変態勇者様の制御が大変です

アロカルネ

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前途不安

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金貨1000枚と城の最新武具を渡された勇者様は追い出されるように、というか城から速攻で追い出された。
「あ、あの、勇者様、私はメザイアと申します。よろしくお願いいたします」
「・・・・・僕はノアだ。よろしく」
城を出されて、街に入る前に挨拶をすると意外なことに普通に返してくれた。
(思ったよりも悪い人では無いのかも知れませんわね・・・)
握手を求めるとソレにも普通に返してくれ、敬われて育ってきた私には新鮮で妙に嬉しい気持ちになった。
我が国は世界でも屈指の大国であり、こんな風に対等に接してくれる人が居なかったからなのかもしれない。
「こほんっ、では勇者様、最初に冒険者ギルドで勇者様の適性を見てみましょう」
「・・・・そうだな」
「さあ、こっちです」
「・・・街のことが分かるのか?」
「うふふっ、お忍びで何度も実は遊びに行ったことがあるんです。父には内緒ですよ?」
悪戯っぽく笑う私にノア様は無表情のまま小さく頷き、後を付いてきてくれる。
だが、街に入った途端・・・・
「・・・可愛い子だね。どんな可愛いキノコを生やしてるの?」
「へ?お前何言って・・・ひやあぁぁ!!や、やめろっ、誰か、誰かああっぁあ!!!」
街を歩いている一般男性Aを押し倒すや否や、下履きを剥ぎ取って股間を大勢の前でさらけ出させて、キノコを弄り始めるノア様に私は全力ダッシュをする。
「ノア様~!!そう言うことをやってはいけません!!」
「見るだけ、ちょっと見て触るだけだから!!」
「ダメです!!」
「ひゃぁ・・あっ・・あっあっ・・・」
一向に止まらないノア様に一般男性の方は甘い声を漏らし始め、周りからは人が集まってくる中で、それを見た男たちは脱兎の如く離れていきます。
「っ・・・この、止めないさいって言ってるでしょーがぁー!!」
「おぶっ!!」
我慢の限界が来た私のドロップキックにノア様は吹き飛び、その間に固まって足を広げていた一般男子の下半身を見ないように声を掛ける。
「ここは私が引き受けます。早くお逃げになって!!」
「は、はひぃ!!ありがとうございます。このご恩は一生忘れません!!」
まさか、モンスター相手に庇うのではなくて世界を救う救世主様から護るために、この言葉を投げかけるとは思いませんでしたわ・・・・
一度は言ってみたい台詞ではありましたけど、それが仲間から庇うために発するなんて涙が出そうです。
「いいですか、ノア様、この世界では一般男性の・・・きょ、局部を無理矢理見ることは犯罪です。ですから自粛してくださいませ」
きっと、ノア様の世界では普通のことだったのかも知れませんから、そこは厳重に注意をする
「・・・・・大丈夫。僕の世界でも犯罪だから」
「なおさら悪いわ!!」
二度目の私のドロップキックが飛びながら、ノア様が再び人を襲わないように腕を引っ張りながら冒険者ギルドに向かう。とは言っても、先ほどの一件で殿方は店や家に引き籠もってしまわれたので、その心配は無用かも知れませんが・・・・
ようやく付いた冒険者ギルドに行き、あえて私は女性の受付を選んで声を掛ける。
「すいません。職業診断をするために参りました」
「こ、これは王女様!?と言うことは、そちらの方は・・・」
「ええっ、この世界を救ってくださる勇者様ですわ・・・たぶん・・・」
「た、たぶんなんですか・・・?」
私も信じていたいのだが、もう犯罪者として牢屋にぶち込んだ方が良いんじゃないかと思えるぐらいなんですもの・・・
「ねえねえ、お姉さん。可愛い新米冒険者とかいない。あっ、男の方で、羞恥心が無くて股間を・・・むぐぅ」
「この方の言うことは気にしないで良いですから、職業鑑定用の水晶を早くお願いいたしますわ!!」
「わ、分かりました」
勇者というのは肩書きであり、本来の職業は別に存在する。
大昔には召喚された勇者様方は盗賊が勇者だった事や闇魔術師が英雄だった事だってあり、その全てに特殊スキルという物が存在した。だからこそ、職業を知るという事は今後の戦術性を知っていく上で非常に重要なのだ。
「お持ちしました」
「では、ノア様、この水晶に手を触れてください」
「・・・分かった」
無表情のままなのに、とても残念そうに見えるノア様に指示を出しながら水晶に触れて貰うとステータスが表示される。

名前  ノア
LV       ????
職業  性欲士
スキル
全属性魔法LV100、全属性武具攻撃付与LV100、全属性攻撃反射、超速再生
禁忌術、格闘LV100、威圧LV100etc・・・・

「・・・・・・・・」
とんでもないステータスに私は呆然としてしまう。
LVが?になっているという事は、現代の水晶でもLVを測る事が出来ないほどに強大な力を持っているという事だ。そして、普通のスキルだけでも魔神たちを一人で倒せるほどの力を秘めている。
(これが・・・幻の勇者・・・ん?んん?)
ステータスを読み進めていく内に、私は特殊スキルと備考欄という文字に目が行くのを感じた。

特殊スキル 性欲の権化・・・相手の精液を摂取すればするほどに強くなる
脱がしの王・・・男性相手のパンツを脱がしている間は無敵になる
依存性欲王・・・一度射精させた相手を、任意で一定時間魅了状態の虜にする事が出来る。
男性恐怖術・・・襲っている男性から怖がられて、襲っている間は相手を無抵抗に出来るスキル
備考欄

スキルを発動させるには一日一度、『男性』の性液を摂取しなければ無効になり、摂取して初めて発揮される。
摂取後も24時間以内に再度摂取する必要があり、摂取できなければ同じく無効になる。摂取方法は皮膚に掛かっても良し、飲んでも良し、我慢汁でも効果は発揮されるが我慢汁の場合は効果は12時間と半減する。

「つ、使えねぇ・・・」
「・・・・ふっ、照れるじゃないか」
「褒めてませんわ!!」
ようするに彼は魔物と戦うために可愛い国民たちの男性が一人は必ず性的な意味で犠牲になってしまうという事だ。しかも、男性がいないと全く役に立たないという権能に私は盛大に頭を抱える。
「・・・ともかく僕の能力は分かったね。次はメザイアの番だよ」
「はぁ・・・分かりましたわ・・・」
前途多難な事に私は大きくため息をつきながら、水晶に手を触れた

名前 メザイア
LV 5
職業 ヒーラー
スキル 回復魔法LV3 補助魔法LV2 浄化魔法LV2 格闘術LV1

「・・・・・・よわっ」
「貴方に言われたく有りませんわ!!しかも、格闘術って何なんですの!!」
格闘術なんて習った事すらも無かったというのに、いつの間にこんなスキルが付いたのかと私は再び頭を抱える。
「すいません。依頼を受けたいのですが・・・」
「・・・君、可愛いね。どんなチンコしてるのか見せて」
「えっえっ?うわああっぁあ!!」
「人が悩んでる側で何やってますのー!!」
「あ、あの、王女様、落ち着いてくださいー!!」
こんな不安な冒険を抱えながら、私は新米冒険者を脱がしに掛かるノア様・・・いいえ、ノアにヘッドバッドを決めるのだった。これからの旅が不安でしょうがありませんわ・・・・
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