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一泊二日の遠征(5)
これは僕なりになにか役に立てることは無いかと探すための行動……だった。
「あの、なにか手伝うことありますか…?」
「いや~こっちはいまんとこ特に無いな――って、ラズ様!?し、失礼しました!!ご無礼をお許しくださいっ」
「や……急に話しかけた僕が悪いので…なにかお手伝いできることがあれば言ってください」
「は!ありがとうございます!」
「……」
サッと綺麗なお辞儀をした後、駆け足でその場から逃げるように去っていく騎士団員を無言で見送る。
さっきからこんな会話の繰り返しだった。
長い道のりを馬移動したかつ、途中賊の襲撃にもあった騎士団員の方々が今も尚休むことなく忙しなく動いている中、ずっと何もしていない自分が一人のうのうと休むなどできるはずもなく、なにか手伝えることは無いかと手当り次第聞いて回ったが全て空振りに終わる――どころか逆に気を遣わせてしまい、しゅん…と項垂れていた。
「ラズ」
「……へい」
「どうしたのそんなにしょぼくれて」
「自分の無力さを痛感してたところだからほっといて」
ラルド様やトールとの話し合いが終わったのか、僕を探しに来たクオーツはすぐに僕の様子に気付くと近寄るなりちょんちょんと頬をつついてくる。そんなちょっかいに更に頬をぶぐっと膨らませているとふふっと笑ったクオーツに肩を抱かれ導かれるまま歩き出した。
「テントの準備ができたよ、おいで」
「ん」
馬を休めている地点から道なりに少し行くと、わさわさ生い茂っていた木々がいきなり拓けた広い空間が現れた。
そこでは忙しなく駆け回る騎士団員達だがこちらに気付くと律儀にも一度作業の手を止め挨拶をしてくる横を堂々と進むクオーツとぺこぺこ頭を下げながら進む僕。
向かった先には大きなテントが一つと、それを取り囲むように幾分か小さなテント4つが設営され、その傍では大鍋を焚き火にかけ料理をする光景も広がっていた。
「んわーーっ!想像の野宿と全然違う!」
「ふふ、一体どんなのを想像してたの?これなら大丈夫そう?」
「大丈夫そうすぎる!むしろ快適そう!」
初めて見る本格的な野宿の光景に数分前のげんなりは一瞬で吹き飛び、目を輝かせワクワクが止まらなかった。それにテントも複数個ある様子からマリン達や騎士団の人達……そしてラルド様もちゃんと休むことが出来そうだと内心ほっとしていると、おや、とあることに気が付く。
「でもさ、こういう木がいっぱいの所って敵に狙われやすくて危険なんじゃないの?ほら、向こうさんは身を隠しやすいじゃん?詳しくないからよくわからないけど」
「ラズは物知りだね、でも大丈夫―――そういう訓練だから」
「へ?」
このタイミングで丁度強く風が吹き、クオーツの最後らへんの言葉がよく聞き取れなかった。
もう一度聞き返そうとしても、風でボサボサになった僕の髪の毛を直されてる間に有耶無耶になり、まぁいいかと浮かんだ疑問はすぐさま消えていった。
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