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詳しい説明は端折るが俺は異世界に美少年として転生した。
ただ、転生前からの鉄仮面とあだ名された表情は変わらなくて、子供の頃に必死に訓練してなんとか表情を変えれるようになるには苦労した。変える事が出来るようになっても、よく何か悲しい事あったの?と幼なじみには聞かれたのは謎だが・・・
そんな日々を18才まで送り、今は転生前の知識を用いながら魔法薬を販売して旅をしている。
「ふぅ、そろそろ新しい街に着くな」
重かった荷物を下ろし、今度はどんな街に行くのかとワクワクしながら近くの岩場に腰を下ろした。
「隊長、こちらは異常ありませんでした」
「ご苦労」
部下からの報告を受け、俺たちは今日の見回りを終えて街へと帰る。
魔物が活性時期のせいで、今日だけで30匹近い魔物を討伐する事になったが、それで街の人たちの笑顔が守れると思えば安いものだ。
「隊長、前方に人影があります」
「なに!?」
千里眼のスキルを持った部下の報告に周りからもどよめきが湧き上がる。この時期に街に来る旅人の皆無で、こんな日に出歩いている奴がいたら自殺志願者か、人の形を真似した魔族ぐらいしかいない。
「全員、周囲への警戒を怠るな!!」
指示を送りながら、俺たちは部下の報告の受けた場所へと慎重に進んでいく。
そして、部下の報告通りに岩に座った一人の少年がいた。
その表情は憂いに帯びており、悲しさを称えているような青い瞳に俺だけで無く、周りの部下たちも息をのむ。
(なんて美しい子だ・・・だが、なんと悲しげなんだ・・・・)
悲痛な顔は死を覚悟しているようにすら感じられ、先ほど自分が思った事が脳裏をよぎる。
(まさか、自殺するつもりなのか・・・?)
「隊長、今すぐに保護しましょう!!」
「もちろんだ」
俺は馬から下りると、岩場に座ったままの少年を不安にさせないように笑顔を浮かべながら近づいた。
「君、こんな場所でどうしたんだ?」
「ほえ・・・?」
そろそろ行こうかと思っていた俺に、鎧を着た怖そうな見た目の男が声を掛けてくる。
それ自体は良いのだが、問題なのは声を掛けてきた男が何を言っているのか分からなかった。
次の街でぼろくなったローブの替わりを買うために前の街でケチって、次の行き先の古いガイドブックを買ったのが字になったようだ。
(やべぇ・・・言語が違う場所に来ちゃった!?い、いや、昔、故郷で勉強した言語の筈だ)
俺は必死に子供の頃に学校で習った言葉を思い出しながら言葉を紡ぐ。
「・・・・こんにちは」
どうやら会話してくれる意思はあるようで、そのことに少しだけ安堵しながら声をかける。
「ああ、こんにちは、魔物スポットでここら辺にあるから魔物が出て危ないんだ。俺たちと一緒に街に行こう」
少年は怯えた顔をしながら口を開く。
「・・・知ってる・・・・でも・・・行か・・・な・・・ない」
(やはり・・・死ぬ気だったのか)
こんな綺麗な容姿をした少年だ。なのに、着ている服は所々ボロボロで・・・
きっと、その容姿で良からぬ輩に色々と酷い事をされたのだろう。
「大丈夫だ。俺たちは君を傷つけるような酷い真似はしない」
「・・・・っ・・・」
俺の声に少年は顔を青くさせながら、じりじりと後ずさりを始める。
このままだと、すぐにでも背中を向けて走り出してしまいそうだ。
(止む負えないか・・・)
今は少年が馬鹿な真似をさせないようにするのが最優先だ。多少手荒だが仕方ない。
「すまないが、無理やりにでも一緒に来てもらう」
「・・・・こんにちは」
「ああ、こんにちは」
(うしっ!!挨拶は大丈夫そうだ)
言葉が通じた事にホッとしながら、俺は笑顔を浮かべようとしたが・・・
「・・・ぽ・・・ん・・が・・ないんだ。・・・いっこ・・」
(ちょちょちょ!?そんな早口でしゃべらないでぇ~!!)
ほとんど聞き取れずに、俺は必死に思考を巡らせる。
(いいか、俺が旅商人。それは見て分かるよな?)
話から察するに何かがなくて、商品が一個でもいいから欲しいという事だろう。
(”ぽ”と”ん”は分かった・・・・ポーションかな?)
確かに旅の必需品だし、俺も持っているんだが・・・
「・・・知ってる・・・・でも・・・ええと・・・いか・・じゃなくて、売らない」
ポーションは街ごとに相場が違い、下手に売るわけにもいかない。
見た目も怖そうだし、強引に売れと言われたら怖いなと思ったが商人としてはこれだけは譲れない。
ローブを買ったら路銀も心ともなくなるし、売るとしても街での相場を知ってからだ。
「・・・だ・・・を傷つけ・・・酷い真似はし・・・い」
「・・・・っ・・・」
(え、えぇぇ~!?)
更に怖くなった顔で男が詰め寄ってきて、俺は震えながら後ずさる。
(え、えっと・・お前を傷つける酷い真似はしたくないから・・・売れって事か!?)
強盗まがいに脅してくる男が手を挙げた途端、後ろにいた奴らが俺を取り囲む。
「・・・・無理やり・・・来てもらう」
(あっ、俺の人生終わった・・・素直に差し出しときゃ良かった~!!てか、心狭すぎだろ!?)
俺は今までの人生の走馬灯を見ながら、男たちに誘拐された。
ただ、転生前からの鉄仮面とあだ名された表情は変わらなくて、子供の頃に必死に訓練してなんとか表情を変えれるようになるには苦労した。変える事が出来るようになっても、よく何か悲しい事あったの?と幼なじみには聞かれたのは謎だが・・・
そんな日々を18才まで送り、今は転生前の知識を用いながら魔法薬を販売して旅をしている。
「ふぅ、そろそろ新しい街に着くな」
重かった荷物を下ろし、今度はどんな街に行くのかとワクワクしながら近くの岩場に腰を下ろした。
「隊長、こちらは異常ありませんでした」
「ご苦労」
部下からの報告を受け、俺たちは今日の見回りを終えて街へと帰る。
魔物が活性時期のせいで、今日だけで30匹近い魔物を討伐する事になったが、それで街の人たちの笑顔が守れると思えば安いものだ。
「隊長、前方に人影があります」
「なに!?」
千里眼のスキルを持った部下の報告に周りからもどよめきが湧き上がる。この時期に街に来る旅人の皆無で、こんな日に出歩いている奴がいたら自殺志願者か、人の形を真似した魔族ぐらいしかいない。
「全員、周囲への警戒を怠るな!!」
指示を送りながら、俺たちは部下の報告の受けた場所へと慎重に進んでいく。
そして、部下の報告通りに岩に座った一人の少年がいた。
その表情は憂いに帯びており、悲しさを称えているような青い瞳に俺だけで無く、周りの部下たちも息をのむ。
(なんて美しい子だ・・・だが、なんと悲しげなんだ・・・・)
悲痛な顔は死を覚悟しているようにすら感じられ、先ほど自分が思った事が脳裏をよぎる。
(まさか、自殺するつもりなのか・・・?)
「隊長、今すぐに保護しましょう!!」
「もちろんだ」
俺は馬から下りると、岩場に座ったままの少年を不安にさせないように笑顔を浮かべながら近づいた。
「君、こんな場所でどうしたんだ?」
「ほえ・・・?」
そろそろ行こうかと思っていた俺に、鎧を着た怖そうな見た目の男が声を掛けてくる。
それ自体は良いのだが、問題なのは声を掛けてきた男が何を言っているのか分からなかった。
次の街でぼろくなったローブの替わりを買うために前の街でケチって、次の行き先の古いガイドブックを買ったのが字になったようだ。
(やべぇ・・・言語が違う場所に来ちゃった!?い、いや、昔、故郷で勉強した言語の筈だ)
俺は必死に子供の頃に学校で習った言葉を思い出しながら言葉を紡ぐ。
「・・・・こんにちは」
どうやら会話してくれる意思はあるようで、そのことに少しだけ安堵しながら声をかける。
「ああ、こんにちは、魔物スポットでここら辺にあるから魔物が出て危ないんだ。俺たちと一緒に街に行こう」
少年は怯えた顔をしながら口を開く。
「・・・知ってる・・・・でも・・・行か・・・な・・・ない」
(やはり・・・死ぬ気だったのか)
こんな綺麗な容姿をした少年だ。なのに、着ている服は所々ボロボロで・・・
きっと、その容姿で良からぬ輩に色々と酷い事をされたのだろう。
「大丈夫だ。俺たちは君を傷つけるような酷い真似はしない」
「・・・・っ・・・」
俺の声に少年は顔を青くさせながら、じりじりと後ずさりを始める。
このままだと、すぐにでも背中を向けて走り出してしまいそうだ。
(止む負えないか・・・)
今は少年が馬鹿な真似をさせないようにするのが最優先だ。多少手荒だが仕方ない。
「すまないが、無理やりにでも一緒に来てもらう」
「・・・・こんにちは」
「ああ、こんにちは」
(うしっ!!挨拶は大丈夫そうだ)
言葉が通じた事にホッとしながら、俺は笑顔を浮かべようとしたが・・・
「・・・ぽ・・・ん・・が・・ないんだ。・・・いっこ・・」
(ちょちょちょ!?そんな早口でしゃべらないでぇ~!!)
ほとんど聞き取れずに、俺は必死に思考を巡らせる。
(いいか、俺が旅商人。それは見て分かるよな?)
話から察するに何かがなくて、商品が一個でもいいから欲しいという事だろう。
(”ぽ”と”ん”は分かった・・・・ポーションかな?)
確かに旅の必需品だし、俺も持っているんだが・・・
「・・・知ってる・・・・でも・・・ええと・・・いか・・じゃなくて、売らない」
ポーションは街ごとに相場が違い、下手に売るわけにもいかない。
見た目も怖そうだし、強引に売れと言われたら怖いなと思ったが商人としてはこれだけは譲れない。
ローブを買ったら路銀も心ともなくなるし、売るとしても街での相場を知ってからだ。
「・・・だ・・・を傷つけ・・・酷い真似はし・・・い」
「・・・・っ・・・」
(え、えぇぇ~!?)
更に怖くなった顔で男が詰め寄ってきて、俺は震えながら後ずさる。
(え、えっと・・お前を傷つける酷い真似はしたくないから・・・売れって事か!?)
強盗まがいに脅してくる男が手を挙げた途端、後ろにいた奴らが俺を取り囲む。
「・・・・無理やり・・・来てもらう」
(あっ、俺の人生終わった・・・素直に差し出しときゃ良かった~!!てか、心狭すぎだろ!?)
俺は今までの人生の走馬灯を見ながら、男たちに誘拐された。
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