「神造生体兵器 ハーネイト」 二人の英雄王伝説

トッキー

文字の大きさ
44 / 204

第42話 研究者同士の作戦会議とジュラルミンの言動

しおりを挟む
 

 ボルナレロが見ていたのは、古城ガンダス城内で極秘裏に行われていたDGの研究、その中でも大きな容器の中に緑色の液体と、数種類の生物を掛け合わせたような獣が管理されているものであった。

「これは何とも……おぞましいな。培養液の中に魔獣の子供が所狭しと。悪趣味で、反吐が出る」

 それはまだ幼体のもあれば、すでに成長しきった物も存在していた。

 ぼる慣れろは静かに、昔起きたある事件のことを思い出し、改めて魔獣に対して憎悪の念を募らせていた。

「魔獣を操る研究の大半はDG側に技術リソースを確保されている状態だ。そうなると、もう一つのシステム、RTMGISだけは守り通さなければな」

 彼は自身の研究に関する情報と技術が、既に上層部に漏れていることを想定し、もう1つの独自に進めていた地図に関する研究のことだけは漏らさないようにしようと脳内で確認をしていた。
 
 ボルナレロの構築していたシステムは、魔獣を特定の周波数の電波で部分的に操る部分と、そうして集めた魔獣たちをリアルタイムで連動するレーダー、そして地理情報システムを掛け合わせた独自のソフトで森の中に誘導するものであった。

 のちにこのシステムが今の戦況を大幅に変えることになるとはこの当時、彼自身も把握していなかったが、もしこのシステムまでDGのものになれば、彼は魔獣の群れを都市部に効率的に誘導して戦乱を広げる可能性を懸念していた。

「おやおや、貴方は。久しぶりですな」

「あなたは、ホミルド・レイッショナー!ご無事でしたか」

「ああ、そなたもな」

 数々の研究を見ていたボルナレロの背後から、1人の老け込んだ男が話しかける。彼の名はホミルド・レイッショナー・アルトン。医者でもあり、医学系や遺伝子系の研究で多くの実績を残してきた機士国を代表する研究者でもあった。

 また1部の人しか知らないが、ハーネイトに医術を教え魔法医療学の祖となるきっかけを与えた重要な男である。

 彼もまたクーデターの混乱に巻き込まれ、事前に情報を聞いていたDGが開設した研究組織に勧誘されここにいた。といっても、ホミルドも新組織の対応や体制に不満を抱いており、いざとなれば事を起こす覚悟であった。

「大分老け込みましたな」

「ああ、正直こんなこともうやってられない。わしらは実質脅されて研究しておるからのう。そもそもわしの本職は医者じゃ。なぜこのような恐ろしいことに加担せねばならんのだ。ハーネイトに医学を教え込んでいた時間が懐かしいのう」

 ホミルドは、遺伝子を組み替えたり融合させる実験をこの施設の管理者、ハラヤシニフ・ウィンストとDG徴収官・ボノフと上級幹部ボガーノードという人物に強制されており、もし拒めば殺すとまで言われていたのだ。その話を小声でボルナレロに話すホミルドであった。

「それは、私がいたところよりもひどいですな。それで、どのような研究を強制されているのですか?遺伝子絡みと言いましたが」

 ボルナレロの言葉に、ホミルドは困惑した表情でそっと小声で話し出した。

「わしらは魔獣同士の遺伝子を掛け合わせた新たな生命体。俗にいうキメラというものを生み出せといわれている。ここには多くの魔獣や人が捕らわれていてな。先ほど見たやつも、その研究成果というやつじゃよ」

 ホミルドは、所属するチーム内で魔獣同士を掛け合わせたり、強引な遺伝子融合による新たな生命体の研究について、ゆっくりとボルナレロに説明する。

「ここだけの話だが、そうして誕生した生命体を操り兵器とする予定らしい。そしてその技術をもって、更によからぬことを企んで居るようじゃの」

「それって、実現した場合只では済みません。この星が取り返しのつかないことになる。ああ、こんなとき研究者であることが嫌になる」

 ホミルドの話に、ボルナレロは驚愕する。DGの恐ろしい目的を聞き、自身の行ってきた研究が鍵を握りかねないことと、そして罪の深さを再度感じた。

「そこでな、私の友人、いや最強の弟子がおってな。そやつらに協力してもらいここを襲撃してもらいながら、救出してもらおうと考えている」

 彼の言葉に、ボルナレロは一瞬顔を真顔にするがすぐさまその話に乗ることにした。

「私も協力させてください」

「そうか、慎重に事を進めるぞ」

「はい、ところでその友人とはどのような人物ですか?」

 彼の言葉に、ホミルドは軽く笑みを浮かべる。

「アルシャイーンという名に覚えはあるか?」

「そ、その名前は。怪盗として悪名高い大犯罪者……。と言うか前にハーネイトが言っていた最悪の教え子たちの?」

 そのアルシャイーンと言う名を聞いたボルナレロは更に驚いた。その名は、機士国民ならば誰もが恐れる存在として語り継がれる、伝説の怪盗一味である。

「この前たまたま出くわしてな、大量の金になる資源と引き換えに協力を持ちかけた。そうしたら、あの解決屋を連れてここに来ますといってな。密かに連絡を取り合っているのだ。まあ親戚だからのう」

「解決屋か、そして少し待ってください、その怪盗たちと親戚って」

「そうじゃ。今回ばかりは選んでおれんのだ。何にでもすがるさね。ハーネイトが救出しに来てくれるのだから安心したまえ」

 ハーネイトの名前が出た瞬間、希望に満ち溢れた顔をしたボルナレロ。様子がおかしいことに気付いたホミルドは顔をうかがう。

「だ、大丈夫か?」

「いや、これは我らに運が巡ってきたかもしれませんな。私は、彼らの仲間になって、罪滅ぼしをしたいのです。少し前にハーネイトと会いました。私の技術を相変わらず高く評価してくれて、色々吹っ切れましたよ」

 その言葉に、ホミルドはボルナレロの肩をそっと抱いて話しかける。

「国にいた時一番ハーネイトに助けられていたようだからなボルナレロは。私も彼の言葉をヒントに幾つか研究を完成させてきた。仲間に加わりたいのは私も同じ気持ちだ。ではばれないようにな。そろそろ会議の時間だ、これで一旦失礼する」

「はい。ではまた」

 ホミルドはそういうと、一階にある会議室に向かうためその場を後にした。

「ハーネイト。多くの人を動かす存在か。俺も、あいつの在り方をよく思っている。だから、力になりたい」

 彼は前に言ったハーネイトの言葉を思い出しつつ、研究施設を眺めながらそう思念していた。その表情は、決意と覚悟で満ちていた。

 その一方で、機士国内にある、ハイレルラル宮殿では、恰幅の良い男が、高級そうな椅子に座りながら部下数人をがなり立てていた。

「貴様らまだあの元国王を見つけられんのか!」

「はい、申し訳ありません!」

「今も捜索、もとい追跡に当たっております」

 恰幅の良い、ビール腹が目立つ中年の禿げた男、彼こそが今回の事態を作りだした張本人、ジュラルミン・アイゼンバッハ・ビストフェルクであり、彼の目の前にいる若い兵士たちはミリムとガルドランドといい、高級幹部として主に、侵略している部隊からの情報をまとめ伝達する任務を受けていた。

「ぐぬぬぬ、国王の件もそうだが、北大陸の侵攻スピードが想定の半分も進んでいないではないか!」

 彼は低いだみ声で2人に対し怒鳴っていた。

 現在機士国軍は西大陸の主要都市の占領を完了し、北大陸の方に兵を進めていた。しかしDGの足並みと合わず、連携もまともに取れていない状況であった。魔法使いの洗脳により邪念がむき出しになっているジュラルミンはそれを敵に利用されていた。

 しかしDGの真の目的はジュラルミンとは関係のない話であり、お互いのやっていることが違うのにうまくいくはずがないと、聡明なガルドランドは心の中でそう思っていた。彼はすでにDG達の更なる陰謀について答えにかなり迫っていたのである。それは多くの人を生贄に霊宝玉という道具を作ることについてである。

 そして現状の被害であるが、これが実に少なかったのである。それは機士国の兵隊がろくに仕事をしていない状態であった。その理由はジュラルミンのあまりの変貌ぶりに違和感を感じ、自らも死にたくないためまともに戦闘をせずあくまでしている振りの状態であること、何よりもガルバルサスという男が秘密裏に機士国軍兵力の95%を自身の下に置き、各地に潜ませDGの動向を探らせていたからであった。つまりこの時点でクーデターなどあってないようなものであった。

「ジュラルミン殿、北大陸には幾つもの強国が存在することをお忘れでは?」

「そもそもするにしても戦力数が十分ではないですぞ?」

 2人のその言葉にもろくに耳を貸さず、ジュラルミンは叱責し続ける。そして出ていけというジュラルミンの言葉に、2人は軽くお辞儀をした後部屋を後にした。

「畜生め! 何でうまくいかないのだ。ぐっ、あ、あれ…。頭が、うぐっ」

 部屋の中から外にまで聞こえそうな怒声が周囲に響き渡る。

「はあ、ジュラルミン様も魔獣や転移現象について全員で結束するという信念は理解できるのですが。しかし何であんな暴挙を」

「まるで誰かさんに洗脳されている感じですね。聡明なお方であるはずのジュラルミン様があんなことを言って部下を怒鳴るなど、以前の状態と比較しても変わりすぎだ。そういや、あのうさん臭い魔法使いがあの男のそばに来てから何かがおかしかった。後は分かるだろ?」

「魔法使いに調教されたとか?」

「言い方がおかしいぞミリム。洗脳だろそれを言うなら」

 2人は各自持ち場に戻りながら、そう雑談をしていた。そしてガルドランドの指摘は大当たりであった。その人物こそ、ジュラルミンをたぶらかした謎の魔法使いXと言う人物である。二人が部屋を出た後電話をしていた魔法使いとジュラルミンは、しばらく話をしていた。

「焦りは禁物ですぞ?そなたの秘められた野望、成就するには時間が必要です」

「ふん、抵抗する奴らに悲惨な目を合わせなければ気が済まないのだ」

「そうですか。(しかし洗脳はうまくいっている。この調子だな。しかし…)」

 その魔法使いはジュラルミンの洗脳には成功したものの、思うように事が進まず苛だっていた。そして各地での抵抗とある男の存在についていら立ちを隠せない状態であった。

「とにかく技術をじゃんじゃか戦線に投入しろ。いいな?」

「了解しました」

 そうして、その魔法使いはまた遠隔でジュラルミンに洗脳魔法をかけて電話を切った。

「くっ、20年前の時とは勝手が違う。誰だ、邪魔をしているものは。私の研究を邪魔したあの黒羽の男はもういない。なのになぜ。私の異業の力を恐れたあの男。そして私を受け入れてくれるDG。真に力を持つVの世界を作り上げるために、私は……」

 この邪悪な魔法使いはかつてDGが攻めに来た際に敵に寝返った魔法使いであるという。そして黒羽のジルバッドと因縁のある男でもあった。この存在とその能力に彼らがいつ気づくか、それがこの不毛な争いの終結に大きく関わるのであった。

 一方で街の雰囲気は戦争中であるにもかかわらず平穏であり、空に立ち込める工場群の排煙とその中で鈍く光る建物の光。それはこの先起こる事態を暗喩しているようであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。 しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。 修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!? 乗客たちはどこへ行ったのか? 主人公は森の中で一人の精霊と出会う。 主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...