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第182話 機械化人間・ヴァルターとメッサーの過去
しおりを挟むハーネイトはビュコルフの話に辟易しながら本音を口に出し、彼もまた心情を察するも個性的すぎる面子を束ね組織として運用できるハーネイトの更なる活躍を期待していた。
「これからは、残りのDGを探す旅ですな」
「正直もう働きたくない」
「気持ちはわかるが、しかしあ奴等をまとめあげられるのもお前しかいない。ああ、それとこちらも奴等について動向を調査する。相手が相手だ、いくらハーネイトでも気を付けろよ」
「ええ、ビュコルフさん」
「お前の力は、かけがえのない力だ。遍く奇跡を届ける、真の英雄……だが、あまり無理をするなよ」
「気を付けます、はい。ではこれで失礼します」
そういいビュコルフは電話を切り、広々とした執務室を眺めてから立派な椅子に深々と腰かけて、先々の動向に関して対策を思案していたのであった。
一方でハーネイトは部屋に戻ると、無事に任務を完遂したことを伝えたと全員に言い、近くにあった装飾が美しい大きな椅子に深く腰掛け、天井を見ながら一息ついたのであった。
「ふう、思ったよりすんなりいってよかった。流血沙汰とか勘弁だし」
「俺はもっと暴れてえ。ってもまあ今回は事情が事情やしなあ」
「そうかい、全く伯爵は……」
「あっ、おい。アイツらと面談するんじゃねえのか? 」
「そうだな、リリエットたちと同様に、色々聞き出さないと不味いな」
「私も手伝いましょうかハーネイトさん? 」
伯爵は彼に対し、仲間にした人たちに聴取とかしないのかと確認し、ハーネイトも座ったまま姿勢を正しながら返答し、さらにエレクトリールが協力すると申し出た。
「エレクトリールか、そうだなあ。元DGの君としての話も合わせて色々聞きたい」
「わかりました。ではどこにしますか? 」
「ここでやろう。いまヴァルターらは10階にいるが、よかったら順番につれてきてほしい」
エレクトリールは指示を聞き、それに従い部屋を出てから、最初にサイボーグウォーリアー・ヴァルターを部屋まで案内し連れてきたのであった。ドアを開けた彼は、渋く低い声でハーネイトに話しかけた。
「来たぞ、ハーネイトよ」
「ヴァルターか、まあそこに座って」
ハーネイトはヴァルターに対し、面と向かって座るように指示を出すと、彼は上機嫌そうになりながら丁寧に座り一呼吸をする。
「先日のブラッドルの一件については感謝する」
「構わんがな。我らもいろいろ思うところがあったからな全く」
「そうか、では自己紹介といままで何をしていたか、できるだけ話してほしい」
ハーネイトの問いにヴァルターは自身はもともと別の星で暮らしていたがDGの起こした戦争に巻き込まれ瀕死の重傷を負ったことを話し、そこから何があったのかを詳細に話していく。
「それで、経営していた孤児院と老人養護施設を戦争で破壊され、自身も瀕死の怪我を負ったのか」
「そうだ、あのうさん臭いおっさんことスプリィーテスが助けてくれてな。その際にこの体になったわけだぁあ! 」
「一体何者なのだあの人は。ミロクおじさんの同期って話だけど」
「そこはよくわからんが、気を付けておけハーネイト。あれは、只者ではなさすぎる」
「その忠告は覚えておくよ。しかしまあ、すごい改造だね」
「そうだろう?俺はすごく気に入っているがな。力もあるゆえ、飛ばした腕だけで人を運べるしな」
「本職の方も抜けていないって感じだね」
ヴァルターの意外な過去や一面をはっきりと知ることができ、 性格は真反対に近いのになぜか親近感を持てるいい男だなとハーネイトは感じた。
人は見かけによらずだと昔から思っていたが、ここまでこの奇怪な男が人のために働き続けていたことを賞賛しつつ、互いにDGの武器商人を倒すため戦うことを約束したのであった。
「というわけで、これからよろしく頼んだぞハーネイト。DGの残党を潰さない限り、俺らの様なつらい思いをする奴は絶えん」
「その通りですね。もう、あんな戦争はこちらもご免です。……そろそろ次の人とも話をしたいですが」
「メッサーを呼んでこようかぁ? 」
ヴァルターは、エレクトリールの代わりに自身が仲間のメッサーをここに連れてこようかといい、それを2人は頼んだのであった。
それから10分ほどして、事務室の前にメッサーが訪れたのであった。ドアをノックし、入ってきた彼に着席を促したハーネイトは、彼の姿を見ていた。
「俺はメッサー・ゼクス・ヴェイレシュナイダーだ。この前は助かった」
「それはこちらの台詞だ。それで、ヴァルターの元で働いていたとな? 」
ハーネイトは、メッサーの顔や体を少し見てから気になっていたことを尋ねた。どういう経緯でDGに入ったのかや、ヴァルターとの関係についてである。
「ああ。あいつは見た目と言動があれだが、いいやつなんだ。声が大きいのも、年寄りを相手に世話していたのが理由だしな」
「本人もそう言っていましたね」
「俺は、最初別の仕事がしたかったんだがな、幼馴染であるあいつの夢を応援したくなってな、下で働いていた。だが、DGがその幸せな日々を奪った。何もかもな」
メッサーもまた、ヴァルターと同じ苦労をしてきた。全てをDGに奪われ、その憎き敵に助けられた事実をどこか受け入れられずにいた彼は、ヴァルターと同じくDGを内側から壊すため命を燃やしてきたのであった。
「だけど、DGなしにもう俺たちはどうしようもなかった。それが悔しかった。戦争を仕掛けたやつだけは、命に代えてでも息の根を止めると亡くなった老人や子供たちに誓って、ここまで来た。ヴァルターも同じだ」
「2人とも、良い精神を持った人だというのが伝わってくるよ。この前の一件でも2人の支援があったからうまくいったところがある。ぜひ、新たな組織で力を奮って欲しい」
「ああ、勿論だとも。この俺は支援はあまりできないが、攻撃力と速度については負ける気はしないさ。うまく使ってくれ、大将さん」
2人とも高潔な精神と強さを併せ持つ人材だ、そう思いハーネイトは右手を差し出しメッサーに握手を求め、彼も応え手を握り返す。
「ああ、それとそうだ、何か欲しいものとか足りないものはあるかな? 」
「そうだな……服や義手義足をメンテする道具とかがな」
「わかった。こちらのほうで手配しておこう。確か今ホテルに商人ギルドの関係者が来ている」
「ありがたい。それにしてもハーネイトはなぜこうホテルを構えているのだ?このホテルの管理人だとはほかの人から聞いているのだがそれが気になる」
「ああ、それは……」
メッサーの疑問に対しハーネイトは、各地で秘密の拠点を幾つも持ちたかったため、ホテルなどに偽装して研究室を地下で作っていたことを話す。
ハーネイトは魔法犯罪の取り締まりなどをはじめその偉業や功績は色々と有名なのと、紅儡を生み出す怪物の血を浴びても逆に力に変換する特異体質の影響で時には同じ魔法使いから命を狙われることもしばしばであり、その対策に苦慮していたことを話す。
もっとも、その入れ知恵はBKのロイ首領によるものであり、彼女の計画に乗せられていたことも話すとメッサーは少し笑いながらも、目の前にいる若い戦士は見た名以上に途方もない苦労をしてきたのだなと感じたのであった。
「全く、興味のある話ばかりだな。若いながら、ハードで多様な経験を積んでいると見た」
「そうですか、私としては、もう少し平凡な人生がよかったかなと思いますがね」
「まあ、隣の芝生は青く見える、という言葉があるからな」
「それって……どういう。ああ、そういえばあの時に辞書でそういう言葉があったよ。異世界の諺、というものか」
「俺も色々異世界から来た人たちに教えてもらったからな。だからこうして言葉も交わせる」
「全くだな、異世界人に感謝をしてもしきれないよ」
エレクトリールの件もそうだが、異世界から来た人たちと交流してきたおかげで言葉がどこかで通じ合えるという事実に苦笑しつつも二人は、命の危機を乗り越えたくましく異世界で暮らす人たちに感謝をする。
「さあてと、まだほかにも話を聞きたいやつがいるのだろう? 」
「ええ、私は仲間に加えた際、こうして皆さんと話をして友好を深めるのが癖といいますか……良ければだれか呼んできてもらえます? 」
「構わないぞ。しかし誰を連れてこようか。少し待っていてくれよ」
そうしてメッサーは部屋を出て、次に面談を行う人を読んできたのであった。5分後、部屋のドアをノックしたのはシムカであった。
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