私は悪役令嬢なのか、脇役なのか、モブなのかを知りたい

千代子レイ子

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15 事件解決

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 ドラゴンに乗ると言うことで勝手に跨ぐような想像をしていたが、実際はドラゴンに馬車の車体をくっつけた構造だった。

 (何だろう。この方が安全だし効率がいいのに夢が打ち砕かれたようなこの気持ち……)

 なんとなくショックを受けた気持ちで乗り込むと、すっかり忘れていた勇者と聖女も既に中にいた。だが行きと違い聖女2人はぐったりしている。

 (何? そんなに勇者としまくってたの?)

「あっ、お嬢様!! お願いっす!! どうか状態異常回復を2人にかけてくださいっす!!」
「えっ?」
「2人とも魔素にやられて危ないんすよ!!」

 (…………なら何でこうなる前に来ないんだよ!! ったく、最後まで迷惑しかかけないなこの勇者たちは!!)

 私は聖女たちに状態異常回復をかけてから、再びドラゴンとイケオジにも魔法をかけた。

 相当具合が悪かったのだろう。聖女たちは行きのマウント取りも忘れ、勇者にもたれ掛かったまま静かに視線を落としていた。

「あの、今更で申し訳ないのですがお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ。これはすまない。私は吸血鬼属のヴィンセント・ヴァンパイアだ。まだまだ若輩者だが公爵家の当主を務めておる」

 (ヴァンパイア公爵・・・・・・・・……爵位が上になっている……)

 そんなくだらない事を考えているうちに城が見えてくる。私は城の者に緊急連絡魔法を上空に放つとドラゴンを着陸させる場所を伺う。

「ドラゴンは早いですね。半日もかからずに城まで戻って来れました」
「今回は緊急だからな」

 指定場所に着陸するとすぐさま城下の一室に案内された。そこには陛下と例のイバンが厳しい表情をしていたが、私がヴァンパイア公爵を伴っていると気付いて安堵したようだ。

「遅くなりましたが、魔王陛下からこちらのヴァンパイア公爵様に今回の事件への協力を得られました」
「……そうか。有難い」
「ところで何故、城ではなくこのような場所におられるのですか?」
「……今や城はあの男爵令嬢化け物の居城となっていて迂闊に近付けば魅了にやられて自我崩壊する」
「!! そこまで……」
「やはりここに我等の秘宝があるのだな……」
「秘宝?」
「詳しい事は後で報告します! 公爵様は私の状態異常回復でなんとかここにいられるので、早期解決しなければなりません」

 陛下はその言葉を聞くと急ぎ馬車の用意と男爵令嬢がいると思われる部屋への裏道を書き示した。

「簡易ではあるが王家に伝わる抜け道だ。ここを通れば少しは邪魔をされずに行けるだろう」
「ありがとうございます」

 こうして陛下の書いた地図のもと城に急ぎ、男爵令嬢のいる部屋へと直行出来た。

 だが状態異常無効の特性を持っている私でも先に進めば進むほど物凄く気持ち悪くなり、そしてとうとう最後の扉前だと言うのに吐き気が我慢できず私は公爵にお願いした。

「この先の部屋にいるようですが……すみません、私はこれ以上行けそうにないです」
「そうか……魅了の根源が近い証拠だな。ではここで待っていてくれ」
「はい。最後までお供出来ず申し訳ございません……」
「いや、今は自我を守るために集中していて欲しい」

 そして壁を挟んだ向こう側へと公爵は向かって行く。



 私は扉が閉まったのを確認するとそのまま近くの壺に吐いた。船酔いが可愛らしく思えるほどに気持ち悪い。

 だから公爵様が魅了解除した時、私はまだフラフラだった為によく覚えていない。ただ解除後に続く女性のヒステリックな怒鳴り声だけは頭に残っていた。

「……アルファー伯爵令嬢……」
「!!」
「もう大丈夫だ。ここを出よう」

 隠し通路から城内に出るとそこは酷い有り様だった。兵士やメイドたちはその場で失禁や泡を吹いていて、貴族たちもその場で目が虚ろとなっており焦点が定まっていない。もはや異様な風景が広がっていた。

「がぇぜー!! わだじのよー!! 離ぜー!!」

 急にしわがれた女性の怒鳴り声に私はビックリしてつい、公爵様にしがみついてしまった。

「……あの人は……」
「例の男爵令嬢の末路だ。秘宝を使った代償だがそこまで被害がなさそうで安心した」
「えっ?」
「代償が本人と王子ぐらいで収まったのは不幸中の幸いだと言うことだな」
「……もう終わったんですね……」
「あぁ。秘宝は我が手にある。もう魅了の被害は出ない」



 この後、公爵とドラゴンにまた魔法をかけて帰還していただき、陛下はイバン様と私を伴って城へと戻って行く。

 まだ魅了の後遺症がある兵士たちを私とイバン様が回復して行き、徐々に正常な人が増えていくなか、男爵令嬢はミイラのような姿で何やらブツブツ言葉を発しており不気味だった。

「あぁ……王子……」

 イバン様の声に振り向くとそこには陛下より老けた……いや、もはや老人と化した王子の姿がそこにあった。

「……イバンか……」

 力なく声を発する王子の近くには乱れた姿の中年位の男性が力なく座っていた。きっと彼等も男爵令嬢に魅了された被害者なのだろう。

「……リコリス?」

 声のほうに顔を向ければそこには少し老けたカイン様が座っていた。
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