ワケありくんの愛され転生

鬼塚ベジータ

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7ルジェの誘い

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「おはようございますシグラ様」

 シグラが目を開けると、すぐそこにクガイが居た。
 甘やかに微笑み、キスを落とす。さながら王子様だなと心の片隅でぼんやりと思いながら、シグラは「おはよう」と返事をした。

「シグラ様。私からも」

 クガイが離れると、次はレシアがやってくる。そうして同じようにキスをすると、レシアはほんのりと赤くなって、クガイのような余裕もないのか逃げるように離れていった。

 昨日セックスをしてからというもの、二人がこんな様子である。
 あのあともシグラは甘やかされ、クガイには下ろされることはなく、レシアは側から離れないし大変だった。
 シグラには気持ちが良かった記憶しかないが、あのときに二人には何かがあったのだろうか。

「そうだ。昨日フェロモン抑制チョーカーを頼んでおいたんだよ。速達で今日届くくらいじゃないかな」
「え! ほ、本当に頼んでおいてくださったんですか!?」
「ん? うん、手配してくれたのはクガイだけどね。だって昨日も大変だったでしょ。僕とクガイが悪いんだけどさ……ああいうの、結局辛いのはレシアだしね」

 シグラとクガイのセックスに巻き込まれた後、自慰を済ませたレシアは、それはもうフェロモンを出し過ぎというほどに出し過ぎて大変だった。
 落ち着くまではクガイが持っていた抑制剤を飲んで耐えていたものの、間違えて襲いそうだったのか、匂いに興奮したクガイにシグラは強引に連れ去られた。いわく、同じ部屋でシグラとセックスをするとレシアがまたフェロモンを出すから、とのことで、連れられた浴室でシグラは何度もクガイに犯された。

 余裕もなく強引に突き上げられて、最後にはシグラの意識も曖昧だったほどである。

(それにしても、シグラの体もなかなかイケるな。セックスは変わらず気持ちいい……)

 クガイが最初挿入もなく後ろを解してくれていたからか痛みもなかったし、今では快楽しか感じない。シグラは満足そうに数度頷いて、レシアにされるがままで着替えを始める。

「本日は午後からルジェ・アルフライヤ様との美術鑑賞になります。シグラ様が一番映える衣服にいたしましょう」
「は、映えるって何……? というかクガイ、オメガ専門のサロンってあった? 僕が斡旋しても大丈夫そうなところ」
「ええありましたよ一応ね。そこの管理者に今回のメンバー伝えたら、そんないい男紹介してくれるならいくらでも連れてってやってくれってさ」
「……ヴィンスター。そのサロンとはまさか、」
「俺の名前使って融通効くところ」
「なっ! そんな無茶を……!」
「え? 何、クガイ無茶したの? なんかごめん」
「いえいえ」

 着替えをさせられているシグラの頬に、ご機嫌なクガイがキスを落とす。
 呆れたように見ていたレシアは軽く息を吐き出すが、それだけで何かを言うことはなかった。

「シグラ様は不思議なかたですね。この間までオメガを嫌っておりましたのに」
「…………あー、まあ僕も大人になったっていうか……」
「ルジェ・アルフライヤは穏やかなように見えますが、結構曲者と聞きます。気をつけてくださいね」
「へえー……なんかもう面倒だなぁ。せっかくBLが普通の世界に来たのに、楽しむよりも先に僕に降りかかるものをどうにかしないといけないとか……あーだらだらしながら男同士の恋愛眺めてたいー……」
「セックスしながらは?」
「それもいい。気持ちの良いことは好きだよ」
「ヴィンスター!」

 何を思い出したのか、レシアの顔は真っ赤である。
 そんなレシアを尻目に、クガイは今度、シグラの唇に触れるだけのキスを落とす。数度ついばむように繰り返すと、着替えをさせているレシアを煽るように横目に見つめた。

「羨ましいならおまえもしたら?」
「……ふん。あなたがそんなに甘い男だとは意外でした。食っては捨てるイメージでしたので」
「へえ。クガイってやっぱりモテるんだね」
「今は興味ないっすよ」

 シグラはそんなふうに言ってはみたけれど、今のところ興味はすべて、これから会うルジェ・アルフライヤに注がれていた。


     *


 ルジェと言えば、最初に顔を合わせたときに三人の中でもっとも刺がなかったように思う。
 胸の奥のことまでは知らないが、少なくともシグラのことを表立って嫌うことはなかった。そう見えたのはもしかしたら、あとの二人がシグラを嫌いすぎていたというだけかもしれないが。

(うーん。帰りたい……)

 待ち合わせの美術館の前にやってきて、シグラはガックリと肩を落とした。

 前の世界でもこんなに沈んだことはなかった。彼はどちらかと言えば淡々としていたし、気持ちの良いことはもちろん好きだったけれど、興味のないことにはまったくそそられない。人付き合いから意図的に離れていた彼からすれば、どうしても避けられない誰かと会う用事、なんて初めての壁にぶつかって気落ちするのも仕方がないのだろう。

 もう何度目かになるため息を吐き出す。しかし時間が戻るわけでも、何かが変わることもない。こんなことなら伯爵邸でずっとクガイとセックスをしているほうが何億倍もマシである。
 昨日の快感を思い出して、腹の奥がジンとうずく。反射的にそこを押さえるけれど、これからやってくるルジェを思えば気分は下がるばかりだった。

「お待たせしました」

 爽やかに微笑みながら、小走りにルジェがやってきた。
 綺麗な銀髪が風に漂う。今日はカジュアルな格好をしていて、それでもやっぱり白を基調に色を揃えていた。

「いえ、待っていないので大丈夫です」
「行きましょうか。どうぞ」

 ルジェはシグラの側までやってくると、肘を差し出してにっこりと微笑んだ。
 確かに胡散臭い笑顔だ。クガイが曲者と言っていた理由がなんとなく分かる。シグラは遠慮気味にその肘に手を添えると、遠い目をして後に続いた。

 この美術館を一周すれば解放される。そればかりを呪詛のように何度も頭の中で繰り返す。

 そもそもは外交的ではないし、外に出ることも好きではない。だから家に来てくれたゼレアスには好意的になれたが、外に引っ張り出されたような気持ちの今では頑張って明るくすることもできそうになかった。

 早く帰りたい。
 シグラの心の中は、それだけである。

「シグラと呼んでも良いですか?」
「あ、はい。それはどうぞ」
「ありがとう。私のこともぜひ、ルジェと呼んでください」

 完璧な笑顔を貼り付けたルジェから、シグラは思わず視線を逸らした。

 しかし思っていたよりも、ルジェはずいぶん静かだった。美術館というのもあるのか、シグラが想像していたよりもうんと無口である。もっと何か説明をしたり踏み込んできたり囁いたりするものかと思っていたけれど、そんな様子は一切ない。

 ルジェは真剣に絵画を見つめていた。だからシグラも気を遣うこともなく、ただぼんやりと過ごすことができた。

(……なんだ。意外と知識をひけらかしたり積極的に関わりを持つような人じゃないのか……)

 それならそうと言ってくれたなら、シグラだって過度に嫌がったりしなかったものを。
 いや、外に出るということは嫌がるかもしれないが、ルジェと会うこと自体を嫌がることはなかっただろう。最初の雰囲気からしてルジェはシグラをそれほど嫌っていなかったし、だからこそ「ローシュタイン家との関わり」を何よりも考えて動くものだと思っていた。

 たとえばシグラに恋をしたフリをして落とそうとしたり。たとえば甘い言葉ばかりを吐いて結婚させようとしたり。取引さえ持ちかけてくるかもしれないなんて警戒していたほどである。

 せっかく転生したのに騒がしいのは懲り懲りだと思っていたシグラにとって、ルジェはもっとも危険な人物だったのだ。

(ま、この様子なら大丈夫かな)

 真剣な瞳が絵画を映す。よほど好きなのか、途中からはシグラのことなんか忘れて、彼は一人で美術館を巡っていた。


「本当にすみません。ずっと行きたかった美術展で、今日が最終日だったんです。そう思ったら焼き付けておこうって必死になってしまって……」

 美術館を出てからずっと謝り通しのルジェは、カフェについてもまだ眉を下げていた。

「別に大丈夫ですよ。それより、名前と年齢と、身長と体重をお願いします」
「……うん?」
「大事なことなんです。僕のためにも、あなたのためにも」

 麗かな日差しの午後のテラス席。そこにはルジェとシグラしかおらず、テラスに続くガラス戸には貸し切りの札がつり下がっている。
 店内の視線はほとんどがルジェに向けられていた。しかしルジェは一瞥もくれることなく、メモを取り出して不思議なことを聞くシグラの奇行にただ困った表情を浮かべている。

「……ルジェ・アルフライヤ、28歳。身長は187センチ、体重は……80、だったと思います」
「なるほどなるほど。……28ってことは、ゼレアスと同じなんですね」
「ああ、はい。彼とは幼馴染ですよ。親友でありライバルですね」

 親友でありライバル、さらにはアルファ同士。ここで恋愛に発展すれば一番美味しいものを……シグラが悔しそうに目を細めると、ルジェには何も伝わっていないのか首を傾げるだけだった。

「……ちなみにバース性は……」
「私はアルファですよ。……まさか、知らないでお見合いの申し込みをしたんですか? あのローシュタイン家の御令息が?」
「あの、って……僕ってそんなに婚活に必死だったんですか?」
「ええ、そのように聞いてますよ。同じベータから選べば良いものを、あなたは見栄を張ってアルファばかりに交際を申し込んでいたじゃないですか」
「えー、そうなの? 僕って見栄っ張りだったの?」
「まあどれもうまくは行きませんでしたが」
「父親さえ『ローシュタインが従う』と言うほどには悲惨だったんですね」
「…………私の口からはなんとも」

 ルジェは言葉を濁すと、さっと視線を逸らした。
 しかしそんな仕草は肯定だ。以前のシグラは、あまりにも不憫で誰から見ても悲惨だったのだろう。

(顔も可愛くないし……)

 まさに平凡の中の平凡の容姿。どこにいても忘れられる影の薄さ。特別秀でたところのない能力。これだけ何も持っていないというのにアルファにばかり手を出して、高望みが過ぎるというものだ。父親にさえ同情されるのもまた仕方がないのだろう。

 クガイの話だと、自分がベータであることにコンプレックスを覚えてせめていい家の人と結婚を、と思っていたようだけど見事に空回りの連続だったようだし、必死になりすぎて引かれていたというのもあるのかもしれない。

 それなら今回も空回りで終わればよかったものを。
 なぜ今更うまくいったようにデートをしているのかが、シグラには一番分からなかった。

「話してみると気さくな人なんですね。もっとガツガツくる人なのかと思っていました。うるさいイメージがあったので」
「……うるさい?」
「声が、ではなく、ずっと喋り続けるという意味でね。……社交の場でもシグラは人脈作りばかりして、ずっと話してばかりだったでしょう。あんなものは適当にやるのが一番です。あなたは真剣に取り組んでいたようですが」
「なるほどね……うるさくない人、と」

 ルジェに合うのは、聡明で落ち着いていて、物言わずルジェを支えるような気品のあるオメガだろう。
 うんうんと自身で納得をして、メモの「気品のある人」というところに丸をつける。

「……まあ、私にとってこの縁談は渡りに船でしたから、あまりあなたを悪くも言えませんね」
「……どういうことですか?」
「私、アルファもオメガも苦手なんですよ。ああいう視線も嫌いです。私をバース性でしか見ていない目」

 うんざりと店内を指したルジェは、不機嫌そうな声音で続けた。

「ゼレアスくらいなものです、私を私として見て、友人だと言ってくれたのは。同じアルファでも媚びる者は居ます。ベータなんて吐いて捨てるほど」
「それでなんで渡りに船?」
「だってあなた、私を見ても媚びないじゃないですか」

 ――それはまあ、最初に会った時点ですでに「シグラ」の中身は「彼」になっていたから、媚びるわけがないのだけど。あの時点でまだ「シグラ」が居たのなら、きっと媚びていただろう。

「アルファとして見られないって結構稀なんですよ。堅苦しい世界ですから。……常に周囲を意識して過ごしているのに、家に帰ってまで気を張りたくはありませんしね。だからあなたにはいろんな噂がありましたけど、私はこの縁談はいい方向に進めたいと思っています」

 それでルジェには最初から刺がなかったのかと、ようやくそこで腑に落ちた。
 だが縁談を進められては困る。迅速に代わりのオメガを探さなければと、メモを高速で残していく。

「そうだ。今度うちに来ませんか。大きな犬が居るんですよ。とても可愛くてふわふわで、きっとシグラも気に入ると思うのですが」
「…………イ、ヌ?」
「はい。犬です」
「……それって、どんな見た目ですか?」
「犬を知らないんですか!?」

 ルジェから出たとは思えないほどの声量に、シグラの肩がびくりと跳ねた。

「ああ、すみません。驚きのあまり……えっと、犬というのは、四足歩行で、口が突き出していて、全身を毛で覆われていて……えーっと……」
「あ。頭が五つある?」
「ありませんよ。何と間違えたんですか?」
「あれー……超上級天獣ルーファス天弦リンジーかと思ったんだけどなぁ……」
「なんですかそれは……まあ見たことがないのなら、尚更招待しますよ。あれは可愛い生き物ですから、ぜひ触ってみてください」
「食べられません? こう、頭から引き裂いたり」
「しませんそんなこと」

 やっぱり犬の形があまりはっきりと分からないのか、シグラは終始首を捻っていた。

「……あなたは本当に、すっかり毒が抜けましたね。瞳の色が変わってからですか」
「……目?」

 そういえばゼレアスもそんなことを言っていた気がする。

「何があったんですか? そんなに変化されると、こちらも身構えます」
「……さあ、僕にも分からなくて。そんなに変わりましたかね。僕は僕のままですが」
「…………なるほど。あなたは少し賢くもなったようですね」

 シグラが口を割らないと分かったのか、ルジェはそれからはその話題には触れなかった。

 
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