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押しに弱いのが露呈しました
しおりを挟むこうしてお茶会でたくさんの男性と次々顔合わせする中で、また特別目を惹くイケメンが現れた。
それは、この国で大きな商会を営むザンドール伯爵家の次男、アシュレイ様。
彼は、癖のある黒髪に、見る者を惹きつける鋭いグリーンの瞳を持つ、まさに商人気質のイケメンだった。
その口元には常に自信に満ちた笑みが浮かび、身につけた上質な服は、彼の洗練された立ち居振る舞いを際立たせていた。
彼の登場に、私の内心は「うわ、来た!これは色気ダダ漏れ系のイケメンだ!」と身構えた。しかし、聖女として、いつものように淑やかに「アシュレイ様、ようこそお越しくださいました」と挨拶を交わす。
アシュレイ様は、椅子に腰を下ろすなり、にこやかに言った。
「聖女様、素晴らしいお茶会をありがとうございます。実は、今日のこの機会に、ぜひ聖女様のお眼鏡にかなう品をお持ちしたのですが、いかがでしょうか?」
そう言って、彼はきらびやかな宝石を散りばめた髪飾りを差し出してきた。
私は内心で「え、いきなりプレゼント!?しかもこんな高そうなもの!」と驚きつつも、
「お気持ちは大変嬉しいのですが、このような高価なものを頂くわけには…」
と、お断りしようとした。
しかし、アシュレイ様は私の言葉を遮るように、さらに畳み掛けてくる。
「いえいえ、これは聖女様への感謝のしるしでございます。それに、聖女様ほどお美しいお方には、この程度の輝きでなければ釣り合いませんから」
甘い言葉と、彼の真っ直ぐな視線に、私は思わずたじろいだ。普段なら毅然と断れるはずなのに、彼のぐいぐい来る勢いに、どうにも押し負けてしまう。
「あ、あの…」と言葉に詰まっていると、アシュレイ様はさらに追い打ちをかける。
「遠慮なさる必要はございません。もし気に入らなければ、他にいくらでも最高の品をお探しいたしますが?」
結局、私は彼の猛烈な押しに根負けし、その髪飾りを受け取ってしまった。
「ありがとうございます…」
と小さく言うと、アシュレイ様は満足そうに微笑んだ。
たっぷり2時間のお茶会が終わりかけた頃、アシュレイ様は最後に畳み掛けるように言った。
「聖女様、もしよろしければ、また明日もお伺いしてもよろしいでしょうか? 本日のお茶会、私にとっては最高の時間でございましたので」
私は内心で「え、明日も!?これまでは連日なんてなかったけどいいのかな?」と驚きつつも、彼の熱意に気圧されてしまい、思わず
「ええ、もちろん…」
と答えてしまった。
アシュレイ様は満面の笑みを浮かべ、
「ありがとうございます!では、また明日、お目にかかれるのを楽しみにしております」
と、にこやかに去っていった。
彼が去った後、私は深々とため息をついた。
「はぁ~、まさか私、こんなに押しに弱いなんて!完全にバレてるじゃん、私のチョロさ!」
そして、お茶持ってきてくれたマルタさんに私は早速相談を持ちかけた。
「あのね、マルタさん。昨日お茶会をしたアシュレイ様が、明日も来てくださるって言ってるんだけど…」
私の言葉を聞いたマルタさんは、一瞬考えたそぶりを見せた後、にこやかに提案してくれた。
「あら、それは素晴らしいことですわね、聖女様。実は、明日のお茶会には、もともと別の御仁をお呼びしておりましたの。なので、もしよろしければ、明日はお二人の男性と同時にお会いになってはいかがでしょうか?もし問題なければその後もそのように。」
「え、二人同時に!?」
マルタさんの思いがけない提案に、私の頭の中では一瞬にして少女漫画のような展開が駆け巡った。
「これはもしや、私のために二人のイケメンが火花を散らす、なんて状況もあり得るのでは…!?」
そんな妄想が脳内で繰り広げられ、私の頬は自然と緩む。内心では、そんな漫画みたいなことはないだろう、と冷静な自分もいたけれど、目の前に広がる可能性に胸が高鳴るのを抑えられなかった。
「はい!ぜひ、そうさせてください!」
私は二つ返事でマルタさんの提案に飛びついた。
「ふふ、承知いたしました。では、そのように手配させていただきますね」
マルタさんは微笑んで部屋を後にした。
「まぁ、そんな漫画みたいにはならないよね…」と、どこか冷静な私が囁く。
それでも、明日からのお茶会が、今までとは違う形で進むことに、私の心は期待でいっぱいだった。
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