私は悪役令嬢なのか、脇役なのか、モブなのかを知りたい

千代子レイ子

文字の大きさ
1 / 33

1 伯爵令嬢


 私は前世持ちの伯爵令嬢。熱で寝込む度に前世を思い出すと言うちょっと特殊な形だったけど、それは別段問題ない。それより気になるのは私が伯爵令嬢で、魔法を使える異世界で魔物がいるという世界が常識の今世。


 …………誰かー!! 教えて下さい!!……この世界は乙女ゲームモチーフですか? それとも王道ファンタジーですか?

 私に死亡フラグは無いですか?・・・・・・・・・・・・・・

 私がこんなに不安を覚えるのはこの前した政略的婚約だ。
それは貴族の使命なのだからと家父長制度と男尊女卑に多少の不満を持ちながらも業に入っては郷に従え精神で我慢した。

「初めまして。私はカルフィシファー公爵家次男、カインです。宜しくお願いします!!」
「は、初めまして! わ、私はアルファー伯爵家のリコリスです! こちらこそ宜しくお願いします!」
「まぁ、可愛らしいわね。家のカインは今年8歳になるの」
「わ、私は今年6歳になります!」

 そう、どもってしまうほどカイン様は美形だった。しかも父親は近衛騎手団長のイケオジ。母親も「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」を完璧に表現した人なので、将来やんちゃなイケメンお兄ちゃんタイプになるであろう素質をヒシヒシと感じさせる乙女ゲーム鉄板キャラにしか見えない。

 (この世界乙女ゲーム系なのかな? 婚約者が皇太子じゃないからハーレム系か? ……となると悪役令嬢は私?)

 私は顔見せお茶会の間はずっとそんなことばかり考えていた。

「良かったわね。リコリス。優しそうな方で」
「……はい」

 帰りの車内で母親は嬉しそうに語りかけてくれたが、死亡フラグが警告音のように頭へ鳴り響いていたのでほぼ何を話していたか覚えてない。



 

 そんな翌日の朝から外が騒がしい。何事かと朝の支度に来たメイドに聞くと父親が急遽領地に戻ると言う。

「? どうして急に?」
「はい。どうやら領内にダンジョンと淀みが発生したため、聖女と共に浄化しに行くようです」
「は?」

 まてまて!! 重要ワードがマシンガンのように出まくってるんですけど?!!

「勇者様一行が魔王城に付く前に発生するとは、旦那様も不運です」

 ちょっっ!! メイドさん!! 待って!! 追加ワードがされまくって脳内処理大変なんですけど?! 

「さぁ、旦那様をお見送りしましょう」

 まだ脳内整理出来てないまま、玄関にて慌ただしいお見送りをすることになる。でもお父様が行って何の役に立つのだろうか?

「あなた……どうか魔女に魅力されないでくださいね」
「あぁ。勿論だ」
「(えっ? 魔女?! 何それ?!!)……お、お父様、お気をつけて……」
「うむ。心配するな! すぐに帰る」

 やや軽い死亡フラグを口にするお父様に不安が残るが仕方ない。

 その後お父様を見送り自室に戻ってメイドに先ほどの話を再度聞いた。

 ダンジョンとは! 淀みとは!! 聖女とは!!!

 もし男性ヒーローのハーレム系ならたぶん関係無いから、ここは是非とも教えて欲しい。

「ダンジョンは魔素が洞窟などに溜まると変化するのです。詳しいことはその内、家庭教師の先生たちが教えてくださいますよ」

 メイドはニコニコと笑顔で教えてくれるが、やはり詳しい内容は教師に聞くしかなさそうだ。

 (まぁ、言うてまだ5歳だしな)

 

 それから教師にダンジョン、淀み、聖女、勇者、魔王について教えてもらった。

 ダンジョンは薄暗い洞窟に魔物が放つ魔素と言うものが長い年月溜まり続けるとある日ダンジョンにジョブチェンジするらしい。そこは宝箱の無い魔物の巣窟だから領主は見つけしだい、浄化出来る聖女を連れてダンジョンを消さなければならない。

 ちなみに放置しとくと、どんどん増えていくので早期発見が大事だ。後、ダンジョン発生を知っていて放置していた場合は国から領地没収と一族死刑と言うメチャクチャ重い罰が下る。

 次に淀みとは魔物が集団でその場にて死亡し、遺体をそのまま放置するとヘドロみたいな形に変わりやがて沼となる。ただの沼ならそこまで問題はないが、淀みは凶悪な魔物を生み出し、近くに洞窟などがあれば次々とダンジョンへと変化してしまう。

 そして聖女は、そのダンジョンの魔素や淀みを浄化してくれる人。教会から派遣されるシスターみたいなものらしい。

 (お父様は派遣依頼と浄化後の整備にいかれたのか)

 最後に勇者様は魔王を倒す者ではなく交渉する人を皆そう呼ぶようだ。そしてその交渉とはダンジョンのこと。何処の地域でダンジョンが出来たか報告すると魔王の配下がそこに赴き魔物と魔素の回収に向かってくれる。

 するとダンジョンは消滅してその地域では2世紀ほどはダンジョンが産み出されないらしい。(なので聖女がダンジョンでする浄化は一時しのぎの封印みたいなものらしい)

 では何故魔王交渉する人を勇者と呼ぶのか。それは魔王城や魔王の土地は魔素が濃くて一般人はその魔素に当たると気が狂うか死んでしまうらしい。なので魔素耐性が強い人間が向かうことになっている。つまり文字のごとく勇気ある者ってことみたいだ。

 ちなみにお母様が言っていた「魔女に魅了されないでね」は浮気しないでねって意味で出かける夫や恋人によく言う常套句となる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

仮面王の花嫁

松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。 しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?