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ヒーローのための被害者Aの話
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ヒーローには2種類ある、と私は思っている。
まず1種類。これはなりたくてなったヒーロー。こいつは私の話には関係ない。なりたくてなった多いに結構。存分にヒーローを満喫してくれたまえ。
もう1種類。これが問題だ。そう、自分の意思とは別になったヒーロー。
彼らは往々にしてこう言うのだ。
「なりたくてなったわけじゃない」
これはいいだろう。まぁそうだろう自由意志のもとにヒーローになったわけではないのだから言いたくもなるだろう。問題は次だ。次の発言だ。こういったヒーローは必ずといっていいほどこの言葉の後にこう言うんだ。
「俺は普通の人間なんだよ」
はい、ここ。問題はここだ。
たとえ自由意志においてヒーローになったわけではないとしても、だ。
普通とはどういうことだ。ふざけるな。ヒーローの素質を持ってる奴は間違いなく普通ではないんだよ。
それこそなりたくてなった奴はそれなりにヒーローとしての心構えやら準備やらをしていることも少なくない。それに対して自由意志でない奴ら。今まで全く準備してきてないんだろ。むしろそこからヒーローになるほうが凄いって感じないか。どう考えてもそんな奴普通じゃないだろ。普通馬鹿にしてんのか。しまいにゃキレるぞこのやろう。と、私が切れたところで現実は何も変わらないのだけど。
それでも私は言いたい。
普通だって普通でいるために頑張っているんだと。
それなのに、ヒーローに自分は普通だなんて言われてしまったら私たちはどうすればいいのだ。
私たちは現実から逃げる事はできない。
自分がヒーローでないという現実は変わってはくれない。
私は何時だって敵に拐われるのだ。
考えてみて欲しい。
私の命はヒーローにかかっている。
それなのに、私の命がかかっているヒーローは「自分が望んだわけじゃない」「自分は普通の人間だ」なんて言う。
私の命はそんなに軽いっていうの。
ヒーローから見たら大したことない命かもしれないけれど、数多ある助けた人の1人かもしれないけど私からしたらたった1つの命なのだ。
そんな文句を言ったところで現実は非情。
そうして、私は今日も今日とて拐われる。
もう慣れてしまったこの状況。
「助けて」なんてわざわざ叫ぶ必要はない。少し怖がる素振りをして口も聞けないほどに恐怖を感じている風を装う。それだけでいいのだ。それだけで私は今日もヒーローに嫌々渋々助けられる。
そう、私は望まぬヒーローのための名もなき被害者Aである。
どうせ助けなければいけないのならもっと気持ちよく助けたらいいのに。そうすれば私ももっと感謝することができるのに。
そうして私は告げるのだ。少し上目遣いに肩を1度跳ねさせてヒーローの目を見て告げるのだ。
「ありがとうございます」
そうして普通へ戻っていく。
私は名もなき被害者A。
明日は静かに過ごせますように。
まず1種類。これはなりたくてなったヒーロー。こいつは私の話には関係ない。なりたくてなった多いに結構。存分にヒーローを満喫してくれたまえ。
もう1種類。これが問題だ。そう、自分の意思とは別になったヒーロー。
彼らは往々にしてこう言うのだ。
「なりたくてなったわけじゃない」
これはいいだろう。まぁそうだろう自由意志のもとにヒーローになったわけではないのだから言いたくもなるだろう。問題は次だ。次の発言だ。こういったヒーローは必ずといっていいほどこの言葉の後にこう言うんだ。
「俺は普通の人間なんだよ」
はい、ここ。問題はここだ。
たとえ自由意志においてヒーローになったわけではないとしても、だ。
普通とはどういうことだ。ふざけるな。ヒーローの素質を持ってる奴は間違いなく普通ではないんだよ。
それこそなりたくてなった奴はそれなりにヒーローとしての心構えやら準備やらをしていることも少なくない。それに対して自由意志でない奴ら。今まで全く準備してきてないんだろ。むしろそこからヒーローになるほうが凄いって感じないか。どう考えてもそんな奴普通じゃないだろ。普通馬鹿にしてんのか。しまいにゃキレるぞこのやろう。と、私が切れたところで現実は何も変わらないのだけど。
それでも私は言いたい。
普通だって普通でいるために頑張っているんだと。
それなのに、ヒーローに自分は普通だなんて言われてしまったら私たちはどうすればいいのだ。
私たちは現実から逃げる事はできない。
自分がヒーローでないという現実は変わってはくれない。
私は何時だって敵に拐われるのだ。
考えてみて欲しい。
私の命はヒーローにかかっている。
それなのに、私の命がかかっているヒーローは「自分が望んだわけじゃない」「自分は普通の人間だ」なんて言う。
私の命はそんなに軽いっていうの。
ヒーローから見たら大したことない命かもしれないけれど、数多ある助けた人の1人かもしれないけど私からしたらたった1つの命なのだ。
そんな文句を言ったところで現実は非情。
そうして、私は今日も今日とて拐われる。
もう慣れてしまったこの状況。
「助けて」なんてわざわざ叫ぶ必要はない。少し怖がる素振りをして口も聞けないほどに恐怖を感じている風を装う。それだけでいいのだ。それだけで私は今日もヒーローに嫌々渋々助けられる。
そう、私は望まぬヒーローのための名もなき被害者Aである。
どうせ助けなければいけないのならもっと気持ちよく助けたらいいのに。そうすれば私ももっと感謝することができるのに。
そうして私は告げるのだ。少し上目遣いに肩を1度跳ねさせてヒーローの目を見て告げるのだ。
「ありがとうございます」
そうして普通へ戻っていく。
私は名もなき被害者A。
明日は静かに過ごせますように。
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