「神造生体兵器 ハーネイト」 二人の英雄王伝説

トッキー

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第72話 ハーネイトに仕える最速の執事・サイン

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  集まった者同士の自己紹介はさらに続いていた。ハーネイトと言う存在がなければ再び会うことも、この先で会うこともなかった人たち。それを束ねて一つにする彼の力はもはや未知数としか言いようがなかった。

「私は八紋堀影宗と申す。夜之一様の元で防衛総隊長を任されておる身である。祖父と父は代々文斬流の使い手であり、この私も引き継いでおります。改めて、此度の戦いに我らも参加し、元の平穏な星になるよう戦うことを誓おう」

 八紋堀が渋く落ち着いた声で自身の紹介を行った。そしてそのあと部屋に入ってきた田所と郷田も軽く自己紹介を行う。

「田所と言います。元農民ですが今は都勤めの剣士です。微力ながらお手伝いさせていただきます」

「郷田と申す。普段は財政管理を任されておるが、いざという時はそなたたちのもとに向かおう、我らの力も役に立つだろう」

「その時はよろしくお願いしますね?」

「まあそうならないように立ち回るさ、俺たちの恐ろしさ、あいつらに刻んでやらあ」

 2人の紹介にエレクトリールと伯爵がそれぞれこう答えた。そして問題の6人の紹介が始まった。

「おほん、では私からだ。と言っても私を知らないのは宇宙人ぐらいだろうが、我が名はミロク・ソウイチロウ・カゲヤシャと申す。ミロクでいい。300年前に、この星で起きた大消滅を目の前で目撃したものだ。訳あって今は主であり孫であるハーネイトと共におる。よろしゅう頼むぞ」

 ミロクは最初は優しく、そして終わり際には威圧感を部屋中に満たすかのように言葉を出した。その雰囲気に多くの人が飲まれかけていた。

「ミロク様、あまり怯えさせるのはよくないですわ。ええ、私の名はミレイシア・フェニス・ヴェネトナシア。一応正式な魔法使いですが、私は人形特化の魔法使い。対多数戦闘において私は最も力を発揮できます。雑魚の群れは私にお任せください」

 ミレイシアがミロクに対し抑えるように言いながらもそれに乗せて自己紹介した。彼女もミロクも同郷の者であり、特に彼女の悪行と性格は多くの古代人に恐怖と絶望を与えていた。もしハーネイトがいなければ、彼女に幾つかの街や国は滅茶苦茶にされていたといっても過言ではない。

 というのが一般的な彼女の話だが、実は前にも言った通り、彼女は血徒という存在を憎み汚染された場所を綺麗にしただけである。血徒再葬機関という組織に所属し多くの汚染された土地を開放してみせた彼女は、実はかなりこの星の未来の命運を握っていたといっても過言ではない。

「フッフッフ、では私が正式な仲間としては最後か。私はシャムロック・ガッツェ・アーテライトと申す。大消滅の際に巻き添えとなったマッスルニア帝国の者である。今回は戦闘のほかに移動支援を担当させてもらう。それと同僚にサインという男もいるが、彼は別の任務に当たっておる」

 そして最後にシャムロックが自身のことについて説明した。これで元からアクシミデロ側の人間であるハーネイト側の戦士たちの紹介がようやく終わった。

「長かったあ、てかどんだけ強そうな連中がいるんだ。俺様出番なしでもよさそうじゃないか」

「伯爵は再生と治療もハーネイトから一応技術教えてもらったでしょ?仕事沢山あるよ? 」

「分かってらあ、やる分はしっかりやるからよ」

 伯爵がさぼろうとしていることを見抜き、リリーが軽く脅しをかけた。彼はハーネイトよりもさぼりがちな性格であり、それをリリーはよく戒めていたのであった。

「伯爵さんよ、ここはサクッと片付けて残りのシーズンで遊びつくしたほうがいいと思いますぜ。師匠の願いでもありますし」

「へへ、そうだな。リシェルか、おもしれえ。ああ、よかろう」

 リシェルの言葉に伯爵はニヤリと笑いながら返答し、気合を入れた。

「さあ、いよいよ本命というか、ハーネイトの悪い癖と言うか能力と言うか。捕虜状態と化している3人について尋問を始めよう」

「ああ、あそこで縮こまっている連中だな」

「ん……。ふああ、何だか体が軽いな。これなら、ん、行けそう」

 2人の国王がユミロたちの尋問を行おうとしたその時、ハーネイトが目覚めたのであった。


 ハーネイトの目覚めとほぼ同じころ、北大陸北西部においてある建物を監視する一人の男がいた。黒髪でオールバックにまとめ、すらりとした長脚の若い男がきちっとした紺色のスーツを着込み、物陰から建物の入り口を誰にも気づかれないように息を潜めじっと見ていた。

 その先には、2人の銃を持った男らが立ち妙な話をしていた。

「この星の人間どもはまだ気づいておらぬようだな、我らの計画を」

「そうとは言えないぜウォン。各地で幹部たちが次々と行方不明になったり、作戦が失敗しているとな」

「んだと?気づいている奴がいるのか」

「そうみたいだ。しかも恐ろしく強い上に、俺たちの城主や幹部数名を引き込んで手駒にした男もいると」

 兵士と思われる2人組はタバコを吸いながら青空を見上げていた。そんなどこか緊張感のない彼らを見たスーツの男は、服の中から何かを取り出して確認する。

「とりあえず、封の魔印でいいか。動きを止める」

 彼の名前はサイン・シールシャルート・ヴェルナードという。地球より10数年前に転移した異世界人というらしいが、謎の多い20代後半の青年である。

 彼にはある肩書があった。それは、ハーネイトの部下であり執事だということ。今までの話の流れからすると、3人しか彼は部下を雇っていないのではと思うだろうが、そう、このサインは幻の4人目と呼ばれる存在だという。

 付き合いも他の3人と比べとても長く、ハーネイトが旅を始めて1年ほどして出会い、他の仲間たちと意気投合したのち彼についていったという。一応BK所属ということにはなっているが、彼は現在ハーネイトから別の任務を言い渡されておりそのため別行動をとっているわけである。

「行くか、洗いざらい吐いてもらうぞ。侵略者……! 」

 サインは隙を伺い、木々の太い枝に素早く飛び乗るとそのまま勢いを利用し2人の兵士の頭上から手にした何かを飛ばし彼らの脳天に直撃させた。

 そして着地と同時に体をひねり、2人纏めて回し蹴りで地面に頭からたたきつけた。

「な、っ!ぐっうううう! 」

「う、動けん!貴様、何者、だ! 」

「何者か?それを知る権利はない。さあ、ここで何が起きているか話せ」

 サインの放ったそれは、「魔印」と呼ばれる、刻まれた文字に応じてあたった対象に影響を与える呪いの魔具である。

 彼は他の3人に比べると戦闘能力はやや低いものの、特殊な支援攻撃を行える。それと自慢の長い脚を活かした蹴りはある技を使えば竜巻を起こし山を破壊するほどである。

 彼の性格と能力から、諜報員としての素質を高く買われ、サインは偽装してあるDGの関連施設を探し情報を奪うエージェントとして、密に機士国と連携し任務にあたっていたのであった。

「何時、また会えるのだろうか。ハーネイト様が食生活のせいで倒れてなければよいのだが」

 倒れた兵士から情報を聞き出した彼は、施設の裏口に回り内部に潜入していった。

 ハーネイトたちとは別の場所で、こうして活動している人たちもまた、この星を救う英雄の一人だと言える。彼は主であるハーネイトとの再会を願いつつ、研究所の制圧を始めたのであった。
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