悪役令嬢と入れ替わったヒロイン

Ao

文字の大きさ
3 / 4

状況を整理しましょう

しおりを挟む

さて、一度状況を整理しようじゃないか。

私はベッドからそろそろと降り、
部屋にあった特大の姿見の前に立つ。

そこには、国内外でも名高い美女の姿があった。

プラチナブロンドの髪は、まるで月の光を溶かしたかのように、滑らかなストレートで背中に流れている。

見る者を射抜くような鋭さを持ちながらも、伏せられれば優雅な曲線を描く切れ長の吊り目。その奥で、ルビーのような真紅の瞳が、冷たい光を宿して輝いている。

陶器のように白い肌は一切の瑕疵なく、その体はグラマラスでありながら、なぜか腰だけは信じられないほどに細く、全女子が憧れるような見事なくびれを描いていた。その完璧なプロポーションは、彼女がそこに立つだけで周囲の空気を支配し、すべての視線を釘付けにする。誰もがその美しさに圧倒される、そんな容姿をレリスは持っていた。

「ほんっと、綺麗な人。」

私、マリアももちろん、ヒロインとして並ではない容姿に恵まれていた。悪役令嬢と対するように、まるで春の陽光を閉じ込めたかのような桃色のふわふわとした質感の髪に、常に潤んでいるかのようなアイスブルーの瞳。涼やかな色合いながらも、優しげに少し下がった目尻が、穏やかで親しみやすそうに見せていた。

全体的に華奢で小さめの身長だが、胸はそれなりに豊かで、その愛らしい外見とのギャップが、男どもの心を鷲掴みにしていた…と自負している。
やらしい目線を向けられるのなんぞ慣れたものだったわ。

だが、やはり世界級のレリスと比較すると劣ってしまうというもの。レリスは王太子以外全く見向きもしない真っ直ぐさと、救いようのない程の性格の悪さがなければ、その美貌だけで国内外の男を虜にできる正真正銘傾国の美女なのだ。

お金持ちで権力もあって美貌もある。
より取りみどりなのだから、何もあんなおバカな王太子ではなくてもっと良い人と結婚すればいいのに…人って分からないものだわぁ。

「にしても、どうしたものかな…」

そもそも、レリスとの婚約は破棄するよう焚き付けたものの、マリアとしては自分が王妃になるつもりなぞ、はなからなかった。

何が良くてあんな激務かつ腹の探り合いばかりの貴族社会を束ねていかなければならない王妃になりたいものか。本当は愛妾にだってなりたくない。王族になんてなりたくないのだ。

だが、やんごとなき事情があり、私は王家に縁づかならなければならない。

だから、せめて王妃になっても愛妾を優しく目こぼししてくれそうな令嬢に事前に王妃への道も打診し、秘密裏に承諾ももらった上で、万全を期してレリスとの婚約破棄を仕掛けたのだ。











しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。

ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。 しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。 こんな謎運命、回避するしかない! 「そうだ、結婚しよう」 断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや

醜悪令息レオンの婚約

オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。 ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、 しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。 このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。 怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

処理中です...