モンスターセイバーズ

短髪

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26話~37話 人獣編

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26話/謎の少年と新たな力

烈火:「ちっ、玲のやつはどこに行きやがったんだ?」
(あいつの細胞はまだ人獣の力に目覚めていない、いつ暴走してもおかしくないってのに・・。)
烈火:「どこにいやがんだ~玲~。」
タッタッタッ・・。
神風:「ハァハァ・・今隼人に捕まるわけにはいかないんだ。人獣なんかになってたまるか・・。」
(僕には時間がないんだ。)

時は経ち、1月1日(元旦)
俺、速水、桜は夏海の家で年を明かすことになった。ロイヤルストレートフラッシュとの一件以来、モンスターが現れた痕跡もなく、俺たちは平和な毎日を過ごしていた。
全員:「「あけましておめでとう!!」」
夏海:「ハッピーニューイヤーだね。」
桜:「次の年・・ってか今年は寅年だっけ?」
竜牙:「何年なにどしだろうと関係ねェよ、それよりか俺ら今年の春から三年生になるんだぜ。」
速水:「僕は違いますけどね、う~ん授業についていけるか不安です。」
桜:「はぁ、進学か就職か悩むなぁ・・。」
夏海:「竜、鳥牙さん・・そのお兄さんはあれからまだ・・?」
竜牙:「全っ然姿を現さねェ。あのバカ兄貴、帰ってきた瞬間にぶん殴ってやる!」
速水:「部長、どぅどぅ・・。」
竜牙:「まさか兄貴がセイバーズだったなんてな、全く知らなかった。」
桜:「せ~んぱい!新年そうそう気を荒立ててもいいことないですよ~。楽しみましょう、ね?」
神谷:「そうよ?こ~いう日はのんび~りだらりと過ごすに限るんだから。」
桜「え・・・。」
桜は空いた口が塞がらない。
夏海:「えええええっ、ちょっ朱里?!どこから入ってきたのよ。」
竜牙:「ってかお前、なんで夏海の家に?!」
桜:「え~っと、どうしたんですか朱里さん?」
神谷:「おばあちゃん家が夏海っちの家の付近にあってね、今私の家族がいわゆる父方の方の実家にお邪魔してるの。半年ぶりだから夏海っちや竜くんの顔を久しぶりにみたいなぁと思って私だけこっちに来ちゃった。」
速水:「すみません部長、この人は?」
竜牙:「ああ、速水は初対面だったな。神谷朱里、俺と夏海の幼馴染みだ。」
ガシッ!
竜牙が喋っている隙に朱里は竜牙に抱きついた!
竜牙:「ちょっ!おまっ!!」
神谷:「ずっと会いたかった!」
桜:「あぁぁっ!ちょっ、なにしとるんですか朱里さんっ!!」
夏海:「そうよ、は、破廉恥だわっ!!」
速水:「えっと、部長と神谷さんはつまりそういう・・。」
竜牙:「いや、誤解だ!速水、とりあえず助け・・。」
竜牙が顔を上げると眼鏡をかけたサラリーマン風の男性が立ちつくしていた。
竜牙:「おっつ・・、総一郎さん・・。」
総一郎:「いやぁ、はは。朱里が急にいなくなるもんだからもしやと思ってお邪魔したんだけど・・。その・・さすがに高校生で既成事実はまずいぞ、竜牙くん。」
竜牙:「誤解です!予想の斜め上を行くレベルで誤解してます総一郎さんっ!!」
総一郎:「はっはっは!ところで竜牙くん、今年の春から高校三年生だったよね。そろそろ朱里との結婚について考えては・・「あーっ!と、すみません!ちょっとトイレに・・。」」
ドタドタドタッ!!
総一郎:「はっはっは!また逃げられちゃったかぁ、おっと!そろそろ時間だ。みなさん私はこれにて失礼。朱里、夕方までには帰っておいで。」
神谷:「・・なんで逃げたんだろう、竜くん。」
速水:「神谷さん、そんなに落ち込まなくても。」
神谷:「もしかして・・他に好きな人でもいるのかなぁ、はぁ~。」
夏海・桜:「「?!」」
夏海:(そんな事考えてもなかった。そうよ、竜だって高校生なんだから好きな人ぐらいいたって不思議じゃない。)
桜:(先輩の好きな人が夏海や朱里さんとは限らないんだ・・はぁ、もしいたらどうしよう・・。)
神谷:「?どうして2人が落ち込んでるの??」
夏海:「い・・いや・・なんでも?!」
桜:「お、お年玉何に使おうかなぁ・・なんて、はははっ。」
神谷:「?とりあえず、おせち食べましょ!」

フォルテ:「脱走した人獣を捕獲しろ、特に02だ。」
ゼオ:「ですがフォルテ様。」
フォルテ:「・・?」
ゼオ:「やつらは日本の福岡に逃亡したと見られ、捜索するのにはまだ時間がかかるみたいです。」
フォルテ:「問題はない、例のプランを使え。」
ゼオ:「!しかし、あいつらは・・。」
フォルテ:「大丈夫だ。私が姿を伏せていれば奴らはきっと餌にかかる。」
ゼオ:「承知しました、では奴らを向かわせられるようこちらで準備致します。」
フォルテ:「それまではデュークに奴らを捜索させるといい。」

1月8日始業式。
先生:「え~数カ月前に転入してきた小池くんが諸事情により転校したばかりですが、新しい転入生がこのクラスに入ってきます。」
市原:「えっ・・この時期に?」
夏海:「なんかこのパターン多くない?」
竜牙:「来るもの拒まず去る者負わずなのかもな。実際、光ヶ丘学院に来るってことは跳び抜けた金持ちなんだろうし。」
神風:「転校生の神風玲《かみかぜれい》です。みなさん、よろしくお願いします。」
ドカァァン!
市原:「な、なんだ?!扉がぶっ壊れたぞ!」
橘:「おいおいまた濃いのが来たんじゃねぇか?」
市原:「橘ん時もインパクトあったしな!」
橘:「ん?出てきたぞ。」
烈火:「よろしくされちゃ困るんだよ。」
先生:「あ、あなたのせいで扉が破損してるじゃない、どういうつもり!どこのクラスなの?」
烈火:「ハッ、先公は黙ってな。」
先生:「教師に向かってなんて口の聞き方なの!クラスと名前を言いなさい!!」
烈火:「俺はこの学院の生徒じゃねェ、名は烈火隼人だ。それより・・何してんだぁ玲?」
神風:「隼人っ・・!」
神風は烈火に背を向けて猛スピードで教室を抜け出した!
烈火:「!おい、待てって!!」
竜牙:「夏海、俺たちも行こう!」
夏海:「そうね、あんまり関わりたくはないけど生徒会長としてあの二人を放っておくわけにはいかないわ。」
先生:「ちょっ!剣崎くん、木嶋さん!!」
光ヶ丘学院付近の住宅街。
神風:「はぁはぁ・・隼人のやつ、どうやって居場所を突き止めたんだ。」
リオル:「見ぃ~つけた、02発けぇ~ん。」
神風:「まさか・・フォルテの・・。」
烈火:「!玲っ。」
神風:「っ・・ここまでか・・。」
烈火:「もう逃がさないぞ・・ってお前・・。」
リオル:「僕ちんはリオル・ゼクト。リオルっちって呼んでぇ~。」
デューク:「勝手な行動は慎め、見つけたぞ02、03。」
竜牙:「なんだ・・増えてる?!」
烈火:「あ?なんだてめェらは・・。」
夏海:「この2人・・まさかまたモンスター絡みなの?」
竜牙:「分からねぇ。」
烈火:「聞ぃてんのか?一般市民は危ねぇから帰れ!」
リオル:「ヒッヒッヒ・・ちょうどいいやぁ。潰しちゃお!」
スタスタスタッ!
竜牙:「!やる気か・・。」
烈火:「逃げろ、一般市民!」
神風:「あの人獣、早い!」
デューク:「終わったな、あの男。」
ズババッ!
デューク:「?!」
竜牙:「っと、この程度か?」
リオル:「ギギッ?!腕が・・僕ちんの腕がぁぁぁぁあああっ!!」
デューク:「逃げのそぶりもなく狙ってリオルの腕を切り落としただと・・お前、何者だ?」
烈火:「い、一般市民じゃねぇのか?!」
竜牙:「俺は剣崎竜牙、モンスターセイバーズだ。」
デューク:「!聞いたことのない名前だな・・もしや新しいセイバーズか?フッ、興味深い・・。」
リオル:「こんのぉ、ガキやぁぁぁあっ!!」
竜牙:「ドラゴンソード!」
シュッ、ズバッ!ズバッ!
リオル:「ア”ア”ア”ッ!!」
デューク:「一端引くぞリオル。これに懲りたら勝手な行動は以後控えろ。」
リオル:「ちぃっ・・ただでは・・終わらんぞ?覚えておけェ・・。」
スッ。
竜牙:「消えた?」
夏海:「神風くんに烈火くん、事情を聞かせてもらえないかしら?」
神風:「は、隼人・・彼になら。」
烈火:「・・来い。」
光ヶ丘学院屋上。
竜牙:「あいつらは一体何者なんだ?」
烈火:「あいつらはモンスターだ、だが普通のモンスターじゃない。」
竜牙:「?」
烈火:「奴らは元々人間だ。」
夏海:「なにそれ・・どういうこと?!」
烈火:「正式な名称で言うならば、人が獣化した怪物、人獣だ。」
竜牙:「人がモンスターになるなんて・・そんなこと・・。」
烈火:「奴らにはそれを可能にする術がある。」
竜牙:「ま、マジかよ。」
烈火:「あのリオル・ゼクトっつう人獣はナンバーズじゃなかった。つまり、プロトタイプの雑魚と見て間違いないだろうな。」
夏海:「試作品ってこと?・・ひ、人の命をなんだと思ってるの。」
竜牙:「ナンバーズってのは何を差す言葉なんだ?」
神風:「ここからは僕が話すよ。最強の生命体を生み出す実験、その最高責任者の名は帝王フォルテ。彼は何度も実験を繰り返して、己の理想とする人知を超えた怪物を作り出そうとしている。色々な遺伝子操作や細胞の組み換えを行っていく中で特に優れた人獣に与えられる称号みたいなもの。それがナンバーズ。強力な戦闘力を誇ってるものほど若い番号が与えられる。」
烈火:「奴らは人獣のことを兵士としてしか見ていない。特にナンバーズはその名のごとく番号で管理され、名前や個人情報などは抹消される。そもそも人でなくなっている為、人権が適用されない。」
夏海:「ひ、ひどい・・。」
竜牙:「何の権利があってそんなことを・・。」
夏海:「!リオル・ゼクトの隣にいた人物はあなたたちのことをナンバーで呼んでいたわ。しかも番号は02と03・・。」
竜牙:「!・・・奴らはお前たちを連れ戻しにきたってことか。」

27話/人獣の暴走と制御

神風:「その通りだよ。少なくとも僕は彼らの手が回ってこないように光ヶ丘学院に身をひそめようとしたんだ。もちろん、偽装した情報で編入試験に通ったからすぐにばれることにはなるだろうけど少しでも奴らの手が遠ざかるよう時間を稼ぎたかったんだ。」
夏海:「けど、そんな逃亡いつまでも続かないわよ。だってあのリオル・ゼクトとかいう人獣、普通じゃなかったわ。」
烈火:「いやあれが普通だ。人獣っていうのは人の許容範囲を超えた細胞に脳からの伝達信号を通して体を動かす。だからよ組み合わせたモンスターとの相性がミスマッチしてできたものが大半を占めてるんだ。力を制御できてるだけマシととらえるべきだ、俺らなんて力を上手くコントロールできねェ。特に玲のやつはな。」
ハンター:「けど烈火くん、君はある程度の力なら制御できるんじゃないか?体中アザだらけなのに対して落ち着いている。力の制御ができないなら神風くんのことを気にかける余裕なんてないはずだ。」
竜牙:「!うわっ、ハンター・・どっから出てきやがった。」
烈火:「なんだてめェ・・。」
ハンター:「彼らと同じくモンスターセイバーズだよ。話は戻るけど、君と相反して神風くんの方は腕、足どこを見ても傷一つ見当たらない。あくまで僕の推測だけど、人獣の暴走を経験してないんじゃないかな?」
神風:「!」
烈火:「ケッ!」
神風:「その通りだよ。僕はまだ人獣の力に目覚めていない、暴走して隼人を襲うかもしれない・・そんな先の未来が怖くなって彼との距離を置こうとしてた。」
竜牙:「02って呼ばれてたってことは、神風は飛び抜けて強いってことだよな?」
烈火:「あぁ。現時点で玲はフォルテの最高傑作に違いねェ、なんせ手術を施してから未だ体が拒絶反応を起こしていない希少種だ。」
竜牙:「どうする気だ?神風が暴走しない保証はどこにもないんだろ、でもさっきのやつらはまたお前たちの前に現れるぞ。」
烈火:「逃げるしかねェ、奴らの実験は俺たちの人格を殺して怪物に変える。せっかく抜け出せたんだ、こんなところで終わってたまるかよ。」
夏海:「竜、モンスターが関わっているなら見て見ぬフリはできないわ。」
竜牙:「ああ。それにそんな奴らが暴れだしたらモンスターの時とは比較できない被害が出るだろ、このまま見過ごすわけにはいかねェ。烈火、俺たちにも協力させてくれないか?」
神風:「隼人!」
神風は瞳を輝かせて烈火の方を振り向くが・・。
烈火:「おいコラ!勝手に話を進めんじゃねェ。玲のやつはお前たちの力を借りたくて俺たちの内情を話したんだろうが俺は違う。奴らは危険だ一般市民、俺はあくまでその危険性を理解してもらうために話をしただけだ。」
神風:「は、隼人・・。僕は暴走という爆弾を抱えてるんだよ?協力者は多い方がいいって!」
ハンター:「烈火くんの言うとおりだ。あえて否定的な意見を言わせてもらうけど、今回はロイヤルストレートフラッシュの時みたいに上手くはいかないと思う。なんせ今回の敵は数も実態も不明確な部分が多い、もっと言うなら敵はモンスターの身体能力と人の知識を兼ね備えた化け物だからね。」
竜牙:「へっ、半年前までの俺なら身を引いていたかもしれない。そんなことやってられるか!ってよ。けど今は違う。どんな形であれモンスターが人を苦しめているなら俺は助けたい、俺の原点はこれなんだ。」
ハンター:「・・また、命を危険にさらすかもしれないんだぞ。」
竜牙:「そこの2人の方がよっぽど命を危険にさらしているぜ。どこまで力になれるか分かんねェけど、協力させてくれないか、烈火。」
烈火:「一般市民・・。」
神風:「ありがとう、剣崎くんっ!」
神風は頭を深く下げる。
烈火:「お、おい・・玲!」
夏海:「もう止めても無駄・・か。」
竜牙:「あ・・。」
夏海:「なんでこっちを向くのよ。見て見ぬフリはできないって言ったでしょ?もうあなたを止めるのは疲れたわ。」
竜牙:「ごめん。」
夏海:「いいの!私決めたんだから、あなたが危険な時は私が守るって!一緒に戦うよ、竜。」
竜牙:「夏海・・。」
竜牙の目が潤む・・。
夏海:「私は木嶋夏海。彼と同じようにモンスターセイバーズなの。私にも協力させて。」
烈火:「ったよ・・分かったよ、何かあっても自己責任だからな!」
ハンター:(とはいえ明確な戦力不足であるのは間違いない、の加入は思っていた以上にいいタイミングなのかもしれないな。)

デューク:「フォルテ様、申し訳ありません。02と03の捕獲に失敗しました。」
フォルテ:「いやお前の事だから何か考えがあるんだろ?それより朗報だ、01の居場所を突き止めた。奴は今北海道にいる。」
デューク:「ついに01を見つけられたんですね。」
フォルテ:「月影という名を使って身を潜めていたようだ。」
デューク:「木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中ですか。とはいえ彼はもはや人ではありませんが・・考えたな、01。」
フォルテ:「この機を逃がすつもりはない、私は奴のところに向かう。」
デューク:「承知致しました。」

速水:「いいですか部長?」
竜牙:「ゴクッ・・・。」
速水:「ハヤブサランニングはひたすら突っ切るという気持ちが大切なんです。」
竜牙:「ひたすら突っ切る気持ち?」
速水:「前に出す足を一秒でも早くだそうする気持ちがスピードを加速させます。タイムはだいぶ縮んだので、今度はドラゴンソードを手にした状態で走ってみましょう。」
竜牙:「ひたすら・・突っ切る・・。」
竜牙の周囲を風が包み込んでいく。
速水:「風?」
竜牙:「今だっ!」
シュゥッ!!
速水:「50メートルの距離をドラゴンソードを所持した状態でわずか5秒で走り切った?!」
竜牙:「ど、どうだった速水?」
速水:「ハハ・・ハ八ッ!」
竜牙:「ど、どうした?」
速水:「部長のハヤブサランニングは想像以上のスピードです。これもその剣の力が影響しているんでしょうか・・。部長が踏み込むときに強い風が背中を後押ししているみたいです。今の段階ですでに僕のハヤブサランニングの速度を超過している。」
竜牙:「ま、まじか・・。」
速水:「やっぱりあなたは天性の運動神経を備えている。部長、完成させましょう。部長だけのハヤブサランニングを!」
デューク:「お取込み中失礼する。」
竜牙:「え・・。」
速水:「あなたは?」
竜牙:「お前っ!リオル・ゼクトと同伴していた男。」
デューク:「俺の名はデュークだ。それと交戦をしにきたわけじゃない。君に忠告をしにきたんだ、剣崎竜牙。」
竜牙:「忠告だと?」
デューク:「奴は人獣になった副作用からか喜怒哀楽が激しい。ゆえにすぐ頭に血が上る特徴があってね、君の前にもう一度姿を現す可能性が高い。無論、殺意を向き出しにして。」
竜牙:「わざわざ敵に情報を渡すなんて胡散臭せぇ奴だな。何を企んでんだ?」
デューク:「用件はそれだけだ。練習を中断させてしまって悪かったな。」
竜牙:「おい!お前、まるで俺に倒してほしいと言わんばかりの助言だな。神風や烈火の居場所を聞こうとする素振りもねェし、お前には何か別の目的があるのか?」
デューク:「時期に分かるさ、剣崎くん。」
スッ。
竜牙:「消えた・・。」
速水:「あの・・僕には何が何だかわかりませんが、あの人からは殺意のようなものを全く感じませんでした。」
竜牙:「さ、練習の続きをしようぜ。考えたって仕方がない。」

28話/逆襲してやるじぇぇえええ、剣崎きぃぃいい!

生徒会室。
桜:「なちゅみぃ~。」
夏海:「なに?」
桜:「帰りたい。」
夏海:「あのねぇ~。」
ピコン。
夏海:「竜からライン?」

― 夏海!もう少しで今日の練習が終わるんだ、良かったら一緒に帰らないか? -

夏海はスマホをゆっくりとカバンに入れる。
桜:「夏海?」
夏海:「ごめんね、優香。私、用事ができちゃったから先に帰るね。」
桜:「?!な、なによそれ!この書類の山を見てもそんなことが言えるの?」
夏海は笑顔になる。
夏海:「ごめんね、竜から呼び出しなの♪」
桜:「あ、あんた・・好きな人と友人・・どっちを取る気なん?」
夏海:「う~ん、好きな人かな!」
桜:「もうよかっ!私だって帰ってやるけ「駄目よ、だいたい私は仕事を放置する気なんてないわ。」」
夏海は席に着くと、脅威のブラインドタッチで何十枚もの書類を片づけていく。
カタカタカタカタ・・・。
桜:「な・・。」
カタッ!
夏海:「印刷したものはそのままにしといて、明日まとめるから。それじゃ・・。」
桜:「ち、ちょっと待って!」
夏海:「?」
桜:「ほ、ほらぁ見てよ。まだこんなに書類の山が。」
夏海:「それはあなたの分でしょ。」
桜:「うぐっ!あ、あの枚数をわずか数分で仕上げたんだし・・私のも・・。」
夏海:「私が出来たんだから大丈夫!」
ガチャッ。
バタン!
桜:「な、夏海のいじわるぅ~。」
扉越しに夏海の声が聞こえてくる。
夏海:「あ~それとね、麗華を呼んでおいたからもう逃げられないわよ?分かったら一枚でも多く片づけてしまいなさい。」
桜:「ばかぁぁぁあああっ!!」
花音:「お持たせ夏海・・あれ、夏海は?」
桜:「麗華・・ぐすっ。」
花音:「なんでお前は泣いてるんだ・・。」

速水:「部長、あと一押しですよ!」
竜牙:「ああ、完成が楽しみだぜ。」

リオル:「見ぃつけたぁ、探したぞぉけんざきぃぃ。」

竜牙:「!」
リオル:「数日前は随分とコケにしてぇくれたなぁ?」
竜牙:「デュークの言っていたとおりだな、本当に姿を現しやがった。」
速水:「部長!あのモンスター、背中に人を乗せています!!」
竜牙:「なにっ?!」
リオル:「こいつはてめェへの手土産だ。」
夏海:「うぐっ・・りゅ・・う。」
竜牙:「夏海?!なんで・・。」
リオル・ゼクトはぐるぐるまきに縛り上げた夏海をおぶっている!
リオル:「こちらに向かってきていた女を拘束させてもらった。お前の仲間だろぉ、こいつはよぉ?」
竜牙:(!リオル・ゼクトがいつ襲ってきたもいいように、一緒に帰宅するつもりで誘ったのが裏目に出たのか。くそっ・・!)
速水:「木嶋さんを話してください!」
リオル:「そういうわけにはいかない。こいつは剣崎を苦しめる秘密兵器ってやつだぁ。」
リオルはカッターを取り出し、夏海の首元に刃を向ける。
夏海:「ひぃっ!」
竜牙:「や、やめろ!」
リオル:「だったら02と03を連れてこいっ!!!」
竜牙:「この野郎っ・・!」
リオル:「なんだぁ、連れてこられないのか?なら、こいつの身柄は俺が預かるぜ、なんせこいつは俺好みの容姿をしてやがる、ヒッヒッヒ。全裸にして俺のおもちゃにしてやる、安心しろ最後は跡形もなく切り刻んでやるからな?」
夏海:「ヒィィッ!」
竜牙:「このサイコパス野郎っ・・。」
速水:「部長、このままだと木嶋さんが!」
烈火:「まて!」
竜牙:「!神風に烈火っ。」
リオル:「飛んで火にいる夏の虫とはこのことだなぁ。捕まる覚悟はできてんのかぁ?02、03。」
烈火:「雑魚がっ!調子にのってんじゃねェぞ。」
神風:「剣崎くん、彼女が奴の手から離れる隙を逃さないで!」
竜牙:「何をする気なんだ?」
烈火:「いくぞ!」
スパッ!
烈火が両手を広げると、自身の爪が獣のようなかぎ爪に変化する。
烈火:「キラークローッ!」
神風:「僕も・・!」
(人獣の力・・目覚めてっ!)
神風が両手を広げると、自身の手が黄金色に光りだす。
神風:「ゴットハンドッ!」
リオル:「なっ?!はやっ!!」
(人獣化の部分変化だとぉ!)
リオルはとっさに2人の攻撃を回避しようとして夏海を手放す!
夏海:「ちょっ!」
竜牙:「夏海!」
ガシッ!
ゴロゴロッ・・ドカァン!
竜牙は夏海をキャッチしたまま転がって壁に激突した。
夏海:「だ、大丈夫?!」
竜牙:「あぁ・・それよりかお前、怪我はないか?」
夏海:「大丈夫!ありがとっ。」
竜牙:「とにかく、巻きこまれないよう離れるぞ。」
リオル:「ちぃぃ、女が・・。」
烈火:「おいおい人獣化してその程度かよ、情けねぇな。」
リオル:「ぐっ、こいつらの動きが速すぎて攻撃が当たらねぇ!」
神風:「隼人、僕が決める。」
リオル:「ちくしょうがぁぁっ!!」
神風:「ゴットレッグ!」
神風の黄金色に輝く右足がリオル・ゼクトの顔面を蹴り飛ばす!
ドカァアン!
リオル:「ぐっ・・。」
ドサッ。
烈火:「離れてろ、トドメは俺が刺す。」
ズバッ!
神風:「ふ~っ、久しぶりに暴れた。」
烈火:「剣崎!ちょっとこい!!」
ビクッ!
神風:「だ、駄目だよ隼人・・。」
竜牙:「ああ・・。」
竜牙は夏海からそっと手を放す。
夏海:「り・・。」
竜牙:「行ってくる。速水、夏海の事を頼めるか?」
速水:「わかりました、気をつけて。」

バシィィッ!!
竜牙:「うぐっ!」
烈火:「俺がなんで殴ったか分かるよなぁ。」
竜牙:「っ・・。」
烈火:「てめェらが戦ってきたモンスターとは違うんだよ、奴らは目的の為なら手段は選ばない、お前が今回木嶋を危険に晒したせいで玲が人獣の力を使っちまった、これを機に症状が進んでもおかしくねェ!分かっただろ、これに懲りたら一般市民はおとなしくしてやがれ!!」
竜牙:「そういうわけにはいかない!」
烈火:「あ”?」
竜牙:「神風に力を使わせちまったのは本当に申し訳ないと思ってる。けど、このまま奴らを放っておくことはできない、それに俺はセイバーズなんだ、一般市民なんかじゃねェ!」
竜牙はドラゴンソードを烈火に向ける。
竜牙:「お前はお前の考えで動いてるんだろ、その上で俺たちが関わると面倒だと考えているのかもしれないが、俺たちにだって戦う理由がある。それを邪魔するなら容赦はしない。」
烈火:「上等だ、勝手にしやがれ。」
竜牙:「プライドの高いやつだな、大方身内もめは身内で解決したいって事なんだろうけど。」
北海道。
レイク:「まさか君まで足を運んでくるなんて。」
月影:「・・・。」
レイク:「共士郎といい、タイミングが重なるもんだね。彼はシャドームーン君だ、共士郎。」
小池:「シャドームーン?」
月影:「・・・。」

29話/最強の集団KAOSビースト

それから数日後。
速水:「これは・・。」
竜牙:「ああ、完成だ。俺のハヤブサランニング!」
速水:「何言ってるんですか、部長のハヤブサランニングは強い風力を使って速度を上げている完全な上位互換です。あえて名づけるならハヤブサランニングストームと言ったところでしょうか。」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!かっけええ!!」
速水:「!部長、後ろ・・。」
竜牙:「ん?」
烈火:「俺に見せてみろよ、剣崎。その力が人獣相手にどこまで通用するのか試してやる。」
竜牙:「俺の実力を見極めようってか?」
烈火:「構えろ。」
竜牙:「無視かよ。」
速水:「ぶ、部長・・。」
竜牙:「心配すんな、速水・・見てろ。」
烈火:「キラークロー!」
カキン!
烈火の攻撃を竜牙はドラゴンソードで受け止める。
烈火:「モンスターファング!」
シュルル!
竜牙:「うぉっ!」
ドカァン!
竜牙:「両腕両足が獣みたいに変化してる・・。」
(近づかないと分かんねぇが、細かいトゲトゲがあちこちについてんな・・あれに当たると痛そうだ。)
烈火:「さぁ、スピード勝負といこうじゃねぇか。」
シュゥツ!
竜牙:「来る!」
スッ!
竜牙は烈火のハイスピード攻撃をギリギリで交わし、地面を強く踏み込む!
バン!
ボォォォウ!
烈火:「なんだっ!強風がっ!!」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」
シュゥツ!
今度は竜牙が烈火の懐に潜り込む!
烈火:「くっ!」
竜牙:「ドラゴンソード!」
烈火:「おらっ!」
カキン!
竜牙:「腕のトゲトゲでドラゴンソードを止めた?!」
烈火:「モンスターファングは攻防一体をこなせる俺の戦闘スタイル・・その要だ。」
ズババッ!
速水:「部長!」
竜牙:「痛っ!・・大丈夫だ。」
烈火:「速度は俺以上のようだが、戦い方がまだなってねぇな。」
烈火は間合いを詰めようと踏み込むが・・?
ビリィッ!
烈火:「っ!なんだ、足がしびれてやがる!!」
竜牙:「効いたみたいだな。」
烈火:「なに・・しやがった・・。」
竜牙:「なぁに、お前の筋繊維に少~しだけ電流を流し込んだけだ。」
(ハヤブサランニングストーム!)
シュッ!
烈火:「チィッ!」
竜牙:「イナズマドラゴン!」
烈火:「うぐっ!」
烈火は半身になって竜牙の攻撃を交わす!
竜牙:「この距離で交わすなんて、さすがは人獣!」
烈火:「俺があいつの剣を止めたときに今さっきの電流を流したのか・・やるじゃねぇか。」
竜牙:「このまま一気に・・・ん?」
烈火と竜牙の前に2名の黒マントの男が姿を現す。
オメガ:「03を確認、これより捕獲に移る。」
烈火:「こいつら・・。」
竜牙:「フォルテの手先か?」
烈火:「ああ、違いねぇ。」
ゼオ:「探しましたよ。私の名はゼオ、フォルテ様の充実なるしもべ。」
烈火:「ゼオ?聞いたことねぇ人獣だな。」
ゼオ:「でしょうね。私たちはあなた方が組織から離脱した後に作られた人獣なのですから。」
烈火:「だとォ・・。」
ゼオ:「デュークをご存じですよね?彼もまた我らKAOSビーストの一人です。」
竜牙:「KAOSビーストってのはなんなんだ?」
烈火:「もしや俺たちナンバーズの後釜ってやつか。」
ゼオ:「そんな生易しいものではありませんよ。順を追って説明しましょう、あなた方が組織を離脱した後に何があったのかを。」
烈火:「?」
ゼオ:「君たちが抜け出した後、より優れた人獣をつくりだそうとしたフォルテ様は寝る間も惜しむことなく実験をこなしていました。被検体の残骸が実験室のあちこちに散らばり、悪臭が漂う中フォルテ様はあなた方の欠点、いわゆる暴走する可能性を取り除いたより優秀な人獣を作り上げた、それが私たちKAOSビーストです。」
烈火:「俺たちの上位互換・・。」
ゼオ:「最高傑作と評された5人のナンバーズ。それに対して私たちの数も5人、まさに私たちはあなた方の抜けた穴を埋めるために生まれたというわけです。」
オメガ:「ゼオ、喋りすぎだ。」
ゼオ:「オメガ、私はご挨拶をしたまでだ。」
オメガ:「そんなことはどうだっていい、捕獲に移るぞ。」
ゼオ:「いや、やめておきましょう。」
オメガ:「なに?」
ゼオ:「02が見当たらない。03と02は友人関係にある、泳がせておいて揃ったところを狙った方が効率がいい。」
オメガ:「フン・・。」
ゼオ:「03、そしてセイバーズ・・今日はご挨拶に伺ったまでだ、これにて失礼する。次に会う時までに首を洗って待っているといい。」
スッ。
竜牙:「急にあらわれやがって・・一触即発かと思ったぜ。」
烈火:「フォルテめ・・あいつらを作り上げるためにどれだけの人間を殺めたんだ・・。」
速水:「あの~結局お2人の戦いはどうします?」
烈火:「もういい、お前の新しい技は人獣相手にも十分通じるだろう。戦いを続行する必要はない、俺は得体の知れない奴らの動きを探ることにする。」
竜牙:「なんだよ、勝手な奴だな。」
速水:「行ってしまいましたね。でも、彼のおかげでハヤブサランニングストームを実践形式で試すことができたじゃないですか。」
竜牙:「ああ、ありがとな速水。これで奴らとの戦いに備えることができる。」

デューク:「どこに行ってた、お前たち。」
ゼオ:「ご挨拶に伺ったまでですよ、03と新たなセイバーズに。」
デューク:「勝手な行動は厳禁だ。フォルテ様が不在の間に04の捕獲に移るぞ。」
オメガ:「04?居場所が判明したのか。」
レンゲ:「私が見つけたのよ、結構大変だったんだから。」
デューク:「02、03の捕獲はネオとオメガ。04の捕獲にはレンゲが向かってくれ。」
ネオ:「・・・・。」
オメガ:「お前はどうするんだ?」
デューク:「ゼオ、一緒に来い。01を捕獲するためフォルテ様のところに向かう。」

それから2カ月後。
俺と烈火の前に姿を現したKAOSビースト。しばらく動きはなかったが、こいつらの足取りを掴んだ烈火は俺たちを光ヶ丘学院の屋上に呼び出していた。
竜牙:「あれだけ関わんじゃねぇって言ってたやつがどういう風の吹き回しだ?」
神風:「そうだよね、隼人が僕だけでなく剣崎くんたちまで呼び集めるなんて。」
烈火:「人手が足りねぇからな。しぶしぶ声をかけたまでだ。」
竜牙:「この野郎ォ・・。」
夏海:「待ちなさいって、話を聞こうじゃないの。」
烈火:「あのKAOSビーストとかいう連中は二手に分かれて俺らを捕まえようとしているみたいだ。」
夏海:「どういうこと?」
烈火:「玲、静と悠斗の居場所が分かった。」
神風:「!」
烈火:「奴らの呼び方で言うならば04と01。俺たちと同じくナンバーズのメンバーだ。」
竜牙:「なんていう名前なんだ?」
烈火:「天童静と月影悠斗。静は京都、悠斗は北海道にいるみてぇだ。」
神風:「それだけの情報を一体どこから・・。」
烈火:「情報の経緯はまだ話せねぇ。とにかく、2人が狙われている。」
夏海:「でもそれって学校を休まないといけないんじゃない?」
竜牙:「!夏海、あさってから春休みだ。行けるんじゃないか?」
夏海:「えっ、あれ?この話の冒頭で正月迎えてなかったっけ?」
竜牙:「そういうメタ的な発言はこの際スルーでいくぞ。理由がどうであれ、明日が春休みなのに変わりはねェ。」
夏海:「・・・。」
烈火:「北海道に向かうグループと京都に向かうグループに分かれたがいいだろうな。」
ハンター:「その話!ちょっと待ってもらおうか。」
竜牙:「お前・・いつも急に出てくるよな。」
夏海:「ハンター久々の登場ね。何話以来かしら?」
ハンター:「そういうメタ的な発言はもういいんだ、それより心強いスケットを連れてきたぞ。」
竜牙:「えっ?」
(まさか小池が?)
スペード:「久しぶりだな、剣崎。」
竜牙:「?!スペード!」
夏海:「ロイヤルストレートフラッシュのスペードがどうしてここに?」
ハンター:「違うよ、木嶋さん。彼は正真正銘4人目のモンスターセイバーズ、銀河スペードくんだ!」
夏海:「銀河スペード・・。」
竜牙:「そういうや前にスペードって名前が本名って言ってたけどお前、人間だったのか。」
スペード:「ま、事情あってな。他のメンバーと違って俺は人間だ。よろしくな、剣崎、木嶋。」
烈火:「で、お取込み中のようだがてめぇも味方なんだな?」
スペード:「ああ、俺も協力する。」
ハンター:「烈火くん、彼は大きな戦力になってくれるはずだよ。」
烈火:「まぁ人手は多いにこしたこたぁねぇ。とりあえず、今並んでいる順番でいいか?北海道行きは剣崎竜牙、神風玲、ハンター。京都行きは木嶋夏海、俺、銀河スペード。」
ハンター:「ん?」
竜牙:「どうした、ハンター?」
ハンター:「聞き間違いかな?僕の名前が入っていたような・・。」
竜牙:「どうせ暇してるだろ、ここ最近モンスターが現れた形跡もないし。手伝えよ。」
ハンター:「お花見したかったなぁ・・。」
夏海:(竜と離れ離れかぁ・・。)
そして翌日。
烈火:「準備はできたか?」
竜牙:「ああ、親にも友達と旅行してくるって伝えたし何の問題もねぇよ。」
夏海:「私も大丈夫。」
烈火:「残りのメンバーも来たみてぇだな、よし、木嶋、銀河、行くぞ。」
スペード:「ああ。」
夏海:「じゃあね、竜。」
竜牙:「おう、気をつけろ・・・なんで泣いてんだよ。」
夏海:「だってぇ~。」
神風:「木嶋さん、隼人のことお願いします。危なっかしいところがあるから。」
竜牙:「お互い、無事に帰れるよう気を引き締めないとな。」
ポン。
竜牙は夏海の頭に手を軽く置く。
夏海:「!//」
竜牙:「俺らも行ってくるぜ夏海。」
ハンター:「じゃあね木嶋さん。」
夏海:「うんっ!私も頑張るねっ!!」

30話/セイバーズを辞めた共士郎

小池:「あれはなんなんだ?」
レイク:「前にも言ったじゃないか、月影悠斗くん。私はシャドームーン君と言っている。」
小池::「そっちじゃねェよ、あいつがしている特訓について質問してんだ。」
レイク:「究極必殺技の特訓だ。」
小池:「野郎の方が俺より何倍も優れているってことか?」
レイク:「共士郎、君に事情があるように彼にもまた事情がある。」
小池:「気にくわねぇな、事情ってのはなんだ?」
レイク:「詳しく教えることはできないが、彼は人獣という特殊なモンスター。人間とモンスターの遺伝子を受け継いでいる特殊な存在というわけだ。そして、彼が身につけようとしている究極必殺技は、彼自身の暴走を制御するストッパーの役割を担うことができるんだよ。」
小池:「制御が効かない力を隠し持っているのか・・あいつが。」

竜牙:「寒っ!ここが北海道か・・なぁ、月影ってやつの手掛かりとかあるのか?」
神風:「う~ん、手当り次第かなぁ。」
ハンター:「剣崎くん、嫌な予感がするよ。」
竜牙:「?」
ボォォォォウウ!
シュルルルル!
ハンター・竜牙:「「?!」」
神風:「向こうの方で突風と爆風が!」
竜牙:「まさか・・。」
ハンター:「とりあえず、進んでみようか。」
神風:「?」
そして・・・。
竜牙:「この森の中からだな。」
神風:「!」
ハンター:「どうしたんだい?神風くん。」
オメガ:「見つけたぞ02。」
竜牙:「お前は・・あの時の!」
神風:「剣崎くん、ハンター・・君たちは先に行って!」
竜牙:「おいおい、置いていけるわけがねェだろ。」
神風:「こいつが僕の前に現れたということは、悠斗のところにも現れる可能性が高い。」
竜牙:「だからってお前を置いていけるわけがないだろ!」
神風:「大丈夫、後で必ず合流するから。」
ハンター:「行こう、剣崎くん!」
竜牙:「お、おい!」
オメガ:「随分と舐められたもんだなぁ。まぁ、こちらとしてはその方が好都合だ。」
神風:「お前も僕のことを随分と舐めてない?こう見えてナンバー2の力を備えてるよ、僕は。」
その頃、神風とオメガの元を離れたハンターたちは・・。
竜牙:「神風の奴、大丈夫なのか・・。」
ハンター:「ここ2ヵ月間、彼らが神風くんたちの前に姿を現さなかったのはきっと他のナンバーズの居場所を探っていたからなんじゃないかな。だから北海道なんて遠く離れた地であの人獣と出くわした。」
竜牙:「もうすでに月影って奴のところにも手が回ってる可能性があるってことか?!」
ハンター:「その可能性が出てきたから、神風くんは僕らを月影くんの元に行かせる事を優先させたんだ、きっと。」
ズバッ!ズバッ!
竜牙:「うぉっ!」
竜牙が足を止めると、次々と大木が切り刻まれて崩れていく光景が目に映る。
竜牙:「んだ・・これ・・。」
ハンター:「剣崎くん!」
竜牙が振り返ると大木が竜牙を目掛けて倒れていく!
竜牙:「っ!ハヤブサランニングストーム!!」
シュゥッ!
竜牙はギリギリで倒れてくる大木を回避した!
ドカァァアン!
ハンター:「か、間一髪だったね~。」
小池:「誰だ、そこにいるのは・・。」
竜牙:「やっぱお前だったか・・小池。」
小池:「剣崎?!なんでお前が・・。」
竜牙:「そりゃあこっちの台詞だ。なんでお前が北海道に?」
小池:「悪いが剣崎、俺はもうセイバーズじゃない。」
竜牙:「は?」
ハンター:「僕は了承してないけど?」
小池:「ハンター、福岡を跡にする際にお前に言ったよな?俺はセイバーズを辞めると。」
竜牙:「どういうことだよ、ハンター!」
小池:「俺は俺の道を行く・・ただそれだけの事だ。」
竜牙:「ま、待てよ小池っ!」
小池:「なんだ?」
竜牙:「ジョーカーとの戦いが原因なのか?何もできなかったのは俺も同じだ!」
小池:「黙れ剣崎、お前に俺の何が分かる?」
竜牙:「!」
小池:「今の俺が求めているのは圧倒的な力だ。その為にはより強い奴と本気の潰し合いをしねェとな。何かを得るためには何かを捨てなければならない。俺は力を得るために仲間をお前たちとのつながりを断ち切る。」
竜牙:「なっ・・!一人でやれることには限界がある、それこそジョーカーん時の戦いがいい例だろうが!なんでだよ、オーロラマウンテンで初めて一緒に戦った時、全然意識してなかったけど俺たちは阿吽の呼吸ってやつが出来ていたんだよ。俺もお前もセイバーズになってから、まだ日は浅せぇんだ。力が及ばない相手と出くわしたって不思議じゃねぇだろうが!考え直せって・・。」
小池:「ハンターから聞いた、お前はモンスターから人々を守る為にセイバーズになったんだってな。男子高校生の分際で随分といきがってるんじゃねェか?己の立場をわきまえろよ、お前は弱い。」
竜牙:「!て、てめぇ・・。」
小池:「俺は俺自身のために、お前は守るべきものの為に・・どちらにせよ、俺もお前も強くならなければならないがこの差はでかい。」
竜牙:「じゃあなんでまだそいつナックルグローブをつけてる?それはセイバーズとしての力だ。」
小池:「こいつはもう俺の力だ、外すつもりはない。」
竜牙:「一応言っておくぞ。それは人を守るための力であって人を傷つけるものじゃねェ、それだけは約束しろ。」
小池:「お前にそんなことを言われる筋合いはない、これは俺の力だ。」
竜牙:「おまえっ・・!」
ハンター:「け、剣崎くん。なんでドラゴンソードを構えてるんだい?」
竜牙:「あのバカの目を覚ましてやるんだよ。」
小池:「やめておけ、お前じゃ俺には勝てない。」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」
シュッ!
小池:「!」
竜牙:「イナズマド・・。」
ズパン!
小池は目にも止まらない速さで竜牙のドラゴンソードを蹴り飛ばした!
竜牙:「な、何がおこって・・。」
小池:「剣がなけりゃあ、お前は力を使えねぇ・・。」
バシッ!
小池の半身からの下突きが竜牙の腹に直撃する!
竜牙:「ぐっはっ!」
小池:「こいつは今までの礼だ。超必殺技・ソウルブレイク。」
ドッカァァアン!
念押しのもう一発が竜牙を吹き飛ばした!
ハンター:「剣崎くんっ!!」
小池:「フン・・・もう俺に関わるな。」

ハンター:「剣崎くん!」
竜牙:「ううっ、俺は一体・・。」
ハンター:「良かった、気がついたね。」
竜牙:「ハンター?」
ハンター:「とりあえず応急処置はしておいたよ。」
竜牙:「そうだ・・小池の野郎・・っ。」
ハンター:「彼は行ってしまったよ。」
竜牙:「くそっ・・。」
レイク:「目が覚めたかい?」
竜牙:「!あ、あなたは?」
ハンター:「彼は黎久レイク。かつての僕の戦友だ、彼もモンスターセイバーズなんだよ。」
竜牙:「ハンターの戦友?」
レイク:「はじめまして、剣崎竜牙くん。」
竜牙:「なんで俺の名前を・・。」
レイク:「共士郎が迷惑をかけたね。」
竜牙:「?!」
レイク:「すべての責任は私にある。彼にナックルグローブを・・戦う力を与えたのは私なんだ。」
竜牙:「じゃあ俺がハンターから授かったドラゴンソードみたいに・・あれはレイクさんの?」
ハンター:「むむっ?!なんでレイクには敬語なんだい?」
レイク:「あはは、私のことも呼び捨てで構わないよ。察しの通り、あれは私のものだ。」
竜牙:「さっき小池のやつと会ったんだ。全部が全部あなたの責任じゃない、俺があの時、病院であいつを止められていたらこんな事にはならなかったのかもしれない。」
レイク:「ハンターから話は聞いているよ。伝説のモンスター・ジョーカーを相手に剣崎くんも共士郎も歯が立たなかったって。どおりで共士郎があんなに力に飢えてるわけだ。」
竜牙:「力を得るために俺たちとのつながりを断ち切るってあいつは言ってた。セイバーズを辞めるっていうのも俺たちと関わらない為だと思う。」
ハンター:「レイク、剣崎くんは小池くんと知り合ってまだ日は浅い。少々彼の身の上話をしてはもらえないか?」
レイク:「そうだな。・・彼は幼い頃に両親を亡くしていてね。今は彼の父親、そのお姉さんにあたる人の家庭で育ててもらっている。」
竜牙:「あいつ・・両親を。」
ハンター:「前に親の都合で光ヶ丘学院に転入してきたって言ってたから、僕も彼の両親が亡くなっているとは思わなかったよ。」
レイク:「彼の本来の実家はここにある。どうやら共士郎は小池一族に伝わる奥義を習得するために帰省してきたようでね。」
竜牙:「奥義?」
レイク:「奥義・レジェンドライブ。奥義は必殺技と違い、使えば使うだけ技のキレが増す。」
竜牙:「すげぇ、そんな技が・・。」
レイク:「戦国時代に特殊な力に目覚めた一族が2つあってそのうちの1つが小池家だ。まぁ縁があって、私は共士郎のおじいさんから共士郎のことを任されてね。」
竜牙:「複雑な家庭で育ったんだな。小池はもうその技を使えるのか?」
レイク:「力を求めている者は力に溺れる。強い力を手に入れてもより強い力を求めるようになり、いずれは身を滅ぼす。覚せい剤みたいな感じかな、今の共士郎にこの奥義を伝授するのはまずいと感じて、まだ教えてないよ。」
竜牙:「小池特殊な家庭か・・。」
ハンター:「剣崎くん?」
竜牙:「そういえば月影は見つかったのか?」
レイク:「シャドームーン君は私の元で修行をしていてね。すぐそこで今稽古をつけているんじゃないかな?」
竜牙:「!KAOSビーストにマークされてんだぞ、大丈夫なのか?」
レイク:「心配ないよ、彼は強い。」

神風:「ゴットハンド!」
ドカァアン!
オメガ:「はぁはぁ・・チャージビーム!」
神風:「ゴットウイング!」
神風は背中に生やした金色の翼を羽ばたかせて、オメガの攻撃を打ち消す!
オメガ:「くそっ・・俺はこいつらの上位互換のはず。」
神風:「強すぎる力に対して体の方がついていけてないんじゃない?」
オメガ:「生意気な・・チャージキャノン!」
神風:「X技・ヘブン・ザ・キャノン・・。」
オメガ:「なんだ・・あの金色の砲丸・・俺の倍以上のデカさが・・。」
神風:「人獣の力をコントロールできる分、威力は僕の方が上みたいだね。」
ドカァァアン!
オメガ:「あっぐっ!!」
神風:「あまり力は使えない・・一瞬で終わらせる。」
神風はゴットウイングを生やして、振動させていく・・。
オメガ:「なんだ・・これ・・!」
神風:「奥義・ゴットバード!」
ビシュゥン!
ズバッ!
オメガ:「っ!」
オメガは上半身と下半身を真っ二つにされ、そのまま息を引き取った。
神風:「ふ~・・・うぐっ!」
神風は自身の腹を抑えてその場に倒れこむ。
神風:(おかしい、僕らの上位互換と言うわりにあっさりやられすぎている。)

31話/判明!幻の秘伝書

竜牙:「!KAOSビーストにマークされてんだぞ、大丈夫なのか?」
レイク:「心配ないよ、彼は強い。」
竜牙:「心配ないって・・。」
小池:「なんでお前がここにいる?」
竜牙:「!」
ハンター:「小池くん!」
レイク:「共士郎、なんで剣崎くんを攻撃したんだ?」
小池:「こいつが先に仕掛けた・・俺はそれを向かえ討った。それだけのことだ。」
竜牙:「小池、最強だけを求めた強さが真の強さなのか?お前は強くなって、弱かったあの時の自分に討ち勝とうとしているだけなんじゃないのか?今のお前に必要なのは表面的な強さじゃなくて、心の強さなんじゃないのか?」
小池:「黙れ剣崎、心の強さだと・・そんなもん負けっちまったら元もこうもねぇんだよ!!」
竜牙:「こんの分からず屋が・・。」
小池:「俺は俺の道を行くだけだ。レイク、レジェンドライブを教える気がないならそれでもか構わん。」
レイク:「なに?」
小池:「レジェンドライブは小池一族に伝わる幻の奥義。だが、一人の人間が教え続けるのには限界があるはずだ。だからこそ、先代が書き残した秘伝書があるんじゃねぇか?」
レイク:「・・!」
小池:「その反応・・図星のようだな。どこに隠してる?」
レイク:「仮にそうだとしても教える気はない。」
小池:「それが答えか、とんだホラ吹き野郎だな。」
レイク:「?」
小池:「これではっきりした。お前は俺があの技を教えろと言った時に、俺を自身の演習場に連れて行ったがそれは俺にレジェンドライブを教える為じゃない、俺をここに食い止めて置く為だろ?」
レイク:「・・ハンターから連絡は来ていたんだ、君がこっちに帰ってくるかもしれないってね。シャードームーン君がいる以上、人獣の手が遅かれ早かれ近づいてくることはあの時点で分かっていた。だからこそ、共士郎が帰ってくるならば協力してもらおうと思ったんだ。」
小池:「それが本音か?」
レイク:「言っておくが、あの時点ではまだ君にあの奥義を教えるつもりだったさ。けど、ここ数か月間の君を見てあの奥義を教えるのは危険だと判断したんだ。」
小池:「好き勝手言ってくれる・・なら俺も容赦はしない、X技・レボリューションサーガ!」
小池が手の平を広げると紫の光線が勢いよくレイクに襲い掛かる!
レイク:「なっ?!」
竜牙:「危ねぇっ!」
シュゥゥゥゥン・・ドカァァアン!!
小池:「俺が物理技しか使えないと踏んで油断してたな。」
竜牙:「大丈夫か?」
レイク:「あ、ああ・・ありがとう。」
小池:「?!」
ハンター:「さすがは剣崎くんだ。」
(瞬時にドラグアーマーを発動させてレイクの盾になったのか。)
小池:「なんだその鎧は?」
竜牙:「強くなってるのはお前だけじゃない。小池、それがお前の・・答えなんだな。」
小池:「邪魔だ剣崎、ストームモード!」
小池が拳を繰り出すと強烈な風が竜牙の視界を奪う!
竜牙:「くっ!」
強風は竜牙の後ろにかかっていた掛け軸をめくり上げた。
小池:「!まさか、掛け軸の裏にこんな穴があるとはな。」
レイク:「!ま、まずい・・。」
小池:「見つけたぜ・・秘伝書。」
レイク:「それを戻すんだ、共士郎。」
小池:「ホラ吹き野郎が、そこでおとなしく這いつくばってろ。」
竜牙:「おい待てっ・・・小池!!」
小池:「フン、二度と俺に関わるな。」
竜牙:「っくしょう・・また止められなかった。」
レイク:「いや、隙を見せた私にも責任がある。」
レイクは小池が持って行った秘伝書と似たような秘伝書を竜牙のそばに置いた。
竜牙:「これ・・。」
レイク:「君にこの秘伝書を託したい。レジェンドライブと対をなすもう一つの奥義がそこに書き記されている。」
竜牙:「な、なんで・・。」
レイク:「情けない話だけど、私は戦う力を失っている。だからこそ君にあいつを止めてほしいんだ、その奥義の名はレジェンドラゴン。巨大な竜を具現化したようなエネルギーを剣を振り下ろすことによって発動することができる。」
ハンター:「ま、君は奥義の前にⅩ技を習得しないとだね。」
竜牙:「確か超必殺技のエネルギーを一点に集中し解き放つ技のことで、力を集中すべき個所にエックスの文字をイメージし、その中心に力を集めることがカギになるって書いてあったな、あの時の壁画に。」
ハンター:「よく覚えていたね。もう一つアドバイスをすると、君のⅩ技はドラゴンソードを進化させることが鍵になる。」
竜牙:「ドラゴンソードを進化させる?!それってどうやるんだよ。」
ハンター:「君の精神を剣に集中させるんだ。イナズマドラゴンを発動する感じに近いかもしれない。」
竜牙:「ドラゴンソードで精神統一しろってことか?」
ハンター:「やってみて。」
竜牙:「お、おう。」
竜牙はドラゴンソードを鞘から抜いて剣に意識を集中させる。
すると、剣が青く光りだした・・!
竜牙:「な、なんだ・・これ!」
ドラゴンソードは光り輝きながら刀身の部分が徐々に消えていく・・。
ハンター:「うん、いい感じだ。」
竜牙:「ど、どうなってんだ・・。」
竜牙が呆気にとられていると青い光が消えていく・・。
竜牙:「と、刀身が消えた・・。」
ハンター:「できたじゃないか。」
竜牙:「え?いやちょっ・・これじゃ戦えないんだけど。」
ハンター:「大丈夫!さぁ、神風くんと合流しよう。」
レイク:「頼んだよ、剣崎くん!」
竜牙:「何が大丈夫なんだ・・お~い・・。」

32話/最強の戦士ネオの強さ

その頃、京都に行った3人は・・。
烈火:「とりあえずは情報収集だ、一時間ぐらい経過したらまたここに集まってくれ。」
スペード:「分かった。」
夏海:「とはいっても京都なんて初めてきたからなぁ。」
(確か名前は天童静だったわね・・。)
レンゲ:「あら?誰か人を探してるんですか。」
夏海:「!あ、ど、どうも・・。」
レンゲ:「随分と落ち着かない様子だったけど・・?」
夏海:「き、気にしないでください!」
レンゲは夏海が持ってる写真に目を向ける。
レンゲ:(!天童静・・ってことはこの子、デュークの言っていた新しいセイバーズの仲間?)
夏海:「わ、私はこれで失礼します・・。」
レンゲ:「待って!私その子の友人なの。」
(丁度いいわ。彼女にも協力してもらいましょう。)
夏海:「え、そうなの?!」
レンゲ:「その子の家まで案内しましょうか?」
(04の居場所は掴んでる・・私だけじゃ警戒されるかもしれないし、この子にも同伴してもらいましょうか。)
夏海:「ありがとう。私は木嶋夏海っていうの、よろしくね!」
レンゲ:「レンゲよ、よろしく。」
その様子を遠くから見つめるスペード・・。
スペード:「・・・。」

烈火:「静の奴、どこに潜んでんだ?」
ネオ:「03、遠いところからよく来たな。」
烈火:「!」
ネオ:「俺はネオ。KAOSビーストの一人だ。」
烈火:「ハッ!奴らの仲間か・・。」
ネオ:「04の前にお前を拘束するのも悪くない。」
烈火:「そう簡単に捕まるかよ。」
ネオ:「お前に逃げるという選択肢はない。」
烈火:「てめぇに指図される覚えもねェ!超必殺技・ビーストチェンジ!!」
ネオ:「止めて置け、半人獣化して身を滅ぼすだけだぞ?」
烈火:「喋ってる暇があんなら手を動かせや!」
ズババッ!
烈火:「手ごたえがねぇ・・。」
ネオ:「そりゃあ当たってないからな。」
烈火:「!てめぇ・・。」
ネオ:「どうした?もっと撃ってこいよ、単細胞。」
烈火:「あ”?」
ネオ:「フン。」
烈火:「Ⅹ技・ヘビィテール!!」
スカッ・・。
烈火の人獣化して生えた尻尾による攻撃をネオは飛び跳ねて交わす。
ネオ:「よく狙えよ。」
烈火:「うぉぉぉぉっ!!「」
シュッシュッシュッ!!
烈火の息つく間もない拳の連打をネオはすべて交わしていく・・。
烈火:「なんなんだ、全然攻撃が当たらねェ!」
ネオ:「だいぶ息が上がってきたんじゃないか?」
烈火:「ハァ・・ハァ・・。」
(くそっ、ただでさえ半人獣化で体力を消耗してるってのにことごとく攻撃を交わしやがる。)
ネオ:「これが俺の力、ブレインスキャン。対象相手の動きを5分間だけ先読みできる。お前の攻撃は当たらない。」
烈火:「ハッ!5分間耐久すりゃこっちのもんだ。」
ネオ:「口だけは達者だな、お前たち人獣にとってこの5分間のリスクはデカい。わからないのか?この力は戦闘の為に作られた能力じゃない、お前らのような逃走者を捕まえる為に作られた力だ。」
ネオは拳を握りしめる。
烈火:「!」
ネオ:「ナンバーズも人獣もフォルテ様の”もの”だ。”もの”が己の意志を持って所有者に刃向うなど言語両断。」
烈火:「くっ・・。」
ドクン・・。
烈火:「発作がっ!」
(久々に人獣の力を使いすぎたか・・くそっ!)
ネオ:「それが現実だ、デビルチェーン。」
ジャララララ・・ガシャアン!!
烈火:「うぐっ!」
ネオ:「その状態じゃまともに戦うことはできないだろ。」
烈火:「くそっ!外れねェ!!」
ネオ:「03、捕獲完了。」
天童家前。
ピンポーン。
天童:「はい?」
夏海:「あの、天童静さんはいらっしゃいますか?」
天童:「え、私ですけど・・。」
レンゲ:「見つけた、04!」
天童:「!」
夏海:「あ、あなたまさか!!」
レンゲ:「ごめんなさいね、木嶋さん。私はKAOSビーストのメンバーよ。」
夏海:「だましたのね!」
レンゲ:「かくれんぼをしてるなら常にアンテナは張ってないとダメよ、04?」
天童:「まさか、ここまで追っ手が来てはるなんて。」
スペード:「間に合ったな。」
夏海:「えっ、スペード?!」
スペード:「後をつけさせてもらった、悪いな木嶋。それよりか天童を連れて逃げろ!」
夏海:(スペードの言う通りね、天童さんを守りきれれば私たちの勝ちよ!)
「こっちよ!」
天童:「え、ちょっ!!」
レンゲ:「あら、いい男。私の好みだわ!」
スペード:「あんたは俺の好みじゃねぇな!」
レンゲ:「それは残念、グレイブ・ザ・ストーン・ゼロ!」
レンゲの周囲の砂利や小石が宙に浮き、スペードに襲い掛かる!
スペード:「グラビティブレード!」
ズババッ!
レンゲ:「あら、この程度は余裕?私も負けていられないわ、グレイブ・ザ・ストーン・ワン!」
スペード:「数増やせばいいもんじゃ・・。」
(なんだこれっ・・さっきより重てェ!)
レンゲ:「私の必殺技は軽いものを浮かせるだけ。だけど・・力を加え続けることで物の重さを増加できる。」
スペード:(っだと・・、だとしたら俺のグラビティブレードの重量でさえもはじき返せなくなる。)
レンゲ:「超必殺技・グレイブ・ザ・ストーン・ツー!」
スペード:「くそっ!」
スペードは後ろにバックしながら攻撃を交わすが・・。
スペード:「完全に相手のペースだな、距離が開けば開くほど俺は攻撃を当てにくくなる。」
(なら・・。)
レンゲ:「Ⅹ技・グレイブ・ザ・・「超必殺技・アメイジングトルネード!」」
レンゲ:「なっ!!」
レンゲの体は強風の中、宙を舞う!
スペード:「Ⅹ技・ユニバースソード!」
ズバババッ!
スペードがアメイジングトルネードを切り裂いてできた無数の真空波がレンゲを直撃する!!
レンゲ:「くぅっっ!なに・・コレっ!!」
スペード:「アメイジングトルネードを引き裂いた真空波攻撃だ、宙に浮いた状態じゃさすがに交わせないだろ?」
レンゲ:「ああああっ!」
スペード:「剣を使うからって何も接近戦しかできないわけじゃない、油断は大敵だぞ。」
夏海:「きゃぁああっ!」
スペード:「あれは・・木嶋の声?!」
タッタッタ!!
夏海:「!ハンターからもらった弾丸が・・。」
(なんで、なんで全然当たらないのよ!)
ネオ:「弾丸たま切れか。」
夏海:「っ!」
天童:「木嶋さん、もうええ。」
夏海:「!・・何言ってるのよ。」
天童:「あいつは背中に隼人を背負っている状態であんたの弾丸をすべて回避しとった、私が人獣化して向かっていったところで勝てる見込みなんてなか。」
夏海:「けど、私たちはあなたを助けるために・・!」
天童:「おおきに。でも、これ以上巻き込むわけにはいかへんよ。」
ネオ:「ほう、自ら。」
天童:「連れて行くとええ、私を。その代わり、彼女にはこれ以上手を出さんどって。」
ネオ:「だ、そうだ・・セイバーズ。」
夏海:「まって!まちなさいよっ!!」
ネオ:「04捕獲完了。」
シュッ。
スペード:「木嶋っ!」
夏海:「スペード・・。」
スペード:「何があった?」
夏海:「KAOSビーストのネオって奴が烈火くんと天童さんを連れて行ったわ。」
スペード:「なっ・・!」
夏海:「私、守りきれなかった。」
スペード:「連れて行かれたなら連れ戻しに行けばいいだけだ。」
夏海:「!」
スペード:「俺はハンターに連絡をする。木嶋、俺たちに立ち止っている時間はない。」
夏海:「!・・うん!!」
北海道。
神風:「奥義・ゴットバード!」
ビシュゥン!
ズバッ!
オメガ:「っ!」
オメガは上半身と下半身を真っ二つにされ、そのまま息を引き取った。
神風:「ふぅ・・・うぐっ!」
(力の使い過ぎか・・けど、KAOSビーストの弱点がこれで分かった・・!)
ゼオ:「情けないですね、オメガ。身柄を拘束できないどころか捕獲対象に返り討ちにされるとは。」
神風:「君は・・。」
ゼオ:「ゼオと申します。本当は01を捕獲することが私の目的だしたが、今は体力を消耗しているあなたを捕えた方が合理的だと判断致しました。」
神風:「ということはKAOSビーストの一人!」
デューク:「待てゼオ。」
ゼオ:「デューク?!」
デューク:「お前は01のところにいけ、こいつは俺がやる。」
ゼオ:「ここで分断する必要性を感じません。02はかつて最高傑作と評された強き人獣、その彼が今は弱ってる・・むしろ2人で確実に捕えてから01のところに向かうべきです。」
デューク:「俺の命令が聞けないのか?」
ゼオ:「今回ばかりは。」
デューク:「そうか、ならば仕方がない。X技・エクストリームハリケーン!!」
ゼオ:「ぐああっ!!」
デューク:「まだ、反論するか?」
ゼオ:「力による支配・・合理的だっ・・!分かりましたよ、言っておきますが私はあなたをリーダーとして認めていません、お忘れなきよう。」
シュッ!
神風:「力で追い返した・・。」
(何者なんだ、こいつ・・。)
デューク:「02、そう気を張るな。」
神風:「なんで僕を助けたんですか?」
デューク:「隠し通すのも骨が折れる。実は・・。」

33話/命がけの覚悟と命がけの総力戦!

竜牙:「大丈夫か、神風!」
神風:「!剣崎くん。」
竜牙:「どうしたんだ?まさか、奴らに何かされたのか?」
神風:「大丈夫!それより、悠斗は?」
竜牙:「ああ、安心しろよ。月影は無事だった。」
神風:「よ、よかったぁ・・。」
ハンター:「ん?足跡がある、誰かここにいたのかい?」
神風:「それなんだけど、デュークと名乗る人獣がさっきまでそこにいた。」
竜牙:「あいつがここにいたのか?!」
神風:「まって!それがその・・彼は味方かもしれない。」
竜牙・ハンター:「「?!」」
神風:「潜入捜査をしているセイバーズ、足速師覇王と名乗っていたよ。」
竜牙:「あいつ、人獣じゃないのか?!」
ハンター:「足速師覇王。僕らや鳥牙がセイバーズになった後になった数名のモンスターセイバーズの一人。討伐したモンスターの数は数百体を超えていると聞いたことがある。」
竜牙:「そんなに強いセイバーズなのか、デュークは。」
ハンター:「いずれにしても彼にもう一度会うべきだ、沖縄に向かおう。」
竜牙・神風:「「沖縄?!」」
ハンター:「僕が独自で調べたんだけど、あいつらはどうも沖縄の大海原に拠点を置いて動いているようだ。」
神風:「拠点を置いているということはそれだけ組織の規模もでかくなってるんだろうね。」
竜牙:「そこにいけばフォルテにも遭遇する。総力戦だな、こりゃあ。」
ハンター:「それと、烈火くんと天童さんが奴らに連れて行かれたらしい。先程銀河くんから連絡があったよ。」
竜牙:「なっ!」
神風:「は、隼人が・・!」
ハンター:「銀河くんと木嶋さんにも沖縄に向かうと伝えてある、向こうで合流しよう。」
月影:「俺も連れていけ。」
神風:「!」
ハンター:「君は・・!」
その様子を遠くから見つめる男が立ちすくむ。
フォルテ:「ほう。」

ネオ:「フォルテ様・・?」
ゼオ:「フォルテ様なら05を牢獄にぶち込みに向かわれた。」
ネオ:「01を捕えるんじゃなかったか?」
フォルテ:「気が変わった。心配はいらないさ、01と02がセイバーズどもを連れてこちらに向かってきてる。」
ネオ:「ふ、フォルテ様・・!」
ゼオ:「迎え撃ちますか?」
フォルテ:「その前に・・。」
デューク:「只今、戻りました。」
フォルテ:「君には失望したよデューク。ゼオから詳細は聞いている、どういうつもりだ?」
デューク:「フッ・・あんたもうすうす気づいてただろ。」
フォルテ:「互い、目的の為に気づいてないフリをするのは大変だったな。」
デューク:「俺はそこそこ楽しめた。」
フォルテ:「笑止。私のしもべ・デュークをどこにやった?」
覇王:「本物のデュークは警察に引き渡してある。そもそも俺は国から依頼を受けているスパイだ、敵に回さない方が身のためだぞ犯罪者。」
フォルテ:「足速師覇王、ここで消しておくか。」
覇王:「呼びにくいだろ、覇王でいい。」
フォルテ:「気に止める必要はない、どうせお前はここで死ぬ。」
ネオ:「デビルチェーン!」
覇王:「Ⅹ技・エクストリームハリケーン!」
シュルルルル!
覇王の巻き起こした強風がデビルチェーンの攻撃をはじく!
覇王:「ここじゃ狭いだろ、ついて来い。」
ネオ:「おい待て!」
ゼオ:「いかが致しますか、フォルテ様?」
フォルテ:「案ずるな、すでに奴が動いている。」
沖縄・拠点付近。
ハンター:「もう少しでやつらの住処に到着するわけだけど、準備はいいいかい?」
神風:「待って!何かが来る・・。」
竜牙:「警備ロボ?!」
デューオ:「我が名はデューオ。侵入者を排除する・・。」
ビシューン!
ドカァァアン!!
竜牙:「うおっ!レーザー?!」
月影:「今のは牽制か、当たればひとたまりもないな。」
デューオ:「デューオミサイル。」
ドカドカドカッ!
スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!」
夏海:「超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」
シュルルルッ!!
デューオのミサイル攻撃を巨大な竜巻が弾き飛ばす!
竜牙:「スペード!夏海!」
スペード:「遅くなった!」
デューオ:「邪魔者は消す、デューオユラ!」
ゴゴゴゴゴッ!
スペード:「うぉっ!」
夏海:「今度は地震?!」
竜牙:「くそっ、動けねェ!!」
神風:「ゴットウイング!」
神風は黄金の翼を生やして空を舞う!
神風:「奥義・ゴットバード!!」
シュッ!ズバババッ!!
デューオ:「ギッガガアッ!!」
ハンター:「木嶋さん、こいつを!」
ハンターは夏海に小型のディスクと弾丸を投げる。
夏海:「な、なにコレ?!」
ハンター:「まだ渡してなかったね、新しい弾丸だ。」
夏海:「!」
ハンター:「この距離なら君の射程圏内のはずだ、神風くんの攻撃で警備ロボの動きが怯んでいるこのチャンスを逃しちゃ駄目だ!」
夏海:「そうだ、私なら余震で動けなくても攻撃できる!」
ガチャッ!
夏海はマーカーとなる小型ディスクを警備ロボに向けて複数個投げつける!
デューオ:「?!」
夏海:「Ⅹ技・第四の弾・爆裂弾!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
ドカァン!ドカァン!
ハンター:「爆裂弾で放った爆発に投げたマーカーは連鎖反応を起こし、四方八方に散らばったマーカーによる小規模の爆発が巻き起こる・・これが木嶋さんの新しい弾丸、爆裂弾だ!」
夏海:「す、すごい威力!」
デューオ:「この攻撃・・・ギギ・・危険と判断・・ギギ・・処理をする。」
スペード:「おい、来るぞ!」
夏海:「竜たちは先に進んで!こんなところで時間を食ってる場合じゃないわ。」
デューオ:「デストロイレーザー!」
ビシューン!
スペード:「Ⅹ技・ユニバースソード!」
ズバババッ!
スペードがアメイジングトルネードを切り裂いてできた無数の真空波とデストロイレーザーがぶつかり合う!!
ドカァァアン!!
夏海:「竜!どんな形であれモンスターが人を苦しめているなら助けたいって言ってたわね、今こそ貫く時よその信念を!」
竜牙:「夏海っ!」
神風:「急ごう、捕まってる隼人たちが心配だ。」
月影:「そうだな。」
ハンター:「剣崎くん!」
竜牙:「ったよ・・こっちは任せたぞ、夏海、スペード!」

竜牙:「どこだ、フォルテの部屋は?」
ハンター:「無数の扉が並んでいるね。」
月影:「・・閉まってるな。」
神風:「うん、全部の扉に鍵がかけられている。」
フォルテ:「よく来たな、セイバーズの諸君。そして・・02と01!!」
神風:「この声っ・・。」
月影:「フォルテか。」
2人が後ろを振り向くと180センチぐらいの長身の男が首に巻いたマフラーをたなびかせ、立っていた。
ハンター:「あれが帝王フォルテ。」
竜牙:「烈火と天童を返せ。」
フォルテ:「単刀直入だな、そいつはできない。が、客人はもてなさないとな。」
ケルベロス:「グォォォッ!」
竜牙:「なん・・だ?」
神風:「3頭身の犬?!」
月影:「随分と手荒い歓迎じゃないか。」
フォルテ:「私の愛犬、ケルベロス。お前たちと同じくナンバーズの人獣だ。」
竜牙:「人間の面影がもうなくなって・・!」
神風:「あれが僕らの行き着く成れの姿か。」
フォルテ:「いけ、06。今日の餌は人間の生肉だぞ!」
神風:「奥義・ゴットバード!」
シュッ!ズバババッ!!
ケルベロス:「グゥ・・。」
神風:「なっ!効いてない?!」
ハンター:「ガイアソード!」
ズバババッ!
ケルベロス:「グゥ・・。」
ハンター:「なんて硬い体をしてるんだ!」
ケルベロス:「グォォォォォツ!!」
ドタドタドタッ!
神風:「こっちに来たっ!」
竜牙:「くそっ、俺も・・!!」
竜牙は鞘からドラゴンソードを抜くが・・。
竜牙:「!」
(そうだった・・俺の剣は刀身がなくなって・・!)
ハンター:「剣崎くんっ!」
竜牙:「!」
ハンター:「君のⅩ技はもう完成してるんだ、剣に意識を集中させろ!!」
竜牙:「は?!くそっ・・分かんねェよどうすりゃ・・。」
竜牙はドラゴンソードを見つめる。
竜牙:「!一か八か・・ドラゴンソード、俺に戦う力を・・。」
ケルベロスは竜牙に向かって突き進んでいく!
神風:「剣崎くん!」
月影:「おい!!」
竜牙はドラゴンソードを鞘に入れ直し、ゆっくりと剣を抜き出す!
竜牙:(イメージが浮かぶ・・これはイナズマドラゴンの時と同じ感覚?!)
ケルベロス:「グォォォッ!!」
シュッ!

竜牙が剣を引き抜くと同時にケルベロスが引き裂かれた!

ドサッ!
ケルベロス:「・・グ・・ッ・・。」
フォルテ:「なっ?!」
ハンター:「完成したね、これが君の新しい力だ。」
(剣を鞘に戻すと同時に念を込めることでドラゴンソードはもう一つ姿に変貌する。頭身が消えていたわけじゃない、刀身は見えなくなっていた・・・・・・・・・だけだ。そして、見えなくなった刀身は念を込めた際に眩い光を放ち、より長くより鋭い光り輝く刀身・・・・・・となって引き抜かれる。これがドラゴンソードで放つⅩ技・・。」
竜牙:「抜刀で放つ俺のⅩ技ッ!ギャラクシーブレード!!」
フォルテ:「バカな、ケルベロスの皮膚を一撃でっ・・!」
神風:「す、すごい・・!」
フォルテ:「こいつは・・危険だ!」
スタッ!
竜牙:「降りてきやがったな、帝王フォルテ!」
フォルテ:「今の一撃で確信したよ、お前は私の計画の妨げになる。」
竜牙:「これ以上、お前の実験を行わせてたまるか。人権が適用されないだと?こいつらはお前の道具じゃない!!」
神風:「!」
月影:「!」
神風:「道具じゃない・・か。」
(ありがとう、剣崎くん。)
フォルテ:「安心しろ、私の掲げた目的はすでに遂行されている。」
竜牙:「なに・・!」
フォルテ:「最強の人獣となった私自身が生まれたことでな!」
全員:「「「?!」」」
フォルテ:「ナンバーズもKAOSビーストも所詮は私が強くなるための試作品でしかなかったわけだ。」

34話/今明かされる人獣の秘密!

フォルテ:「戦う前に教えてやろう、私が何者で、なぜこんな実験を始めたのかを。」
竜牙:「!」
フォルテ:「私はパラレルワールドという別世界から来た生物、お前たちとは異なる生き物だ。」
竜牙:「パラレルワールド?!一体何の話をして・・。」
フォルテ:「私の住むパラレルワールドに存在する民は私のみ。だが、パラレルワールドから行ける世界の情報が流れ込んでくる不思議な世界だった。そういった情報が私の脳内に流れてくるんだよ。」
竜牙:「なんだこいつ、一体何の話を・・。」
ハンター:「ま、まさかパラレルワールドの生物がこの世界に来るなんて・・。」
竜牙:「ハンター、何か知ってるのか?」
ハンター:「い、いや・・なんでもない。」
フォルテ:「強さに飢えていた私は、二つの世界の存在を知ってしまったわけだ。」
ハンター:「!」
フォルテ:「モンスターと呼ばれる怪物が住みつくモンスターワールド。そして人という生き物が住みつく人間界、全く異なる生物たちの世界だ。とっさにイノベーションが起こったわけさ、この2つ生物を組み合わせたらどうなるかな?ってね。」
ハンター:「!それが人獣を生み出すことになったきっかけか。」
竜牙:「モンスター・・ワールド・・?!」



ダイヤ:「ちなみに1つ申し上げるなら、先程のモンスターたちはわたしが呼び寄せました。」

- オーロラマウンテンの地下には化け物の巣らしきものが眠っている。それを目撃した大勢の取材班は行方をくらましている。しかし、この記事は表向きにすることはない。なぜならば、我々は化け物に口止めをされている。このことを外部に広めることを禁ずる。もし、そのようなことがあるならば、我々を一人残らず皆殺しにすると我々はその洞窟を管理しているという男から脅迫された。-



竜牙:(モンスターワールドだと?!ファンタジーの世界じゃあるまいし・・でも、もしそんな世界があるとするなら、光ヶ丘学院で姿を見せた怪物たちやロイヤルストレートフラッシュはそこからやってきたんじゃないのか?!)
フォルテ:「どういう理屈なのかは知らんが、私がこの人間界に降り立った時はすでにモンスターが人間界を彷徨っていたんだよ。この機を逃すまいと私は手当り次第、モンスターを捕獲し、騒ぎにならぬよう親も身元も不明のガキを養護施設から引き取り、実験を始めた。その初代人獣こそがお前たち01、02だ。」
神風:「実験をするためだけ・・ただそれだけのために。」
月影:「こいつ・・。」
フォルテ:「そんな中、奴が現れた。」
竜牙:「?」
フォルテ:「剣崎鳥牙という名のセイバーズがな。」
竜牙:「兄貴?!」
フォルテ:「あいつは私に戦いを申し込んできた。私の力を奪う為に・・。」
ハンター:「フォルテの力を?」
フォルテ:「奴はジョーカーという名の伝説のモンスターの力を使ってきた、そのため私の力が全く歯が立たず、敗北を決してしまい、力も吸い取られてしまった。」
竜牙:「やっぱり・・ジョーカーを取り込んでやがったのか、兄貴のやつ。」
フォルテ:「私は無力となったが、すべてを失ったわけではない。最強の人獣を作り出す実験、こいつを進めていけば、私自身の身体強化をもできると確信した。すべては鳥牙に復讐する為に!そして手に入れた数々の被験体を積み上げていく中でようやく手にしたのだ!この力をっ!!」
竜牙:「事の発端は兄貴のせい・・だってのか。」
フォルテ:「まさかこの力を弟である貴様を倒すために奮うことになるとは思わなかったが。お前の事も調べあげているよ、剣崎竜牙!!」
ハンター:「鳥牙は何の為に力を蓄えているんだ・・。」
竜牙:「バカ兄貴のことなんか知らねェけどよ、理由がどうであれ、己の私利私欲の為に神風たちの人生を滅茶苦茶にしやがったんだ!こいつを俺は許せねェ!!」
フォルテ:「正義の味方気取りか?いいだろう、かかってこい。」
竜牙:「神風、月影!お前たちは捕まってる烈火たちを見つけ出すことを優先して動いてくれ。こいつの相手は俺がする!」
神風:「一人で?!無茶だよ!」
竜牙:「夏海が言ってただろ、こんなところで時間を食ってる場合じゃない!」
月影:「玲、行くぞ。」
神風:「ちょっ、悠斗?!」
月影:「俺たちが隼人たちを見つけ出して、ここに駆けつければいいだけの話だ。」
神風:「!」
月影:「頼んだぞ、セイバーズ!」
竜牙:「オウッ!」
ハンター:「とはいえ、奴の力は未知数だぞ。」
フォルテ:「これも何かの因縁か。あの時の屈辱、弟の貴様にぶつけるとしよう。」
竜牙:「ハンター、お前もあいつらと一緒に行動を。」
ハンター:「ほ、本気かい?!」
竜牙:「気づいたか?神風の背中、異常なほど汗をかいていた。力を使い続けて無理をしている可能性が高い。」
ハンター:「!」
竜牙:「何かあってからじゃ遅い、頼むハンター!」

覇王:「まさか俺の攻撃をすべて見切るとはな。調べあげた情報通り、優秀な能力だ。」
ネオ:「随分と余裕だな、お前の攻撃が当たることはない、このまま体力を削りとってやる。」
覇王:「そいつは慢心って奴だな。超必殺技・プロミネンスカタストロフィ!」
覇王が自身の槍を上に向けると、強烈な太陽光線がネオを襲う!
バァァン!バァァン!バァァン!
ネオ:「広範囲の全体攻撃っ?!!」
覇王:「ブレインスキャンは対象相手の動きを5分間だけ先読みできてなお、初見で能力の仕組みに気づける者はそうそういないだろう。実に有能な能力だが、ネタが割れれば大したことはない。お前のブレインスキャンが発動するのは対象相手を認識している時のみだ。俺のプロミネンスカタストロフィは広範囲の無差別攻撃。俺に意識を向けつつ、この攻撃を回避できるか?」
ネオ:「ぐっ!」
覇王:「5分間、自分に攻撃が当たらない。能力ゆえの油断こそがお前の弱点だ、危険予測を怠ると対応が遅れる。今のお前がいい例だ、アルティメットストリーム!」
ボォォウウウ!!
ネオ:「うがぁぁっ!!」
(くそっ強風で前が見えな・・!)
パシッ、バシッ!!
覇王は地面を蹴り、壁を蹴ってネオの懐に入り込む。
覇王:「お前の意識が俺に向かないように動けば俺の攻撃は当たる、終わりだ!奥義・ロイヤルセイバー!!」
ズバババッ!!
ネオ:「がはっ?!!」
ドサッ!!
ゼオ:「つ、強い・・!」
覇王:「ゼオ、腰が引けてるぞ?」
ゼオ:「くっ・・!」
覇王:「あきらめて降伏したらどうだ?お前は組織の参謀、状況判断や分析は長けるが戦闘力に関してはネオの方が上だ。そのネオは俺に成す術もなくやられたわけだが・・それを理解した上でなお向かってくるというなら俺も容赦はしない。」
ギロッ・・。
ゼオ:「うぐっ・・!なんなんだ・・なんなんだよぉお前は・・!!」
覇王:「質問をしているのは俺だ。で、どうする?」
ゼオ:「くそっ・・その様子だと私と戦った場合の勝つ算段もあるんだろう。降参だよ・・くそっ!」
覇王:「罪を償うんだな。フォルテの奴はどこに向かった?」

35話/剣崎竜牙VS帝王フォルテ

フォルテ:「シューティングバスター!」
竜牙:「イナズマドラゴン!」
ドカァァアン!!
土煙の中、フォルテの攻撃が竜牙に向けて放たれるが・・?!
竜牙:「うおっ!」
ズザザザザッ・・!
交わした反動で竜牙は勢いよく後ろに下がる!
フォルテ:「ほう交わすか、運動神経は人並み以上と見るべきだな。」
竜牙:「攻撃の速度が半端ないな・・とりあえず・・。」
(超必殺技・ドラグアーマー起動!)
竜牙はゆっくりとドラゴンソードを鞘に入れる。
フォルテ:「!竜の鎧?!私の攻撃を警戒したのか?」
竜牙:(とにかく生身のままじゃ駄目だ、守りを固めねェと。隙を見てギャラクシーブレードを放つんだ俺・・!)
フォルテ:「超必殺技・ダークアームブレード!!」
スッ!
竜牙:「消えた?!右っ?!」
ズバババッ!
竜牙:「があああっ!!」
スッ!
フォルテ:「フン!」
竜牙:「今度はひだ・・!」
ズバババッ!
竜牙:「うがあああっ!!」
スッ!
フォルテは右、左とワープしながら剣で数回に渡る攻撃を仕掛けていく・・!
ズババッ!
竜牙:「ぐあああっ!!」
フォルテ:「どうした、その竜の鎧は形だけなのか?」
竜牙:「くぅっ・・。」
(違う、あいつの攻撃、威力も速度もズバ抜けてる?!俺の反応速度の遅れもあるけど、何より鎧の耐久力をあきらかに上回ってる。こりゃあ強ぇなっ!!)
フォルテ:「Ⅹ技・ヘルズローリング!」
フォルテは両手から紫色のリングをつくりだし、地面に向けて投げつけた!
竜牙:「っと、何をする気だ?」
シュルルルッ!!
紫色のリングは回転速度を上げながら地面をえぐりつつ、竜牙に向かっていく!!
竜牙:「!やべェっ!!」
(ハヤブサランニングストームッ!!)
シュゥツ!
フォルテ:「ほう、速度を上げる技も備えていたか。」
竜牙:「ギリギリだった・・くそっ、どうすればあいつに近づける?!」
フォルテ:「数を増やしても逃れられるのか?」
フォルテは両手から先程のリングを6つ作り出す。
竜牙:「!」
フォルテ:「Ⅹ技・ヘルズローリング!」
竜牙:「避けきれねェ!ドラグアーマー・バーストモード!!」
ボォォォォウウ!
バシィッ!バシィィツ!!
竜牙は炎を纏った拳でヘルズローリングを破壊していく!!
フォルテ:「いい判断だ!だがお前の鎧は私がつけた攻撃で脆くなっている。攻撃を受けていくたびに少しずつ鎧が削れていくはずだ。いつまでももたんぞ?」
竜牙:「ハァ、ハァ・・。」
(あいつとの相性、最悪だなこりゃ。接近戦を得意としている俺に対してあいつは遠距離からの攻撃、高速移動からの近距離攻撃、どれもつけいる隙が見当たらねェ。とにかく、打開策を考えねェと。)
フォルテ:「奥義・ダークメシアネオ!」
フォルテは片手から黒い塊をつくりだし、地面に叩きつけた!!
ヒュッ、バシィッ!
竜牙:「今度はなんだ?!」
瞬間、ものすごい風が吹き荒れる!!
ヒュゥゥウゥツ!!
竜牙:「うおっ?!!」
(こいつ、でかい風圧の塊を地面に叩きつけやがったなっ!風で身動きが取れないっ?!!)
竜牙:「はっ?!」
(背後から気配が!!)
フォルテ:「遅いっ!フォルテアナザー!!」
バシンッ!
フォルテの黒い塊を纏った拳で殴りつけられた竜牙は勢いよく壁に激突した!
シュゥッ・・ドカァアン!!
竜牙:「・・がは・・っ!!」
フォルテ:「ん?随分と遅かったな覇王。」
覇王は口を開けた状態で固まっていた。
フォルテ:「剣崎鳥牙の弟はじき壊れる。次はお前の番だ・・。」
覇王:「どこを見ている。」
フォルテ:「あ”?」
覇王:「勝ち誇るにはまだ早い。」
フォルテ:「何を言って・・・・・・・!!」
フォルテが振り向くと竜牙が飛んで間合いを詰めにきていた!
竜牙:「ハヤブサランニングストームからの助走・・そして!!」
ゆっくりとドラゴンソードを鞘から引き抜く・・!
フォルテ:「まずい!」
竜牙:「Ⅹ技・ギャラクシーブレード!!」
ズババッ!!
フォルテ:「あ”ぐっ!!」
竜牙:「畳み掛ける!バーストモード!!」
剣を手にしている反対の手を握り、炎の拳で竜牙はフォルテの顔面を思いっきり殴った!!
バシシィィツ!!
覇王:「上手いっ!」
ドカァン!
土煙の中、フォルテはゆっくりと立ち上がる・・。
フォルテ:「ぐぅっ・・!まさか、まだ動けたとはな。」
竜牙:「ハァ、ハァ・・やっと・・届いた・・・!」
フォルテ:(いくら油断していたとはいえ、あの数秒の隙をついて間合いを詰めに来ていたとは。迂闊だった・・2対1か、コイツは用心しないとな。)
シュッ!
フォルテが動く・・!
竜牙:「覇王!来るぞ!!」
フォルテ:「まずは貴様を葬ってやる、裏切り者の始末はつけさせてもらうぞ?」
覇王:「速い・・!」
フォルテ:「超必殺技・ダークアームブレード!」
覇王:「カイザーデルタブレイカ―!」
槍を使って描いた3つのΔデルタを用いた赤、青、黄の三色の三角形が覇王の周囲を囲う!!
ガキィィィン!!
竜牙:「そうか!360°死角も含めて囲んぢまえば、あのダークアームブレードは届かない!!」
フォルテ:「咄嗟の判断力、やはり惜しい人材だ。」
覇王:「まだこんなものじゃないだろう、本気を出したらどうだ?」
竜牙:「!ま、まだ・・本気じゃないって言うのか・・。」
覇王:「ああ、奴はまだ力を隠している。」
フォルテ:「お望みとあれば仕方がないな。」
ガサッ・・バキッ!バキッ!!
フォルテの皮膚が膨れ上がり、血管が向きだしになっていく・・。
竜牙:「んだよ・・これ・・。」
覇王:「竜牙、あれが奴が人獣の力を解放した真の姿・・。」
フォルテ:「HELLヘルフォルテだ。」
竜牙:「なんだ・・この殺気っ?!!」
フォルテ:「さぁ反逆者どもに終止符を放とう。」
フォルテは両手から両手から黒い輪っかを作り出す。
竜牙:「さっきのリングと色が違う?!」
フォルテ:「Ⅹ技・ヘルリング!」
覇王:「避けろ!そのリングに触れると人獣化してしまう!!」
竜牙:「うおっ?!危ねっ!!」
覇王:「くぅっ!」
2人はどうにか攻撃を回避する!
フォルテ:「いつまでそうしてられるか、お手並み拝見だな。」
竜牙:「くそっ!避けても避けてもキリがない!!」
覇王:「このままじゃ注意力が散乱する。」
竜牙:「くそっ、考えろ・・この状況を打開する策を・・!」


月影:「今のは牽制か、当たればひとたまりもないな。」
デューオ:「デューオミサイル。」
ドカドカドカッ!
スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!」
夏海:「超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」
シュルルルッ!!
デューオのミサイル攻撃を巨大な竜巻が弾き飛ばす!


竜牙:「!この状況、警備ロボの無差別攻撃と似てる。当たれば終わりって面もそのまんまだ・・だったら!!」
覇王:「竜牙?」
竜牙:「ドラグアーマー・バーストモードッ!!」
ボォォォウウ!!
竜牙は再び、竜装に炎を灯す。
フォルテ:「無駄だ。ヘルリングは耐熱性にも優れている、そんな竜装では防げんぞ?」
竜牙:「このままならな。」
フォルテ:「?!」

ハンター:「こんなに分かれ道があるのに迷わずに進めるものかい?」
月影:「大丈夫だ、俺らナンバーズはここで飼われていたんだからな。」
神風:「着いたよ、前に収容されていた部屋と同じならば隼人たちはこの部屋にいるはず。」
ー番号を入力してください。-
神風:「87659421300っと・・。」
ポン。
プシュゥゥ・・。
ハンター:「扉が開いた!」
神風:「行こう。」
タッタッタ・・。
神風:「!」
ゼオ:「!02・・。」
神風:「お前はKAOSビーストのゼオ!」
ハンター:「拘束されている?!一体誰が・・。」
ゼオ:「足速師覇王だよ、してやられた。」
ハンター:「!」
神風:「隼人たちはこの先にいるのか?」
ゼオ:「人の心配をしている余裕なんてあるんですか?」
神風:「なに?」
ゼオ:「そろそろだ。」
神風:「うぐっ?!」
ドサッ!
神風はうずくまる。
ハンター:「神風くん?!」
月影:「どうしたんだ!」
ゼオ:「オメガをご存じですよね、02。」
神風:「くっ・・。」
ゼオ:「オメガの能力、粉散覚醒薬。自身の肉体がなくなると同時に発動する能力です。」
神風:「!」
ゼオ:「ネオと同じく対人獣捕獲用の能力で、自身を攻撃した相手に肉眼ではとらえる事のできないミクロ単位の粉を巻き散らし、相手の肉体に付着させる。付着した者・・とは言っても人獣限定ではありますが、人獣と化した細胞を無理やり活性化させて人獣化を促す。」
神風:「!通りであっさりとやられたわけだ。完全に・・ハメられた!!」
ゼオ:「手術を施してから未だ体が拒絶反応を起こしていない希少種のあなたを捕獲するためには暴走をさせるのが適切と判断し、私が前もってオメガに指示しておいたんですよ。暴走さえすれば、あなたはあなた自身の意志と体が葛藤し、動きが鈍くなる。これは人獣の初期暴走で起こりやすい状態なんですよ。そして我々は知っている、その状態の人獣には最も隙が生じると・・。」
ゼオは頬を釣り上げる。
ハンター:「剣崎くん、君の判断は間違ってなかったよ。これはまずい!」
神風:「っ・・ぐっ!・・あああっ!!」
月影:「玲!くそっ、どうすれば・・!」
ゼオ:「さぁ01、セイバーズよ。これが我らKAOSビースト最後の刺客、神風玲だ!」
神風:「うぐぐっ!ああああっ!!」
神風は目を見開いてハンターと月影の方を向く。
月影:「やる気だぞ、あいつ!」
ハンター:「くっ!症状が悪化する前に彼を止める!!」

36話/ついに決着!放て最強の奥義!!

デューオ:「Ⅹ技・ジャスティスフィスト!」
デューオの拳は巨大化し、夏海とスペードに襲い掛かる!
スペード:「はやっ・・!」
夏海:「下がって!私が迎え撃つ!!」
カチャッ、ガシャアン!
夏海:(密かに練習していた・・火炎弾、水弾、竜巻弾を組み合わせた私だけの技!)
カチッ!
夏海:「トリニティストーム!!」
ボォォォウウ!シュルルウッ!!
デューオ:「なんだ、これは!!」
スペード:「す、すげぇ!」
夏海:「スペード、伏せて!」

ドッカァアアアアアン!!

スペード:「・・・っ!」
(な、何が起こったんだ?!)
夏海:「炎と水が混ざり合うことで起こる水蒸気爆発よ。竜巻弾を混ぜ込んであるから私たちの方向に爆風が流れてくることはないけどね。」
スペード:「お、おっかねぇ・・。」
(あの拳ごと警備ロボを消し炭みにしたのかよ・・。)
夏海:「先を急ぎましょう。」

ボォォォウウ!!
竜牙は再び、竜装に炎を灯す。
フォルテ:「無駄だ。ヘルリングは耐熱性にも優れている、そんな竜装では防げんぞ?」
竜牙:「このままならな。」
フォルテ:「?!」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!!」
ビシュゥン!
竜牙はドラグアーマーの炎を纏った状態でフィールドを縦横無尽に駆け巡る!
覇王:「!そうか、風だ。」
フォルテ:「くっ!爆風でヘルリングを弾き飛ばしているのか。」
(宙に舞うヘルリングと炎で迂闊に近づけない!)
竜牙:「お前がいかに素早くても、俺を目視できなければ攻撃を回避するのは至難の業なんじゃないか?」
竜牙はフォルテの懐に潜り込む!
竜牙:「ドラゴンソード!」
ブスッ!
竜牙はドラゴンソードをフォルテの腹に突き刺す!
フォルテ:「うぐっ!!」
タッ!
そのまま地面を蹴り上げ叫ぶ!
竜牙:「イナズマドラゴン!」
ビリリリッ!!
突き刺したドラゴンソードから電流が流れだす!!
フォルテ:「ぐぁぁっ!」
竜牙:「こっからはあいつ・・・の動きだ。」
竜牙はそのまま蹴り上げた足で突き刺したドラゴンソードを蹴り上げる!!
バシィッ!



竜牙:「イナズマド・・。」
ズパン!
小池は目にも止まらない速さで竜牙のドラゴンソードを蹴り飛ばした!
竜牙:「な、何がおこって・・。」
小池:「剣がなけりゃあ、お前は力を使えねぇ・・。」



フォルテ:「ぐぅぅっ!・・こ、コイツっ!!」
ガシッ!
宙を舞うドラゴンソードを竜牙はキャッチし、鞘に納め、着地時に半身の態勢を取る!
スタッ!
フォルテ:「まずいっ!」
ビリッ!
フォルテ:(くっ!)
フォルテは地ベタに膝をつく!
竜牙:「俺の間合いだ!Ⅹ技・ギャラクシーブレード!!」
スッ・・・ズババッ!!
フォルテ:「がはっ!!」
覇王:「ハハ・・運動神経やべェなあいつ・・。」
ズザザザッ!!
フォルテは切り刻まれた衝撃で勢いよく後ろに下がる!!
フォルテ:「ぐっ・・がはっ・・こいつ・・・!!」
竜牙:「ハァ、ハァ・・。」
フォルテ:「擦切られ過ぎて呼吸もままならん・・なんなんだあいつは・・!」
覇王:「大したもんだ、本当に新米セイバーズか?」
竜牙:「運が良かっただけだよ、次、来るぞ!」
フォルテ:「もう近づけさせん!奥義・ポイズンアーム!!」
毒を帯びた触手がフォルテの背中から抜き出て襲い掛かる!!
覇王:「ロイヤルディフェンス!」
カキンカキン!!
フォルテ:「覇王の盾か・・おのれ~!」
竜牙:「すまねぇ覇王。」
覇王:「竜牙、よほど傷が痛むのか奴は俺たちを近づけたくないみたいだ。広範囲攻撃で畳み掛けてくる可能性がある。隙が生じやすいポイズンアームで攻めてきたのも、俺たちに毒を注入し動きを鈍らせるためだろう。」
フォルテ:「くそっ!くそっ!!」
カキン!カキン!
フォルテはポイズンアームで覇王のロイヤルディフェンスを連続攻撃していく!
フォルテ:「よく出来た盾だ・・私のポイズンアームを全く通さんとは。」
竜牙:「奴も躍起になってる・・!」
覇王:「俺がチャンスをつくる、現時点でお前が放てる高威力の技を放つ準備をしてくれ。」
竜牙:「けど、ギャラクシーブレードは奴に接近しないと・・・あ・・!」
(レイクからもらった秘伝書!この奥義なら・・!!)
竜牙はポケットから秘伝書を取り出す。
覇王:「それは?」
竜牙:「この奥義、発動の仕方がイナズマドラゴンみたいだ。これなら・・できるかも!」
覇王:「まさかとは思うが、一度も発動したことのない技をやる気か?」
竜牙:「ああ。けど、こいつが放てれば奴と距離をとって攻撃できる。やってみる価値はあるはずだ。」
覇王:「チャレンジャーだなおい・・。わかった、ここはお前に賭けよう。」
フォルテ:「本当っ!こんなガキにぃぃっ!!こいつで仕留めてやる!!!」
覇王:「来るぞ!」
フォルテ:「究極必殺技・ダークネスオーバーロード!!」
フォルテが両手を広げると、広間を覆い尽くすほどの大きさを誇る黒い塊がつくりだされていく・・!
竜牙:「んだよ・・・これ・・・っ!」
覇王:「怯むな!」
(奥義・ロイヤルセイバー!)
シュッ!
覇王は叫ぶと同時にフォルテの両手に2本のロイヤルセイバーを投げつけた!!
ガシッ!
ガシッ!
フォルテ:「ぐああっ!!」
覇王:「今だ!」
竜牙:「奥義!!レジェンドラゴン!!」
バシィッ!
竜牙はドラゴンソードを思いっきり地面に叩きつけた!
「グォォォォォ!!」
割れた地面から巨大な竜を用いた青き衝撃波が目にも止まらない速さでフォルテに突き刺さる!!
フォルテ:「ああああああああああああああああっ!!!」
巨大な爆発と共にフォルテが地面に落下する!
ドサッ!!
フォルテ:「きょ・・だい・・そろ・・て・・よくも・・!」
バタン。
竜牙:「はぁ・・はぁ・・。」
覇王:「お前の負けだ、フォルテ。」
フォルテ:「ハッ・・。」
(この恨み・・いつか必ず・・。)
シュッ!!
竜牙:「!なっ消えた・・?!!」
覇王:「テレポーテーション・・。くそっ、油断したな。」

月影:「超必殺技・バニシングナックル!」
神風:「X技・ヘブン・ザ・キャノン・・。」
月影:「ちぃっ!」
月影は攻撃を止め、神風の攻撃を回避する!
ハンター:「スピードも攻撃力も桁違いだ、これが人獣の力をすべて解放した神風くんの力・・!」
月影:「くそっ、人獣化でもしないと今の玲相手じゃ渡り合うことすら叶わないか。未完成だが暴走するリスクを抑えるには究極必殺技を発動するしかねぇ。」
ゼオ:「イイィ、イイ~よぉ・・02ゥ!」
(圧倒的不利な状況から奴らを追いこんでいくこの優越感。たまんねぇ!!)
神風:「うがぁああぁ・・ぐぅぅぅ!」
月影:「!・・抵抗してるのか、人獣の力に。」
ハンター:「神風くん・・くそっ!どうすれば・・。」
ゼオ:「まだ刃向う意思があるのか、最早私の駒になる以外の道は残されてないというのに!」
神風:「うぐぅぅぅ・・だ・・・れ。」
ゼオ:「あ”?」
神風:「だぁぁぁまぁああああれぇぇぇええ!!」
ビクッ!
ゼオ:「ヒィィッ!」
烈火:「れ・・玲。」
ハンター:「!烈火君、どうして・・。」
烈火:「おとなしくしてられっかよ、静と敦と協力して脱獄してきた。」
天童:「何してはるの、玲・・。」
武道:「暴走してる?!」
スタッ!
烈火は神風の元に駆け出す!
天童:「隼人?!」
烈火:「お前が暴走しねェように、一緒にいようって決めてたのに俺は・・俺は!」
神風:「はや・・・とぉぉぉぉおお!!」
烈火:「キラークローォォッ!」
バシィッ!
烈火:「ぐあっ!」
神風:「にげ・・はや・・と・・!!」
神風のゴットハンドが烈火に襲い掛かる!
烈火:「くっ!!」
ハンター:「させないよ!オールデリートバリア!!」
ハンターが烈火の前に立つと球体型の水色のバリアが2人を包み込む。
バシィッ!
神風:「ハン・・た・・ぐぅぅうっ?!」
神風はうずくまる。
烈火:「お前っ・・。」
ハンター:「君は馬鹿か?!今の彼は自分の意志で力をコントロールできていない。無策のまま突っ込むなんて死に急ぐようなものだ!!」
烈火:「っ・・!」



竜牙:「へっ、半年前までの俺なら身を引いていたかもしれない。そんなことやってられるか!ってよ。けど今は違う。どんな形であれモンスターが人を苦しめているなら俺は助けたい、俺の原点はこれなんだ。」

竜牙はドラゴンソードを烈火に向ける。
竜牙:「お前はお前の考えで動いてるんだろ、その上で俺たちが関わると面倒だと考えているのかもしれないが、俺たちにだって戦う理由がある。それを邪魔するなら容赦はしない。」


烈火はハンターの肩に手を置く。
烈火:「剣崎のやつが言ってたんだ、戦う理由があるってよ。俺にもあるんだ、そういう原点ってやつが。」
ハンター:「何を言って・・。」
烈火:「俺はこの力を玲や悠斗、静や敦を追っ手から守る為に使いこなすって決めたんだ。だからよ、少しでも制御できるように一人で修行をしてた、玲と違って体中がアザだらけだったのはそれが理由だ。だからっ!」
ガシッ!
烈火はハンターの肩を強く掴み直す!
ハンター:「痛っ!」
烈火:「俺を!止めんじゃねェ!!俺を突き動かしてるのは俺の原点ってやつなんだよ!!友達が目の前で苦しんでんのに、立ち上がらなくてどうするんだっ!!」
ハンター:「っ・・!」
ハンターはオールデリートバリアを解く!
烈火:「うぉぉぉぉっ!!」
烈火は駆け出す!!
月影:「隼人・・っ!」
武道:「いけ・・。」
ゴクッ。
武道:「いけぇぇっ隼人ぉぉぉっ!」
烈火:「Ⅹ技・ヘビィテール!!」
(剣崎、俺はお前の事が気に食わねぇ・・プライドが高いとか身内揉めに巻き込みたくないとかじゃねぇんだ、お前を見てると忘れかけていた大事なモンを思い出すんだよ!やつらから逃げ回っていた俺にとってそいつは苦で仕方がなかった。けど!お前が人獣に立ち向かう為に必死に修行している姿を見て、俺も立ち向かわねェとって思えたんだ!覇王と協力してやつらの居場所や動きを突き止めたのもそのためなんだ!)
バシィィッ!
神風:「うぐぅっ!!」
烈火:「モンスターファング!!」
ズバババッ!
神風:「ぐはっ!」
(隼人の動きが速すぎて目で追えない?!)
ハンター:「凄い・・!・・人獣化した神風くんの反応速度を上回っている・・!」
ゼオ:「ば、バカな!!・・02が03に・・半人獣化の力に押し負けているなんてっ・・!」
天童:「あれは火事場の馬鹿力や、隼人の強い思いが体を突き動かしとるんとちゃいますか?」
ゼオ:「だとしても規格外すぎるだろ・・何がどうなってるんだ!!」
天童:「数字で測れるわけがない、誰かを思う気持ちはな他人のものさしでは測れはせんよ!!」
ゼオ:「くっ・・!」
烈火:「辛かったよな?俺たちを助けるために人獣の力を使って戦ってきたんだろ・・友達が自らの命を危険に晒して戦ってたってのに・・おれは・・ほんとっに情けねぇ・・!」
(剣崎・・ありがとな、お前のおかげで俺は俺の原点に立ち直れたんだ!)
烈火:「出し惜しみしてる場合じゃねぇ!奥義・カオスアーム!!」
月影:「!あいつ完全に人獣化しやがった!!」
烈火:「ちぃと痛てぇけど我慢してくれよ、玲。」
烈火は拳を握りしめる・・すると・・?

神風:「はや・・と・・。」

神風は笑顔を見せる。

烈火:「っ!!・・すぐに戻してやる。いくぞっ!」
瞬間、烈火の拳が神風の腹に直撃する!
烈火:「いけぇぇぇえええっ!!」
バッシィィィイイイン!!
烈火の拳が神風を地面に叩きつける!!
神風:「っ・・がはっ!」
烈火:「ハァ・・ハァ・・人獣の細胞は強い衝撃に弱い。これで元に戻るはずだ・・。」
ゼオ:「は・・はは・・。バカじゃねぇのか?!あんな攻撃を受けて無事でいられるわけがない!!」
天童:「フン!」
バシィィッ!
ゼオ:「うぐっ?!」
天童:「少し黙ろか?」
天童の裏拳が頭を強く打ち、ゼオは気を失う。
烈火:「急いで・・玲を・・病院に・・。」
覇王:「救急車は手配している。」
竜牙:「強い衝撃・・なるほどな、人獣の細胞が元に戻る前にフォルテは戦線を離脱したわけか、合点がいった。」
ハンター:「覇王?!・・と剣崎くん?!」
ハンターが顔を上げると、覇王に担がれた竜牙が姿を現す。
竜牙:「ハァハァ・・これで・・しまいだ。」
烈火:「ボロボロだな・・。」
竜牙:「そりゃ・・お前もな・・。」
烈火:「玲は・・無事だろうか・・俺は「まてまて、それ以上言うな。」」
竜牙:「友達の為にお前は拳を振ったんだ。今は神風の無事を祈ろう。」
烈火:「剣崎・・。」
烈火の目から涙がこぼれ落ちる。
烈火:「グスッ・・ありがとぅ・・くそっ!目が・・。」
竜牙:「ははっ、なんだよそれ!」
烈火:「う、うるせぇっ!」
月影:「フッ・・。」
天童:「目が・・なんやろうなぁ?」
武道:「泣きたい時は泣いていいんだぞ?」
烈火:「うるせぇっ!!」

それから俺たちは各々の病院に運ばれた。ナンバーズのみんなは幸い軽傷で烈火と神風以外はすぐ退院できたものの、警察の取り調べを受けたりして大変だったらしい。モンスターや人獣の事を話せば国を揺るがすほどの大事件になりうる恐れがある為、公表はしていないみたいだが、今回の事件をきっかけにモンスターという未知の怪物の存在を認知し始めた者も中にはいるようだ。

3週間後。
青空病院。
ハンター:「剣崎くん、木嶋さん、銀河くん。調子はどうだい?」
夏海:「どうもこうもないわよ、両親から怒鳴られるわ、学院には登校できないわで散々よ。」
竜牙:「院長からもまた君たちかって飽きられていたしよ。」
ハンター:「まぁまぁ・・。」
スペード:「それで、神風たちはどうなったんだ?」
ハンター:「うん、気になるよね。だからこいつを預かってきた。」
夏海:「手紙?」
竜牙は封を開ける。

― モンスターセイバーズへ
体の具合はどうだ?玲の事なんだけど、あいつは奇跡的に一命を取り留めた。とはいえ、しばらくは入院生活が続きそうだ。でも動かなきゃあいつは自分を失って暴走していたと思う。だからどういった形であれ、あいつが助かったのはお前たちセイバーズが一緒に戦ってくれたおかげだと俺は思っている。剣崎、これからお前にはより多くの敵が立ちはだかると思う。それでもお前は変わることなくお前の原点を貫いてほしい。お前の強い想いに俺は奮い立たされたんだ。お前たちと会えてよかった、また会える時を楽しみにしている。
烈火隼人より ー

ハンター:「彼らは沖縄に残ったよ。収容されていた人獣たちと共に拠点を作り変えて1つの里にしようと頑張っているみたいだ。人獣の力に関しては残念ながら消えてはいない、けど自分の意志で力を制御できるようになったみたいでね、その力を使って今は復興活動をしているよ。」
夏海:「神風くん、無事だったんだね。よかった~。」
スペード:「どうした剣崎?」
竜牙:「俺の強い想いに奮い立たされた・・烈火からそんな言葉が出るなんて。」
ハンター:「人の心を動かすのもまた人の心なのかもしれないね。」
竜牙:「いつか小池の心も動かせるたらいいんだけどな・・。」
夏海:「な~にしんみりしちゃってんのよ、らしくないわね。」
竜牙:「な、なんだよ・・。」
夏海:「誰かを守る為なら危険を顧みないのが竜じゃない、頭で考えるなんてらしくないわ。」
竜牙:「んだよそれ・・。」
スペード:「人には役割というものがある。お前は、お前にしかやれないことをやればいいんじゃないのか?」
竜牙:「スペード・・。」
ハンター:「いい仲間を持ったね、剣崎くん。」
竜牙:「俺、脳筋みたいな扱いされてて複雑なんだけど。」
ハンター:「ああ、言い忘れていたけど、フォルテは覇王のツテの元、匿名で全国から指名手配がかかっている。あの怪我で迂闊に動き回れないはずだ。後は警察の方々に任せよう、僕らの出る幕じゃないよ。」
スペード:「そうだな、深追いは禁物だ。」

37話/あなたへの想いを言葉に

竜牙:「ふぅ、やっと退院だぜ。」
夏海:「長かったわね。」
速水:「後遺症も残らず、お二人とも無事に退院できて何よりです。」
竜牙:「見舞いサンキューな、速水。」
市原:「竜牙!」
竜牙:「勇太郎!来てくれたのか。」
市原は竜牙の元に駆け寄る。
市原:「俺だけじゃないぜ。」
橘:「剣崎ーっ!心配したぞ!」
夏海:「っていいながらなんで私の方に向かってくるのよっ!」
バシッ、バシッ、ドカッ!!
橘:「う~っ、久々の鉄槌・・これはこれで・・。」
夏海:「・・やっていい?」
橘:「い・・いちはら・・。」
市原:「ナチュラルに銃口を突きつけるの止めなさい、ここ一応病院の前だからな?」
桜:「元気ハツラツね、夏海。」
夏海:「あ~っ、優香!」
桜:「もうっ!心配したんだから。」
夏海:「ごめん~。」
桜:「先輩、痛いところとかありませんか?」
竜牙:「ああ、心配かけたな。」
桜:「良かった、本当に・・よかった。」
竜牙:「あ・・。」
桜:「あれ、私・・。」
夏海:「優香、涙が・・。」


夏海:「あなたがいなくなる事で悲しむ人だっているのよ・・。」

・・俺は夏海の言葉を思い出してしまった、涙を流す桜に俺はかける言葉が見つからなかった。

後日、生徒会室。
竜牙:「どうしたんだ?わざわざ休日に呼び出すなんて。」
夏海:「ごめんね、でもお話したいことがあったの。大事な話なの、だからその・・ちょっと生徒会長の権限を使って、ここを貸切っちゃった。」
竜牙:「ま、まじかよ・・あ、あれか?モンスターに関する話か?」
夏海:「私ね、この生徒会室が好きなんだ。光ヶ丘学院の屋上より少し高い位置にあるこの生徒会室から見渡す景色、私はここに立ちたくて生徒会に入ったの。」
竜牙:「俺の問いかけはスルーかよ、ってか職務乱用だぞ・・。」
夏海:「デリカシーがないわね、そういう知識はあるのになんで頭は悪いのかしら。ほら!特別に見せてあげるわ、こっちに来て。」
竜牙:「ま~た軽くディスりやがったな・・ったく・・。」
竜牙は夏海の元に足を運ぶ。
竜牙:「!す、すげェ・・なんだこの景色。」
夏海:「観覧車から見た景色に負けてないでしょ?」
竜牙:「これが生徒会の特権ってやつか・・。にしてもすげェ!」
夏海:「うん・・。」
(やっぱりここなら勇気が出る。)
竜牙:「夏海?」
夏海は拳を握りしめ、竜牙の方を振り向く。



桜:「同じ人を好きになったってしょーがないよ。それだけ先輩が魅力的だってことでしょ?」

神谷:「もしかして・・他に好きな人でもいるのかなぁ、はぁ~。」



夏海:(ずっと・・モヤモヤしてた。あなたはじゃない、ましてや私の所有物なんかでもないわ。でも、もし優香と付き合うことになったら?朱里との婚約が正式に決まってしまったら?私の知らない誰かを竜が好きになったりしたら?そんなこと・・考えるだけで胸が張り裂けそうになる。片思いの期間だと私は優香にも朱里にも劣る、でも剣崎竜牙を知っているという面なら二人には負けない自信がある。一番近くで、幼い頃からずっとみてきた。竜の良さはイケメンだとか・・運動神経がズバ抜けているとか・・そんな表面上の良さだけじゃない。)
夏海:「私はっ・・!・・・り・・ゅうのこ・・。」
竜牙:「?」
夏海は大きく息を吸った。
夏海:(落ち着いて!深呼吸よ・・決めたんだから。)
竜牙:「夏海、大丈夫か?」
夏海:「あ・・。」

顔を上げたら・・目が合ってしまった。

「あなたの事が好き。」

竜牙:「・・えっ?!」
夏海:「!あ・・。」
(あれ・・私、告った?!あれ・・こ、このままじゃまずいわ。伝えなきゃ!)
竜牙は身動き一つ取らず、固まっている。
夏海:「えっと・・。困っている人を・・なりふり構わず助けようとする・・そう!私はあなたの優しさに・・。」
竜牙:「・・・。」
夏海:「・・惹かれました。私と・・付き合ってくださ・・い。」
夏海は頭を下げたまま顔を上げようとしない・・。
夏海:(ーーーーーっ!!//か、顔を上げられない・・っ・・!)
竜牙:「えっと・・。」
(あれ、なんだ・・・え、どういうこと?お、落ち着け俺・・とにかく・・とりあえず!)
竜牙:「と、とりあえず・・考える時間をもらえると助かる・・ります。」
スッ!
夏海は即座に顔を上げる!
夏海:「あ・・だ、だよね!ご、ごめんね!」
タッタッタ!
夏海は猛スピードで生徒会室を飛び出した!
竜牙:「夏海が・・俺の事を好き?・・え・・?」
・・・・。
竜牙:「えええええええええええっ?!!」

覇王:「フォルテにこれ以上、次元の狭間を生じさせない為に俺はやつのところに潜入したわけだが、すでに手遅れだったようだ。」
ハンター:「人獣の事件は円満とまではいかないが解決したじゃないか、それに次元の狭間というものは何を差しているんだい?」
覇王:「事件自体は解決したが、奴はパラレルワールドを通して様々な世界を行き来きできる。それが理由なのかは分からんが、全国各地でモンスターの出現が確認された。」
ハンター:「なんだって!」
覇王:「フォルテがパラレルワールドを通して人間界にやってきたせいで、歪みが生じたみたいだ。その歪みを麒麟は次元の狭間と呼んでいる。」
ハンター:「それが次元の狭間か。」
覇王:「かつてセントラル王国で出没した穴と同等のものとみて間違いなさそうだ。5年前、お前たちキングダムセイバーズが閉じたあの穴だ。」
ハンター:「おいおい、セントラル王国の時と同様の穴なら・・さらに増えていく可能性があるぞ!」
覇王:「ああ。今存在しているモンスターセイバーズだけでは、これから増え続けるであろう次元の狭間。そして、その穴を通して姿を現すモンスターたちにいずれ対抗できなくなる恐れがある。」
ハンター:「分かっているとは思うが、剣崎くんたちはまだ高校生だ。いくら何でも全国で出没し始めたモンスターを討伐することまでは任せられないぞ?」
覇王:「話は最後まで聞いてくれ。だからこそ麒麟は全国各地でモンスターセイバーズを増やす方針を定めたようだ。」
ハンター:「!」
覇王:「竜牙たちの功績は俺の方から報告させてもらった。そのこともあってか、新米セイバーズたちのほとんどは高校生だ。」
ハンター:「おいおい、本気か。」
覇王:「若さゆえの発想、運動神経、知識、機転を考慮した上での決断らしい。そしてその新米セイバーズたちには、これから迫りくる脅威に立ち向かうための力をなるべく早い段階で身につけてもらわなければならない。お前ならどうする?」
ハンター:「そりゃ戦う力を身につけたいなら、より実戦形式でその子らを戦わせれば・・・まさか?」
覇王:「そのまさかだ。セイバーズによるセイバーズの為の全国大会を始めるようだ、参加者全員の潜在能力の向上を量る為にな。開催時期は今春の予定らしい。」
ハンター:「!それは・・ぞくぞくするねぇ。けど、そんな都合よく参加者が集まるのかい?」
覇王:「優勝賞金は1億5千万だ。」
ハンター:「え?!ええええっ!!」
覇王:「国を守る狩人を育成するための大会だ、それ相応の金額は出さないとな。これだけの大金ならいくらか人も集まるんじゃないか?」
ハンター:「どこからそんな大金を。」
覇王:「セントラル王国からの支援金の一部だ。かつて国を守ってくれたモンスターセイバーズに恩返しがしたいんだとよ。」
ハンター:「!・・国王は相変わらず寛大な人だな。」
覇王:「竜牙たちにもできれば参加してもらいたい、頼めるか?」
ハンター:「了解。君も参加するのかい?」
覇王:「ベテランセイバーズも参加するらしい、俺も参加して力をつけようと思ってる。」
ハンター:「よし!僕も・・「無理だぞ。」」
覇王:「初代モンスターセイバーズ・・そう、ハンターを初めとするキングダムセイバーズは実力が違いすぎる。参加は容認できないそうだ。」
ハンター:「そ、そんなぁ。」
覇王:「ハンターたちキングダムセイバーズには全国各地に散らばってほしいそうだ。モンスターセイバーズの育成に専念してほしいんだと。」
ハンター:「分かった、みんなにはそう伝えておくよ。」

~to be continued


番外編03/スペードのその後、今こそ生まれ変わる時!

草原広場・地下空洞
スペード:「完敗だ・・剣崎。」
竜牙:「お前!まだ・・。」
スペード:「安心しろよ、もう動けねぇ・・。この先には王の間がある、この・・地下空洞の奥だ。」
夏海:「それって・・!
スペード:「ジョーカー様と渡り合う自信があるなら行けよ。」
竜牙:「なにっ?!」
夏海:「ジョーカーって目覚めたの?」
スペード:「上半身だ・・けだがな。」
竜牙:「行こう、夏海。このまま放置はできねぇ!」
スペード:「ここから先は・・お前たちの意志で・・進むべきかどうかを決めろ・・。」
竜牙:「進むさ、ありがとなスペード。」
夏海:「だから、待ちなさいって!少しは休まないと!!」
スペード:「・・・。」
(ありがとうか・・。)
ハンター:「大丈夫かい、スペード君。」
スペード:「!お前は確か・・キングダムセイバーズの。」
ハンター:「ハンターだ、よろしくね。」
スペード:「ごほっ!伝説のセイバーズが・・何の用だ?」
ハンター:「少々調べさせてもらったよ。銀河くんと呼んだ方がいいのかな?」
スペード:「!・・俺の本名を・・。」
ハンター:「調べていく中である事実が浮上した。それは、君がロイヤルストレートフラッシュのメンバーでありながら、モンスターではなく人間だということ。なぜ君はモンスターである彼らに加担しているんだい?」
スペード:「・・今から1年ほど前の話だ。俺には花音麗華という幼馴染みがいたんだけどよ、ある日・・得体の知れない生物に花音が襲われた。」
ハンター:「モンスター・・のことかい?」
スペード:「ああ。花音とは犬猿の仲ってやつだけど、流石に見て見ぬフリはできなかったよ。とにかく、怪物から逃げる為に、花音を担いで俺は付近にある病院まで必死に走った。幸い、怪物のやつが追ってくる事もなく、俺はどうにか花音を病院まで送り届けることができたんだが・・自分の非力さを悔やみに悔やんだ。何もできなかったってな・・。」
ハンター:「・・・。」
スペード:「花音が退院する時によ、よりにもよって例のモンスターと出くわしてしまった。そんな時に助けてくれたのがロイヤルストレートフラッシュの連中だったわけだ。」
ハンター:「彼らが・・助けた?」
スペード:「当時、奴らのリーダーだったダイヤにジョーカー様が復活するまで俺たちの力になってくれないか?と誘いを受けた。助けてもらった恩もあったが、何よりこいつらについていけば強くなれるかもしれないという俺の目論みもあって、俺は・・かつて剣崎鳥牙に討たれ戦死したメンバーの一人、スペードとしてあいつらの仲間に加わったんだ。」
ハンター:「それがロイヤルストレートフラッシュに加入した経緯だったのか。けど、彼らもまたモンスターだ。そもそも一般人がモンスターに対抗できるわけがないだろう。」
スペード:「そりゃ承知の上だったぜ、けどよ・・花音の命を救ってもらったんだ。受けた恩はきちんと返したい、俺はそういうの大事にしてんだ。だから俺はロイヤルストレートフラッシュに加入してから毎日修行をした。戦死したスペードってやつの能力を特殊な手術を施して、体の中に取り入れたんだ。」
ハンター:「改造人間ってやつか。」
スペード:「おかげで俺は強くなった。けど・・負けっちまった、剣崎に。」
ハンター:「戦った君の目から見てどうだった?剣崎くんの実力は・・。」
スペード:「発想も機転もすげぇ、何より体の動きに無駄がなかった。けどよ、ジョーカー様には届かないと思う。俺との戦いで見せた力が今あいつが出せる精一杯、100パーセントだと俺は感じた。違うか?もしそうだとしたら早く止めに行った方がいい。下手したら死ぬぞ、あいつ。」
ハンター:「いや、ちょうどいい機会だ。勝手な判断で実力差のある敵の手中に入り込んだのは彼らだ、僕は手を出さない、負けを知ることも時には必要だからね。」
スペード:「なるほど、伝説のセイバーズは経験値が違うな。ま、俺が心配するってのもおかしな話だな、俺は化け物の復活に手を貸した共犯者ってやつだ。」
ハンター:「君は君の信念のもと、行動を起こした。確かに犯した罪は消えない、自覚していながら奴らに力を貸したならば罪を償うべきだと僕は思う。」
スペード:「・・言われなくても分かってるよ、ほとぼりが冷めたら警察に自主するつもりでいたさ。」
ハンター:「それをされるとモンスターの存在がマスコミから世間に広まって大騒動になる。だから!」
ハンターはスペードに手を伸ばす。
スペード:「?」
ハンター:「君の強い信念と恩義にセイバーズの素質を感じた。君が手に入れたその力を今度はモンスターセイバーズとして生かしてみないか?」
スペード:「俺がセイバーズに?ハハ・・冗談でも言っていいことと悪いことがあるだろ。」
ハンター:「冗談じゃないよ。・・僕は本気だ。」
スペード:「俺は剣崎を殺そうとしたんだ、そんな奴を人々を守るセイバーズにスカウトするなんて・・お前、いかれてるよ。」
ハンター:「罪を償うんじゃなかったかい?」
スペード:「!」
ハンター:「ありきたりな台詞だけど、未来ならまだ変えられる。そうだろ?」
スペード:「なるほどな、セイバーズとして俺の力を奮う場を与えるから、犯した罪を帳消しにするぐらいの人々を救えってことか?」
ハンター:「違うよ。」
スペード:「なにがちがうってんだ?」
ハンター:「もう一度人として人生をやり直してほしいんだ、君に。このままだと君はその責任感からずっと自分を責め続けるはずだ。ならいっそ、矛先をを自分にではなくモンスターに向けてほしいんだよ。君の人生の進むべき方向を変えてしまったモンスターと言う存在に。」
スペード:「けど・・俺は・・。」
ハンター:「怪物から幼馴染みを救い出すために一生懸命走ったって言ってただろ?一度、道を踏み間違えたからって足を止めるなよ、方向転換してもう一度踏み出せばいいじゃないか!・・・君は何の為に力を求めたんだ?」
スペード:「それは自分自身の為だ、逃げずに立ち向かう強さがほしかった・・。」
ハンター:「だから君は過去の自分を超えようと努力し、強くなったのか。だったら尚更だよ、今度は未来の自分と向き合ってみないか?」
スペード:「もう一度やり直すために・・か。」
スペードはハンターの手を取った・・!
スペード:「くそっ!そこまで言われてよ・・座り込んでいるわけにもいかなねぇじゃんか。」
ハンター:「手を取ってくれてありがとう。これを。」
スペード:「これは?」
ハンター:「僕の仲間がかつて作り上げた技、それを習得するための修行方法が載っている。これを君がセイバーズになる為に踏み出す第一歩にしよう。」
スペード:「新しい・・技!」

番外編04/ついに完成!新必殺技!!物語は繋がっていく

翌日。
スペード:「剣崎たち、敗れたのか。」
ハンター:「君の予想通りだった、今は病室で3人とも寝込んでるよ。」
スペード:「そうか。」
ハンター:「必殺技の修行は進んでいるかい?」
スペード:「まだアメイジングトルネードの力を調整できてない、この技を発動するためにはグラビティブレードが耐久できる程度までアメイジングトルネードの力を微調整しなきゃいけないみたいだ。」
ハンター:「まぁ、同じ修行方法でも技を発動するために使用している技がロイと違うからね。」
スペード:「ロイ?」
ハンター:「ロイ・ターマー。その技を生み出したキングダムセイバーズだ。僕らはロイと呼んでいる。彼は自らが作り上げた君のアメイジングトルネードのような技に、槍をつかってユニバースソードを発動していた。」
スペード:「槍を使って発動していたなら、ソードじゃなくてスピアーって名づけた方があってたんじゃないのか?」
ハンター:「ユニバースソードを使ってモンスターを引き裂くと剣で引き裂いたような切れ味がでる。だからロイはソードをという名前をあえてつけたって言っていたなぁ。」
スペード:「剣で引き裂いたような切れ味がでるのか・・それほどまでの殺傷力がユニバースソードにはあるって事だよな。」
ハンター:「そういうことになる。習得できれば間違いなく君の力になるはずだ。」
スペード:「ああ、やってやるさ。」
ハンター:「そういえば学院の編入試験は受けたのかい?」
スペード:「ああ。色々考えたけど、セイバーズになる以上光ヶ丘学院に在籍していた方が色々と都合がいいからな。偏差値の面から見ても俺が今通っている西峰高校と大差ねぇし、親に承諾もらって編入することにしたわ。」
ハンター:「さすがに東大進学を目標にしている天才なだけはある。」
スペード:「お、俺の学力まで調べていたのかよ。」
ハンター:「情報収集はおてのものだよ。」
スペード:「何者だよ、ほんと・・。とにかく、ユニバースソードが完成したらまた連絡する。」
ハンター:「楽しみにしてるよ。」
1週間後。
スペードは亀のような容姿をしたモンスターと対峙していた。
スペード:「まさか、ここでモンスターと出くわすなんてな。」
モンスター:「ギシャアウウ!」
スペード:「グラビティブレードッ!」
スペードは剣を振り下ろすが・・?
カキッ・・!
スペード:「!ウソだろ・・グラビティブレードの重さにびくともしない・・っ。」
(なんだ、こいつの体・・ダイヤモンドかよっ!)
モンスター:「ギシャアウウ!」
ズバババッ!
スペード:「ぐあああっ?!」
モンスターの長い爪がスペードの体を引き裂いた!
スペード:「くそっ・・。」
スペードはグラビティブレードを持ち直す。
スペード:「お前を引き裂くには首元を狙うしかないようだな、他の部位は異常なほど硬てェしよ。」
(グラビティブレードの重圧斬撃に耐久する皮膚だ。ヘビィドラゴンやアメイジングトルネードじゃ急所を狙えない、どうすれば・・。)
モンスター:「ギシャアウウ!」
シュッ!
スペード:「うおっ!」
スカッ!
スペードはモンスターの一撃を交わす!
スペード:「あぶな・・・・!」
(こいつの皮膚、欠けている?!俺の斬撃が全然効いていなかったわけじゃないってことか?)
モンスター:「グルルル・・。」
スペード:「つまり、奴の皮膚にも耐久出来る限度があるってことか。なら・・。」
(超必殺技・アメイジングトルネード!)
バシィッ!シュルルルルッ!!
スペードがグラビティブレードを地面に叩きつけると、アメイジングトルネードが発動した!
スペード:「一か八か・・くらえ!Ⅹ技・・。」
スペードは猛スピードで竜巻弾を引き裂く!
スペード:「ユニバースソード!!」
ズバババッ!
モンスター:「ギシャァァアアアアッ!!!」
アメイジングトルネードを切り裂いてできた無数の真空波がモンスターを直撃する!!
スペード:「やった・・?痛っ!」
スペードは傷を抑えながら倒れたモンスターの元に歩みよる。
スペード:「剣で引き裂いたような跡・・これのことか!ということは・・。」
それから数カ月後・・。
ハンター:「うん、間違いなくユニバースソードだ。数か月間でよくここまで仕上げたね。」
スペード:「あの時みてぇによ、逃げずに立ち向かいたいんだ。今度は、今の自分を超えるために俺はセイバーズとして戦う。新しい人生を歩む為に、常に自分の100%を超えていきたいんだ。だからここでつまづくわけにはいかねぇんだ!」
スペードは拳を強く握る。
ハンター:「うん!」
(そうだよ。君はずっと自分の過去と向き合っていたんだろう、けどそれじゃあいつまで経っても前に進めない。過去は変えることができない、けど今の自分を変えていくことはできる。)
スペード:「これからよろしく頼むぜ。そういえば話があるって言っていたな?」
ハンター:「うん、そうなんだ。単刀直入に申し上げると力を貸してほしい。」
スペード:「?」
ハンター:「新たな強敵を前に戦力が不足しているんだ。剣崎くんたちと共に戦ってくれないか?」
スペード:「復帰早々、大変だなあいつらも。いいぜ、俺でよければ。」
この日をきっかけに俺はセイバーズとして剣崎たちと共に戦っていくことになる。新しい人生を歩む為、俺は今の自分を超えていく・・これからも!!

銀河スペード過去編 THEEND
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