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5 トラウマ マーガレット令嬢
(エスパーか?! 心を読めるとか?)
一瞬そんな考えが頭をよぎったが、急にびちょびちょに濡れた私は自分自身の事よりもピアノが浸水したかもしれない恐怖のほうが先立っていた。
「ピアノ!!」
私が慌ててピアノを拭こうと布を探すが、その行動を無視されたと捉えたのか令嬢は物凄い憤怒した形相で私に近付き、いきなり頬を躊躇無く引っ張叩いた。
13歳と10歳。私の体格はそれほど大きく成長しているわけでもないし今日は正装までしている。だからその場で踏み止まれずに反動がついてしまい、勢いよく窓ガラスに体当りしてしまう。そして運悪くガラスが大破してしまった。
ガラス音はとても大きく響き、近くにいたであろうカイン様たちが慌てて部屋に入ってきた。
「!! 何をしてるんだ!!」
「!!!!」
「!! リコリス嬢!! 大変だ! 大人を呼んでくれ!」
「! マーガレット嬢を捕まえろ!! 犯人だ!!」
それからは大変な騒ぎとなり、私は直ぐに治療されそのまま眠ってしまった。
後から聞いた話ではマーガレット様は私が自らガラス窓にぶつかり自分を悪役に仕立てたと反論したそうだが、何人もの男の子やカイン様が現場を見ていたのと、まだ魔法が使えない私がびしょ濡れになっていたことでマーガレット様の言い分は信憑性がない。
そしてカイン様の婚約者である私が初めて会った彼女に無礼を働く理由もないことから嘘だと結論付けた。
今回の事件は年下の子へあまりにも暴力的過ぎるとカイン様の両親も今回の事は見過ごせないとお怒りだと言う。
「……なるほど……」
寝起きにメイドから今回の話を聞いていると母親が慌てて部屋にやって来たかと思ったら抱きしめられた。
「リコリス!! もう大丈夫ですからね。本当にごめんなさい!!」
「……あの、お母様そういえばここはどこですか?」
「カルフィシファー公爵家よ」
「カル……はっ! そう言えばピアノはどうなりましたか?」
「えっ? ピアノ?」
「はい。私が濡れたせいで、もしかしたらピアノが駄目になってしまったかもしれません……」
私の落胆に流石のお母様もビックリして固まってしまう。
「……あなた襲われたのよ? ピアノの心配をしている場合じゃないでしょう?」
「? 私は人間です。だから傷は治ります。でもピアノは作られた物ですから壊れたら美しい音が奏でられません。あんなに素晴らしいピアノを廃棄するようなことがあったら悲しいです」
「……悲しいって……昔から変わった子だと思ってたけど……リコリスはたくましいわねぇ……」
「?」
「後で聞いといてあげるわ。だから心配せずもう少し休みなさい」
「はい。ありがとうございます」
その後医者に体調を調べられ、リコリスは発見と治療が早かったためか特に何もなく回復した。
そして体調が戻った私の所にカイン様は見舞いと称して事件のその後を話してくれた。
「今回のことで辺境伯とは縁を切ることになったよ。マーガレットにも、もう2度と会うことはないってさ!」
「……すみません。楽しい誕生日に出来なくて……」
「リコリスが謝ることなんて無いだろ!! 全部意地悪マーガレットのせいなんだし! それにある意味これでもうマーガレットと会うこともないんだ。そう思えばこんなにラッキーな誕生日はないよ!!」
(満面の笑顔だ。よっぽど嬉しいんだろうな。……それにしてもマーガレット様は恋心をすねらせ過ぎて相手の印象は憎悪しか残さなかったとはまるで悪役令嬢の断罪みたいだ。まだ13歳だけど……)
カイン様は何でもないように話すが、やっぱり血生臭い事件になってしまった誕生日は良くないだろう。
「では、今度我が家でカイン様の誕生日パーティーを改めてさせてください!」
「えっ? 俺の誕生日を?!」
「はい! 上塗りです! もうマーガレット様も居ませんし、楽しい誕生日になりますよ!」
笑顔でカイン様の憂いを晴らそうとするが、カイン様は何故かうるうると涙目だ。ヤバい!! 失敗か?!!
「…………ありが……とぅ……」
相当悲しかったのか、マーガレット様がトラウマだったのかは分からないがカイン様はその後も泣き続けた。
そして体調も万全となり、屋敷に帰る馬車の前でカイン様と別れの挨拶をする。
「リコリス!! これからはもっと会いに行くから!!」
「はい。やり直ししましょうね」
「いや、そうじゃなくて!! えっと、それもあるけど……とにかくありがとう!!」
「? はい」
よくわからないカイン様との別れを終えて、とりあえず悪い印象は与えなかったので安心しながらミッションコンプリートを心のなかで唱えてみた。
「よし! 今度はカイン様が喜ぶ完璧なパーティーにするぞ!!」
今こそ前世の記憶をフル活用して婚約者と険悪にならないように努力し、乙女ゲームだった場合のフラグをなるべく消そうと思った。
一瞬そんな考えが頭をよぎったが、急にびちょびちょに濡れた私は自分自身の事よりもピアノが浸水したかもしれない恐怖のほうが先立っていた。
「ピアノ!!」
私が慌ててピアノを拭こうと布を探すが、その行動を無視されたと捉えたのか令嬢は物凄い憤怒した形相で私に近付き、いきなり頬を躊躇無く引っ張叩いた。
13歳と10歳。私の体格はそれほど大きく成長しているわけでもないし今日は正装までしている。だからその場で踏み止まれずに反動がついてしまい、勢いよく窓ガラスに体当りしてしまう。そして運悪くガラスが大破してしまった。
ガラス音はとても大きく響き、近くにいたであろうカイン様たちが慌てて部屋に入ってきた。
「!! 何をしてるんだ!!」
「!!!!」
「!! リコリス嬢!! 大変だ! 大人を呼んでくれ!」
「! マーガレット嬢を捕まえろ!! 犯人だ!!」
それからは大変な騒ぎとなり、私は直ぐに治療されそのまま眠ってしまった。
後から聞いた話ではマーガレット様は私が自らガラス窓にぶつかり自分を悪役に仕立てたと反論したそうだが、何人もの男の子やカイン様が現場を見ていたのと、まだ魔法が使えない私がびしょ濡れになっていたことでマーガレット様の言い分は信憑性がない。
そしてカイン様の婚約者である私が初めて会った彼女に無礼を働く理由もないことから嘘だと結論付けた。
今回の事件は年下の子へあまりにも暴力的過ぎるとカイン様の両親も今回の事は見過ごせないとお怒りだと言う。
「……なるほど……」
寝起きにメイドから今回の話を聞いていると母親が慌てて部屋にやって来たかと思ったら抱きしめられた。
「リコリス!! もう大丈夫ですからね。本当にごめんなさい!!」
「……あの、お母様そういえばここはどこですか?」
「カルフィシファー公爵家よ」
「カル……はっ! そう言えばピアノはどうなりましたか?」
「えっ? ピアノ?」
「はい。私が濡れたせいで、もしかしたらピアノが駄目になってしまったかもしれません……」
私の落胆に流石のお母様もビックリして固まってしまう。
「……あなた襲われたのよ? ピアノの心配をしている場合じゃないでしょう?」
「? 私は人間です。だから傷は治ります。でもピアノは作られた物ですから壊れたら美しい音が奏でられません。あんなに素晴らしいピアノを廃棄するようなことがあったら悲しいです」
「……悲しいって……昔から変わった子だと思ってたけど……リコリスはたくましいわねぇ……」
「?」
「後で聞いといてあげるわ。だから心配せずもう少し休みなさい」
「はい。ありがとうございます」
その後医者に体調を調べられ、リコリスは発見と治療が早かったためか特に何もなく回復した。
そして体調が戻った私の所にカイン様は見舞いと称して事件のその後を話してくれた。
「今回のことで辺境伯とは縁を切ることになったよ。マーガレットにも、もう2度と会うことはないってさ!」
「……すみません。楽しい誕生日に出来なくて……」
「リコリスが謝ることなんて無いだろ!! 全部意地悪マーガレットのせいなんだし! それにある意味これでもうマーガレットと会うこともないんだ。そう思えばこんなにラッキーな誕生日はないよ!!」
(満面の笑顔だ。よっぽど嬉しいんだろうな。……それにしてもマーガレット様は恋心をすねらせ過ぎて相手の印象は憎悪しか残さなかったとはまるで悪役令嬢の断罪みたいだ。まだ13歳だけど……)
カイン様は何でもないように話すが、やっぱり血生臭い事件になってしまった誕生日は良くないだろう。
「では、今度我が家でカイン様の誕生日パーティーを改めてさせてください!」
「えっ? 俺の誕生日を?!」
「はい! 上塗りです! もうマーガレット様も居ませんし、楽しい誕生日になりますよ!」
笑顔でカイン様の憂いを晴らそうとするが、カイン様は何故かうるうると涙目だ。ヤバい!! 失敗か?!!
「…………ありが……とぅ……」
相当悲しかったのか、マーガレット様がトラウマだったのかは分からないがカイン様はその後も泣き続けた。
そして体調も万全となり、屋敷に帰る馬車の前でカイン様と別れの挨拶をする。
「リコリス!! これからはもっと会いに行くから!!」
「はい。やり直ししましょうね」
「いや、そうじゃなくて!! えっと、それもあるけど……とにかくありがとう!!」
「? はい」
よくわからないカイン様との別れを終えて、とりあえず悪い印象は与えなかったので安心しながらミッションコンプリートを心のなかで唱えてみた。
「よし! 今度はカイン様が喜ぶ完璧なパーティーにするぞ!!」
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