないだけでございます」
侍女とお姉さまの会話はとても腹立たしかった。でも、同時に私が思っていたお姉さまとは全然違っていた。
「そんなことないわ。あの子はとっても努力してるわ」
聞こえてくるお姉さまの声に唇が震える。
「ここからうちの屋敷の書庫が見えるでしょ。あそこね、よく妹がいるのよ。本とにらめっこしながら机に向かってるの。あの子が努力してないことないわ。とっても頑張ってる。だから、私ももっと頑張らないと。だって私お姉ちゃんだもの」
私は音を立てないようにその場を後にすると急いで自分の部屋に戻った。紙とペンを持って来た道を戻っていく。
お姉さまは私と違ってみんなに褒められてるんだと思ってた。でも、2人の会話を聞いているとそんなこと全然なかった。お姉さまも私と同じように努力が足りないと言われてきたんだ。
それなのに私はそれに逆らうばっかりで。
こんなにも近くで私が努力していたのを見ていてくれてる人がいたのに。
お姉さまは少しはやく生まれただけでお姉ちゃんだからって言われ続けてるのに。
私はお姉さまの部屋の前に着くと扉を叩いた。
お姉さまの返事を待ってゆっくりと扉を開ければ私の姿をみてキョトンとしたお姉さまの顔。
「お姉さま、お勉強教えてください」
紙とペンを持って扉を開けたはいいけれど部屋に入れない私をお姉さまは瞳をぱちぱちとさせた後にっこりと笑って手招いた。
「もちろん」
それから私は絶対お姉さまの笑顔を守ると決めたんだ。絶対お姉さまを幸せにすると誓ったんだ。
そう思って現在。
腹立つ幼なじみにお姉さまの隣を奪われはした。それでも絶対に譲らない私の誓い。
「たとえお隣にいられなくても私はお姉さまの幸せのためにこれからも努力し続けますよ」
にっこりと笑って告げる私をお姉さまは抱きしめた。
「貴方が努力してること私はずっと知ってるわ」
大好きな大好きなお姉さま。
くそ腹立つくそ幼なじみに嫌気がさしたならすぐに言ってくださいませ。私があの泥棒ヤローにボディーブローをくらわせてやりますので。
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