【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

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一泊二日の遠征(15)



 
 チュンチュン聞こえる鳥の囀り。

 
 重くて簡単には開かない瞼をなんとか無理やりこじ開けると、そこは見慣れないベッドの上。
 自分がどこで何をしていたのか、すぐには思い出せないでいると、唯一普段と変わらない光景――寝起きの頭には一段と眩しいクオーツの清々しい微笑みが至近距離で僕を見つめていた。

 その顔をぱちぱち眺めていると次第に昨日の記憶が蘇ってきて―――
 
 
「おはよう、ラズ」
「………お、ま…クオーツ貴様ァァァァっ」
 
 
 寝起きとは思えない朝一番の怒りの叫びは軽くテントを通り越し、森一帯に響き渡った。
 

 
 
 
「ラズ様どうどう~陛下に貴様なんてお口が悪いですよ~」
「マリン止めるなぁぁっ!こいつを殺して僕も死ぬ!な、なんでラルド様に、なんでっ」
「わぁ、ふふ…ラズに殺されるのは本望だね」
「殺す!!!」
「んえぇぇどっからそんな馬鹿力…クオーツ様も笑ってないでどうにかしてください~」
 
 
 朝からテントの中は修羅場だった。
 
 
 マリンの必死な仲裁の成果もあり、一時休戦の形で一旦落ち着くとクオーツからそもそものこの遠征の目的を告げられた。
 
 
「―――は…?訓練?」
「そ。この遠征の真の目的は地方の視察ではなく、王を連れて行う一泊二日の野営訓練。あらゆる事態に対応できるか騎士団を試す大切な業務の一環だよ」
「道中賊に襲われたのも、お前のバカみたいな発情も……?」
「全てひっくるめて訓練。実戦ではどこから賊が現れるかなどわからないし、愛する番と交わりたいと思えば場所なんて関係ないでしょ?どんな状況でも冷静に対処できるよう彼らの実力を試していた。そうじゃなければ王付きの騎士は務まらないからね」
「ちなみに俺とトールは知ってましたよ~あとラルド様も。それ以外の団員とラズ様にはよりリアルな訓練にする為、一切知らせず今日まで過ごしていただきました」
 
 
 そういう事、とウィンクを飛ばしてくるクオーツの言っていることは理解できたが、それとこれとは話は別。なかなか怒りはおさまらなかった。
 
 
「だ、だからって、あんな…あんな……っ
 ―――あぁぁっもう僕はこれからどんな顔してラルド様と顔を合わせたらいいんだ!」
「堂々としていればいいよ、ラズはなにも間違ったことなどしていない。王と交わることも王妃の立派な役目さ」
「交わるとか言うな!」
「じゃあ、セックス?」
「お前もう黙―――」
 
「―――陛下、お目覚めでしょうか」
 
 
 噂をすればご本人登場。
 その声が聞こえた瞬間ピクっと反応すると目にも止まらぬ速さで掛け布団を捲りあげ頭から被ると、こんもりお山を作って篭城した。
 
 まさに頭隠して尻隠さず。
 
 
「……ラズ様、お尻が出てますよ~」
「ぴぇっ」
 

 マリンのナイスフォローにより今度こそ全身隠れることに成功した。
 
 
 
 
 
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