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1章 始まり
男の覚悟
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俺はあのお方に仕える。
俺の一生を捧げる。
男がそう思いを馳せるのは、彼が神と崇めるフェンリル、アラケイル。
西の大地にアラケイルの名を知らぬ者はいない、かの霊獣は獣人族にとっては信仰の対象であり、西に住う人族に取っては畏敬の対象でもある、西の大地の獣人族が他の亜人種のように奴隷とされないのは、ひとえに、アラケイルの存在が大きい、その偉大さは獣人族のみならず、西の古代森林に住う全ての亜人種にとってまさに、神の如き存在であった。
そんな西の古代森林に住む、ニルフ族の少年、クルラは森に山菜の採取に訪れていた。
彼の足取りは、複雑な森の地形の中においても実に軽々しいものだった、まさしく森に住まう民だ。
しかし、その足は歩みを止める。
彼は目撃したのだ、父が母が、祖父が祖母が、曽祖父が、曽祖母が、崇め、奉る存在。
フェンリルのその威光に触れた。
さして深くはない、ニルフ族の生活圏から2kmほどしか離れていない場所、肉食獣も居ないような場所に、この森における最高位の存在が、その藍色の瞳で少年を見ていた、いや、
その瞳は少年を見ていながら、少年では無い別の何かを見ているようだった。
クルラは自然と傅いた、膝を地面に突き、額を土に擦り付ける。
しかし、幼い少年の好奇心は理性に勝ってしまった。クルラはふと、顔をあげたのだ、そして見た。
伝説と名高いかの霊獣が、一人の亜人種の男をつれ、森の深き場所に入っていくのを。
その足取りは、距離と全く合っていない、
一歩足をすすめただけで、2.30メートルは離れていっている。
そうしてみるみるうちにフェンリルと男は森に消えていった。
少年は駆けた、なんとしても長老に、祖父に伝えなくてはと。
その日の夕暮れ時、ニルフ族の里は騒がしかった。
「エルフ、アーグ、シルラ、その他多くの亜人種がこの森には住んでいる、その殆どの種族が、かのフェンリルを信仰しているのだ!我々だけで秘匿していい話ではない!」
長老会、ニルフ族の意思決定機関であったが、その日だけは長老以外の多くのものが集まっていた。
「しかし!もしもこの話が人族に伝わってみろ!どうなることか!!」
議会は荒れる、とことん荒れる。
そして遥か森の深部にて男は呟く。
「ニルムンディアの最後の皇族、ニルフェルト・ニルムンディア、アラケイル様にこの身の全てを捧げます」
五体投地、と言うのだろうか、男は己ができる最も深い礼をする。
砂漠からこの大きな森に来るまでの道のりで分かったのだ、このフェンリル様は自分の想像の何倍も偉大なお方だったと。
森までの超長距離転移魔法。
そして森での移動。
恐ろしい移動速度に加え、レッサーレグロクなどの凶悪なモンスターも、彼の視界に入った限りでは、とても怯えていた。
ヘビに睨まれた蛙とはこの事なのだろう、と思わせるくらいに。
そして、フェンリルは口を動かさず、声を発する。
「リリシア、彼女は我が息子の番となる女性よ、けれど、私はこの森から長くは離れられないの、だからね、あなたが息子と一緒に、人の国へ行ってきて欲しいの。」
なんたる大役なのだろう、御子息とその未来の奥方様の逢瀬の手伝いが出来るなんて。
全身全霊を持ってかからなければならない。
静かに、しかしはっきりと聞こえる声で、男は言う。
「承知しました、我が命に変えても」
リリシア様、アラケイル様の未来の義理の御息女様、お待ちになっていてください。
彼の脳内にはまだ見ぬアラケイルの息子と、リリシアと言う女性の姿が浮かんでいた、そしてその端に控え、命令を待つ自分の姿まで。
俺の一生を捧げる。
男がそう思いを馳せるのは、彼が神と崇めるフェンリル、アラケイル。
西の大地にアラケイルの名を知らぬ者はいない、かの霊獣は獣人族にとっては信仰の対象であり、西に住う人族に取っては畏敬の対象でもある、西の大地の獣人族が他の亜人種のように奴隷とされないのは、ひとえに、アラケイルの存在が大きい、その偉大さは獣人族のみならず、西の古代森林に住う全ての亜人種にとってまさに、神の如き存在であった。
そんな西の古代森林に住む、ニルフ族の少年、クルラは森に山菜の採取に訪れていた。
彼の足取りは、複雑な森の地形の中においても実に軽々しいものだった、まさしく森に住まう民だ。
しかし、その足は歩みを止める。
彼は目撃したのだ、父が母が、祖父が祖母が、曽祖父が、曽祖母が、崇め、奉る存在。
フェンリルのその威光に触れた。
さして深くはない、ニルフ族の生活圏から2kmほどしか離れていない場所、肉食獣も居ないような場所に、この森における最高位の存在が、その藍色の瞳で少年を見ていた、いや、
その瞳は少年を見ていながら、少年では無い別の何かを見ているようだった。
クルラは自然と傅いた、膝を地面に突き、額を土に擦り付ける。
しかし、幼い少年の好奇心は理性に勝ってしまった。クルラはふと、顔をあげたのだ、そして見た。
伝説と名高いかの霊獣が、一人の亜人種の男をつれ、森の深き場所に入っていくのを。
その足取りは、距離と全く合っていない、
一歩足をすすめただけで、2.30メートルは離れていっている。
そうしてみるみるうちにフェンリルと男は森に消えていった。
少年は駆けた、なんとしても長老に、祖父に伝えなくてはと。
その日の夕暮れ時、ニルフ族の里は騒がしかった。
「エルフ、アーグ、シルラ、その他多くの亜人種がこの森には住んでいる、その殆どの種族が、かのフェンリルを信仰しているのだ!我々だけで秘匿していい話ではない!」
長老会、ニルフ族の意思決定機関であったが、その日だけは長老以外の多くのものが集まっていた。
「しかし!もしもこの話が人族に伝わってみろ!どうなることか!!」
議会は荒れる、とことん荒れる。
そして遥か森の深部にて男は呟く。
「ニルムンディアの最後の皇族、ニルフェルト・ニルムンディア、アラケイル様にこの身の全てを捧げます」
五体投地、と言うのだろうか、男は己ができる最も深い礼をする。
砂漠からこの大きな森に来るまでの道のりで分かったのだ、このフェンリル様は自分の想像の何倍も偉大なお方だったと。
森までの超長距離転移魔法。
そして森での移動。
恐ろしい移動速度に加え、レッサーレグロクなどの凶悪なモンスターも、彼の視界に入った限りでは、とても怯えていた。
ヘビに睨まれた蛙とはこの事なのだろう、と思わせるくらいに。
そして、フェンリルは口を動かさず、声を発する。
「リリシア、彼女は我が息子の番となる女性よ、けれど、私はこの森から長くは離れられないの、だからね、あなたが息子と一緒に、人の国へ行ってきて欲しいの。」
なんたる大役なのだろう、御子息とその未来の奥方様の逢瀬の手伝いが出来るなんて。
全身全霊を持ってかからなければならない。
静かに、しかしはっきりと聞こえる声で、男は言う。
「承知しました、我が命に変えても」
リリシア様、アラケイル様の未来の義理の御息女様、お待ちになっていてください。
彼の脳内にはまだ見ぬアラケイルの息子と、リリシアと言う女性の姿が浮かんでいた、そしてその端に控え、命令を待つ自分の姿まで。
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