「神造生体兵器 ハーネイト」 二人の英雄王伝説

トッキー

文字の大きさ
179 / 204

Code 175 女神の計画を止めるために

しおりを挟む



「座標ごと特定して襲ってくる輩もいる」
「ふぉ!!なんやて?わざわざそっちに来る奴もいるんか」
「わざわざこんなところ狙わなくていいのにね、伯爵」
「二人とも、何か勘違いをしておらぬかね」

 二人とも見合いながら、なぜアクシミデロにそんな存在が来るのかを疑問に思い話をしていた。それを見たシルクハインは、ため息をついてからアクシミデロがいかに重要な位置にあるかを事細かく説明した。

「……つまり、フォーミッドを抑えればどこの世界へも行きやすく、侵略の大きな助けになる。だから狙う価値のある世界、ということですね」
「さすがじゃの、ハーネイト。それでこそ我が息子だ。ふぉっふぉっほ、まさにその通りじゃ。もしフォーミッド世界が別の世界の住民に占拠されれば、恐ろしいことになるのじゃ。それを、研究中に知ることになったのだよ」

 ハーネイトは話を聞いていた中で、フォーミッドが交差点、いや、バイパスのようなものであることからそう推測し口に出した。それは見事当たり、シルクハインをうならせた。

「そうなのですか。……フォーミッド、実は恐ろしく安全ではない場所なのか」
「そういわれると否定はできないな」

 オーダインはややうつむいていた。昔から争いの絶えない星。DGでさえも、うかつに近づくことさえできなかった苛烈な場所。自身らの行ってきた研究はすべて、そんな過酷な環境で生き延びるためのあがきであった。

「少なくとも、現実の地球とは別次元で危ないところは分かったわおじさま」
「うむ……力を更に身に着けるのだ、皆。ソラ様は、私らよりもはるかずっと上にいる、とてつもない存在だ。しかしハーネイトと伯爵とならば、女神から離れた神々たちと力を合わせることで彼女に対抗できるはずだ。そのために生み出したのだからな」

 女神の与えた試練は、今まで起きたことよりも未曾有な被害を起こす可能性がある。それを乗り越えるために必要なことをハーネイトたちは再確認する。

「力……か。……強くならなければ誰かを守れない。けれど強くなれば大切な何かを失ってしまう、そう予感してしまう」
「だがよ相棒。……最初に抱いた思いってやつを忘れなければ、失うことはないぜ」
 
 力を得るたびに、何かを取り戻す感覚を身に覚えた。そして同時に、何かが体の中から抜けていくか感覚も感じずに得られなかった。それが彼にとって不安であった。このまま戦うばかりで、自分のことを見失いそうになりそうで、ましてや世界の命運が自分らの手にかかっていることに対するプレッシャーと合わさり苦しそうな表情を見せていた。
 それに伯爵は、最初に思ったこと、なぜ誰のために、何のために剣をとって戦ってきたか、自身が何を成し遂げるために、ここまで苦難に耐え生きてきたのかを忘れないことが大切ではないかと彼に諭した。

「初心を忘れるなってことかしら、伯爵」
「……そんなところだ」
「息子よ、己の抱く力が怖いか?」
「……まだ、戸惑いはぬぐい切れません。力さえなければ、皆と同じように幸せを享受できたのかなと思うと……」

 力さえなければ、周りのみんなと同じように幸せを感じることができたかもしれない。力が故に迫害されずに済んだのかもしれない。心の奥底でその思いがぬぐい切れなかった彼は、先ほど思ったことがこれと関係があることを再認識することになった。

「しかしだ、ハーネイト。強き者、時代の流れを変えるものは誰もが孤独を味わい、それを乗り越えていく定めを負う。人とは違うことに戸惑いを隠しきれないのは私も同じだ。しかし、自身にしかできないことがある。そう思うと少しは違うだろう?」
「……自身にしか、できないこと」

「そうだ、私はあの女神を止めなければならん。12大神がいまだ目覚めない以上、この私が天神アルフシエラ様、地神ソラリール様の遺志を継いで、全力で止めるしかない。けれどわしは女神の力を少しだけ削ぐことはできたが、願望炉が私を認めなかった。だから、代わりとなる次世代の力が必要だったのだ」

「お前をその運命に縛り付けてしまったことは、この先も含め謝るしかない、いや、それでも足りないだろう。だが、私の息子ならばその運命も切り開いてみせる。そう信じておる」

 シルクハインは、息子にすべての命運を託したことをずっと謝っていた。本来ならば自分らがそれをなさなければなかった。それができなかったのも、運命なのかもしれない。残酷なものだと思いながら、せめて彼らが全力で戦えるように助ける。そう彼は決意をしていた。


「……やるよ、ああ、やってやるさ。伯爵、リリー、力を貸してくれ」
「言われなくてもだぜ」
「勿論よ、私たちは仲間でしょ?」

 ハーネイトの言葉に2人は快諾し、改めて女神の試練を乗り越え女神を倒す、その目標を掲げた。

「父さん……また会いに来ても いいですか?」
「ああ、いつでも来い。……女神の試練、戦い抜いて受かってくれ。息子よ」
「はい、父さん。ではしばしの別れです」
「んじゃ早速かえって対策会議だ」
「DGの残党の件もあるし、急ぐわよ!」

 ハーネイトたちはそうして、オーダインに案内され例の紫色の門まで足を運び、その亀裂の中に入り足早にAM星へと帰還したのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日ごろに発売となります。 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...