モンスターセイバーズ

短髪

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108話~119話 四聖獣編

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108話/最強の助っ人たち!戦わなければ生き残れない!!

瓜生:「Ⅹ技・レッドアイズノヴァ!!」
瓜生は巨大な血液の塊をロードエンペラーナイトに投げつけた!
ロードエンペラーナイト:「ペガサスフリーザー!!」
カチカチカチ!!
瓜生:「チッ!こいつも技を凍結させる力を備えてるのか。」
(けどな。)
ズバズバッ!!
ロードエンペラーナイト:「ぐっ・・はっ!!」
ロードエンペラーナイトは血反吐を吐く。
瓜生:「ヒャッヒャッヒャ・・奥義・レッドアイズスラッシュ。」
ロードエンペラーナイト:「地面から・・デスライトニングが・・。」
(そうか・・派手な技レッドアイズノヴァを発動し注意を引き付けることで地面からのデスライトニングが確実に当たるように仕向けたのか・・っ!)
スペード:「デスライトニングを地面から発動したっていうのか?!」
速水:「いや・・もしかしたら。」
スペード:「?」
速水:「瓜生は足からデスライトニングを発動し、地面を伝って攻撃したんだと思います。」
瓜生:「デザートは僕のモノだ。誰にも殺らせねェ!!」
スペード:「だってよ、速水。あれはもう一種のプロポーズだろ。」
速水:「お・こ・と・わ・り・し・ま・す!!」
ズバズバッ!!
ロードエンペラーナイト:「うぐっ!!」
(さらに・・食い込んで・っ?!)
瓜生:「お楽しみはこれからだァ。」
ボルバルザークナイト:「ボーンスラッシュ!!」
神風:「いくよ・・究極必殺技・ゴット・ザ・ブレイク!!」
神谷は両手を合わせてそう叫ぶが・・。
ボルバルザークナイト:「ハッ!何も起こらないじゃないか、どうやら不発で終わったようだな。」
シュッ・・バシィッ!!
ボルバルザークナイトのボーンラッシュが神風の頭を殴りとばした!!
夏海:「痛っ!」
竜牙:「神風っ!!」
神風:「フフッ・・。」
ボルバルザークナイト:「なんで・・っ!」
(直撃したはずだ!手ごたえはあったはず、なぜ出血すらしていない・!!)
神風:「ゴット・ザ・ブレイクを発動した僕の身体機能は通常時の10倍にまで跳ね上がる。顔面の強度も並の人間とは比にならない。」
ボルバルザークナイト:「じ・・じゅ・・っ!!」
神風:「いくよ。」
シュッ!!
ボルバルザークナイト:「き、消えた?!!」
バシィッ!!
ボルバルザークナイト:「ぐあっ・・!!」
バシッ!バシッ!!
ボルバルザークナイト:「うぐっ!!」
(速すぎる・・そして一発一発が・・重いっ!!)
神風:「ゴットレッグ!!」
ボルバルザークナイト:「っ!」
バシィッ!!
神風の容赦のない回し蹴りがボルバルザークナイトの脇腹を粉々に砕く!!
竜牙:「なんて技だ・・何が起こっているか全く把握できない。」
覇王:「これが神風の真の力・・。」
フォルテ:「フン、ようやく人獣の力をモノにしたか。」
竜牙:「2人とも明らかに強くなっている、頼もしいぜ。」
神風:「剣崎くん!」
竜牙:「なんだ?」
神風:「ここは僕らに任せて君たちは先に行って!!」
竜牙:「何言ってんだ!俺たちも一緒に・・。」
神風:「ハンターから君たちを助けてやってくれって頼まれてるんだ。君たちが少しでも早くデストロイヤのところまで辿りつけるように。」
竜牙:「ハンターが・・。」
速水:「ってか瓜生!お前、向こうでモンスターの討伐はしなくていいのか?」
瓜生:「安心しろ、戦ってるのは僕たちだけじゃねェ。」
速水:「!」
神風:「彼の言う通りさ、人間界で出現しているモンスターはキングダムセイバーズが討伐してる。」
竜牙:「!」
瓜生:「速水ィ!こいつ等は一筋縄じゃいかねぇ、長期戦になるだろう。かといって全員がここに残ってしまえばこいつ等の思うツボだ。違うか?」
速水:「けど!」
瓜生:「おいおい僕は今食事を楽しんでるところなんだ、邪魔すんじゃねェよ。」
速水:「・・分かった、ここは頼む。」
瓜生:「オイ!念を押しておくが間違っても死ぬんじゃねぇぞ?デザート、テメェを食していいのは僕だけだ。」
ジュルッ・・。
瓜生:「おっと、いけねぇいけねぇ・・よだれが出ちまった。」
速水:「ヒィッ・・そのよだれやめろ!気持ち悪い!!」
瓜生:「ヒャッヒャッヒャ・・。」
スペード:「ってかあの二人、いつの間にあんなに仲良くなったんだ?!」
竜牙:「ライバルって感じでいいじゃねぇか。」
スペード:「そ、そうか?」
フォルテ:「私もこの2人と共に残ろう。」
竜牙:「!」
フォルテ:「急げ、デストロイヤの復活は近い。」
竜牙:「フォルテ・・神風・・瓜生・・。」
覇王:「行こう、竜牙。」
竜牙:「ああ・・頼んだぜ、みんな!」
ダイヤモンドナイト:「させん!」
竜牙:「!」
ダイヤモンドナイト:「先に進みたいのならば私を倒してみせろ。」
小池:「迎え撃つぞ!」
白虎:「はぁぁぁっ!!」
バシィッ!!
ダイヤモンドナイト:「うぐっ?!」
何者かの攻撃がダイヤモンドナイトを突き飛ばす!
竜牙:「おまえ・・白虎?!」
白虎:「その節は世話になったな、剣崎竜牙。」
竜牙:「なんでお前まで・・!」
白虎:「深い意味はない、あの時の借りを返しにきただけだ。」
ダイヤモンドナイト:「邪魔を・・するなァァ!!」
ダイヤモンドナイトが右手を広げると、空気中の塵が、白虎に襲い掛かる!!
ダイヤモンドナイト:「ダイヤモンドビーナス!!」
竜牙:「なんだあの攻撃?!」
白虎:「「X技・ザンバーストエックス!!」
ズバババッ!!
白虎は両手をクロス字型に構え、ダイヤモンドナイトの攻撃が届くよりも早く斬撃を発動させて攻撃を相殺した!!
ダイヤモンドナイト:「っ!!」
白虎:「お前が特殊な攻撃を放つことは死の目キラーアイズであらかじめ見切っていた。どうやら、初めから警戒していれば対処できない技じゃないようだな。」
ダイヤモンドナイト:「私を挑発するとは・・随分とコケにされたものですねぇ!!!」
白虎:「個々の力が微々たるものでも組み合わせることでその何倍にも跳ね上がるだったな?お前が俺に教えてくれたんだ、剣崎。」
竜牙:「!」
白虎:「お前たちならデストロイヤを討伐できる、そっちは任せたぞ。」
竜牙:「ああ、待っててくれ。」

天空階段中間地点
竜牙:「みんな、ついて来てるか?」
夏海:「ええ・・。」
小池:「なんとかな。」
覇王:「・・・。」
(俺たちの後ろから何かが付いて来てるな・・やむを得ん。)
覇王の足元から力が流れていき、頭蓋骨の男が姿を見せる。
炎斬:「ん?・・お、おい!」
竜牙:「どうした?」
炎斬:「前に何か・・いる!」
全員:「「?!」」
スカルエンペラー:「初めまして、セイバーズの皆様。」
竜牙:「誰だ!」
スカルエンペラー:「我はデストロイヤ様を守護する者 スカルエンペラー。」
スペード:「なんだって?!」
神谷:「そこをどいて!私たちは先に進まなきゃならないの。」
スカルエンペラー:「お断りします。あなた方にこれ以上進まれると面倒なんですよ。」
スカルエンペラーが両腕を横に広げると、地面から大量のモンスターが浮き出てきた!!
白鳥:「な、何なの・・?!」
スペード:「モンスター?!」
竜牙たちはあっという間にモンスターに囲まれてしまった!
速水:「このモンスターたち、今地面から出てきましたよね?!」
本田:「どうなってんだ!」
スカルエンペラー:「彼らはゾンビモンスター、決して死なない我の忠実な僕。」
スッ・・。
そう言い残すとスカルエンペラーは姿を消した。
竜牙:「!消えた・・?!」
スペード:「竜牙!こいつらを片づけない限り先には進めない、さっさと討伐するぞ!!」
烈火:「その必要はない!」
タッタッタッ!!
烈火:「超必殺技・ビーストチェンジ!!」
ズババッ!!
ゾンビモンスター:「グガァ・・ァ・!!」
烈火:「へっ、久々の感覚だ。」
竜牙:「烈火?!」
烈火:「よう、元気そうじゃねぇか剣崎。」
秋矢:「奥義・水のリボルバーリンチ!!」
ババババン!!
秋矢の射撃がゾンビモンスターを数体仕留めるが・・。
ゾンビモンスター:「グガァァァ・ッ!!」
秋矢:「!・・マジモンのゾンビだな・・心臓を打ち抜いたはずなのに起き上がってくるなんて。」
竜牙:「秋矢まで・・一体どーなってんだ?!」
秋矢:「まぁいい、水のリボルバーリンチは一発当たりさえすれば俺の弾丸がすべて命中する。」
ババババン!!
ババババン!!
睦月:「超必殺技・ポイズンスパイダー!!」
ズバズバズバズバッ!!
睦月の背中から生えた6本の蜘蛛の足のようなものが、ゾンビモンスターたちに高速打撃を与えていく!
睦月:「倒しても倒してもキリがないね、」
スペード:「睦月?!」
睦月:「やぁ、全国大会以来だね銀河くん。」
烈火:「玲たちから話は聞いてんだろ?ここは俺たちが引き受ける、早く行け!」
竜牙:「けどこいつら、倒しても倒してもこっちに向かってきてるじゃないか!お前たちだけに任せて行けねぇよ。」
睦月:「気持ちはありがたいけど、君たちは目をつぶってでも先に進むべきだと思うよ?」
スペード:「・・俺も睦月の意見に賛成だ。このモンスターたちはあからさまな時間稼ぎだ、俺たちの戦力を削ぐためなのか、足を止めるためなのか・・その意図までは分かんねぇけど。」
竜牙:「っ・・だけど・・。」
烈火:「いいか行け!お前たちがいると戦いに集中できねぇ目障りだ!!」
神谷:「竜くん、先を急ぎましょう。」
速水:「ほら、部長!」
竜牙:「・・っ・・分かった。」
秋矢:「剣崎、俺たちの分まで派手に暴れてこい。」
竜牙:「ああ、やってやるよ。」
タッタッタッ!!

109話/モンスターセイバーズ過去史上最強の敵 オーガブレイクナイト!!

竜牙:「勢いに任せて駆け上がったのはいいけど・・。」
速水:「さすがにこの階段、高すぎじゃないですか?」
本田:「いつになったら着くんだ?」
覇王:「ハァ・・ハァ・・。」
(とはいえ、さっきの連中の足止めして以降、俺たちの後をつけている者はいない。順調に事が進んでいる、ククク。)
小池:「かれこれ二時間近くは登っているんじゃないか?」
白鳥:「先輩、急ぐ気持ちも分かるんですけど・・ちょっと休憩しましょう。」
夏海:「私・・もうダメ・・。」
オーガブレイクナイト:「フン。」
全員:「「!!」」
オーガブレイクナイト:「剣崎竜牙という男は・・お前か?」
竜牙:「今度は何だ?!」
速水:「鎧に剣ということは・・。」
夏海:「ロイヤルソルジャーの可能性が高いわね。」
神谷:「!」
(嘘でしょ・・何でこいつが!)
小池:「強行突破しかないな。」
本田:「ああ。俺たち全員でかかれば・・。」
神谷:「待って!!」
神谷は声を張り上げる!
竜牙:「朱里?どうしたんだ・・。」
神谷:「そいつは今までのロイヤルソルジャーとは格が違うわ。ロイヤルソルジャー最強の戦士、オーガブレイクナイトよ!」
オーガブレイクナイト:「その声・・女王守護者セイバーズクイーンの神谷朱里か?ということは俺の目の前にいる男・・。」
神谷:「竜くん、伏せてっ!!」
シュッ  ズバァァッ!!
神谷:「がはっ・・!」
オーガブレイクナイト:「クロスアルカディアスの発動よりも俺の攻撃の方が早かったようだな。」
竜牙:「お、おい!朱里!!」
神谷:「大丈夫、私の事はいいから敵に集中して!あいつの攻撃を見たでしょ?油断してたらここにいる全員が本当に殺されてしまうわ。」
竜牙:「!」
スペード:「何が起こったんだ・・。」
速水:「攻撃をする挙動すら見せなかった・・。」
オーガブレイクナイト:「お前たち、覚悟は出来ているんだろうな?全員皆殺しだ。」
竜牙:「やれるものならやってみろ。」
オーガブレイクナイト:「生意気な・・。」
シュッ!
竜牙:「き、消えた?!」
オーガブレイクナイト:「ヴァンデスライガー。」
ズバッ!!
竜牙:「ぐあっ!」
(こいつ・・影の中に潜れるのか?!)
速水:「ぶ、部長!!」
本田:「影の中から攻撃してきやがった・・チッ!俺が行く!!」
速水:「!」
ビリリッ!!
本田:「X技・ファイナルサンダーアロー!!」
本田は10本の指から電気エネルギーでつくった矢を放つ!!
オーガブレイクナイト:「X技・キラーシャドウ!」
オーガブレイクナイトが投げつけた黒い爪がファイナルサンダーアローの影に刺さる!
本田:「!」
オーガブレイクナイト:「消えろ。」
バァァン!!
本田:「うわっ!!」
速水:「本田先輩の攻撃が一瞬にして消し飛んだ?!」
本田:「どうなってんだ・・くそっ!」
オーガブレイクナイト:「俺のキラーシャドウは対象とする物の影に俺の爪を投げつけてその影を消し飛ばすことができる。」
本田:「な・・そんことができるなんて・・。」
オーガブレイクナイト:「影の消えた対象物は実体を保てなくなり、そのまま姿を消す。残念だったな。」
スペード:「飛ばした瞬間に新しい爪が生えてる・・・ん?まてよ・・。」
(・・まずい!)
スペード:「逃げろ本田!奴の爪は恐らく対象となる影を選ばない。これはあくまで俺の推測だが、自分の影を消された場合は例外なく俺たちの存在だって消えてしまうはずだ。」
本田:「まじかよ・・確かに対象を選ぶとは言ってなかったな・・。」
(けどあいつ、フォルテや神風ほどじゃないが相当素早い。爪にばかり意識を集中させて戦うのは無茶だぞ?!)
オーガブレイクナイト:「今のキラーシャドウは警告だ。メガネの男が察している通り次は確実にこの爪をお前たちの影に当てる。用心するんだな。」
本田:「くっ・・。」
炎斬:「今までのモンスターとは次元が違う。」
白鳥:「相手が高速で移動する以上、こっちもそれなりに近づかないと攻撃が当たらないっていうのに・・。」
速水:「あの黒い爪を影に差しこまれた瞬間、ゲームオーバー確定ですからね・・。」
神谷:「何弱気になってるのよ、私たちはここで負けるわけにはいかないのよ。」
小池:「何か策があるのか?」
神谷:「ええ。本田くん!影に意識を散らす必要はない、ひたすら突っ込んで!!」
本田:「は?!お前、何言って!!」
神谷:「いいから!私を信じて。」
本田:「・・どうなってもしらないぞ。」
オーガブレイクナイト:「死に急ぎたいらしいな、次は確実に消す。」
神谷:「そうはさせない!奥義・セラフィエンジェル!」
神谷の全身が光り輝き、そこから放たれる無数の光がオーガブレイクナイトを総攻撃していく!!
バァン!バァン!バァン!バァン!
オーガブレイクナイト:「くっ・・!」
本田:「そうか!究極必殺技・スパークヘルハリケーン!!」
ガガガガガガッ!!
何かに気づいた本田が右手を突きだして手を広げると、落雷が竜巻の如く回転しながら地面をえぐりつつオーガブレイクナイトに向かっていく!!
オーガブレイクナイト:「なんだこの技は・・くっ!!」
ドッカァアン!!
本田:「光は闇を照らす、神谷が強い光を放っている間は俺たちの影は消えるんだ。」
神谷:「そういうことよ。」
竜牙:「スゲェ!やったんじゃないか?」
オーガブレイクナイト:「フッ・・ククク・・!!」
本田・神谷:「「?!」」
オーガブレイクナイト:「やるな・・モンスターセイバーズ。」
本田:「なっ!む、無傷だと?!」
竜牙:「簡単には突破させてくれないか、ハヤブサランニングストーム!」
シュッ!
タッタッタッ!!
オーガブレイクナイト:「!」
竜牙:「真ドラゴンソード!」
カキン!!
オーガブレイクナイト:「真っ向から突っ込んでくるとはな。」
竜牙:「どちらにせよ、お前を倒せないことにはデストロイヤの討伐なんてできやしないんだ!!」
オーガブレイクナイト:「!デストロイヤを討伐する気でいるのか?こいつはお笑いだ。」
カキン!
竜牙とオーガブレイクナイトは互いの剣で押し合って間合いを取る!
スタッ。
竜牙:「何がおかしいんだ!」
オーガブレイクナイト:「デストロイヤをお前たちの常識で測らない方がいい。あいつは本物の化け物だ。」
竜牙:「知ったことか、どちらにせよ俺たちがやらなきゃならないんだ。」
オーガブレイクナイト:「俺たちが・・ね。」
小池:「究極必殺技・ソニックゼロブレイク!」
オーガブレイクナイト:「!」
バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシ・・・!!
オーガブレイクナイト:「はぁぁぁぁっ!!」
バシバシバシバシバシバシバシバシバシバシ・・・!!
小池:「ウソだろ?!・・俺のソニックゼロブレイクをすべて受け止めるなんて・・。」
オーガブレイクナイト:「いい技を持ってるな、だが手数が足りん。」
スペード:「助けねぇと!超グラビティブレード!!」
スペードはグラビティブレードのエネルギーを纏った衝撃波を竜牙に向けて投げつける!!
竜牙:「!」
竜牙はグラビティブレードの衝撃波に合わせて剣を引き抜く!
竜牙・スペード:「「合体必殺技・ダークネスギャラクシーブレード!!」」
シュッ!ズババババッ・・!
紫色に変化したギャラクシーブレードがオーガブレイクナイトを下から切り裂く!!
オーガブレイクナイト:「うががががががぁぁっ・・?!!
小池:「今だ!!」
バシィィッ!!
竜牙の攻撃によって生まれた隙を突き小池のソウルブレイクが追い打ちをかける!
オーガブレイクナイト:「うぐっ!!」
オーガブレイクナイトはよろける。
夏海:「・・チャンスっ!究極必殺技・第六の弾・銀河弾!!」
バァン!
夏海が放った弾丸は勢いよくオーガブレイクナイトの胴体に当たり、オーガブレイクナイトの胴体が吸収されていく!!
シュルルルッ・・!!
オーガブレイクナイト:「なっ?!・・なんだこの弾丸は!!」
夏海:「これで終わりよ!」
スペード:「っし!銀河弾が命中した!!」
夏海:「弾丸が命中したあなたの胴体は消滅するわ、観念しなさい!」
オーガブレイクナイト:「そういう仕組みか。」
夏海・スペード:「「?!」」
オーガブレイクナイト:「フン!」
オーガブレイクナイトは自らの影に姿を隠し、銀河弾の吸収から逃れる!
夏海:「なっ!!」
覇王:「そうか胴体が吸収される前に影の中に潜り込めば・・。」
白鳥:「そんな!」
オーガブレイクナイト:「残念だったな、スナイパーの女。」
シュルル・・。
夏海:「自分の影を使ってまた実体化した・・厄介な相手ね、ホントっ!」
オーガブレイクナイト:「狙いは悪くなかったが、相手が悪かったな。」
竜牙:「来るぞ!」
オーガブレイクナイト:「俺としたことがどうやら警戒すべき相手を見誤ったようだ。」
ギロッ!
オーガブレイクナイトは鋭い視線を竜牙に向ける。
オーガブレイクナイト:「究極必殺技・ブラッディスピアー!!」
オーガブレイクナイトは自身の身長の何十倍もある巨大な針を影で作り出し、竜牙に向けて投げつける!!
シュルルルルッ!!
竜牙:「!!」
オーガブレイクナイト:「その針は突き刺した相手の血液を吸い尽くすまで吸血し続ける。避けられるものなら避けてみろ、ただしブラッディスピアーは攻撃対象との距離が離れていれば離れているだけ遠心力で威力が倍増する、用心するんだな。」
竜牙:「なんだって・・!」
白鳥:「私のエアーシールドでも防ぎ切れないですよ、あんな攻撃!!」
竜牙:「どうしたら・・!」
速水:「とにかく、ジッとしてても仕方がありません。僕がブラッディスピアーを凍らせて動きを抑えます!」
速水は片手を地面に当てて叫ぶ!
速水:「究極必殺技・デュオスソルジャー!」
ガタン!ガタンガタン!!
炎斬:「すげぇ!地面から鉄の破片が浮き出てきやがった!!」
速水:「ハイゼルセイバーの力を地面に流し込むことでハイゼルセイバーの刀身を再現した鉄の破片を地面から生やすことができるんです!これで僕は自分の攻撃スタイルに合わせたフィールドを作り上げることができる。」
白鳥:「すごい!いつの間にこんな技を?!」
速水:「みなさんの足を引っ張るわけには行きませんからね、隠れて修行をしていたんですよ。」
オーガブレイクナイト:「さぁ見せてもらおうか、お前たちの力を。」
速水:「ハヤブサランニング!!」
タッ!タッ!タッ!!
速水は自らが生やした鉄の破片を足場を利用して一気にブラッディスピアーとの間合いを詰めていく!!
速水:「氷河転結・絶対零度!!」
カチカチカチカチ・・。
オーガブレイクナイト:「!」
(攻撃対象を凍らせる技だと?!)
白鳥:「速水くんが動きを止めた今なら追撃できる!」
本田:「ブラッディスピアーを破壊するんだ!」
炎斬:「奥義・ジャッチメントバーナー!!」
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の両手から青い炎が勢いよく飛び出す!!
本田:「究極必殺技・スパークヘルハリケーン!!」
本田が右手を突きだして手を広げると、落雷が竜巻の如く回転しながら地面をえぐりつつ動きの鈍っているブラッディスピアーに向かっていく!
シュゥツ・・ドカカカッカッ!!
白鳥:「奥義・ソルスカイカリバー!!」
白鳥は光り輝く巨大な竜巻を螺旋状に変化させ、先を尖らせた状態に形を変えてオルフェにそのまま投げつけた!!
竜牙:「なんだあのスカイカリバーは・・前見た時と規模が全然違う・・!」
白鳥:「スカイカリバーは天候の力を得ることでパワーアップする特殊な奥義、私のスカイカリバーには無限の可能性がある!!」
ピキッ・・!
炎斬、本田、白鳥による技の連続コンボがブラッディスピアーに亀裂を入れていく!!
オーガブレイクナイト:「小さな力も重なり合えば大きな力となる・・それがお前たちの持つ結束の力か。」
神谷:「亀裂が入った今なら!究極必殺技・ゴットクライシスブラスター!!」
神谷が右手を下に下すと、空から大量のエネルギー砲が降り注いでいく!!
シュッ・・ドカァン!ドカァン!ドカァン!
オーガブレイクナイト:「うおっ?!なんだこの技は・・っ!!」
竜牙:「なんだこの力っ・・?!」
スペード:「振動で足下がぐらつく・・天変地異でも起こす気か!」
オーガブレイクナイト:「大した威力だ・・だが高い攻撃力を誇っていればいいというものでもない。」
オーガブレイクナイトは再び影の中に身を潜める。
神谷:「!」
夏海:「あいつまた・・!」
神谷:「そう来るでしょうね、私の狙いは放っから向かってきてたブラッディスピアー。残念だったわね、今の攻撃でブラッディスピアーは破壊されたわ。」
夏海:「流石ね!」
神谷:「あいつが影の中に潜っている間はキラーシャドウだって恐くない、反撃するなら今がチャンスよ!!」
覇王:「追撃だ!究極必殺技・シャイニングサンバースト!!」
覇王が2本のロイヤルセイバーでクロス字型に空気を引き裂くとものすごい速度でオーガブレイクナイトが潜んでいる影に向かって空気圧が襲い掛かる!!
白鳥:「私も続きます!!」
白鳥に続いて夏海、スペードが動く!
白鳥:「超必殺技・ギガスパイラル!!」
スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!」
シュルルルッ!!
夏海:「一気に押し出すわよっ、ハイパートリニティストーム!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
速水:「うわっ!!」
本田:「なんて風力だっ・・!!」
小池:「けどこれだけの攻撃を重ね合わせた一撃だ、オーガブレイクナイトといえどタダじゃ済まないはず!!」
ドッカァァアン!!

110話/息もつかぬ戦い!これがドラグーンレジェンドだ!!

夏海:「一気に押し出すわよっ、ハイパートリニティストーム!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
炎斬:「!」
竜牙:「どうした?」
炎斬:「今何か飛んで来なかったか?!」
竜牙:「えっ・・?!」
オーガブレイクナイト:「っ・・今の攻撃はなかなか効いた。だが爪が甘いな・・。」
全員:「「?!」」
オーガブレイクナイト:「高威力の技を叩き込めば力押しで押しきれると思っているのなら大間違いだ。戦闘はそんなに甘くない、相手が戦闘経験を積んでいる猛者なら尚更な。本気で倒す気があるのなら、常に二手三手先を読んで手を打つべきだ。」
オーガブレイクナイトは夏海、白鳥、スペード、覇王の4人の足元に目を向ける。
夏海:「何・・?」
白鳥:「・・う・・そ・・。」
スペード:「俺たちの影に・・。」
覇王:「キラーシャドウが・・刺さって・・!!」
オーガブレイクナイト:「もって5分といったところか・・お前たちの存在が消滅するまでに残された時間は。」
竜牙:「いつの間に・・!」
炎斬:「あの4人は先の攻撃に集中していた、あの状況でキラーシャドウを撃ってくるなんて・・。」
神谷:「私の読みが甘かった・・っ!」
オーガブレイクナイト:「あいつらを消されたくなければ5分以内に俺を討伐するしかない。さァどう動く?」
竜牙:「このやろう・・っ!!」
神谷:「してやられたわね、油断も隙もあったもんじゃない。」
速水:「動ける僕たちがどうにかしないと・・木嶋先輩たちが・・。」
小池:「落ち着け速水。」
夏海:「ええ、あいつを相手に焦りは禁物よ。下手に動けばあいつの思う壺だわ。」
速水:「なんでそんなに冷静なんですか!」
夏海:「大丈夫、この状況を打開する方法がきっとあるはず。」
竜牙:「いや、動くぞ。」
夏海:「ちょっ・・!」
小池:「話を聞いてなかったのか?!」
竜牙:「オーガブレイクナイトは影を扱うことで相手の動きに制限をかけているんだ。そーすることで相手が次に取るであろう動きをある程度先読みすることができる。それはすなわち戦闘を支配できることを意味してる。剣舞眼を扱える俺にはよく分かるんだ。」
速水:「だったら・・尚更突っ込んじゃ駄目ですよ!」
竜牙:「ああ・・俺一人でならな。」
速水:「?!」
竜牙:「影ってのは外部差し込む光が障害物によって遮られてできるモノだ。その障害物が重なり合えば影は対象を取らず重なった障害物の分だけ大きくなる。」
スペード:「・・そうか!あいつの影を使った攻撃はすべて一つの影を対象に取ったモノばかりだ、影が対象を失ったとしたらあいつの技はすべて発動不可で終わるんじゃないか?」
炎斬:「!言われてみれば・・。」
夏海:「オーガブレイクナイトも自分の影が隠れてしまったら影の中に逃げ込めないかもしれない。」
白鳥:「それを言ったらキラーシャドウだって!影が複数個重なっていたら不発で終わるかもしれません!!」
竜牙はうなづく。
竜牙:「そういうことだ。必ず移動する際は2人以上で対象が取れる影を作らないこと、これさえ徹底すれば戦いの流れを変えることができるかもしれない。」
スペード:「お前にしちゃ随分と冴えているじゃないか。完全に盲点だった。」
竜牙:「素直に褒めろ、一言余計だ。」
小池:「そういうことなら・・。」
小池はアルティメットフォームに姿を変える。
速水:「僕も動きます!」
本田:「っし、機動力なら負けねぇ!」
オーガブレイクナイト:(なんだ・・やつらの目から迷いが消えた?)
本田:「超必殺技・イナズマボルテッカー!!」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」
小池:「ビースト細胞!」
速水:「ハヤブサランニング!」
今度は機動力の長けた4人が一気にオーガブレイクナイトを目掛けて駆け出す!!
オーガブレイクナイト:「!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレードTHEFAINALザ・ファイナル!!」
オーガブレイクナイト:「くっ!」
カキン!カキン!
速水:「はぁぁぁっ!!」
カキン!
オーガブレイクナイト:「ちっ・・!」
(なるほどな、2人で攻めに入れば影が重なって俺が技を発動しづらくなる・・考えたじゃないか。)
カキン!カキン!
オーガブレイクナイトは竜牙と速水の猛攻を払いつつ小池と本田の攻撃を警戒している。
竜牙:「っ・・なんて剣裁きだ!」
速水:「僕たちの攻撃を最小限の動きで弾きながら攻撃の手も緩めないなんて・・。」
小池:「あいつの態勢を崩す!X技・レボリューションサーガ改!!」
本田:「ギャラクシーボルテックス!!」
オーガブレイクナイト:「流石に捌ききれないな、超必殺技ドリルレイン!!」
オーガブレイクナイトの叫びと同時に空からドリルの雨が降り注ぐ!!
小池:「何っ?!」
本田:「や、やべぇ!!」
神谷:「究極必殺技・ゴットクライシスブラスター!!」
神谷が右手を下に下すと、再び空から大量のエネルギー砲が降り注いでいく!!
シュッ・・ドカァン!ドカァン!ドカァン!
オーガブレイクナイト:「ドリルレインを上からたたき落とすか・・なんて女だっ!」
速水:「うわぁぁっ!!」
夏海:「ちょっと朱里!私たちのことも考えて!!」
炎斬:「殺す気か!!」
神谷:「動かないで!みんなに当たらないように微調整するのって結構大変なんだから!!」
そんな中、竜牙が声を張り上げた!
竜牙:「朱里!ゴットクライシスブラスターを今すぐ止めろ!!」
神谷:「な、何言ってるの!死にたいの?!」
竜牙:「いいから、技を止めたらすぐさま白鳥にアルフォースゾーンをかけてほしい。」
神谷:「え?!」
竜牙:「白鳥!」
白鳥:「は、はい?」
竜牙:「ムゲン・ザ・カッターを発動してくれないか?朱里のアルフォースゾーンで消費した力をチャージしながら発動すれば、お前の力が尽きることはないはずだ。すべてのドリルレインを相殺してくれ。」
白鳥:「あ、はい!!」
神谷:「そういうことね・・アルフォースゾーン!!」
神谷が作り上げた小さな球体が白鳥を包んでいく!
白鳥:「X技・ムゲン・ザ・カッター!!」
シュルルッ・・ズバッ!ズバッ!!
オーガブレイクナイト:「!俺のドリルレインを最小のパワーで相殺している・・剣崎の指示で流れが変わったとでも言うのか?!ちっ、手段を選んでいる場合じゃないようだ。ギガントメテオ!!」
オーガブレイクナイトは黒い塊を神谷に向けて投げつける!!
神谷:「!」
(まずい・・!!)
竜牙:「小池!キングアンゴルモアを!!」
小池:「ああ!邪神・キングアンゴルモア!!」
小池は巨大な隕石を黒い塊に向けて投げつける!
ボォォウウウ!

ドッカァァン!!

小池:「ぐあっ!!」
オーガブレイクナイト:「くっ!!」
シュッ!!
オーガブレイクナイトがよろけたわずかな間を竜牙は見逃さなかった。
竜牙:「俺の間合いだ・・究極必殺技・ブラストクロスパラディン!!」
ズバ!ズバ!ズバ!ズバ!ズバ!ズバッ!!
竜牙は目にも止まらない速さでギャラクシーブレードを振り下ろしてく!
オーガブレイクナイト:「ぐぅっ!!」
竜牙:「おらぁっ!!」
ズバァァッ!!
オーガブレイクナイト:「うっ・・!」
ドサッ!
オーガブレイクナイトが初めてひざを地につけた!
夏海:「やったわ!」
速水:「流石です部長!」
オーガブレイクナイト:「・・金縛り。」
オーガブレイクナイトが左手を広げると、竜牙の動きがピタリと止まった。
竜牙:「なっ・・からだが・・動かねぇ・・?!」
オーガブレイクナイト:「お前があいつらの攻撃の要になっている以上、ここらで釘を刺して置かないとな。」
竜牙:「くそっ!動け・・動けよ、俺の体っ!!」
炎斬・スペード:「「竜牙!!」」
オーガブレイクナイト:「この距離なら確実に殺れる、ヴァンデスライガー!!」
小池:「ま、まずい!」
速水:「部長っ!!」
竜牙:「・・なんてな。」
オーガブレイクナイト:「?!」
バッシュゥゥゥン!!
電撃を纏った紫の光線がオーガブレイクナイトを突き飛ばした!!
小池:「あれは・・!」
本田:「さっき俺と小池が放った・・。」
竜牙:「あの方向には速水が数分前に発動したデュオスソルジャーの鉄の破片があったんだ。つまり、オーガブレイクナイトが攻撃を回避することで2人の技はそのまま混り合い、デュオスソルジャーの破片にぶつかって跳ね返ってきたんだ。」
小池:「!」
(そうか、だから剣崎はギガントメテオを止めに行かなかったのか。オーガブレイクナイトを所定の位置から動かさない為にその場にいながら自分に注意が行くように動いていたんだ。)
オーガブレイクナイト:「ごほっ!・・ごほっ・・。」
オーガブレイクナイトは血反吐を吐く。
竜牙:「どうやら金縛りも解けたみたいだな。」
オーガブレイクナイト:「・・・。」
ぞくっ・・!!
夏海:「な、なに・・この殺気っ・・!」
白鳥:「立っているだけで・・足が震えて・・。」
スペード:「急にこんな・・なんかやばいぞコレ!離れろお前ら!!」
速水:「わ、分かってはいるんですけど・・。」
本田:「くっ・・足がすくんで動けねぇ・・。」
小池:「まずい・・このままだと・・。」
竜牙:「とにかく次の攻撃に備え・・!」
バシィッ!
速水:「ぐはっ・・!!」
ズババッ!!
小池:「・・・がっ・・!!」
バシィッ!
本田:「ごほっ・・ぐふっ!!」
シュッ・・・ズバ・・ッ!!
竜牙:「あ・・・ぐっ・・。」
それはものの数秒の出来事だった。
スペードの眼鏡が光り隣で白鳥が両手を口に当てている・・。
竜牙はおそるおそる・・自分の腹に視線を落とす・・。
竜牙:「・・・これ・・刺さって・・っ・・!!」

夏海:「い、いやぁぁぁぁぁっ!!」

オーガブレイクナイト:「・・・。」
炎斬:「な、何が起こったんだ?!」
覇王:「速水の右腕をへし折り、小池の左ひざを引き裂き、本田の腹部を蹴り飛ばしたんだ・・。」
白鳥:「せ・・せんぱい・・!!」
竜牙:「ぐっ・・だい・・じょう・・。」
ドサッ!
夏海は全速力で竜牙に駆け寄る!!
神谷:「夏海!!」
夏海:「竜っ!しっかりして!!」
竜牙:「ばか・・あいつから目を背けるな。あいつは影の中に潜ったまま高速移動を・・していた。気を抜いたら・・やられ・・る。」
スペード:「影の中に・・そういえばあいつの姿が見えない。」
オーガブレイクナイト:「おそい。」
ズババッ!!
スペード:「ぐあああっ!!」
スペードの腹部から血が噴き出る!
白鳥:「い、嫌ァァァァッ!!」
覇王:「落ち着け!落ち着くんだ!!」
ビクッ!!
白鳥:「だ・・だって!!」
覇王:「俺たちがパニックになってどうする!このままだと全員皆殺しだぞ!!」
竜牙はそっと剣舞眼を見開く。
神谷:「夏海!とにかく負傷した銀河くんたちにアルフォースゾーンの球体をぶつけるわ、竜くんの側から一度離れて。」
夏海:「ま、待って!」
神谷:「なんで止めるの?!早く止血しないと命に関わるわ!!」
覇王:「・・。」
(とはいえ、こうしている間にも先にキラーシャドウを受けた4人の体は消滅に向かっている。剣崎竜牙たちを助けていたら大幅な時間ロスに繋がってしまうだろう。まさに・・絶体絶命というやつだな。)
神谷:「何をためらってるの!このままじゃあなたたちが消えてしまう前に竜くんたちが死んでしまうわ!!」
夏海:「分からないの?!それがオーガブレイクナイトの狙いなんでしょ!」
神谷:「?!」
夏海:「5人の治癒を同時進行で行うともなればあなたは回復役に専念しなくちゃならなくなる。そうなったら戦況は一気にこちら側が不利になるわ。私たちは治癒をしている朱里を含めた6人を守りながらあいつと戦わなければならないのよ。もう分かるでしょ?そんなことしていたら先に攻撃を受けた私たちの体が消えてしまう、私たちが消えてしまったら本当に終わりよ。欠けた戦力で勝てるほどあいつは甘くない。」
神谷:「っ・・!」
炎斬:「精神的に俺たちを追い込んでいくってのか?!・・せめて動ける俺がどうにかしねぇと。」
オーガブレイクナイト:「どうだ?これが俺の究極奥義・ブラックカオスフュージョン。発動すれば数分間俺の肉体は無敵状態になる。力の強弱も思いのままだ。諦めろ、お前たちに残された道は死のみだ。」
覇王:「なんだその無茶苦茶な力はっ・・神風の力と似ているがこっちの方が厄介だ。無敵状態ということは俺たちがどうあがこうとやつが負けることはないということを意味しているはず。」
オーガブレイクナイト:「仲良くあの世に送ってやる、俺の手でな。奥義・シャドーバーナーミクシム!!」
オーガブレイクナイトが右手を広げると、黒い交戦が竜牙たち目掛けて突っ込んでくる!!
小池:「ぐっ・・させね・・ぇ・・。」
バッシュゥゥン!!
小池もまた手の平を広げてレボリューションサーガを発動する・・が・・。
夏海:「だめ・・力で押されている・・!」
(どうしたら・・?・・無敵・・。)
白鳥:「私、このまま死にたくありません!私は最後の最後まで悪あがきしてみせます!」
白鳥はスカイカリバーを発動し、小池のレボリューションサーガに向けて投げつける!!
バッシュゥゥン!!
スペード:「ぐっ・・俺だって・・このままじゃ・・死んでも死にきれねぇ!!」
炎斬:「大丈夫なのかよ銀河。」
スペード:「ああ・・んなこと言ってる場合じゃない!」
スペードは時空間に飛ばしていたグラビティブレードをキャッチする!
炎斬:「!」
スペード:「念のため、こいつを時空間に飛ばしておいて良かったぜ・・。」
スペードはグラビティブレードを投げる!!
スペード:「究極必殺技・ハイパープラネットノヴァ!!」
炎斬:「後押しするぜ!究極必殺技・オーバーヒートバーストッ!!」
巨大な爆風に載ったスペードのグラビティブレードがスカイカリバーを吸収したレボリューションサーガと混ざり合い、威力を増す!!
オーガブレイクナイト:「何だと!!」
バッシュゥゥン!!
オーガブレイクナイト:「っ・・まだだァ!!」
バッシュゥゥン!!!!
炎斬・スペード:「「さらに威力を上げやがった?!」」
スペード:(嘘だろ、グラビティブレードの重さを力で押し返すなんて・・!!)
夏海:「竜、ドラグアーマーを発動して。」
竜牙:「・・なんで・・まさかあれをやるのか?」
夏海:「ええ・・今のあいつは無敵状態・・。ならみんながどれだけ強力な技を重ね合わせても決定打にはならない。」
竜牙:「さっき、剣舞眼であいつを観察したんだけど・・まるで隙がない。あの力でも突破口になるとは思えないぞ?」
夏海:「私はあの力であいつを狙うとは一言も言ってないわ。」
竜牙:「?」
小池:「くっ・・!」
本田:「ギャラクシーボルテックス!!」
覇王:「奥義・ロイヤルセイバー!」
オーガブレイクナイト:「無駄だ!どれだけ攻撃を重ね合わせようと、攻撃力の制限がない俺には遠く及ばない!!」
小池:「ぐぐっ・・・!」
白鳥:「くぅ~っ・・もう、これ以上の力は出せませんよぉ~!!」
本田:「負けてたまるか・・っ!!」
覇王:「踏ん張れ!俺たちが根負けすれば本当に終わりだ!!」
スペード:「ってるよ!そんなこと!!」
炎斬:「けどっ・・押し返されるっ・・くっそぉぉっ!!」
速水:「超必殺技・ハイパーブリザード!」
強烈な吹雪がレボリューションサーガと重なり合っていく。
小池:「速水?!」
速水:「神谷さんのおかげでいくらか回復できました、僕の力も使ってください!」
神谷:「後は竜くんね・・って・・何をしてるの!!」
小池:「剣崎?!」
竜牙は傷を抑えながらも立ち上がり、構える。
竜牙:「くっハァ・・ハァ・・一発で決めてみせる。」
スペード:「ドラグアーマーを発動した?何をする気なんだ!」
竜牙はハヤブサランニングストームでオーガブレイクナイトとの間合いを詰める!!
オーガブレイクナイト:「死にぞこないが、キラーシャドウ!!」
ガシッ!!
オーガブレイクナイト:「キラーシャドウをキャッチしただと?!」
竜牙:「はぁぁぁぁっ!!」
バン!!
竜牙は手の平をオーガブレイクナイトの両サイドで広げる!!
オーガブレイクナイト:「何をする気か分からんが、今の俺はいかなる攻撃も通さない。」
竜牙:「ああ、お前はな。」
オーガブレイクナイト:「?」
小池:「!オーガブレイクナイトの周囲が渦巻いていく・・何が起こっている?!」
スペード:「まさか・・ドラグーンレジェンドを発動したのか?!」
竜牙:「今俺は、お前の周囲で空気を吸収しているんだ・・するとどうなるか・・。」
オーガブレイクナイト:「なんだ・・うわぁぁっ!!」
小さな渦は重なり合って大きな渦となっていく!
竜牙:「さっきも言ったが、俺は今お前の両サイドから空気中の酸素を吸引している。酸素っていうのは密閉された空間の中にでもいない限り、空気中に常に溢れているものだ。」
オーガブレイクナイト:「何が言いたい?」
竜牙:「このまま吸引を続ければ、周辺の空気が集まっていき、より大きな渦となる。となれば必然的にお前も巻き込まれていく・・もう分かるだろ?」
オーガブレイクナイト:「まさか・・!」
夏海:「今のあなたは攻撃を寄せ付けない。けど、双方からくる渦の波にはあらがえないんじゃない?」
オーガブレイクナイト:「無駄な事を。発想は悪くないが・・言ったはずだ、無敵だと。どんな攻撃も俺の前は無に等しい!」
竜牙:「そうかよ・・。」
ズバッ!
竜牙はオーガブレイクナイトの影に先程掴んだキラーシャドウを突き刺す!
夏海:「え・・?!」
オーガブレイクナイト:「?!」
竜牙:「じゃあお前の無敵状態が解けるのが先かお前のキラーシャドウがお前の存在を消滅する方が先か賭けといこうぜ。」
オーガブレイクナイト:「!き、貴様・・っ。」
竜牙:「思い返してみれば、お前の技は相手の動きを鈍らせるものばかりだ。気づいたんだよな、逆に言えばお前の必殺技って自分自身の最大の弱点となっているんじゃないかって。だから俺は賭けに出たんだ。別にブラックカオスフュージョンを解いたって構わないぜ?技を解いた瞬間にお前の後ろで渦巻いている吸引力にお前が吸収されるだけだからよ。」
オーガブレイクナイト:「くっ・・!俺が・・ハメられただと?!」
竜牙:「ここまで俺が近づけば反射的にキラーシャドウを撃ってくると踏んでいたぜ。」
夏海:「私の策を使って竜はもう一つの策を練っていたってこと?!」
オーガブレイクナイト:(やられた!・・・俺がキラーシャドウを発動することもすべて折り込み済みだったとでも言うのか?!)
竜牙:「さぁ選べよ、これで終わりだ!」
オーガブレイクナイト:「・・・俺の負けか。」
オーガブレイクナイトは攻撃を止め、自ら渦の中に落ちていく。
竜牙:「!」
オーガブレイクナイト:「お前の闘志・・見事だ。」
バシュゥゥゥウン!!
オーガブレイクナイトのシャドーバーナーミクシムが消えたことで、全員の攻撃が合わさったレボリューションサーガがオーガブレイクナイトを渦の中に押し込んだ!!
竜牙:「やったか・・。」
(うっ・・!)
ドサッ!!
夏海:「竜っ!」
神谷:「竜くん!!」
竜牙:「大丈夫・・ちっと無理しちまった・・。」
神谷:「傷の手当をするわ、じっとしてて!」
夏海:「ごめんね、無理をさせて。」
炎斬:「なんとか勝てたけど・・代償の方がデカいな。」
覇王:「神谷がいるだけマシだ。何人か重傷を負ってはいるが、誰一人として死んではいない。不幸中の幸いだな。」
神谷:「あれ?私、治療疲れで倒れるんじゃない・・?」
夏海:「ねぇ骨折とかも治せるの?その力で。」
神谷:「ええ、だけどそれなりに時間を費やするわ。私はこれ以上先には進めないわね。」
竜牙:「夏海、お前はみんなと一緒に「嫌よ。」」
夏海:「あなたのことが心配なの、側にいちゃ駄目?」
竜牙:「・・・けど・・。」
神谷:「いいんじゃない?私は竜くんと骨折している速水くんの治療に専念するから夏海はサポートをお願い。」
夏海:「うん!」
白鳥:「銀河先輩とか大丈夫なんですか?!」
スペード:「さっき神谷に応急処置をしてもらった。止血はしてるし問題ねぇよ。」
白鳥:「いや、無理したら駄目ですよ!」
スペード:「んなこと言ってる場合じゃねぇだろ。ただでさえこれから戦力が欠けるんだぞ?」
小池:「スペードの言うことも一理ある。神谷が応急処置を施してくれたおかげで俺もいくらか動けるようになったし、急を要する竜牙と速水以外は先に進んだ方がいい。デストロイヤの復活まで時間がないのは間違いないからな。」
覇王:「なら先を急ぐとしよう。後は任せたぞ神谷、夏海。」
夏海:「ええ。」
6人は天空階段を上っていく・・。
神谷:「で、竜くん?」
竜牙:「な、なんだよ・・。」
神谷は小声で竜に問いかける。
神谷:「久しぶりの再会はどうだったの?もう夏海っちには手をつけた?」
竜牙:「んなっ・・!」
夏海:「!びっくりした・・大きな声を出さないでよ!・・急にどうしたの?」
竜牙:「あ、いや・・なんでもない、なんでもないから!」
夏海:「?」
神谷はこれまで見せた事のないようなニヤケ顔で竜牙にすり寄って来る。
竜牙:「あーも~!お前は治療に集中しろ、何もしてねぇから。」
神谷:「え~。ま、竜くんにそんな度胸ないか。」
竜牙:「ほっとけ。」
夏海:「何の話をしてるのよ。」
竜牙:「うわぁっ!!いつからそこに・・」
夏海:「何よその慌てよう・・朱里と密着して何を話していたわけ?」
竜牙:「お、落ち着けって!!」

111話/復活した最強のモンスターたちと悪魔の守護神スカルエンペラー

覇王:「・・・。」
スペード:「全然先が見えないな。」
白鳥:「あの・・覇王さん、銀河先輩。」
スペード:「どうした?」
白鳥:「本田先輩の姿が見えないんですけど・・。」
スペード:「そういえばそうだな。」
覇王:「心配せずとも頑張って登ってくるだろ、あいつなら。」
スペード:「それよりか白鳥、きつくなったら言ってくれ。体を休めることも大事だからな。」
白鳥:「ありがとうございます。」
覇王:「・・・おかしい、炎斬と小池の姿も見えない。」
(天空階段に分かれ道など無かったはず・・。)

本田:「俺たち・・なんでこんなところにいるんだ?」
炎斬:「俺に聞くなよ。」
小池:「!お、おい・・」
本田:「どうした?」
小池:「前、前っ!!」
本田と炎斬が振り向くと巨大な虎がこちらを睨みつけている。
炎斬:「なんだ・・あいつ・・!!」
本田:「まさかモンスターか?!」
白虎:「ようこそ、人間たちよ、ここは白虎の間だ。」
小池:「びゃっこ・・・まさか四聖獣のうちの一体か?!」
白虎:「ここは神の領域と呼ばれる神聖な場所だ。」
小池:「神の領域だって?!・・それって神谷の言っていた・・いつの間に辿りついたんだ?!」
本田:「けどここ・・頂上って感じじゃないよな。」
白虎:「天空階段に頂上などない。」
小池:「頂上がない?」
白虎:「あの階段には幻術がかけられている。なぜなら・・神の領域は我ら四聖獣が見定めた者しか足を踏み入れることが許されないからだ。」
小池:「!つまり・・お前たち四聖獣が認めない限り他のみんなは永久に天空階段を彷徨うことになってことか?」
白虎:「そういうことだ。」
炎斬:「質問なんだけど、なんで俺たちだけをここに連れてきたんだ?色々と考えて見たけど、俺たち3人に何か共通点があるとは思えない。」
白虎:「白マントの男、あの者からは邪悪な気配を感じる。」
スペード:「覇王から?」
白虎:「その正体が何なのかまでは掴めていないが、我はその忠告をするためにあいつの後ろから階段を上っていたお前たちを連れ込んだのだ。」
小池:「ちょっと待てって!あいつが何かを企てているとでも言いたいのか?」
白虎:「違う。あの人間の中に”別の何か”が潜んでいるのだ。」
本田:「!」
炎斬:「!」
スペード:「つっても不審な点はなかったけどなぁ。」
白虎:「その油断が命取りになる。人間たちよ、1つ問う。」
小池:「?」
白虎:「お前たちがここに足を踏み入れた目的はなんだ?」
本田:「俺たちはデストロイヤを討伐しに来たんだ。」
白虎:「!時代は繰り返されるのだな・・。」
本田:「?」
白虎:「よかろう、デストロイヤは我らにとっても脅威でしかない。討伐してくれるなら願ったり叶ったりだ。ただ、デストロイヤを討伐するならそれ相応の力をつけなくてはならない。」
小池:「・・オーガブレイクナイト相手に苦戦するようじゃ話にならないよな、俺もどーしたらいいか悩んでいたところだ。」
白虎:「悩む必要はない、ここで新たな力を身につければいいだけのことだ。お前たちには究極奥義をこの場で会得してもらおう。」
炎斬:「究極奥義?」
白虎:「そうだ、きっとこの先の戦いで必要になる。」

夏海:「朱里~速水くんの回復は順調みたいよ。」
神谷:「アルフォースゾーンの力が効いてきたのね、良かった。」
スカルエンペラー:「どうやら間に合ったようですね、思っていた以上にオーガブレイクナイトとの戦闘で受けたダメージが響いているようだ。」
神谷:「!」
スカルエンペラー:「好都合。」
バシッ!
夏海:「キャッ!!」
神谷:「夏海!・・っ竜くん、回復は後回しよ!!」
・・・。
神谷:「ってあれ?!・・竜くん・・どこに・・。」
バシィッ!!
スカルエンペラー:「うぐっ!!」
夏海:「竜!」
竜牙:「俺の女に手ェ出すな!!」
スカルエンペラー:「剣崎・・竜牙っ!!」
竜牙:「お前!・・あの時の骸骨野郎っ!!」
夏海:「確か名前は、スカルエンペラー!」
スカルエンペラー:「覚えていただけたようで何よりです。」
竜牙:「ことごとく俺たちの前に現れやがって、何が目的なんだ!」
スカルエンペラー:「前にも言ったでしょう、あなた方を生かしておくと私の計画に支障が出るんです。」
スカルエンペラーが手を広げると見覚えあのある影が姿を現す!
ジョーカー:「アァ~なんだ・・ここは・・。」
ネオ:「生きている?・・あの時私は確かに死んだはず・・!!」
瞳:「あれ・・私・・なんで・・。」
竜牙:「!・・嘘だろ・・。」
スカルエンペラー:「記憶蘇生。他人の記憶を覗き、一人の記憶の中から死者を1人だけ生き返らせることができる力です。」
竜牙:「死者を・・生き返らせる?!」
スカルエンペラー:「木嶋夏海の記憶からジョーカーを剣崎竜牙の記憶からブラッディを・・ククク。」
(そして俺が憑依している足速師覇王の記憶からネオを復活させた。さァ祭りの始まりだ!)
ジョーカー:「おいおい、誰かと思えば懐かしい顔ぶれじゃねぇか。」
瞳:「剣崎?・・わけが分からない・・なんで私が生きてるのよ・・。」
スカルエンペラー:「あなたがそれを知る必要はありません。」
瞳:「か、体が・・勝手に動いて・・!」
瞳はシャドウソードを片手に竜牙に向かって突っ込んでいく!
瞳:「避けて!剣崎っ!!」
カキン!
竜牙:「くっ・・!」
ジョーカー:「んだこりゃあ・・勝手に体が動くぜ。どうやら俺たちを影で操っている奴がいるようだなァ。」
ネオ:「恐らく骸骨の彼の仕業だろう・・全く、こんな形で現世に蘇ってしまうなんて。」
ジョーカー:「シャドウハリケーン!!」
神谷:「神の真似事でもしているつもり?クロスアルカディアス!」
パン!
神谷が両手を合わせるとシャドウハリケーンが消し飛んだ!
ジョーカー:「!俺の攻撃を・・消し飛ばしやがった・・!!」
神谷:「あの骸骨、ここで討伐しておかないと危険だわ。」
夏海:「骸骨の方も厄介だけど、そばにいるあの男・・確かKAOSビーストの一人よ。」
ネオ:「あの時の女・・これも何かの因果か・・。」
ジョーカー:「大したことねぇよ、こいつらすんげぇ弱ぇぞ?」
瞳:「あいつの肩を持つつもりはないけど、それは違うわ。」
ジョーカー:「あ”?」
瞳:「剣崎は強い、あいつを甘く見てると痛い目を見るわよ。」
ジョーカー:「ハッ!戦ってみりゃあ分かる事だ!!」
シュッ!!
竜牙:「来る・・!」
ジョーカーが飛んでくる最中、速水は片手を地面に当てて叫ぶ!
速水:「究極必殺技・デュオスソルジャー!」
ガタン!ガタンガタン!!
地面から突き出てきた刀身がジョーカーの行く手を塞いでいく!
ジョーカー:「うおっ・・!なんだコイツ・・っ?!」
速水:「大丈夫ですか、部長!」
竜牙:「速水?!お前、まだ・・。」
速水:「そんな事、言ってる場合じゃないでしょ!戦うなら僕も一緒に立ち向かいます!!」
神谷:「これで互いに4人・・数のハンデはないわ、迎え撃つわよ。」
速水:「戦う前に彼らの情報がほしいです、知っていることを教えてくれませんか?」
竜牙:「ジョーカーの細胞はすべての攻撃を吸収するんだ。」
神谷:「攻撃を・・。」
夏海:「あのネオって男も相当な手練れよ、まるですべての攻撃を予測しているような・・そんな動きをするの。」
ジョーカー:「もういいか?やるならとっととおっぱじめようぜぇ!!」
瞳:「戦いを避けては通れないみたいね・・私は一度死んだ身、死者に情けをかける必要はないわよ。私を止めて!!」
ネオ:「いくぞ、モンスターセイバーズ!!」
スタッ!!
ネオは速水との間合いを詰める!
速水:「くっ・・斬ハイゼルセイバー!!」
シュッ!
速水:「交わされた・・?!」
ネオ:「どうした?」
速水:「くっ・・うおぉぉぉっ!!」
シュッ!シュッ!!
速水:「あ、当たらない・・なんで・・っ!!」
ネオ:「フン!」
バシィッ!!
速水:「!」
(剣を掴んだ?!)
ネオ:「このような武器を使わなければ戦えないとは所詮セイバーズも人間か。」
速水:「くっ・・なんて力で抑え込むんだ・・押し返せないっ・・!!」
ネオ:「フッ・・はぁぁぁっ!!」
バシッ!バシッ!!」
速水:「はや・・っ・・・!」
竜牙:「速水っ!!」
夏海:「截拳道?!」
竜牙:「ジー・・なんだよそれ・・!!」
夏海:「ジークンドー、かの有名なブルース・リーが幼少期に学んだとされるカンフーの技術にレスリング、ボクシング、サバット、合気道、柔道、空手などの幅広い技術を取り入れた武術のことよ。」
竜牙:「!」
夏海:「色んな技術を取り入れているから多種多様なコンビネーションに繋げられるのが最大の特徴ね。速水くんが受けた攻撃はジークンドーの最も基本的な原則である単純動作よ。相手への最短距離を辿った攻撃をストレートに打ち出す強烈な一撃・・!」
竜牙:「って冷静に説明している場合か!大丈夫か、速水っ!!」
速水:「げほっ・・だい・・じょぶです・・!」
ネオ:「ほう・・ジークンドーを知っているとは。とはいえ、理解したところでどうにもできまい。」
(ブレインスキャンには気づいていないようだ、今のうちに仕留めてやる。)
ジョーカー:「おらぁっ!!」
バシィッ!!
竜牙:「くっ・・!」
ジョーカーの重い拳を竜牙はドラゴンソードで受け止める!!
ジョーカー:「俺を無視してんじゃねぇよ。」
竜牙:「ジョーカーっ!!」
ジョーカー:「いいねぇ~その目!ちっとは楽しませてくれるんだろうなァ!!」
竜牙:「お前には大きな借りがある、ここで返してやるよ。」
(リベンジマッチだ!!)
ジョーカー:「奥義・エンプティブレス!!」
ボオォォォォォ!!
竜牙:「口から光線系はすでに経験済みだ!X技・ギャラクシーブレード・ザ・シャイン!!」
竜牙は太陽の力を纏ったギャラクシーブレードで砲撃を引き裂くが・・。
ジョーカー:「ハッ!」
竜牙:「なっ!分散した砲撃がこっちに向かってくる?!」
ジョーカー:「俺様をあまり舐めるなよ。」
竜牙:「くっ!」
ズバッ!ズバッ!
竜牙:「クソっ!きりがねェっ!!」
神谷:「竜くん!」
瞳:「くっ・・避けてっ!!」
神谷:「!あなた・・なんでこっちに・・っ!!」
ガシッ!
瞳の振り下ろしたシャドウソードを神谷は素手で掴む!
瞳:「ちょっ・・!!」
神谷:「邪魔・・しないでくれる?竜くんも速水くんもピンチなのよ。」
瞳:「仕方ないじゃない!体が勝手に動くのよ!!」
神谷:「本人の意志とは関係なしに・・卑劣な技よね、ホントにっ!!」
瞳:「けど、あなたならこの状況もどうにかできるんじゃないの?」
神谷:「あいにく私はスーパーマンじゃないの。それにあなたたちは死者なんでしょ?だったら正規のやり方じゃ討伐できないかもしれないわ。だってすでに死んでいるんだもの。」
瞳:「・・私、なんでまた罪を重ねようとしているの・・もう嫌よ・・。」
神谷:「ブラッディ・・。」
瞳:「もう一度私を殺して・・お願いっ!!」
神谷:「っ・・改心した相手ほどやりにくい敵もいないわね、彼女に敵意がないのに殺さないといけないなんてっ!!」
スカルエンペラー:「深手を負っている今のあなた方がどこまで対抗できるか見物ですねぇ。」
神谷:「外道がっ・・!!」
スカルエンペラー:「クックック・・。」
竜牙:「おらぁぁっ!!」
ズババッ!!
竜牙のギャラクシーブレードが分散した砲撃を振り切ったようだ。
ジョーカー:「やるじゃねぇか。」
竜牙:「ハァ・・・ハァ・・。」
竜牙はスカルエンペラーをチラ見している。
竜牙:(おかしい、いくらなんでもタイミングが良すぎる。まるで俺たちの行動を監視していたかのように。そもそもなんであいつは俺たちがオーガブレイクナイトと交戦していたことを知っているんだ?)
ジョーカー:「おらァ!どこを見てやがる!!」
竜牙:「うおっ!!剣舞眼!」
竜牙はジョーカーの攻撃を見切り、態勢を倒して回避する!!
ジョーカー:「コイツ・・ッ!!」
竜牙はそのままギャラクシーブレードをジョーカーに突き刺す!!
グサッ!!
ジョーカー:「うぐっ・・?!」
竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!!」
「グォォォォォ!!」
巨大な竜の衝撃波がジョーカーを貫く!!
ジョーカー:「っ!!・・・がは・・っ!!」
(なんてな・・。)
シュルルル・・ッ!!
レジェンドラゴンはジョーカーの肉体に吸収されていく。
竜牙:「!高威力の技だろうとおかまいなしか・・。」
(吸収できる許容範囲に限界はなさそうだな・・兄貴のやつ、よくまぁこんな化け物を討伐できたもんだ。」
ジョーカー:「あの時よりかは格段に強くなったじゃねぇか、だが所詮俺には及ばない。」
バシィッ!!
竜牙:「うぐっ!!」
ジョーカーの平手打ちが竜牙をはじき飛ばす!!
竜牙:「って・・うぉぉぉぉぉっ?!!」
竜牙は攻撃を受けた反動で勢いよく後ろに下がっていく!!
竜牙:「どこまで吹っ飛ばす気だっ!!凸ピンをされた時を嫌でも思い出すぜ、くそっ・・!!)
ジョーカー:「どれだけ成長していようがお前は人間でしかないということだ、生身の体で俺のパワーにどこまでついて来れるか・・見物だぜ。」
竜牙:「こんな馬鹿力を相手に真正面から立ち向かっていたのか、あの時の俺は・・。今ならよく分かる、どれだけ自分の行動が浅はかだったかが。」
(けど・・こんな化け物にだって弱点はある。)

ジョーカー:「強がるな鳥牙!お前も知ってるだろう。俺の体にある細胞はどんな攻撃も吸収できる。」
鳥牙:「ああ、だからお前の力を取り込もうと思ったんだよ。」
ジョーカー:「なんだと?!貴様、俺を取り込む気か!」
鳥牙:「お前は自身を無敵の存在か何かと勘違いしているようだが、お前の体にも弱点はある。」
ジョーカー:「弱点だと?!」
鳥牙:「それは攻撃時に細胞が開くこと。」
ジョーカー:「!!」

竜牙:「X技以外の必殺技だとあいつが吸収できる許容範囲の底が見えない、殺傷力は劣るけどやっぱりX技で攻めるしかないか・・狙うならあいつが攻撃を放つその瞬間だ。」
ジョーカー:「冷静に戦況を分析し、次なる手を打っている・・。女の言う通りだな、コイツはもう無鉄砲に突っ込んでくるだけのただのガキじゃない。それにあの目・・鳥牙を思い出す・・嫌な目だぜ、っとに。」
ネオ:「どうした、この程度なのか?」
速水:「くっ・・動きが読めない・・っ・・!」
ネオ:「そろそろ終いにしよう。」
速水:「・・・駄目だ、オーガブレイクナイトとの戦闘で折れたところが痛んで動けない・・っ。」
夏海:「第一の弾・火炎弾っ!!」
ボォォォォウッ!!
ネオ:「っ!!」
速水:「あ、ありがとうございます!」
夏海:「大分追い込まれてるわね・・速水くん、無理をさせて申し訳ないんだけど、私の攻撃じゃ変則的な動きをする彼を捕えられない。竜がジョーカーと戦っている以上あいつの動きについていけるのはあなたしかいないわ。もう一度立ち上がって!」
速水:「分かってはいるんですが・・結構キテるんですよ・・。」
(だぶんこれ以上無理を重ねたら僕の体は・・。)

椎名:「迷うな!」

速水:「椎名さん?!」
速水は辺りを見渡すが・・椎名の姿はない。幻聴のようだ。
速水:「アハハ・・そりゃあそうか・・。」

椎名:「速水くんはいつだってそう。誰かの為に行動を起こせる正義感の強い男の子だった。あなたのそういうところに私は強く惹かれたの!!」

椎名:「私の惚れた男は考えるよりも先に体が動いてた!剣を振るうことを・・躊躇うな!!」

速水:「っ・・!!」
(全く・・君はどこまでも・・。)
ネオ:「あの女が面倒だ、先に片づけるか。」
夏海:「!姿が消えた・・っ!!」
(くっ・・どこから来るのか、読めない・・!)
ネオ:「終わりだ!」
速水:「はぁぁぁっ!!」
カキン!!
ネオの不意をついた一撃よりも早く!夏海の前に回り込んだ速水がハイゼルセイバーでその攻撃を振り払う!!
ネオ:「?!」
夏海:「速水くんっ!!」
速水:「ハヤブサランニング!!」
ネオ:「ほう、張り合うか!」
シュッ!シュッ!!
ネオ:「単調な動きだな、この程度の攻撃・・。」
ネオが速水のハイゼルセイバーを交わして半身になる!
速水:「っ・・!!」
ネオ:「この距離なら確実に殺れる、終わりだ!」
速水:「ターンランニング!!」
クルッ!!
ネオ:「何っ・・?!」
(前に出た足を軸足にして俺の後ろに回り込んだ・・っ?!)
夏海:「あの動き・・まさかネオの動きを模範にしてる?!」
ネオ:「くそっ、所詮は見よう見まねの付け焼刃・・。」
(同じ軸足を回転させれば対角線に体を向けられるはず!)
速水:「させない!X技・ブレイクウルフスマッシュ!!」
ズババッ!!

ロードエンペラーナイト:「ぐっ・・はっ!!」
ロードエンペラーナイトは血反吐を吐く。
瓜生:「ヒャッヒャッヒャ・・奥義・レッドアイズスラッシュ。」
ロードエンペラーナイト:「地面から・・デスライトニングが・・。」
スペード:「デスライトニングを地面から発動したっていうのか?!」
速水:「いや・・もしかしたら。」
スペード:「?」
速水:「瓜生は足からデスライトニングを発動し、地面を伝って攻撃したんだと思います。」

ネオ:「地面から・・ぐふっ!!」
速水:「ハァハァ・・・僕のブレイクウルフスマッシュが突き刺さっている以上、あなたはもう自由に身動きはとれませんよ。」
ネオ:「バカな!・・いくら動きを予測できたからってこんなにピンポイントで攻撃を当てられるはずがない!!」
速水:「どうやらあなたの超人的な身体能力が発揮されるのは対象相手を認識している時だけみたいですね。」
ネオ:「・・?!!」
(コイツ・・!)
速水:「あなたは負傷した僕をみてどこか油断していたように見受けられました。木嶋さんにしか注意が向いていなかったでしょ?これこそが認知が遅れた最大の原因です。だからあなたは僕の咄嗟の動きに反応が遅れたんですよ。違いますか?」
ネオ:(やっぱり・・気づいてっ・・?!)

覇王:「ブレインスキャンは対象相手の動きを5分間だけ先読みできてなお、初見で能力の仕組みに気づける者はそうそういないだろう。実に有能な能力だが、ネタが割れれば大したことはない。お前のブレインスキャンが発動するのは対象相手を認識している時のみだ。俺のプロミネンスカタストロフィは広範囲の無差別攻撃。俺に意識を向けつつ、この攻撃を回避できるか?」
ネオ:「ぐっ!」
覇王:「5分間、自分に攻撃が当たらない。能力ゆえの油断こそがお前の弱点だ、危険予測を怠ると対応が遅れる。今のお前がいい例だ、アルティメットストリーム!」

速水:「自分の力をあまり過信しすぎない方がいいですよ、最後まで諦めない人間に勝利の女神は微笑むんです!!」
ネオ:「くっそがぁぁぁっ!!」
速水:「奥義・プリズムエンペラークロー!!」
シュツ・・ズバババッ!!
ネオの胴を分裂した3本のハイゼルセイバーが貫いた。
夏海:「やった!」
速水:「まずは・・いっ・・しょう・・。」
ドサッ!
竜牙:「?!」
神谷:「速水くん?!」
夏海:「ど、どうしたの!!」
夏海は速水の元に駆け寄るが・・。」
速水:「・・・いしきが・・もうろうとして・・。」
(これ、死ぬな・・僕・・。)
夏海:「速水くんっ!!しっかりして!!」
竜牙:「は・・速水っ!!」
ジョーカー:「仲間の心配をしてる場合じゃねぇぞ!!」
バシィッ!!
竜牙:「ぐあっ!!」
ジョーカーの平手打ちが竜牙を地面に叩きつけた!!
神谷:「竜くん!!」
スカルエンペラー:「ブラッディ、彼の息の根を止めて上げなさい。せめて楽に逝かせてあげよう。」
タッ・・・タッタッタッ!!
ブラッディはシャドウソードを握り、速水に向けて突っ込む!
神谷:「な・・っ!!」
瞳:「・・・。」
夏海:「ちょっと、何を!!」
グサッ!!
速水:「・・ごふっ・・・!」
(椎名さん・・どうやらここまでみたい・・だ。)
夏海:「・・・あ・・あああ・・っ・・!!」
スカルエンペラー:「さようなら。」

竜牙:「はやみぃぃぃぃぃっ!!」

スカルエンペラー:「ヒャッヒャッヒャ!!」
瞳:「チェンジザリカバリー!」
シュルルル・・。
速水:「・・ごほっ・・!あれ・・意識が・・戻って・・!!」
竜牙:「!あの技は・・。」
神谷:「小池くんを生き返らせた・・あの・・!!」
瞳:「残念だったわね、スカルエンペラー・・だったかしら?」
スカルエンペラー:「馬鹿な!なぜ自分の意志で必殺技が使えている?!」
瞳:「発動条件を満たしていれば、チェンジザリカバリーは対象の相手に触れているだけで自動的に発動する。この技を発動させる為に必要な条件・・それは私自身の体調が良好であること。これで私の命と引き換えに彼が生き返るわ!!」
スカルエンペラー:「ぐぬぬ・・おのれぇぇぇっ!!」
神谷:「X技・ホーリーブースト!!」
スカルエンペラー:「しまっ・・!!」
シュゥッ・・ズババァァァッ!!
神谷は両手から光の光線を放った!!
スカルエンペラー:「ぐあああああああっっっ!!」
神谷のホーリーブーストにより、スカルエンペラーは跡形もなく消されていく!!
瞳:「!・・自分の意志で手足が動かせる・・?!」
ジョーカー:「こいつァいい!あの骸骨野郎が消えてくれたおかげで無事に生還したわけだ。文字通り完全復活だぜ。」
竜牙:「言ってろ。ここはもうお前の来るべき世界じゃない、復活して早々悪いが今一度俺があの世に送ってやるよ。」
速水:「えと・・ブラッディ・・。」
瞳:「!息を吹き返したのね、瞳でいいわ。」
速水:「瞳さん、回復はここまでで大丈夫ですよ。本当に助かりました。」
瞳:「え?!で、でも・・。」
速水:「ここまで回復すれば神谷さんの力でも治癒が出来ますよ!リスクを払う必要はありません。事の経緯がどうであれ、あなたはこうして生き返ったんです。再び宿った命を簡単に捨てる必要なんてありませんよ。」
瞳:「・・っでも!私は大きな罪を犯した人間なのよ、今更生を与えてもらう資格なんて私にはないわ。」
神谷:「いいえ。あなたは二度、黄泉の世界に行きかけていた私たちの仲間をこちらの世界に呼び戻してくれた。それも自らの命と引き換えにね、充分じゃない!これ以上自分を責める必要なんてどこにもないわ、あなたはもうあの時の瞳舞じゃない。」
瞳:「・・だとしても!・・私の犯した罪は決して許されるものじゃないわ・・許しちゃいけないっ・・。」
速水:「・・獣牙が言ってました。」

獣牙:「少し身の上話をしてやる、私は幼い頃に両親が金銭トラブルで私を育てていけなくなり児童保育所に預けられた。そこで出会ったのが黒炎拓也・・そうハデスだ。」
スペード:「それがあいつの本名・・?お前たちはモンスターじゃないのか?」
獣牙:「私もハデスも人間だ。戦う力をブラッディ様から授かっただけ。」
速水:「ブラッディ?」
獣牙:「私たちの身元を引き取ってくれた心優しき恩人だ。ハデスやブラッディ様がいなければ私は孤独に耐えきれなくなり、自殺を図っていたかもしれない。帰る場所がある・・それはすごく心の支えになるものだ。そして、そんな居場所をつくってくれたあいつやブラッディ様には心の底から感謝している。」

瞳:「・・デストロイが・・そんな事を・・。」
速水:「・・・。」
瞳:「わたし・・わた・・し・・は・・。」

瞳:「へぇ~解禁したハデスとデストロイから勝利するなんて共士郎の言っていた通りね。油断ならない相手・・。」
スペード:「!新手か・・。」
速水:「あなたは誰なんですか?」
スペードと速水が見つめる先には、黒髪の女性がゆっくりと前進していく様子が映る。そして・・。
スペード:「・・・なっ!」
彼女の左手には心臓を突き刺されたまま担がれた男の死体・・恐らくは獣牙渡だ・・。
速水:「あれって・・さっきのデストロイとかいう・・。」
瞳:「大体の予想はついたかしら?」
スペード:「お前が獣牙の言っていたブラッディっていう女か。」
瞳:「そう。瞳舞、コードネームはブラッディ。」
速水:「自分の仲間を・・許せない!」
瞳:「仲間?吐き違えないでもらえるかしら、彼は私の手下でしかない。あなたね、デストロイをそそのかしたのは。」
スペード:「あいつは人生をやり直そうとしてた、なのに・・!惨いことをしやがるぜ、この・・っ!」
瞳:「私の計画の妨げになるものは誰であろうと排除する!そこに情をかけるつもりはい!!」
バァァン!
ブラッディはデストロイの死体を地面に投げつけた。

瞳:「あ・・あぁぁ・・っ・・!」
速水:「・・・瞳さん・・。」
瞳:「私は奪ってしまったんだ・・前を向いて第二の人生を歩もうとしていた彼の未来を・・っ・・!」
速水:「確かにあなたが犯した罪は一生かけても償いきれるものではありません。だからと言って、自らの命を絶つことが償いになるとは思えません。獣牙が歩むことができなかったもう一つの人生、今まで歩いてきた道とは違う道をあなたは歩むことができるんです、それって凄いことだと思いませんか?」
瞳は無言のまま一生懸命に首を振る。
瞳:「・・むり・・よ・・デストロイやハデスのことを考えるととてもじゃないけど・・私だけ何事もなかったかのように生きることはできない。」
速水:「瞳さん、小池先輩のこと覚えてますよね?実は先輩、あの戦いを終えてから光ヶ丘学院に登校するたびに両手を合わせているんですよ。」
瞳:「・・!」
速水:「僕、聞いたんです。何してるんですか?って・・。」

小池:「昨日あったことを毎朝ここでブラッディに報告しているんだ。」
速水:「ブラッディって・・ザークの?」
小池:「ああ。俺がこうして生きていられるのは剣崎とあいつが俺にもう一度生きるチャンスを与えてくれたおかげだ。だから俺はこうして当たり前の日常を送れている。」
速水:「小池先輩・・。」
小池:「ブラッディは自らの命を賭して俺を生き返らせてくれた。だから良いことも悪いこともあいつと共有したいんだ、だって・・この命は俺だけのものじゃない、2人分の命・・だと俺は思ってる。だからさ・・あいつが俺を助けた事を後悔しないよう一生懸命生きようって俺、決めたんだ。あいつは死んでない、俺の中で今も生き続けている。」

瞳:「!共士郎・・っ・・。」
速水:「次は・・あなたの番です。」
瞳:「・・私?」
速水:「この世界にはあなたのことを必要としている人がいます。過去はどれだけ悔やんでもやり直すことはできませんが、未来はつくっていくことができるんです。罪滅ぼしをしろとは言いません、獣牙や黒炎の分まで今を生きてみてはどうでしょう?瞳さんにしか出来ないことがきっとありますよ。」
瞳:「う・・ううっ・・。」
神谷:「速水くん・・。」
速水:「すいません、生意気言っちゃって・・。」
神谷:「ううん、さすがは竜の後輩ね。」
速水:「いやいや・・そんな・・。」
瞳:「ありがとう・・。」
瞳の口から洩れた小さな声は震えていた。涙ぐんで聞き取れないぐらいとても小さな声だったが彼女が何を口にしたか・言葉は伝わらなくてもその感謝の気持ちはきちんと竜牙たちに届いたようだ。
神谷:「さ!まだ戦いは終わってないわ。デストロイヤを討伐するために力を貸してほしいの、協力してくれる?」
瞳:「・・うん。私も生きてみる、共士郎が今ある命を大切にしているように・・私も2人の分まで今を生きたい・・。」
速水:「また心強い仲間ができましたね。」
神谷:「夏海っち!竜くんのフォローを任せてもいい?」
夏海:「2人の回復に集中したいんでしょ?任せて!」
神谷:「頼んだわよ。」

112話/白虎の間

本田:「具体的にはどうするんだよ。」
白虎:「究極奥義とはその名の如くお前たちセイバーズが身につけられる必殺技の中で最も会得難易度が高く、最も洗練された最強の力。・・分かり易く例えるならお前たちの切り札となり得る力だ。」
本田:「切り札・・!」
白虎:「とはいえ、ひとえに究極奥義といっても技の種類は様々だ。炎斬正一、本田雷攻・・構えろ。」
炎斬:「なっ・・!」
本田:「まさか・・俺たちを戦わせる気なのか?!」
小池:「実践の中で得られるものがある・・ということか。」
白虎:「その通りだ。」
本田:「そういうことなら・・手を抜くつもりはないぞ、炎斬。」
炎斬:「ああ、俺もだ。」
本田:「スパークリングサンダー!!」
ビリリリィッ!!
炎斬が拳を握りしめると剣から力が拳に流れ出す!
炎斬:「ファイアガントレット!!」
ドカァァアン!!
炎斬:「究極奥義を身につける為にもこの勝負、負けられないんだ!」
本田:「X技・ファイナルサンダーアロー!」
本田は両手に溜めていた電気エネルギーを配分調整し、両手で2本の矢を造形していく!
炎斬:「電力で武器を・・そんなこともできるのか・・っ!」
本田:「いけぇぇっ!!」
ビリリリッ・・バシュゥゥゥゥッ!!
炎斬:「んだありゃ・・くっ!ファイアーウォール!!」
炎斬が右手を横に振り払うと右手から溢れ出た炎が大きな盾となり、ファイナルサンダーアローをと激しくぶつかり合う!!
本田:「炎の壁?!」
炎斬:「間一髪・・ぶねぇ・・。」
本田:「成長しているのは俺たちだけじゃない・・ということか。」
炎斬:「おっかねぇ・・あいつ殺す気かよ。」
本田:「やっぱ俺は”攻め”あるのみだな・・ギャラクシーボルテックス!!」
ビリリリィッ!!
本田の背中から流れ出した電撃は地面を通って炎斬に直撃する!!
炎斬:「ぐあああっ!!」
本田:「このまま押し切る!」
炎斬:「X技・マキシマムロックブレス!!」
炎斬は両手をマグナハンドに変化させて、地面を叩き割る!
バシッ!!
ゴボゴボ・・・ボォォォォォウウ!!
カンケツセンのように地面から湧き出てきた炎がギャラクシーボルテックスを下から押し上げていく!!
本田:「?!」
炎斬:「痛っ・・・これでお前の攻撃は地面を伝ってこれない。」
本田:「地形を変えやがった・・!!」
炎斬:「爆フレイムソード!!」
ボォォォォウウ・・・ズバァァッ!!
本田:「ぐあっ・・!!」
炎斬:「もう一発!」
本田:「させっか!」
炎斬:「うおっ・・!!」
カキン!!
本田は炎斬のフレイムソードを籠手で受け止める!
炎斬:「おいおい・・なんだよその腕に巻いてる器具は・・。」
本田:「なんだと思う?」
炎斬:「・・・火薬のにおい?・・・いや違う!!」
本田:「奥義・オーバーオブファイア!!」
本田が叫ぶと電撃が流れた地面が燃えていく!!
ボォォォッ!!
炎斬:「うわぁっ!!」
本田:「実力は五分五分ってところか?」
炎斬:「まさか電力を流して炎を発火させるなんて・・。」
(腕につけていたのは電熱器か・・こいつは一本取られたぜ。)
本田:「もう少しでできそうなんだ、究極奥義のイメージが。お前にはもう少し付き合ってもらうからな?」
炎斬:「奇遇だな・・俺もそんな気がしている!」

ジョーカー:「オラァァッ!!」
バシィッ!!
竜牙:「ぐふっ・・!!」
夏海:「竜!」
竜牙:「大丈夫だ・・。」
(一発一発に込められたパワーが凄ましい・・何度か攻撃を当ててはみたけど、こいつの力の前じゃ全部パワー負けしてしまう。
ジョーカー:「究極必殺技ドレインヴェール。」
竜牙:「何っ・・!」
ジョーカーの体を黒い煙が包み込んでいく・・。
竜牙:「なんだ・・あの黒い霧は・・!」
ジョーカー:「ガキが・・俺を相手によく粘りやがる・・。オラァァッ!!」
バシィッ!!
竜牙:「ぐふっ・・!!」
ジョーカー:「まだまだァ!!」
バシィッ!バシィッ!
竜牙:「くそっ・・ギャラクシーブレードで捌ききれない・・力で押し負けてしまう・・。」
夏海:「おかしい・・竜の動きが鈍くなってる・・。」
ジョーカー:「お前との力の差は歴然だが・・本当にそれだけかァ?」
竜牙:「なっ・・どういう意味だ!」
夏海:「後ろ!」
竜牙:「!」
ジョーカー:「遅せぇ!!」
バシィッ!!
竜牙:「ぐああっ!!」
(なんで・・反応がおくれたんだ・・ちくしょう・・!!)
ジョーカー:「思ってた以上に体力を消耗しているようだな、ククク・・。」
夏海:「竜、あいつを纏っている黒い霧、あれが出始めてからあなたの動きが明らかに鈍くなっている。これはあくまで私の推測だけど、あの煙は対象者の内部に侵入し、体の新陳代謝を促す効果があるのかもしれない。だからあなたはいつも以上に汗をかき、体力を消耗しているんだと思うの。」
竜牙:「文字通り・・相手の体力を奪う技ってことか。」
夏海:「戦いが長引けば長引くほどこっちが不利になっていく一方だわ、まだいけそう?」
竜牙:「ああ。ここで負けるわけにはいかないからな・・痛っ・・。」
夏海:「ジョーカー・・改めてとんでもない強さね・・。」
竜牙:「それだけじゃない。」
夏海:「?」
竜牙:「ジョーカーはX技しか通さない。だから決定打となる大きなダメージをあいつに与えづらいんだ。何か策を立てねぇと・・こいつのペースに合わせて戦っていたら身が持たない・・。」
夏海:「ん?ジョーカー相手にX技しか有効打がない理由って確か・・。」
竜牙:「ああ、ジョーカーの体にある細胞がどんな攻撃も吸収できるからだ。」
夏海:「吸収・・ね。」
竜牙:「まさか・・またドラグーンレジェンドを発動させる気か?」
夏海:「このまま持久戦に持ち込んだってこっちの体力が持たないわ。目には目をってね!」
竜牙:「一理あるか・・よし・・。」
夏海は竜牙に向けて銀河弾を放つ!
バァン!!
ジョーカー:「ア”?血迷ったか?仲間を撃ち殺すなんてよォ。」
夏海:「頼んだわよ、竜。」
竜牙:「合体必殺技・ドラグーンレジェンド!」
ジョーカー:「なんだ・・あの鎧・・!」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」
シュッ!タッタッタッ!!
ジョーカー:「!」
竜牙:「おらぁぁっ!」
ジョーカーとの間合いを詰めた竜牙はギャラクシーブレードをジョーカーの腹部目掛けて突きだす!!
ジョーカー:「チッ!」
ガシッ!
ジョーカーは竜牙が突き出したギャラクシーブレードを掴み、攻撃を阻止する!
竜牙:「っ・・。」
ジョーカー:「その鎧は見せかけかァ?やってることはさっきと何ら変わんねェ、確かにX技は俺の弱点だが・・同じ手がそう何度も通用すると思うなよ。」
竜牙:「同じ手だから・・お前は俺の攻撃を予測してギャラクシーブレードを止められたんだよ。」
(狙い通りだ。)
ジョーカー:「!」
(まさか・・最初からこれを狙って・・・!)
竜牙:「うぉぉぉぉぉっ!」
竜牙はドラグーンレジェンドの力をギャラクシーブレードに流し込んでいく!!
ジョーカー:「っ・・やべェ!!」
夏海:「させない!!」
バァン!!
シュルルルッ!!
ギャラクシーブレードから手を放そうとするジョーカーを夏海が竜巻弾で押し出す!!
ジョーカー:「うぐっ!!後ろから押されて・・っ!!」
竜牙:「そうだ、最期に一言言っておかないといけないな。俺も夏海もあの敗北があったからこそ今がある。礼を言うぜ、ジョーカー!!」
シュルルルッ・・!!
ギャラクシーブレードを掴んでいたジョーカーの手は吸収され・・その吸引力はジョーカーそのものを吸い上げようとしている!!
ジョーカー:「うぐっ・・い・・嫌だ!死にたくない・・もうあの世には・・行きたくないぃぃぃっ!!」
ジョーカーは必死に抗うが、ドラグーンレジェンドの吸引力の方が勝っているようだ・・ジョーカーの残っている部位はとうとう顔だけとなってしまった!
ジョーカー:「くっ・・頼む!なんでもする・・!俺を助けてくれぇぇぇ!!」
竜牙:「この期に及んで命乞いかよ。こんな腰抜けにわざわざ技を使う必要はねェ、凸ピンで十分だな。」
シュッ・・。
竜牙は凸ピンの構えをとる。
ジョーカー:「・・・な・・・。」

竜牙:「一発は一発だ・・・歯ァ食い縛れぇ!!」

バィィッ!!
ジョーカー:「痛っ!!」
凸ピンを受けた瞬間、力が抜けたジョーカーは渦の中に埋もれていく・・!
ジョーカー:「一度ならず二度までも俺はこんな最期を迎えるのか・・おのれぇ~剣崎兄弟めぇぇぇ!!」
シュルルルルッ・・シュゥッ・・。
ジョーカーを吸収した渦は消えて行った。
竜牙:「ハァ・・ハァ・・やった。」
夏海:「大丈夫?」
竜牙:「・・ちょっと休ませてくれ。体がふらつく・・。」
夏海:「分かった。朱里~そっちはどう?」
神谷:「まだかかるわ・・。」
夏海:「どうしたの?」
神谷:「やられたわね、完全に足止めをくらってしまった。」
夏海:「しょうがないわよ、ジョーカーもネオも一筋縄じゃいかない相手だったわ。」
神谷:「ジョーカーやネオだけじゃない、ブラッディもまたこーなる場面を狙って蘇生されたのよ。」
夏海:「どういうこと?」
神谷:「ブラッディが自らの命と引き換えにこの戦いで負傷した誰かを助けることをあらかじめ想定していたんでしょうね、だから彼女を蘇生した。そうなれば必然的に私を足止めできるわ。」
夏海:「・・!」
神谷:「スカルエンペラー・・出てくるタイミングといい、私たちの動きを把握していたとしか思えないわ。おかげで私も夏海もここから前に進めない。」
竜牙:「・・もしかして・・いや、考えすぎか。」
(俺たちの中にデストロイヤと繋がっている内通者がいると仮定すればスカルエンペラーの行動パターンにも説明がつく。けど、このタイミングで証拠もなしに仲間を疑うなんてことは出来ない。全員が疑心暗鬼になってチームの輪が乱れてしまう。それに・・俺の憶測でなく本当に内通者が身を潜めていたとしたら、今まで俺たちはそいつの手のひらの上で転がされていたことになる。何の為にそんなことを?って話にもなってくるし、今は考えない方がいいよな。)
夏海:「っ・・・。」
玄武:「証に選ばれしセイバーズよ。」
夏海・神谷:「「?!」」
竜牙:「な、なんだ・・?!」
速水:「あれ、僕たちこんなところにいましたっけ?」
瞳:「一瞬にして私たちをどこか別の場所に飛ばした?!」
玄武:「私は四聖獣のうちの一体、玄武。」
竜牙:「んだ・・あいつ・・!」
夏海:「お、おっきい・・。」
玄武:「君たちは私の力でここに連れてこさせてもらったよ。」
神谷:「まさかあなたの方から私たちを呼びだすなんてね。」
玄武:「うちの白虎があなた方のお仲間のいずれかに究極奥義を身につけさせようとしている。」
竜牙:「究極奥義・・!]
玄武:「彼らだけをひいきするわけにはいかない、デストロイヤの復活は刻一刻と近づいている。ゆえに君にも究極奥義を会得してもらおうと思っている、その為に呼び出したんだ。」
速水:「それは・・ありがたいですね。」
神谷:「速水くん?あなた、この期に及んでまだ無茶をする気?」
速水:「こ、怖い・・。」
竜牙:「見ての通り、今の俺たちは負傷している。ありがたい申し出だけど今は・・。」
玄武:「安心してくれ。ここは神の領域、玄武の間。ここにいれば君たちの傷も直に完治するはず。このエリアには麒麟様の力が宿っている。」
夏海:「セイバーズの創始者の力が・・?!」
玄武:「万全の状態まで回復させてあげられれば、それに越したことはないがそうも言ってられないな。残された時間も限られている、四の五の言ってる場合ではないことを忘れないでほしい。」
竜牙:「俺たちの意見を聞いている場合じゃねぇってことか。」
玄武:「それと、先の戦いを拝見させてもらった。強力な力を宿した猛者たちを相手に持てる力のすべてを出し切って戦おうとする君たちのその意志、見事だ。」
速水:「・・瞳さんがいなかったら僕は死んでいました。」
神谷:「そうね・・あなたたちはもっと強くならなきゃ・・。」
竜牙:「!朱里・・お前、その手・・。」
神谷:「力を使いすぎたみたい、アルフォースゾーンを酷使しすぎたんだと思う。」
速水:「!・・すみません。」
玄武:「女王守護者セイバーズクイーンの傷も直に癒えるだろう、だからと言ってこれまでのように彼女の力に頼っていては彼女の身がもたない。」
速水:「肝に銘じておきます。」
神谷:「銘じる必要はないわ。あなたたちはこれまで通り臆さずに強敵に立ち向かっていったらいい。自分の身は自分で守る。」
竜牙:「何言ってんだ、この先何が待ち構えているか分からないのにお前だけに無茶をさせられるか!」
神谷:「けど!力を出し惜しみしてたって前には進めないわ。」
玄武:「神谷朱里・・。」
神谷:「?」
玄武:「私の力を譲渡しよう。」
竜牙:「?!」
神谷:「どういうこと?」
玄武:「私の力があれば己の身だけでなく、お前の仲間たちを守る盾にもなるはず。まさに今あなたが欲している力そのものです。」
夏海:「四聖獣の・・力・・!」
神谷:「願っても無い話だけど・・いいの?」
玄武:「ただし、デストロイヤの討伐が確認でき次第 私の力は返してもらいます。その条件の下でいいなら力を貸してあげても構いませんよ。私の防御玄武パーフェクトシールドを。」
神谷:「パーフェクト・・シールド・・。」

113話/炎斬VS本田 -究極奥義を身につける戦い―

炎斬:「ぐあああっ!!」
本田:「あぐっ・・!」
炎斬:「本田、正直ここまでやるとは思ってなかった。」
本田:「それはこっちの台詞だ・・おかげで体中がコゲ臭ぇ・・。」
(くそっ、熱ちぃ・・汗が止まらない。)
炎斬:「なんだよ、もう終わりなのか?」
本田:「冗談だろ、こっからだ!スパークリングサンダー!!」
本田は両手から電気エネルギーを放ちながら猛攻に出る!
炎斬:「大丈夫・・全開でやっても本田は死なない、コイツは久しぶりに熱い戦いをさせてくれた礼だ。」
炎斬は右手を前に突出し”何か”をまき散らす!
本田:「!」
(なんだ?)
炎斬:「究極必殺技・オーバーヒートバースト!!」
ドカァアン!ドカァン!ドカァン!ドカァン!!
本田:「うぐっ・・・!!ぐあああああっ!!」
炎斬:「・・・。」
本田:「なんだ・・今の・・うぐっ・・!!」
炎斬:「今投げた物の正体。それは俺の皮脂で作った肉眼では見えづらい小さな鉄粉だ。この粉は空気中に巻き散らすことで粉塵爆発《ふんじんばくはつ》を起こす。」
本田:「あ?なんだ・・それ・・。」
炎斬:「可燃物は微粉末の状態で空気中に浮遊している時に着火すると爆発する。通常、鉄粉ってのは燃えにくい物質なんだけどな・・微粉末の状態だと話が変わる。空気中の酸素との接触面積が増える為、爆発しやすくなるんだ。」
本田:「マジかよ。なんておっかねぇ技だ・・つまり、あいつが粉をまき散らすだけであれだけの爆発を瞬時に起こせるっていうのか・・?!」
炎斬:「混ぜるな危険!ってやつだぜ。」
本田:「だとしてもお前・・ほんっとに加減を知らないよな。」
炎斬:「大丈夫、本田は死なない。俺はそう信じてる。」
本田:「ふざけるな!俺だって体は生身の人間なんだ、あんなもの・・当たりどころが悪けりゃ即死だぞ!」
炎斬:「大丈夫・・大丈夫。よし、炎斬は死なない・・だから本気でいく!」
本田:「き、聞いちゃいねぇ・・やべぇぞコイツ・・!!」
炎斬:「奥義・ジャッチメントバーナー!!」
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の両手から青い炎が勢いよく飛び出す!!
本田:「くそっ、こんなところで死んでたまるか!究極必殺技・スパークヘルハリケーン!!」
本田が右手を突きだして手を広げると、落雷が竜巻の如く回転しながら地面をえぐりつつ炎斬に向かっていく!
シュゥツ・・ドカカカッカッ!!
本田:「相殺された?!」
炎斬:「想定の内だ。」
ドカァアン!ドカァン!ドカァン!ドカァン!!
本田:「っ・・・!!ぐあああああっ!!」
(さっきのジャッチメントバーナーに鉄粉を混ぜて・・!!)
炎斬:「俺のオーバーヒートバーストを攻略しない限りお前に勝ち目はない。なんせ迂闊に攻めることもできないだろ?」
本田:「おいおい・・肉眼で捕えられない鉄粉を見極めろとでも言いたいのか?・・無茶苦茶だ。」
(・・・あれ・・?)

覇王:「そうだ・・倒せないのなら倒さなければいい。」
本田:「ハァ?何を訳の分からんことを・・。」
覇王:「イジゲンホール!」
覇王が左手を伸ばしそう叫ぶと、敵のモンスターのうち一体を透明の球体が包み込んだ!
本田:「な、なんだ・・?」
覇王:「球体の内側からはいかなる攻撃も通さない、まずは一体。」
パチン・・ドカァアン!!
覇王が指を鳴らすと同時に球体が空中で爆破する!
本田:「ど・・どうなってんだ。」
覇王:「プロミネンスカタストロフィの応用技だ。プロミネンスカタストロフィは、空気中で目には見えない球体を使って酸素を閉じ込めている。原理として説明するなら、その酸素を閉じ込めた球体は閉じ込めると球体内で火を放つ。結果、温められた酸素は膨張して空爆を起こす。これがプロミネンスカタストロフィの原理だ。そしてその球体は大きくできる。狙いを定め、対象物を閉じ込めることで同じ原理を起こすことができるのがイジゲンホールの正体・・だが、調整がシビアだ。強力な技だが、複数体を集中して狙い撃ちすることはできない。」
本田:「すげぇ・・。」

本田:「そうか・・イジゲンホールだ・・。」
炎斬:「?」
本田:「今度こそ・・見極めてやる!」
本田はスパークヘルハリケーンを発動させる。
シュゥツ・・ドカカカッカッ!!
炎斬:「何か掴んだのか?いや、1・2発受けた程度でそんなわけが・・。」
(試してみれば分かる、奥義・ジャッチメントバーナー!)
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の両手から再び青い炎が勢いよく飛び出す!!
本田:(イメージだ。イジゲンホールのような球体を俺の電気エネルギーで造り出すんだ。そして粉が複数の酸素とくっく間に俺のつくりあげた球体と貼り付けて粉に薄い膜をつける。・・そうすれば粉塵爆発は起きないはず!)
ドカァアン!ドカァン!
本田:「あああっ!!」
(くそっ!なんつー威力っ・・全部は無理か・・けど・・!!)
炎斬:「おかしい・・爆発の勢いが弱い。一体何をしたんだ・・・?」
本田:「炎斬、お前の究極必殺技の攻略法が見えたぜ。」
炎斬:「本気で言ってるのかよ・・。」
本田:「さぁもう一発!撃って来い!!」
炎斬:「・・・。」
(落ち着け、あいつのペースに飲まれたら駄目だ。あいつのスピードと張り合える自身はないけれど今は接近戦に持ち込んで隙があればそこを叩いていくしかない・・。)
本田:「来ないならこっちから行くぞ。」
シュッ!
炎斬:「・・ま、まずい!!」
本田:「スパークリングサンダー!!」
バシィッ!!
炎斬:「うぐっ!!」
本田:「考える暇は与えないぞ!!」
炎斬:「くっ・・速い・・なんて機動力だ!!」
(この技、電気エネルギーの反発する力で地面や空気を蹴り上げて速度を上げているのか・・くそっ、俺にも加速装置みたいなものがついていれば・・・ん?・・そうだ!!)
炎斬は両手の手の平から炎を噴射する!
本田:「!」
炎斬:「よし、火力は充分。このまま両手を・・後ろに!」
本田:「なっ・・!!」
(炎を噴射して空中に浮きやがった・・?!)
炎斬:「ジャッチメントバーナーの逆噴射成功だ!・・へへ、どうだ?家庭〇師ヒット〇ンリボ〇ンのイクスバーナーみたいだろ?」
本田:「っ・・そんな使い方もできんのかよ・・。」
炎斬:「いくぞ、これでお前の速度と張り合える!」
ビシュゥン!!
本田:「!」
(はやっ・・!!)
炎斬:「ファイアガントレット!!」
バシィィッ!!
本田:「・・・・ぐあっ・・!!」
炎斬:「状況に応じて機動力を補うだけじゃなく攻撃のチャンスにも繋げられる新たな力・・これが俺の究極奥義・チェンジザバーナーだ。」
本田:「これが・・あいつの究極奥義・・!」
炎斬:「火力を少しずつ上げていく!」
ボォォォウウ!!
本田:「くっ・・まさか俺のスパークリングサンダーをヒントに・・?!」
炎斬:「ああ・・地面や空気を弾いて攻撃力の上昇と速度を加速させる力、お前の技がヒントになったんだ。とは言っても俺に電撃を操る力はねぇけどな。けど、俺には姉ちゃんのフレイムソードに宿る炎の力がある!」
本田:「・・・ハハッ、すげぇ・・!」
(だとしてもそれを一回で成功させるなんて大したもんだぜ・・俺も負けてられない!)
炎斬:「!」
(目つきが変わった?・・おいおいこの状況で何を仕掛けてくる気だよ。)
本田:「来いよ、炎斬!」
炎斬:「後悔すんなよ・・チェンジザバーナー発動!!」
ボォォォウウ!!
シュゥゥン!!!
本田:「!」
炎斬:「爆フレイムソード!!」
本田:「今だ!」
シュッ!
炎斬:「!交わされた・・なんで・・っ?!」
本田:「まだその速さに目が追いついてないようだな。」
炎斬:「っ・・けどこの間合いなら確実に貫ける、奥義・ジャッチメントバーナー!!」
本田:「!」
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の片手から青い炎が勢いよく飛び出す!!
炎斬:「っし・・やった!」
本田:「・・・それはこっちの台詞だな。」
炎斬:「?!な・・・なんで無傷なんだよ!!」
本田:「どうやらお前のおかげで俺も究極奥義の会得に成功したみたいだ。」
炎斬:「!へ・・へぇ~ならもう一回見せてもらおうじゃねぇか。奥義・ジャッチメントバーナー!!」
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の片手から再び青い炎が勢いよく飛び出す!!
本田:「究極奥義・インビシブルボール!!」
炎斬:「!」
本田の右手は炎斬の視界から見えなくなる・・どうやら炎斬の放った青い炎の中に潜っていったようだ。
炎斬:「な、何をする気だ・・。」
本田:「はぁぁぁぁ!!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!バシィッ!
炎斬:「んだあれ・・北〇の拳のケン〇ロウかよ・・すげぇ速さで炎の中の何かを掴んでる?!」
本田:「イメージは球体・・球体・・よし、これでラストォォォッ!!」
バシィッ!!
炎斬:「・・俺の炎が・・消滅した・・?!」
本田:「お前の炎の中の細かい粒子のすべてをこの右手で掴みとり、電気エネルギーでつくりあげた極小の球体の中に閉じ込めて粉砕した。もの凄い速さで動く為、見えなくなる右手と球体・・これが俺の究極奥義の正体だ。」
炎斬:「粒子って・・そんなもの掴めるはずがないだろ・・。」
本田:「ああ、普通ならな。けど俺の体には電気エネルギーが流れている。もちろん、指先も例外じゃない。その体中に流れている電気を流し続けることで炎の中の粒子を右手に引き寄せたんだ。」
炎斬:「?!」
本田:「つまり俺は右手を高速で突き出すことで炎の中の粒子を俺の右手に吸着させただけ・・ひっついているものを掴むだけならそう難しくはない。」
炎斬:「んだそれ・・俺のやつよりすげェじゃねぇか!!」
本田:「っ・・!」
(右手に痛みが・・技は上手いこと発動できたけど、そう何回も発動できねぇな。実践ではここぞって時まで温存しておく必要がありそうだ・・。)
シュゥゥゥッ・・・ドッカァァァァアン!!
本田:「な、なんだ?!」
炎斬:「すげぇ音がしたぞ・・。」
白虎:「ほう・・この数時間で我の力をモノにしたか。」
小池:「これが四聖獣の力か・・。」
 
114話/二人の絆

竜牙:「この階段・・いい加減見飽きてきたな。」
夏海:「も、もうだめ・・。」
竜牙:「お前なぁ~5分前にも同じ台詞を聞いたぞ?」
夏海:「だ、だって~。」
竜牙:「仕方ねぇ、少し休んだらまた登るぞ。」
夏海:「!・・ありがとっ。」
竜牙:「結局、先に進もうにも残っている四聖獣に認めてもらえない限り永遠とこの階段を彷徨い続けるだけだしな。」

神谷:「速水くんとブラッディは結構重症ね、この調子だとまだまだ回復に時間がかかりそうだわ。」
竜牙:「命があるだけマシだぜ。」
速水:「部長、なんでそんなにピンピンしてるんですか?おかしいでしょ、あなたも結構重症でしたよ?」
竜牙:「俺の回復力を舐めるなよ。」
玄武:「剣崎竜牙の回復にかかっていた時間は正常だ。むしろ異常なのは速水智也、瞳舞・・あなたたちの方。一度死んだ肉体を元の状態に戻すのは容易ではない。」
速水:「・・やむを得ませんね・・部長!」
竜牙:「?」
速水:「先に進んでください。」
竜牙:「な、何言ってんだよ。」
速水:「こうしている間にもデストロイヤがいつ復活するか分かりません。天空階段の下で僕達を送り届けてくれたみんなの為にももたもたしている時間はありませんよ。」
神谷:「うん、私も速水くんの意見に賛成だわ。回復が終わり次第、私たちもすぐに後を追うから安心して。」
竜牙:「・・・。」
夏海:「何考え込んでるのよ。」
竜牙:「ここで戦力を分散させるのはまずいだろ、出来る限り固まって行動するべきだ。」
神谷:「竜くん、私の言葉に耳を傾けてくれる?」
竜牙:「?」
神谷:「あなたが持つ剣舞眼は目視した対象物の弱点を見抜くことができるとハンターから聞いたわ。その力はかつてデストロイヤと死闘を繰り広げたキングダムセイバーズにはなかった力よ。
竜牙:「・・・。」
神谷:「その眼力なら最強モンスターを穿つ起死回生の一手を見つけ出せるかもしれない。」
竜牙:「けど・・!」
神谷:「現にオーガブレイクナイトを討伐できたのだってその眼力の功績が大きい。私はあなたの眼力が秘めている可能性に賭けてみたくなった。」
竜牙:「朱里・・。」
神谷:「夏海、竜くんのこと任せたわよ。」
夏海:「分かったわ。無茶しないでね、朱里。」
神谷:「お互いにね。」

竜牙:「朱里のやつ・・本当に大丈夫かな。」
夏海:「大丈夫じゃないわよ、傍からみても無理してるのが見え見えだわ。それでもやらなきゃいけないから頑張ってるんでしょうね・・。」
竜牙:「女王守護者セイバーズクイーンの使命ってやつか・・。」
夏海:「ねぇねぇ、こうして二人っきりになるのって久しぶりだよね。」
竜牙:「だな、ずっと会えてなかったもんな。」
夏海:「私、ほっとしたんだ。パラレルワールドで竜と出会えて。」
竜牙:「?」
夏海:「全然変わってなかった。」
竜牙:「ん~人ってそんな簡単に変われるもんでもないんじゃないか?」
夏海:「あはは・・そうだよね。」
竜牙:「なぁ、せっかくだしNYでの事色々と聞かせてくれよ。」
夏海:「そうね。あ、その前に一度確認しておきたいんだけど。」
竜牙:「?」
夏海:「優香並びに江口さんとは本当に何もなかったの?」
竜牙:「ってまたそれかよ・・ホントに何もねぇって。」
夏海:「・・・。」
竜牙:「おーい、頼むから・・信じてくれよ。」
夏海:「・・不安だったんだ・・私。」
竜牙:「・・・。」
夏海:「NYニューヨークに行ってからも毎日あなたの事を考えてた。ふと思う時が度々あったの、今竜は何をしてるのかな?って・・思い出すたびに会えない現実を突きつけられて辛かった。」
竜牙:「ごめん・・側にいてあげられなくて。」
夏海:「日本を経つ前に白鳥さんが言ってたんだ。」

白鳥:「木嶋先輩と剣崎先輩はこれから遠距離恋愛をしていくことになるですよね、でもこの先会えるかどうか分からない。わかります?どんなに想いが募っても会えないんですよ、言葉で言うよりもずっと辛いものになると思うんです。だから剣崎先輩は辛い気持ちをぐっとこらえて残り少ない日数をあなたを過ごしたんじゃないんですか?それなのに見送りにすら行かせてもらえないなんてひどいです。」

竜牙:「白鳥がそんなことを・・。」
夏海:「白鳥さんに返す言葉がない、情けないけど涙ぐんで泣いてしまった時も多かったんだ。あなたに会いたいと思えば思うほど胸がぎゅっと締め付けられるように苦しくて・・本当に辛かったんだ。」
夏海の背中は寂しそうに丸まっている・・。
竜牙:「・・しばらく見ない間に随分としおらしくなったもんだ。」
夏海:「しょうがないじゃない・・。」
2人の間に沈黙が流れていく・・。
竜牙:「こんな時、どんな言葉をかけてあげたらいいんだろうな。」
そう言うと竜牙は夏海の横に座る。
竜牙:「ん~難しいことはよく分かんねぇ、でも会えないからこそお互いを想う気持ちはより強くなる。そういう繋がりのカタチだってあるんじゃないか?」
竜牙は指輪をポケットから取り出す。
夏海:「あ・・それ・・!」
竜牙:「持ってるんだろ?今も。」
夏海:「うん・・私の宝物だから・・。」
夏海もポケットから指輪を取り出す。
竜牙:「やっぱりな。」
夏海:「!」
竜牙:「こんな物、気持ちが離れていたら当たり前のように持ってこねぇよ。もう分かるだろ?こいつがお互いのポケットの中にあるってことは、お互いに欠けてはいけない大切な存在になってる証拠だ。」
夏海:「あ・・・。」
竜牙:「って気休め程度にしかならないか・・ん~難しいなぁ、恋愛って。とにかく!あんまり苦しそうな顔するなよ、離れていてもお互いにまだ思い合ってんなら俺たちは今でも恋人同士だ。」
ストッ。
夏海は竜牙の肩によりかかる。
竜牙:「?!」
夏海:「ちょっと甘えたくなっちゃった。」
竜牙:「え・・えっと・・。」
夏海:「顔、真っ赤だよ。」
竜牙:「う、うっせぇ・・放っとけ!」
夏海:「大好き。」
竜牙:「う・・・。」
再び2人の間に沈黙が流れていく・・そんな時。
朱雀:「見つけましたよ、愛情の証の所有者。」
竜牙:「!」
夏海:「!」
竜牙と夏海の背後から巨大な不死鳥が姿を現す!
朱雀:「申し遅れました。私、朱雀と申します。」
竜牙:「朱雀・・ってことはこいつも!」
夏海:「四聖獣の一角・・!」
朱雀:「しばらく姿が見えないと思っていたらここにいたのですね、青龍。」
竜牙:「?誰に向かって話しかけているんだ。」
夏海:「私たちの後ろには誰もいないけど・・。」
青龍:「頃合いか。」
竜牙:「!この声、全国大会の時に聞こえてきた声を同じ・・ってことは!!」
竜牙がギャラクシーブレードを引き抜くと剣の中から巨大な竜が姿を現した!!
青龍:「俺は・・四聖獣のリーダー、青龍だ。」

115話/幻の究極奥義・目覚める最強の竜牙!前編

竜牙:「青・・龍?!」
青龍:「驚くのも無理はないな。剣崎竜牙、お前のセイバーズとしての覚悟しかと見極めさせてもらったぞ。」
竜牙:「どういうことだよ、ちゃんと説明しろよ!」
青龍:「お前はセイバーズになる時から試されていたんだよ。」
竜牙:「試されていた?」
青龍:「9年前、セントラル王国に突如として現れた時空間の歪み。そこを通じてやってきたモンスターたちは己の保身の為に人々を襲い出したんだ。俺たちのボス、麒麟は国王と協力関係を結び、モンスターの討伐に身を乗り出した。討伐する為には並外れた身体能力を持つ人間の力が必要不可欠だ。国王はそのモンスターたちを止めるべく世界各国のハイソルジャーをセントラル王国に結集させた。そう、力を持ってモンスターたちと戦うことを誓ったんだ、。それから4年の月日が経過し、満を持して現れたモンスター。名はデストロイヤ。」
竜牙:「!」
夏海:「!」
青龍:「事の経緯についてはお前たちはもう知っているだろう、キングダムセイバーズの力を持ってしてもデストロイヤを討伐することはできなかったんだ。あいつは悔しさを胸に嘆いていたよ、僕たちはセイバーズでありながらあいつを討伐することができなかったと。」
竜牙:「前にハンターが言ってたな、封印するのが精一杯だったって。」
青龍:「あの時、やつは俺にこう言った。僕のドラゴンソードの中に入ってくれないか青龍。こいつの中に入って見届けてほしいんだ、これから僕らキングダムセイバーズが選ぶ奴を倒す力、心を備えた最強のセイバーズたちの行く末を。そしてそのリーダーとなるモンスターセイバーズの生き様を・・と。」
竜牙:「!」
青龍:「そもそもモンスターを人間界に解き放ってしまった発端はボスにある。ハンターたちがそこまで責任を感じる必要はないんだが・・今思えばこうなる未来さきを見通して、あいつはお前にその剣を託したんだろう。そしてお前は今や立派な剣士として成長と遂げ、この場所に立っている。あの男の人を見る目は正しかったようだ、俺は剣を通じてこれまでのお前の戦いを見届けてきた。最初は半信半疑だったが、およそ敵うはずのない格上の相手にも怯むことなく向かっていくその強き心に俺はデストロイヤ討伐の可能性を見た。」
竜牙:「青龍・・。」
青龍:「だが備えあれば憂いなしだ。剣崎竜牙、お前に俺の力を授けようと思っている。」
竜牙:「え・・。」
青龍:「俺の力があればお前の潜在能力をさらに引き出せるはずだ。どうする、力を受け取るか?」
竜牙:「いいのか、本当に俺で。」
青龍:「今更何を言い出すかと思えば・・お前がやらなくて誰がやる、剣崎竜牙。」
朱雀:「愛情の証の所有者よ、場所を変えましょう。ここにいては彼らの邪魔になるわ。」
夏海:「・・そうね。」
スッ・・。
朱雀と夏海は朱雀の間へと消えて行った。
竜牙:「・・悪いけど、今はまだ受け取れない。」
青龍:「なぜ拒む?」
竜牙:「俺がまだ半人前だからだよ。」
青龍:「理解に苦しむ、ならばここで力を拒む必要がないだろう。」
竜牙:「俺さ、今完成させようとしている技があるんだ。」
青龍:「?」
竜牙:「幼い頃、じいちゃんの部屋の奥でみた最強の奥義、俺はこいつを密かに身につけようと修行をしていた。剣道を始めたのもこの技を身につけるために必要な足腰の筋肉をつける為だった。」
青龍:「ほう、それは初耳だな。」
竜牙:「もう少しなんだ、ブラストクロスパラディンの高速連打・・あれは相手の動きを見極めなければ成せない動きだった。でもこの奥義は違う・・神経を研ぎ澄ませ、剣舞眼で見抜いたわずかな隙を一瞬で突く。一つのズレもミスも許されないまさに一撃必殺ってやつだ。」
青龍:「・・なんとなく察しはついた。お前は昔の自分を今の自分自身の力で超えようとしているんだな?なせそこまでその奥義に拘るのか理解しかねるが。」
竜牙:「色々とあんだよ・・色々とな。」
青龍:「!」
竜牙:「?!どうした・・?」
青龍:「お前を仲間の下に返そう、嫌な気配を感じる。」
竜牙:「・・。」
青龍:「俺は今しばらく剣の中に身を潜める。」
竜牙:「嫌な気配か・・。」

白鳥:「も・・もう限界です。」
スペード:「他のやつらはどこに行ったんだ?!分かれ道とかなかったのに・・。」
白鳥:「気がついたらいなくなってましたよね、この階段呪われてるんじゃないんですか?」
スペード:「そんな怪談話のような展開があるわけが・・。」
白鳥:「うわ・・寒いですよ、先輩。階段に怪談だなんて・・。」
スペード:「誤解だ!」
覇王:「お前たち、何をぼさっとしている!時間がないんだ、モタモタしている暇はないぞ!!」
スペード:「少しは休ませてくれよ、何んでそんなに急かすんだよ。」
覇王:「っ・・。」
女王守護者セイバーズクイーンの足止めに成功し、こいつらは今バラバラに散らばっている。私が復活するにはまたとない絶好のチャンスだ。この機を逃がす手はない。)
竜牙:「待てよ。」
スペード:「竜牙?!」
白鳥:「先輩!どうして・・。」
覇王:「!」
(なぜ剣崎竜牙がここに?!・・・ま、まぁいい。)
竜牙:「・・・。」
テクテクテク・・。
竜牙は覇王の元に歩み寄り、ドラゴンソードの剣先を突きつける。
スペード:「・・何してんだ・・お前。」
白鳥:「せ、先輩?」
覇王:「何のつもりだ。」
竜牙:「白々しいな、いつまで覇王を演じるつもりだ?」
覇王:「なに?」
竜牙:「お前が何者かまでははっきりとしていないが、お前はスカルエンペラーと繋がっている。もしくはスカルエンペラーを介して俺たちを巧みに誘導していた・・そうだろ?」
覇王:「!」
スペード:「な・・!」
白鳥:「覇王が・・なんでそんなことを・・。」
覇王:「まずは理由を聞こうか。正当な理由もなしに仲間を疑うようなやつじゃないからな、お前は。」
竜牙:「とんだ化け狐野郎だな、この期に及んでもまだ覇王を演じるか。順を追って説明してやるよ、おかしいと感じたきっかけはスカルエンペラーの出るタイミングだ。あいつは烈火、睦月、秋矢の3人が俺たちのところに駆けつけるタイミングを分かっていたかのように俺たちの前に姿を見せ、ゾンビモンスターの集団を呼び出した。正直最初は特に気にもしてなかった。けど、あいつは俺たちが先に足を進めてもゾンビモンスターを呼び出して足止めしようとはしなかった。おかしな話だろ?俺たちが先に進むことを望んでいるようにしか思えない。」
スペード:「!言われてみれば・・ゾンビモンスターは死なないと言っていた。なら、睦月たちだけじゃなく俺たちを含めて全員を足止めしたいのなら大量のゾンビモンスターを俺たちに当てれば済む話だな。確かにおかしな話だ・・。」
竜牙:「スペード、白鳥。実はオーガブレイクナイトとの戦闘を終えた後にもスカルエンペラーは俺たちの前に姿を現したんだ。」
スペード:「!」
白鳥:「だ、大丈夫だったんですか?!」
竜牙:「何とかな・・。ただ不可解な点はここにもある。オーガブレイクナイトとの交戦を終えるまで奴はその姿すら見せなかった。にも関わらず、俺たちがスペードたちと離れた途端にその姿を見せた。どう考えたってあいつは負傷していた俺たちだけに的を絞り、頃合いを見計らって俺たちの前に現れたとしか思えない。まだあるぜ、おかしな点が・・奴の使っていた記憶蘇生という技だ。」
白鳥:「記憶蘇生?」
竜牙:「他人の記憶を覗き、一人の記憶の中から死者を1人だけ生き返らせることができる力らしい。その力であいつはジョーカー、ネオ、ブラッディの3人を俺たちの前で蘇生したんだ。」
スペード:「な・・・っ!」
覇王:「・・・。」
竜牙:「あの時、あの場にいたのは俺、夏海、朱里、速水の4人。ジョーカーの蘇生に使った記憶の該当者は俺か夏海。ネオの蘇生に使ったのは唯一記憶がある夏海。ブラッディの記憶があるのは俺か速水か朱里のいずれかが該当する。普通に考えたらな、けど・・安易に発した奴の言葉を俺は聞き逃さなかった。」

スカルエンペラー:「木嶋夏海の記憶からジョーカーを剣崎竜牙の記憶からブラッディを・・ククク。」

覇王:「!」
竜牙:「スカルエンペラーがそういう流れで記憶蘇生を行ったんだとしたらネオは誰の記憶を使って蘇生したんだろうな?あ!言い忘れていた・・俺は一緒に天空階段を上ってきた仲間たちの中に内通者がいると踏んでいる。スカルエンペラーの出てくるタイミングはどれも狙っていたんじゃないか?と思うぐらい絶妙のタイミングだったからな。一番信憑性のある理由としてはそれが妥当だ。何よりそれを裏付けるかのような台詞をオーガブレイクナイトとの交戦を終えた後にも漏らしていたしな。」

スカルエンペラー:「どうやら間に合ったようですね、思っていた以上にオーガブレイクナイトとの戦闘で受けたダメージが響いているようだ。」

覇王:「っ・・・。」
竜牙:「もう言い逃れはできないぞ。言っておくが俺は四聖獣の一体、青龍が嫌な気配を感じたところに飛ばされて今ここにいる。そこで遭遇したのが覇王、白鳥、スペードの3人だったんだ。なら、この中にその内通者がいることは間違いねぇ。・・無論、仲間を不必要に疑う真似はしたくない。だから俺は確証のある情報を持ってお前を今疑っているんだ。決定打となったのは先に述べた理由だ。犯人はネオの蘇生に仕える記憶をもっている人物・・そこまで絞り込んでしまえばもうお前しか該当者はいねぇんだよ、覇王。」
覇王:「・・・・。」
白鳥:「え・・えと・・。」
スペード:「どうなんだ、覇王?」
覇王:「見事な推理だ・・いや、私の爪が甘かっただけか。」
スペード:「!声が・・変わった?!」
竜牙:「ようやく化けの皮が剥がれたか。お前は何者なんだ?」
覇王:「私の名はデストロイヤ。」
竜牙:「な・・っ!」
スペード:「は?!」
白鳥:「どういうこと?!」
覇王:「三島和人たちが封印できたのは私の肉体のみだった・・というわけだ。」
竜牙:「まじ・・かよ・・。」
白鳥:「っ・・!」
白鳥は構える!
白鳥:「剣崎先輩!銀河先輩!」
竜牙:「ああ・・!」
スペード:「ってもあいつは覇王の肉体に憑依してんだろ?迂闊に攻撃はできないぞ!」
覇王:「安心しろ、お前たちとはちゃんとした場を設ける。こんなところで殺リ合うつもりはない。」
スペード:「うっ!」
白鳥:「っ・・な、何っ?!」
竜牙:「!どうしたんだ?!」
覇王:「-私は手を下さない。」
スペード:「頭の中に何かが入ってきて・・っ!!」
白鳥:「い、いやぁぁぁぁっ!!!」
ピタッ・・。
2人の動きが止まった・・。
覇王:「さて・・お手並み拝見だな。」
竜牙:「てめぇ・・2人に何をした・・。」
覇王:「フン!」
シュッ!
竜牙:「2人が消えた?!」
覇王:「あの2人はお前のガールフレンドの元に送りつけた。スカルエンペラーとしてお前たちを襲った際に予めマーキングをつけておいたからなぁ、このぐらいは造作もない。」
竜牙:「な・・てめェ・・!!」
覇王:「さァ、どうなるか見物だな。」

116話/朱雀の間

夏海:「ここが朱雀の間・・。」
朱雀:「あら?招兼ねざる客が迷い込んできたみたいね。」
夏海:「え?」
スペード:「木嶋・・。」
白鳥:「木嶋先輩・・。」
夏海:「スペードに白鳥さん?!」
朱雀:「気をつけなさい、愛情の証の所有者。この者たちの目・・死んでいる!」
スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!」
スペードがグラビティブレードを地面に思いっきり突き刺すと、地面からあふれ出たものすごい衝撃波が夏海をはじき飛ばした!
シュルルルルッ!
夏海:「きゃああっ!!」
スペード:「外したか・・。」
夏海:「ちょっと!いきなり何すんのよ!!」
白鳥:「エアーカッター!!」
夏海:「トリニティストーム!!」
ボォォォウウ!シュルルウッ!!
白鳥:「!」
ドッカァアアアアアン!!
夏海:「ハァ、ハァ・・一体・・何なのよ・・。」
朱雀:「あれは、デストロイヤの催眠術・・!」
夏海:「え?」
朱雀:「5年前にも似たような光景をこの目で見ました。キングダムセイバーズのソフィアとアースがデストロイヤに催眠術をかけられてハンターを襲ったことがあったのです。」
夏海:「ちょっと待って!おかしいじゃない、デストロイヤはまだ封印されているはずでしょ?」
朱雀:「そこまでは何とも・・ですが、あの光を失った黒眼・・恐らく彼らは催眠術にかかっていると見て間違いないでしょう。」
夏海:「一体いつかけられたのよ・・どうにかしないと。つまるところ、操られてるってことでしょ?」
朱雀:「ええ。ですが複数の人間を催眠にかけるのはデストロイヤでも至難の業と言えるでしょう。現に5年前、ハンターはソフィアとアースに何度も問いかけることで催眠術を解いていました。恐らく、デストロイヤの催眠はあまり強力ではない。付け入る隙は必ずあるはずです。」
夏海:「・・・。」
朱雀:「どうしたのです?」
夏海:「あ、いや・・ちょっとフラッシュバックしたというか・・。」
朱雀:「?」
夏海:「実は私、前にロイヤルストレートフラッシュのハートって女に洗脳されたことがあったの。その時はまだセイバーズに成り立てで能力を持った相手とまともに戦ったことがなかったからされるがままって感じだった。あの時の私は我を忘れて竜や小池くんを攻撃をしていたらしいんだけど、今でも洗脳されていた時の記憶は残ってない。そうね、例えるなら痛覚だけを感じる人形のような感じだったわ。そんな状態の私を救ってくれたのは竜だった・・。」

竜牙:「筋金入りの負けず嫌いがこんな訳の分かんねぇ技に操られてんじゃねぇよ。」
夏海:「いい加減っ、離してっ・・!」
竜牙:「お前こそいい加減戻ってこい。俺たちの武器は人を守るための力であって人を傷つけるものじゃねェんだよ。」
夏海:「!」
竜牙:「戻ってこいよ、お前が矛先を向ける相手は俺じゃないはずだ。」

夏海:「竜ならきっと真正面からぶつかるわ。相手が我を失った仲間なら尚更よ、このまま見過ごすわけにはいかない。あの時、竜が私を助けてくれたように・・私も2人を助け出してみせる!!」
朱雀:「どうするつもりですか?闇雲に戦っても体力を消耗するだけですよ?」
夏海:「強い衝撃を与えて2人の意識を飛ばす。もちろん、殺さない程度に火力は抑えるけどね。」
朱雀:「分かっているんですか?そのやり方は下手すると仲間の命を奪いかねない危険な賭けですよ。」
夏海:「どんな相手だろうと本気でぶつかる、それが・・私たちのリーダー!そんな彼だったから、この命がけの総力戦に大勢の人たちが力を貸してくれたんだと私は思う。何となく分かるの、私もそんなあいつに動かされた一人だったから。ううん、これに関しては竜だけじゃないわね。私たちは自分の中の大切な”何か”を守る為にいつだって本気で戦ってきた、だからこんなところで逃げ出すわけにはいかないのよ。どんなに危険な賭けであろうと、私は全力で成し遂げてみせる!!」
ガチャッ!
夏海は拳銃をスペードと白鳥に向ける!

カイ:「くっ・・。」
アース:「つ・・強い・・。」
朱雀:「もう止めなさい!このままだと彼らが死んでしまう。」
ハンター:「何言ってるんだ、僕は相手が誰であろうと手を抜くつもりはない。僕は彼らを助けたいんだ、だから本気でぶつかっているんだ!!」

朱雀:「!・・なるほど。」
(ハンター、そしてキングダムセイバーズの猛者たちよ。あなたたちが選び育てた次世代のセイバーズは確かにあなたたちの強い意志を受け継いでいますよ。思わず5年前を思い出してしまいました。)
夏海:「!」
白鳥:「この・・元淫乱生徒会長がぁぁぁぁ!!」
白鳥はギガスパイラルを発動する!!
シュルルルッ!!
夏海:「超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」
シュルルルル!ドカァアン!!
白鳥:「ちっ!相殺されたか。」
夏海:「ちょっ、は?!あんた!黙って聞いてれば・・絶対操られたフリをしているだけでしょ!」
白鳥:「淫乱・・不純・・ベタベタと・・ぐぐぐっ・・抹殺ぅぅぅぅっ!!」
白鳥は血涙を流し、泣き叫ぶ!!
夏海:「くっ・・この・・!ここぞとばかりに・・何?日頃の恨みでも晴らすつもり?」
ブチッ・・!
白鳥:「はらすぅぅぅぅっ!!」
朱雀:「すっごい憎悪・・。」
夏海:「この!・・後で覚えときなさいよ?!」
スペード:「超グラビティブレード!!」
夏海:「うわっ!」
スペード:「交わされた?!」
夏海:「危なっ・・まずは距離を取らないと!」
白鳥:「太陽の力を結集させる・・奥義・ソルスカイカリバー!!」
夏海:「?!」
(なに・・あの大きな剣は・・!!)
白鳥:「えいっ!!」
夏海:「ええええっ!!」
ドッカァァアン!!
夏海:「痛っ~直撃は避けれたみたいね・・。」
白鳥:「ちっ・・。」
夏海:「信じられない!何いまの舌打ち!!あいつホントに許さない!!!」
白鳥:「やれるものならやってみてくださいよ、せ~んぱい?」
ブチッ!
夏海:「ライトニングレーザー!!」
ビシュゥゥン・・!
白鳥:「!」
ドカァアン!ドカァアン!!
白鳥:「キャァァッ!!」
スペード:「!なんだ・・あの力・・。」
夏海:「ハンターの拳銃を少々改良させてもらったのよ。今私が放ったのは特殊な閃光弾。」
白鳥:「な・・拳銃を改造したの?!」
ギギッ・・!
白鳥:「あ、あれ・・?!」
(足が動かな・・!)
夏海:「今の弾丸の中に組み込まれているのはオーガブレイクナイトとの戦いの中で拾得したキラーシャドウの破片よ。よってこの閃光弾は当たったモノの影を縛り上げる!」
スペード:「!」
白鳥:「いつの間に・・そんなものを・・!」
スペード:「だとしても弾丸の仕組みを把握して自らの手で新たな弾丸を造り上げるなんて・・信じられない。」
白鳥:「っ・・今までの弾丸とは別物ってわけですか。」
夏海:「私、ハンターからもらった弾丸はすべて一度分解してるの。理由としては、弾丸内部の構造を知ることが弾丸を生かす戦い方を熟知する近道だと思ったから。案の定、分解することで分かったことがあるわ。」
スペード:「っ・・。」
夏海:「弾丸の内部には至る部分に隙間がある。そのサイズは微々たるものだけど、その部分にキラーシャドウの破片を組み込めるように加工したの。よって私の作り上げた弾丸は当てた者の影を縛り上げる強力な弾丸となった。」
白鳥:「ぐっ・・。」
(考えてみれば・・さっき私のソルスカイカリバーを受けたのも計算の内だったってことよね、スカイカリバーに防戦一方な部分をみせれば必然と私がスカイカリバーを攻撃の起点にして攻めてくる。そうなればライトニングレーザーの命中率は飛躍的に上がるわ。だって真正面の敵を狙い撃ちするだけで済むんだもの。)
奥歯をかみしめる白鳥を見て、夏海は笑みを見せる。
夏海:「利用できるものは何だって利用させてもらうわ。」
白鳥:「ちぃぃぃぃぃっ!!」

117話/夏海VS銀河&白鳥!

スペード:「だったら・・究極必殺技・ハイパープラネットノヴァ!!」
シュッ・・。

ドカァァァアアン!!!
スペードがグラビティブレードを振り下ろすと、地面がひび割れを起こしていく!!
夏海:「っ・・!」
(剣の重さで足場が!!)
スペード:「奥義・ライトニングエッジ!!」
バシィィッ!!
夏海:「キャァァッ!!」
スペードのライトニングエッジが夏海を突き飛ばした!!
白鳥:「うわぁお、流石は銀河先輩。」
スペード:「油断は禁物だ、相手はあの木嶋だからな。」
夏海:「意志がある?!・・催眠術にかかっているんじゃないの?」
朱雀:「デストロイヤの催眠術は一般的な催眠術とは違い、術をかけた人間の意識の中に目標を刷り込ませる。」
夏海:「目標?」
朱雀:「今、彼女たちの中には愛情の証の所有者は倒さなければならない敵という偽りの目標が刷り込まれているのでしょう。これこそがこの術の厄介ところなのです。なんせ操られた本人たちが操られていると自覚すらしていないのですから。」
夏海:「そんな術が使えるなんて・・。」
白鳥:「木嶋先輩、さっきはよくもやってくれましたね。」
夏海:「!」
白鳥:「究極必殺技!」
白鳥が両手を広げて前に突き出す!
白鳥:「サイクロンバズーカ!!」
ドカァァァン!!
朱雀:「!大丈夫ですか?!」
(今の・・まさか空気砲?!しかし彼女が技名を言った瞬間にもう技が決まっていた・・まさか技の発動を認知する時間すら与えないなんて・・何という初見殺し・・っ!)
夏海:「いたっ・・くっ・・。」
体中が傷と汚れでボロボロにはなっているが夏海は生きているようだ。
夏海:「今のは・・効いたわよ・・っとに・・。」
白鳥:「まだ生きてましたか・・次は仕留めます。」
白鳥が再び両手を突きだす・・が・・。
白鳥:「・・・あれ・・。」
(なんで・・技が発動しないの・・。)
夏海:「自分の両手を見て見なさい。」
白鳥:「!」
(これは・・!)

白鳥:「?!」
(なに・・何かが飛んできて・・!)
竜牙:「!あれは・・夏海のマーカーだ!!」
スペード:「ということは・・!」
夏海:「あいにく完全な上位互換を相手に力比べするほど、私はお人よしじゃないの。X技・第四の弾・爆裂弾!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
ドカァン!ドカァン!
爆裂弾で放った爆発に投げたマーカーは連鎖反応を起こし、四方八方に散らばったマーカーによる小規模の爆発が巻き起こっていく!

白鳥:「そうだ・・これは爆裂弾のマーカー・・!」
(しかもマーカーの上から私の手の平を突き刺している鋭利な物・・これは・・!)
スペード:「そうか・・マーカーの上から突き刺すことで手の平にできた影を突き刺せる、キラーシャドウで!!」
夏海:「そ。だからあなたはサイクロンバズーカを発動できないのよ。」
白鳥:「いつの間に・・こんな・・。」
夏海:「あなたが両手を突きだした瞬間に爆裂弾のマーカーをライトニングレーザーで無理矢理押し付けたのよ。極小のキラーシャドウを添えてね。光の速度を舐めてもらっちゃ困るわ。」
白鳥:「っ~光の速度よりも恐ろしいのは先輩の命中精度ですよ。あのタイミングでこんなピンポイントに弾丸を当てるなんて・・ここまで来たら別物って言うよりただの化け物ですね、先輩。」
白鳥は笑っているが笑顔は引きつっている。
夏海:「これであなたはもう必殺技を使えない、後はスペードのみ。」
スペード:「抜かせ、もうボロボロじゃねぇか。立っているのもやっとなんじゃねぇか?」
夏海:「っ・・。」
(白鳥さんのサイクロンバズーカによるダメージが想像以上に大きい。あばらが何本かいってるわね・・きっとこれが私の最後の攻撃になる。絶対に外せない、次の攻撃で確実に仕留めないと・・私が殺られる・・!)
夏海は拳銃を構える。
スペード:「お前が白鳥と戦っている間にこいつを宇宙に飛ばしておいて正解だったぜ。」
ガシッ!
スペードはフィールドワープの力によって戻ってきたグラビティブレードをキャッチする。
夏海:「!」
(ってことはまたあの究極必殺技を・・!)
スペード:「この状況で足場が崩れたらさすがのお前も立てないだろ?歯ァ食い縛れよ。」
スペードがグラビティブレードを振りかざそうとした次の瞬間!
夏海:「させない!究極奥義・第七の弾・無限弾っ!!」
ビシュゥゥン!!
夏海の放った弾丸が四方八方に分散し、スペードを襲う!!
バァン!バァン!バァン!!
スペード:「う・・うわああああっ!!」
白鳥:「弾丸が・・分散した?!」
朱雀:「これは、光の散乱?!」
夏海:「ええ。光っていうのはね、波長があるの。波長の短い光は障害物に当たると反射するけど、波長の長い光はその障害物を貫通する。その中でも中ぐらいの波長の光は障害物に当たると様々な方向に反射するわ。私の無限弾はその光の散乱を利用した究極奥義なのよ。」
白鳥:「っ・・何を言ってるか全然分からないっ・・!」
スペード:「げほっ、げほっ・・。」
(なるほどな、光の波長は空気中の窒素や酸素分子に当たるだけでも散乱する。つまりあいつは自らの手でライトニングレーザーの中ぐらい波長でも軌道に乗せて放てる弾丸を作ったんだ。よく出来てるよこの弾丸。軌道を読めない分、回避するのは至難の業だ・・にしても、ここまで精密な散乱をするってことは銃口も改良してやがるな・・。)
ガチャッ。
瓦礫に埋もれたスペードに向けて夏海は銃口を向ける。
夏海:「チェックメイトよ、まだやるって言うなら容赦はしないけど?」
スペード:「っ・・。」
(なんだ・・意識が遠のいて・・。)
バタン!
夏海:「!」
白鳥:「うっ・・体中の力が抜けていく・・。」
バタン!
夏海:「これって・・。」
朱雀:「やりましたね、恐らくこれで催眠術は解けたはず。」
スペード:「痛てて・・あれ、俺どうしてこんなところに。」
夏海:「やっと正気に戻ってくれたのね。」
スペード:「木嶋?!って・・ボロボロじゃねぇか!」
夏海:「あなたたちにやられたのよ。」
スペード:「え・・。」
白鳥:「う・・・あれ、私・・。」
夏海:「ここに来るまでの記憶はある?」
スペード:「いや・・・・・あ!」
白鳥:「ま、まずい・・銀河先輩!」
スペード:「あ、ああ・・やられたな。」
夏海:「?」
白鳥:「木嶋先輩、実は・・。」
白鳥は事の経緯を夏海に話した。
夏海:「そんな・・!」
スペード:「今、竜牙はデストロイヤが憑依している覇王と2人きりだ。このままだとまずい。」
夏海:「覇王にデストロイヤが憑依していただなんて・・信じられない。」
朱雀:「愛情の証の所有者。」
夏海:「ん?」
朱雀:「これ以上、デストロイヤを好き勝手させるわけにはいきません。先の戦いであなたの力は概ね把握しました。こちらに。」
夏海:「?」
朱雀:「私の力をあなたに授けます。」
夏海:「!」
朱雀:「この力をどう使うかはあなた次第です。ですがこれだけは約束してください、必ずデストロイヤの行動を阻止すると。この力はその為にお貸しする力です。」
夏海:「神様の力か・・まさにデストロイヤを討伐する奥の手ね。分かったわ、私はあなたの条件を飲む。」
朱雀:「交渉成立ですね、それでは・・。」

118話/玄武の間

神谷:「パーフェクト・・シールド・・。」
速水:「具体的にはどうするんですか?」
玄武:「私と戦ってもらおうか。」
速水:「?!」
神谷:「四聖獣と戦えって・・無茶よ、そんなの!」
速水:「そうですよ!勝てるわけがない!!」
玄武:「この戦いの勝敗に意味はない。この戦いはあくまで速水智也、君が究極奥義を会得するために行うものだ。」
速水:「究極奥義・・!」
玄武:「どんな力にも使い方がある。力を譲渡するだけならばさほど難しくはない。だが、そのやり方を取ってしまうと神谷朱里は強すぎる四聖獣の力に頼りきってしまうだろう。それはあまり好ましくない。というのも私の力は四聖獣の中でも異質だ。どうやって扱うべき力なのか、それをこの戦いを通して理解し、己の糧とするんだ、女王守護者セイバーズクイーン。」
神谷:「なるほど・・そういうことなら。」
速水:「ほ、本気ですか?!」
神谷:「この戦いでの勝利条件は速水くんの究極奥義の会得、だったら戦い方は大きく変わってくる。」
速水:「で、でも・・どうしたら・・。」
神谷:「あら?あなたは戦いの中で成長する、そう・・竜くんのようなタイプだと私は思ってたけど?」
速水:「!」
神谷:「どうしたらいいかなんてそんなの私にだって分からないわ。その答えは自分で導き出さないと、この戦いの中で!!」
玄武:「覚悟はできたか?かかってこい、次世代のセイバーズ!」
神谷:「X技・ホーリーブースト!!」
シュゥッ・・ズババァァァッ!!
神谷は両手から光の光線を放った!!
玄武:「防御玄武パーフェクトシールド!」
バンバン!!
神谷:「?!」
(ホーリーブーストが貫通しない?!)
速水:「うぉぉぉっ!!」
神谷のホーリーブーストが連射されている中、速水が玄武目掛けて突っ込んでいく!!
速水:「斬ハイゼルセイバー!!」
玄武:「防御玄武パーフェクトシールド!」
カキン!!
速水:「っ・・こんな装甲!」
カキン!カキン!
速水:「傷一つつかない・・なんて固い装甲なんだ・・。」
玄武:「これが私の力、すべての攻撃を弾く最強の盾。」
神谷:「凄い・・こんな力が・・。」
速水:「だったら手数で攻める、X技・ブレイクウルフスマッシュ!!」
速水は狼のように足の爪を尖らせ、玄武の装甲を引き裂いていく!
ズバババッ!!
玄武:「効かんな。」
神谷:「奥義・セラフィエンジェル。」
神谷の全身が光り輝き、そこから放たれる無数の光が玄武の装甲をを追撃していく!!
バァン!バァン!バァン!バァン!
玄武:「無駄だ・・。」
神谷:「あれだけの攻撃を装甲の強度だけで弾いたの?!」
速水:「凄い盾だ・・最強の盾と自負するだけはありますね。」
玄武:「ギミハブレイク。」
バシッ!
速水:「うぐっ!」
バシッ!
神谷:「痛っ・・!な、何・・?!」
速水:「これ・・肉眼では全く見えなかったんですが、今一瞬、針が刺さったような痛みが・・。」
(ん?・・あれは!・・どうやらまだ付け入る部分はありそうですね。)
神谷:「ええ。肉眼で捕えられない針を飛ばす攻撃・・目視できなきゃ私のクロスアルカディアスも発動できない・・。」
玄武:「そうだ、考えろ。どうすればこの状況を打破できるか、答えは君たちの中にある。」
(完璧な必殺技なんてこの世に存在しないのだからな。)
速水:「神谷先輩、ここは僕に任せて下さい。」
神谷:「何か策があるの?」
速水:「ええ、試してみる価値はあります。」
玄武:「ほう、仕掛けてくるか。」
速水:「氷河転結・絶対零度!!」
カチカチカチ!!
速水がハイゼルセイバーを振り下ろすと、強烈な冷気が足場を凍らせながら玄武の元に突き進んでいく!!
玄武:「面白い技を使う・・防御玄武パーフェクトシールド!」
神谷:「駄目ね、凍結させることもできない・・。」
速水:「玄武にかける為の技じゃない。ハヤブサランニング!!」
速水は駆け出したまま、滑って速度を上げていく!!
シュゥツ!!
玄武:「!」
速水:「うぉぉぉっ!!」
玄武:「ギミハブレイク!!」
速水:「X技・ブレイクウルフスマッシュ!!」
速水は狼のように両手の爪を尖らせ、前に突き出したまま滑っていく!その様はストリート〇ァイターの波動拳のようだ。
カキン!カキン!カキン!
神谷:「嘘・・なんであれだけでギミハブレイクが防げてるの?!」
速水:「ギミハブレイクの正体は玄武の装甲から生えている小さな毛。もっと言うならばハリネズミのように毛を尖らせ、僕らに向けて放っていました。つまり、上半身だけを意識して守っていれば突き刺さることはないんですよ。ギミハブレイクは装甲の位置から直線上の方向にしか放つことができない。つまり、装甲から下位の部分には技が撃てないんです。」
神谷:「!」
玄武:「気づいたか・・だが防御玄武パーフェクトシールドをどう攻略する?」
速水:「何の為に足場を凍らせたと思ってるんですか?」
速水の言葉の真意は分からない・・・玄武が口を開く。
玄武:「・・速度を上げる為じゃないのか?」
ズババッ!!
玄武:「!」
(私を囲うように地面から何かが出てきて・・!)
神谷:「あれはデュオスソルジャー?!」
速水:「これで・・あなたの足場だけがくり抜かれる。」
ボコッ!!ゴゴゴゴッ!!
玄武:「うぐっ!」
玄武の足場が見る見る内に崩れていく!!
速水:「はああっ!!」
速水は分裂したハイゼルセイバーを左右の手で持ち玄武の残っている足場を目掛けて投げ飛ばす!!
シュッ!
バシッバシッ!!
玄武:「っ・・まずい!」
ゴゴゴゴッ!!
神谷:「今度はプリズムエンペラークロー?!!」
速水:「斬ハイゼルセイバーァァァ!!」
シュッ!グサッ!!
玄武:「うぐっ!!」
上体の崩れた玄武の胴を速水がハイゼルセイバーで崩れていく地面に押しつけていく!!
玄武:「ああああああっ!!」
速水:「これが防御玄武パーフェクトシールドの弱点だ!」
玄武:「み・・見事っ・・!!」
神谷:「!」
(盲点だった。速水くんの攻撃の矛先、その共通点!・・そう”足場”は守れないんだ。きっと、ギミハブレイクと同様にパーフェクトシールドが張れるのもまた装甲から上の位置だけなのね!)
玄武:「・・ここまででいいだろう。」
玄武がそうつぶやくと崩れた足場がゆっくりと元の状態に戻っていく。
速水:「?!」
玄武:「ここは神の領域だ。私の意志でいくらでも再生できる。」
速水:「あ・・アハハ・・現実離れしすぎて目の前で起こっている光景についていけない。」
玄武:「持てる力のすべてを使ったいい攻撃だった。君の中では無意識の内に技を組み合わせ発動していたんだろう、だがあれはそのまま技として使える。重い一撃と崩れた足場で相手を追い込む最後の一手・・その名もヘビィクロスエンド。速水智也、君の究極奥義だ。」
速水:「僕の・・究極奥義!」
神谷:「私の究極奥義に似てるかもね。」
速水:「ええ?!神谷さんって究極奥義をすでに会得しているんですか?」
神谷:「ええ、使うべき時が来れば見せてあげるわ。」
速水:「一体どこで力をつけてるんですか?」
神谷:「ナ・イ・シ・ョ。」
玄武:「神谷朱里、私の力の使い方それに加えて、強力な力がゆえの弱点・・速水智也の戦い見て何か掴めたか?」
神谷:「ええ、おかげさまで。貴重な時間をいただけたわ、ありがとう。」
玄武:「どうやら速水智也の機転のおかげで円滑に事を運ぶことができたな。改めて私の力を譲渡しようか、神谷朱里。」

119話/幻の究極奥義・目覚める最強の竜牙!中編

竜牙:「見物・・ねぇ。」
覇王:「?」
竜牙:「お前は俺の仲間を甘く見過ぎだ。」
覇王:「フッ・・俺の催眠術からは誰であろうと逃れられない。お前の仲間たちは互いに殺し合うことになる。」
竜牙:「殺し合う?そんな事させやしないさ、俺のガールフレンドを舐めるなよ。」
覇王:「コイツ・・。」
(俺の催眠術を恐れないこの自信はなんなんだ?)
竜牙:「さてと、お前をこのまま逃すわけにはいかない。」
竜牙はドラゴンソードを鞘から抜き、構える。
覇王:「言っただろう、ちゃんとした場を設けると。」
竜牙:「お前に場をつくってもらう必要はない、ここでお前を討伐すればすべての事が片づく。」
覇王:「せっかちな男だ。」
覇王が右手を広げると、見覚えのある骸骨が姿を現す。
竜牙:「!」
スカルエンペラー:「おやおや。」
覇王:「剣崎竜牙の相手をしてやれ、俺は先を急ぐ。」
スカルエンペラー:「ククク・・。」
竜牙:「お、おい!待てっ!!」
スカルエンペラー:「あなたの相手は私ですよ?」
竜牙:「邪魔なんだよ!真ドラゴンソード!!」
スカルエンペラー:「ジ・ベルデ!」
カキン!
スカルエンペラーの影から現れた死神の鎌がドラゴンソードを押し返す!
竜牙:「なんだあれ・・!」
スカルエンペラー:「さて、数時間前の借りを返すとしましょうか。」
竜牙:「!ドラゴンソードの刀身が少し溶けている?!」
青龍:(あの鎌に触れたせいだな。)
竜牙:「青龍?!」
青龍:(ドラゴンソードの中に入っている俺には分かるんだ。あの鎌には溶解液がかけられている、迂闊に触れれば皮膚が溶けるぞ。)
竜牙:「マジかよ・・。」
スカルエンペラー:「おや?お得意の接近戦は仕掛けてこないのですか。ならば、こちらから。」
スカルエンペラーの手から死神の鎌が消えた。
竜牙:「?!」
青龍:(剣崎竜牙、避けろ!)
竜牙:「うおっ?!!」
シュッ!!
竜牙は向かってきた死神の鎌をギリギリで回避した!
竜牙:「鎌を普通投げ飛ばすか?あんなの予測できるか!」
スカルエンペラー:「ほう、交わしますか。でも・・。」
スカルエンペラーが人差し指を曲げると、直進していった死神の鎌がUターンし、再び竜牙に向けて接近してきた!
シュルルッ!!
竜牙:「なんだよこの鎌!ハヤブサランニングストーム!!」
シュッ!シュッ!
向かってきた死神の鎌を上手いこと交わす竜牙・・だが死神の鎌もまた止まることなく方向転換しながら竜牙に向かってくる!
スカルエンペラー:「フフフ、どうしました?交わしてばかりではあなたの体力が削られていくだけですよ。」
竜牙:「へっ。」
ビリリリッ!!
スカルエンペラー:「ぐああああっ?!」
竜牙:「イナズマドラゴンを流しておいて正解だったぜ。」
スカルエンペラー:「うぐっ・・。」
ポトッ・・コロコロ・・。
死神の鎌は地べたに落下した。
スカルエンペラー:「こんな芸当もできるとは・・。」
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!!」
竜牙はスカルエンペラーとの間合いを詰める!
スカルエンペラー:「!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレードTHEFAINALザ・ファイナル!!」
スカルエンペラー:「トラップゾーンバインド!!」
ビィィィィン!!
竜牙:「うわああああっ!!」
(どこから攻撃が・・?!)
スカルエンペラー:「ククク・・。」
竜牙:「くそっ・・もう一度!」
スカルエンペラー:「トラップゾーンバインド!!」
ビィィィィン!!
竜牙:「うわああああっ!!」
(な、なんで・・!!)
青龍:(何をしている!)
竜牙:「っ・・俺にもよく分かんねぇんだよ。」
青龍:(剣崎竜牙、やつは赤外線を使ってお前に攻撃をしているんだ。)
竜牙:「赤外線?!」
青龍:(どうやらこのエリアには奴の仕掛けた罠が沢山仕込まれているようだ。)
竜牙:「迂闊に動けないってことかよ・・。」
青龍:(人の動体視力じゃ認知してから行動を起こすまでの動作が間に合わない。剣崎竜牙、私の力を使え。)
竜牙:「さっきも言ったろ?俺は・・。」
青龍:(状況を考えろ、こんなところでコイツに足止めを食らっている場合じゃないはずだ。手段は選んでいられない、そうだろ?)
竜牙:「っ・・。」
スカルエンペラー:「さァ、どう動く?」
竜牙:「分かったよ、どうしたらいいんだ?」
青龍:(その前に、奴の弱点は剣舞眼で見抜けたか?)
竜牙:「ああ、見間違いじゃなければあいつの弱点は頭部・・頭蓋骨だ。頭部を壊せば体のバランスが保てなくなり、そのまま崩れ落ちるはず。」
青龍:(よし、目が慣れるまで最初は視界が定まらないだろう。だが物は試しだ。いいか、こう叫べ。)
スカルエンペラー:「ククク・・さァ、考えろォ!」
竜牙:「音速青龍ライトスピード!」
スッ・・。
スカルエンペラー:「?!」
(剣崎竜牙の姿が消えた?!ど、どこだ・・!)
竜牙:「真ドラゴンソード!」
ズバッ!
スカルエンペラー:「うおっ!」
竜牙:「外した?!」
(くそっ、見切りは完璧だったはず・・この速度にまだ乗れてないのか!)
スカルエンペラー:「瞬間移動?!いや違う・・奴はそんな技、使えないはず!」
青龍:(これが素早さを極めた音速の速度強化技、ライトスピードだ。)
スカルエンペラー:「!この声・・貴様、四聖獣の青龍か・・。」
青龍:(久しいな、デストロイヤ。いやお前はスカルエンペラーだったか。)
スカルエンペラー:「そうか、今の技はお前の・・!」
竜牙:「音速青龍《ライトスピード》!」
スッ・・。
スカルエンペラー:「っ・・また!」
(究極必殺技・トラップゾーンバインド!)
バァン!バァン!バァン!!
スカルエンペラー:「ちぃぃっ!目で捉えられなきゃ技が当たらないっ!!」
竜牙:「今度こそ!」
ズバッ!
スカルエンペラー:「痛っ!」
竜牙のドラゴンソードはスカルエンペラーの頭蓋骨をカスったが致命傷にはなっていないようだ・
スカルエンペラー:「っ!私の弱点を・・!!」
(剣舞眼で見抜いたのか!厄介な!!)
竜牙:「想像以上にムズいな、けどもう少しだ。次は確実に仕留める。」
スカルエンペラー:「これはよろしくないですねぇ、一旦退きますか。」
竜牙:「!」
(させねぇ!)
ズババッ!
スカルエンペラー:「うぐっ!」
竜牙:「あ・・れ・・。」
(いつの間にか攻撃が・・当たって・・。)
青龍:(無意識下でスカルエンペラーの頭部を貫いた?!)
スカルエンペラー:「ジ・ベルデ!」
シュッ!
竜牙:「危ねぇっ!」
竜牙はスカルエンペラーとの距離を取る!
スカルエンペラー:「ハァ・・ハァ・・。」
竜牙:「まだ生きてやがる、くそ!突きが甘かったのか?!」
青龍:(いや、お前の攻撃は確実に奴の頭部を貫いていた。力が足りない。)
竜牙:「ドラゴンソードじゃ殺傷力に欠けるってことか・・けど、ギャラクシーブレードだと刀身が長すぎる。この速度に乗ったままあいつの頭部を狙い撃ちするのはムズいな。」
青龍:(そうか・・なら、今こそ試すべきなんじゃないか?)
竜牙:「え?」
青龍:(お前が身につけようとしている未完成の究極奥義のことだ。)
竜牙:「!」
青龍:(丁度いい機会だ、これを機に完成させようじゃないか。)
竜牙:「今・・ここで・・。」
(今の俺に扱えるのか?この土壇場であの究極奥義を・・。)

~to be continued


番外編13/訪れる危機!崩れゆく世界のバランス

草原広場・地下空洞最深部。
カイ:「久しぶりね、カズ。」
ハンター:「ソフィア、すまない。急な呼び出しに応じてもらって。」
カイ:「話は聞いてるわ、あなたも行くんでしょ。」
ハンター:「ああ。それと・・。」
カイ:「!後ろのギャラリーたちは何?」
ハンター:「かつて剣崎くんたちと戦った好敵手ライバルたちだ。彼らも一緒に連れて行きたい。」
カイ:「ちょっと!証を持たない者が次元の狭間の中に入ったら最期、出てこれなくなる。忘れたわけじゃないでしょうね?」
ハンター:「本来ならね、けどそうも言ってられない。オーロラマウンテンで生息しているモンスターの数は今も尚増え続けている。君もその目で見ただろ?つまり、封印していたはずのデストロイヤの力が強まっているんだ。次元の狭間の歪みが大きくなっているのが何よりの証拠だ。」
カイ:「・・・だいたい分かった。ゾンビモンスターを恐れての戦力補強ってことね?」
ハンター:「うん。5年前と同じ状況に向かっているとしたら間違いなくあのモンスターたちが姿を見せるはずだ。そうなれば剣崎くんたちが足止めをくらってしまうことになる。それだけは避けたい。」
カイ:「彼らを連れて来た理由は分かったわ。けど、証を所持していない者をこの中に通すわけにはいかない。」
ハンター:「人の話は最後まで聞くべきだよ、ソフィア。」
カイ:「何よ、カズのくせに。」
ハンター:「っ・・ど、どういう意味かな?全く・・。安心して、彼らにも証は所持させる。」
カイ:「麒麟に作ってもらったの?」
ハンター:「いや、彼にね。」
彪呀:「俺は記憶してあるモノや物体、ありとあらゆるモノを生み出すことができる。生み出したモノは一定時間で消えるが、イメージさえできればなんでも創造できる。」
カイ:「まさか・・自分の証を複製したの?!」
ハンター:「そのまさかだよ。あ、もちろん所有者である僕が一緒に行動しないと複製した証を持っていても意味はないんだけどね。けどこれで彼らもパラレルワールドを行き来きすることは出来る。」
カイ:「相変わらずやることがぶっ飛んでるわね。」
ハンター:「手段は選んでいられないさ、時間は限られている。僕は僕にできることを全力でやるだけだよ。こんな危険な戦いに最後まで巻き込んでしまった彼らの為にもね。」
神風:「ハンター・・。」
烈火:「で、俺たちはどうすればいいんだ?時間がねぇんだろ、早くしようぜ。」
ハンター:「キングダムセイバーズの輪の中に入ってほしい。証は絶対に無くしたら駄目だからね?」
瓜生:「ヒッヒッヒ・・コイツは面白くなってきたなァ。」
秋矢:「それにしてもこんな場所があったなんて・・。」
ハンター:「準備はできたかい?」
睦月:「大丈夫みたいだよ。」
ハンター:「それじゃあ1人ずつこの歪みの中に飛び込んでもらおうかな。」
烈火:「っし・・行くか。」
秋矢:「俺も・・。」
睦月:「それじゃ気を引き締めますか。」
ライ:「死ぬなよ、睦月。」
睦月:「ライ?!あ、あーそうか・・ライはキングダムセイバーズだっけ?」
ライ:「・・・ああ。」
睦月:「柄にもなく人の心配かい?大丈夫だよ、ライ。」
ライ:「・・・。」
睦月:「僕も超えたいんだ、過去の自分を・・。セイバーズとしての務め、果たしてくる。」
ライ:「・・・フン。」
瓜生:「ヒッヒッヒ・・行くぜぇ!」
神風:「さぁ、行こうハンター。」
ハンター:「ああ。それじゃあみんな、後のことは頼んだよ。」
ソフィア:「Пожалуйста будьте осторожны。」
ハンター:「ロシア語じゃ聞き取れないから!」
レイク:「ソフィアはツンデレだからね、恥ずかしいんじゃないか?」
ソフィア:「は?」
レイク:「っと、怖い怖い・・。」
ソフィアはハンターの方を振り向く。
ソフィア:「き・を・つ・け・て・ね!」
ハンター:「最初からそう言えよ・・。」
ソフィア:「お願いだから、5年前みたいな無茶はしないで。」
ハンター:「!」
ソフィア:「危ないと思ったらすぐ引き返しなさい。誰一人として死ぬことは許さないから。」
アース:「俺たちが言いたい事、全部ソフィアが言ってくれたな。」
ネネ:「ソフィはハンターの事だーいすきだもんね、そりゃあ心配・・・うっ!」
ソフィアの溝撃ちがネネのお腹を貫いた。
ソフィア:「戯言を聞く時間なんて今のあいつにないから、あんたはちょっと黙ってて。」
ネネ:「い・・いだい・・腹が・・うう・・っ。」
アース:「おいおい・・何やってんだよ。」
ソウル:「その辺にしておけ。」
ハンター:「アハハ・・じ、じゃあ行ってくるよ。」

モンスターワールドエリア外 神の領域 天空階段前。
ハンター:「!・・いきなりここに飛ばされるなんて。」
神風:「すごい・・ここって雲の上?!」
ハンター:「あ、ああ・・驚くのも無理はないよね。モンスターワールドの上空に僕らは今立っているんだよ。とはいえ、パラレルワールドをすっ飛ばしてここに来ることになるとは思わなかったけどね。」
睦月:「銀河くんたちが通過したことでパラレルワールドからモンスターワールドまでの歪みに影響が出たんじゃないか?だから僕らは一方通行でこの場所にやってこれたのかもしれない。」
ハンター:「だとしてもパラレルワールドの内部に入り込むことすらできなかったなんて・・。」
(何者かがパラレルワールドを内側から閉じて、外の世界の繋がりを断ち切ろうとしている?)
烈火:「小難しい話はいいんだよ、この際。さっさと乗り込もうぜ、時間は限られてんだろ?」
ハンター:「君たちは先に天空階段に向かってくれ。僕にはまだやらなきゃいけないことがある。」
神風:「?」
烈火:「そうかよ、ならそうさせてもらうぜ。」
秋矢:「俺も行く、」
睦月:「よし・・行こうか。」
神風:「あ・・ちょっと隼人?!」
瓜生:「ヒッヒッヒ・・デザートはどこだぁ?」
神風:「協調性ゼロだね・・みんな・・。」
ハンター:「後は頼んだよ、神風くん。」
神風:「うん。」
ハンター:「さてと・・麒麟!聞こえてるんだろ?」
麒麟:「三島和人か・・。」
ハンター:「麒麟の間まで通してもらいたい。」
麒麟:「・・・いいだろう。」
麒麟のテレパシーが途絶えると同時にハンターの姿が消えた。

一方、光ヶ丘学院では・・。
モンスター:「グォォォォォッッ!」
女子生徒:「キャァァァ!!」
男子生徒:「ば、化け物だぁぁ!!」
桜:「!あのモンスターは・・・。」

?:「グォォォォォッッ!」
竜牙:「ば、化け物だぁぁぁっ!」
夏海:「な、何よあれ!」
速水:「あんなの見たことありませんよ!」
その怪物は180センチぐらいの身長の人型で、オ〇マ大統領みたいな輪郭をしている。何より顔〇しみたいなお面をつけていて、トカゲみたいなしっぽがウネウネしていた。
ハンター:「あれはモンスターだ!」

桜:「あの時の顔〇しみたいな怪物モンスター!・・しかも一体じゃない・・どこから出てきてるの?!」
花音:「優香、何をしているんだ!早く体育館に避難するぞ!!避難警報が出てるのが分からないのか?!」
桜:「・・麗華は先に行ってて。」
花音:「は?!どこに行く気だ、スマホ開けよ!!福岡県全域でこの怪物が溢れ返ってるんだよ!!」
桜の手を掴み、引っ張ろうとする花音の手を桜は振りほどく!
花音:「ちょっ!」
桜:「だからこそ行かなきゃならないのよ、ごめん!」
花音:「な・・ちょっ・・優香っ!!」
タッタッタッ!!
桜:「これだけのモンスターが溢れ返ってるのに竜牙や速水くんが動かないはずがない・・。」
モンスター:「グォォォォォッッ!」
桜:「っ!」
モンスターが右手を振り下ろす前に桜はモンスターの股を滑り込んで攻撃を回避した!
モンスター:「?!」
桜:「竜牙の見よう見真似だけど上手くいったわね・・。」
モンスター:「グォォォォォッッ!」
桜:「ヒィッ!お、おっかけてきた!!」
市原:「おらぁっ!」
バシィッ!
サッカーボールが顔〇しの顔面に直撃する!
モンスター:「グォォォッッ?!」
モンスターは顔面を抑えてパニック状態に陥る。
桜:「い、市原・・。」
市原:「桜、何やってんだ!」
桜:「行かなきゃいけないところがあるの。」
市原:「行かなきゃってお前・・今はあの顔〇しみたいなモンスターがあちこちで放浪してるんだぞ?!」
桜:「でも、おかしいと思わない?これだけのモンスターたちが一気に姿を見せたのに竜牙たちが全く姿を見せないなんて・・。」
市原:「あいつらのことだ、動いてないわけがないだろ?」
桜:「私もそう思う。」
市原:「って言いながら駆け出そうとするな!」
桜:「動ける状態にないんだと私は思ってるの!」
市原:「!」
桜:「あくまで私の推測だけどね。竜牙たちが今ここに来れないなら、私たちがみんなを守らないと。」
市原:「いや、落ち着けって!俺たちには戦う力なんてない、冷静になれよ!!」
桜:「考えもなしに動いているわけじゃない、これを見て。」
市原:「それ・・。」
桜:「光ヶ丘学院全学年の生徒名簿よ。あの時竜牙たちがこの名簿を見つけてくれたから私は職員会議に名前をかけられずに済んだの。生徒会長の肩書きにも傷は入ってない、3年生のこの大事な時期にお咎めなしで事件コトを終わらせることができたのは間違いなくみんなの協力があったからだわ。だから今度は私が竜牙たちの為に動く番。それに・・ほっとけないよ、あんなこと知っちゃったら・・。」
市原:「あんなこと?」
桜:「お願い、市原・・私を止めないで。」
市原:「・・分かったよ。学院を出るまででいいなら俺が出来る範囲で、ここから抜け出せるよう手助けをしてやるよ。」
桜:「!・・ありがとう。」
(待ってて、竜牙・・。)
市原:「そっから先は・・。」
桜:「うん、大丈夫だよ。門を出るまでで。」

番外編14/明かされる真実

モンスターワールドエリア外 神の領域 天空階段。
ダイヤモンドナイト:「おのれ・・ボルバルザークナイトとロードエンペラーナイトを立て続けに降すとは・・あいつ等は最早ロイヤルソルジャーの恥さらしだ。」
神風:「それは違うよ、彼らは強かった。ただ・・僕らの方が1枚上手だった、それだけのことだよ。」
瓜生:「後はてめェだけだ・・ヒャヒャヒャ・・。」
神風:「これで3対1、降参するなら今の内だよ。」
ダイヤモンドナイト:「敵に情けを掛けられるとは・・私も堕ちたものだな。」
白虎:「ハァ、ハァ・・。」
神風:「!だ、大丈夫?」
白虎:「コイツ・・強いぞ。気を抜いたらやられる。」
神風:「!」
瓜生:「まさか全国大会の優勝者が弱音を吐くとはなァ、少しは楽しませてくれるのか?ククク・・。」
ダイヤモンドナイト:「・・・。」
瓜生:「デスライトニングキール!」
瓜生がサバイバルナイフを投げつけるとそのサバイバルナイフが次々と分身し、横一列でダイヤモンドナイトに向かっていく!!
ダイヤモンドナイト:「これ以上の戦いは意味をなさないな・・仕方がない。」
ダイヤモンドナイトが右手を広げると、時空間の裂け目?のような亀裂が生まれた・・!!
瓜生:「なっ・・!」
シュルル・・ッ!!
瓜生:「デスライトニングキールがすべて吸い込まれた?!」
神風:「というか・さっきの・・!」
白虎:「ああ・・まるで次元の狭間じゃないか・・。」
ダイヤモンドナイト:「私は自らの意志で時空間の歪み、次元の狭間をつくりだすことができる。そう・・私もフォルテと同じくパラレルワールドの住人だった者だ。」
スタッ!
駆けつけたフォルテが驚愕の表情を見せる。
フォルテ:「・・・馬鹿な・・!」
神風:「!・・まさか、僕らがパラレルワールドの内部に入れなかったのは・・。」
ダイヤモンドナイト:「ご明察。」
神風:「何の為にそんなことを・・。」
ダイヤモンドナイト:「パラレルワールドの中で存在している生物が異なる世界に入り込むと色々と面倒なる。これ以上、世界と世界を繋いではならない。あなた方がこちらの世界に複数人潜り込んでいるのだって本来、容認できるものではない。しかも、セイバーズの面々が様々な世界を出入りしたせいで歪みが広がり、人間界では現在大量の次元の狭間が発生している。フォルテ一人が人間界とパラレルワールドを行き来きするだけでも小さな歪みが後を絶たず出現したんだ・・君たちとて例外ではない。」
白虎:「!」
神風:「な・・っ!」
瓜生:「・・・。」
ダイヤモンドナイト:「まさに私の恐れていた世界の崩壊が始まろうとしているわけだ。だからこそ私はパラレルワールドへの道を閉じた。にも関わらず、あなた方がセイバーズたちの跡を追うかの如くこの世界にやってきた。これにより次元の狭間の歪みはさらに広がったであろう・・となると、これから何が起きるか・・大方察しがつくでしょう?」
神風:「日本・・いや下手すると世界中で次元の狭間が・・。」
白虎:「軌跡・・こうしちゃいられない・・!」
神風:「ちょっ!どこに行くの?!」
白虎:「人間界に戻るんだよ!軌跡が・・弟が危ない!!」
神風:「ハンターがいないのにどうやって戻る気なの?!」
白虎:「くっ・・!」
ダイヤモンドナイト:「デストロイヤを止める為に動いた君たちの行動が世界崩壊の片棒を担ぐことになっているなんて皮肉な話だ。こうなることを恐れて、我々は異世界からの来訪者がこちらの世界に潜り込まないように監視していたのだ!それなのに・・やってくれましたよ、本当に・・っ。」
フォルテ:「ダイヤモンドナイト・・貴様がパラレルワールドの住人という証拠はあるのか?」
ダイヤモンドナイト:「何ですかその目は?まぁ、長年パラレルワールドに住みついていたあなたからしたら無理もないですね。」
ダイヤモンドナイトは仮面を外していく・・。
フォルテ:「?!」
瓜生:「コイツは・・!」
神風:「な・・フォルテ?!」
ダイヤモンドナイトはボイスチェンジャーのスイッチを切る。
ダイヤモンドナイト:「私はお前が誕生する前の時間にいた帝王フォルテだ。」
フォルテ:「な・・どういう意味だ・・?!」
ダイヤモンドナイト:「5年前デストロイヤが出現したことで大量の次元の狭間が発生した。そのせいでモンスターワールドから迷い込んできた大量のモンスターたちがセントラル王国とモンスターワールドを出入りするようになってしまったんだ。だが、三島和人たちキングダムセイバーズがデストロイヤを封印したことで発生していた大量の次元の狭間が一気に消滅・・一瞬にして消えた。パラレルワールドと共にな。」
フォルテ:「?!」
ダイヤモンドナイト:「私は居場所をなくしてしまった・・そんな時、麒麟が私の前に現れたんだ。」
フォルテ:「麒麟・・セイバーズの創始者か。」
ダイヤモンドナイト:「その通りだ。奴は私にこう告げた・・パラレルワールドが亡くなってしまえば世界のバランスが乱れてしまう。今一度、パラレルワールドを初期化イニシャライズして復活させたいと。」
フォルテ:「イニシャライズ?・・そんなこと・・どうやって・・。」
ダイヤモンドナイト:「日本の福岡・・そこの一端に封じられていた魔王力、この力を使わせてもらったんだ。この力の一部を私が使用したことで人間界に再び次元の狭間が生まれた。その結果、パラレルワールドが再生したというわけだ。私が次元の狭間・・いや時空間の歪みをつくりだせるようになったのもその副産物に過ぎない。だが、消滅する前の状態で生まれたパラレルワールドにはこの力を得る前の私がいる。同じ世界で初期化する前の私と初期化した後にパラレルワールドと共に再生された私が顔を合わせるとまずい。だから私は世界を再生すると同時に帝王フォルテとしての人生を捨てた。ダイヤモンドナイト・・麒麟を守護するロイヤルソルジャーの一体として生まれ変わることで。」
神風:「そんなことが・・。」
フォルテ:「なら・・今のこうして顔を合わせているのはまずいんじゃないのか?」
ダイヤモンドナイト:「難しい言葉を並べはしたが、言ってしまえば私はどこの世界にも存在しない”バグ”というものだ。昔懐かしのゲームとかでもよくあるだろ?バグは正しいデータで上書きすると消えてしまう。つまり・・・君が私の目の前に現れた時点で私は必然的に消える。」
フォルテ:「・・!」
(奴の体が透けて・・!)
ダイヤモンドナイト:「なせ、このタイミングで私が素性を明かしたか。理由はちゃんとある。」
ダイヤモンドナイトが右手を広げると、再び時空間の歪みが発生した!
ダイヤモンドナイト:「もう二度と・・パラレルワールドを消させはしない。その歪みを使えば証を使わずとも人間界に戻ることはできるだろう。どこに飛ばされるかは保証しかねるが。」
白虎:「恩に着る!」
神風:「ちょっと!」
白虎は歪みの中に飛び込んだ!
ダイヤモンドナイト:「言っておくが人間界はもうお前たちの知っている世界じゃない。戻るか否かは己の意志で判断するといい。私は直・・消える。」
瓜生:「ヒッヒッヒ・・戻ったほうがよさそうだな、こりゃあ。」
瓜生もまた歪みの中に飛び込んだ!
ダイヤモンドナイト:「行かないのか?」
神風:「僕は隼人を置いていけない、先に進むよ。」
ダイヤモンドナイト:「そうか・・で、お前はどうする?」
フォルテ:「パラレルワールドは必ず守り抜く・・約束しよう、お前の・・いや私は私自身の死を無駄にしない。」
ダイヤモンドナイト:「ようやく信じてもらえたか。」
フォルテ:「私が人獣の実験を試みようと人間界に降り立った際にモンスターが人間界を彷徨っていた理由が分かったよ。お前がその魔王力?を使ったことで歪みが生じたからだったのか。」
ダイヤモンドナイト:「そういうことだ。正確にはそれらの歪みは一度閉じたんだがな。麒麟はその点、抜かりない。剣崎鳥牙を使って魔王力とデストロイヤの封印、双方のバランスを保とうとしていた。ま、何者かが魔王力を持ち出したことですべて台無しになってしまったが。事のあらましはそんなところだ。」
フォルテ:「ここから先は任せろ、パラレルワールドは二度と消させない。」
消えかかるダイヤモンドナイトはうなづく。
ダイヤモンドナイト:「ああ・・後は頼んだぞ・・今の世を生きる私よ。」
スッ・・。
ダイヤモンドナイトは消えて行った。

- THEEND
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