聖女は素直にイケメンハーレムを所望しました!

Ao

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お仕置きの提案

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勉強会の終盤に差し掛かった時、アルフォンスは広げた資料を一つにまとめ、静かに私の顔を見つめた。

「あいこ様。本日はよく聞いてくださいましたね。しかし、一度聞いたことを、きちんと自分のものにできているか確認することも重要です」

彼の言葉に、私はごくりと唾を飲み込んだ。まさか、この流れは…

「つきましては、今度からは勉強会の終わりに、今日の講義内容から簡単なテストも導入していこうと思います。あいこ様がどれだけこの国の知識を吸収してくださったか、わたくしも楽しみです」

彼はそう言いながら、私の手元に置いてあったペンをそっと取り、指先でその軸をなぞった。彼の視線は、まるで私の心を誘うように、甘く、深みを増していく。

「そして、もし……万が一、間違えてしまったら……その時は、わたくしからお仕置きを考えておきましょう」

彼の吐息が、再び私の耳元にかかる。その声は、甘く、囁くようで、ゾクリと背筋に電流が走った。彼の藍色の瞳が、獲物を見定めたかのように、私の瞳を射抜いている。

お仕置き、その言葉が持つ響きに、私の頭の中は真っ白になった。どんなお仕置きをされるのだろう。まさか、彼が私を罰するようなことをするはずがない。けれど、その甘い響きは、私を抗いがたい誘惑の淵へと引きずり込んでいくようだった。

「では、本日の講義はここまでとしましょう」

アルフォンスは静かにそう告げ、広げた資料を整え始めた。私はまだ、彼の「お仕置き」の言葉が頭から離れず、放心状態のまま彼を見つめていた。

そんな私に気づいたのか、アルフォンスは作業の手を止め、銀縁の眼鏡の奥から、深く、それでいてどこか楽しげな瞳で私を見た。

「あいこ様。まだ何か気になることでも?」

彼の声は、普段よりも一層甘く響く。私の頬は、彼の言葉でさらに熱を持った。

「い、いえ…その、お仕置き、というのは…」

恐る恐る尋ねると、アルフォンスはふっと笑みをこぼした。その笑みは、まるで秘密を共有するかのような、魅惑的なものだった。

彼はゆっくりと立ち上がり、私の座る椅子の横に移動した。

「お仕置き、ですか。そうですね……」

彼は私の手元に置かれたペンに、そっと自分の指先を伸ばした。私の指先と、彼の指先が、一瞬、微かに触れ合う。

その瞬間、ゾクリと電流が走ったような感覚に、私は息を詰めた。彼の指は、まるで私を誘うように、ペン軸をゆっくりとなぞる。

「では、こうしましょう。あいこ様がもし、次回のテストで間違えてしまったら……」

彼の顔が、私の耳元へと近づいてくる。知的な香りが、私を包み込んだ。鼓動が、うるさいほどに響く。

「……その時は、わたくしが、あいこ様の指先に、こうしてキスをさせていただく権利をいただきましょう」

彼の唇が、私の指先に、触れるか触れないかの距離まで迫る。彼の吐息が、温かく、そして甘く、私の指先にかかった。そのまま、ちゅ、と、ごく短いけれど確かな感触が、私の薬指に触れた。

「っ……!」

予想外の「お仕置き」に、私の全身は硬直した。彼の唇の感触が、そのまま指先に残っているようだ。顔から火が出そうなほど熱くなり、私はその場から逃げ出したくなった。

いや、それはご褒美では!?

混乱する私をよそにアルフォンスは、満足そうに私の顔を見て、優雅に身を引いた。彼の瞳には、私の反応を楽しんでいるような、いたずらっぽい輝きが宿っていた。

「さあ、あいこ様。次回の勉強会も楽しみにしておりますよ。……間違えないよう、予習を怠らないように」

彼の言葉は、もはや勉強への促しというより、甘い誘惑のように響いた。

よし、間違えよう。

短絡的にあいこはそう決意したのであった。




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