【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

文字の大きさ
42 / 141

運命の番VSブラコン(1)sideクオーツ


 
 一歩そこに足を踏み入れた瞬間、まさに混沌とした世界が広がっていた。
 
 
 
「……マリン、これは一体どういう状況だい?」
 
「クオーツ様すみませんっ!俺にはお兄様方をお止めするのは……あっちょ、お三方!」
 
 
「あ~っクオーツやっと来たぁ~!早くこっち!こっちぃ~!」
「ふん、やっと来たか……愛しの弟を奪った悪魔め」
「こらこらだめだよ兄さん、いくら憎くともこの人は陛下なんだから~。かわいいラズを手に入れるためなら手段は選ばない男だよ?そんな口きいたらいくら公爵家とはいえ俺達の首なんて一瞬で、スパーン…だよ」
「うむ…確かにな。邪魔者は即排除の考えを隠そうともしないやつのしそうな事だ」
「……んぇ、兄様たち、もしかしてクオーツに虐められてる?酷い…」
「あぁっラズ!泣くな!なんて優しい子なんだ!」
「俺達の弟、紛うことなき天使だわ…きゃわゆ…」
 

 見るからに酔っているラズを中心に取り囲む厄介な人々。

 
「……はぁ、トール、この方達の来訪の知らせは聞いてないが」
「いつもの如く押しかけて来たようです」
「……はぁ」
 
 
 この世に苦手なものなど存在しない私でも唯一気後れする存在―――それが、ラズの兄ⅹ2だった。



 ◆◇◆◇◆
 
 
 
 遡ること数分前。

 つい先日野営訓練を行ったばかりという事もあり、ここ最近は大きな公務も予定もなく、いつも通り一日中机に向かって行う事務作業を終え、ラズが待つプライベートルームへ帰ろうと廊下を進んでいた時のこと。
 たまたま目の前を大量の酒と果物を運ぶ数名のメイドが通り過ぎていくのを目撃した。
 
 いつもならそんな些細なこと気にも止めず素通りするのだが、何故かこの時本能的に胸騒ぎを覚え、「そこの者――」と呼び止め行き先を尋ねれば、まさかの出てきた名前は到底素通りを許す事は出来ないものだった。
 メイドが言うには―――ラズ様のご用事。
 そんな答えを聞いてしまったものならそのまま後をついていかざるを得ない。
 
 
 そして、たどり着いた扉の先で冒頭の出迎えを受けたのだった。
 

 
 まず目に入ったのは、洋館の城の一室には珍しく直接床にカーペットやクッションを敷き詰め、四つ角に立てた支柱から布を垂らし簡易的な天蓋を作った雑魚寝式の空間にアロマも焚いた異国情緒漂う趣き。更に、それに相応しい異国の踊り子のような少し動けばシャラシャラと装飾品が音を奏で、着ている意味があるのかと疑問に思うほど透け感激しい艶かしい衣服に身を包んだラズ。
 何故そんな格好を…と疑問に思うよりも先に、既に酒で出来上がった状態のラズの両サイドを陣取るようにして座る二人の男に目がいき、すべてを把握理解した。
 
 
「……お久しぶりです、ソーダ殿、アズ殿」
「久しいなクオーツ」
「クオーツ様お久しぶりで~す」
 
 
 相変わらず、王である私を前にしてもフンと態度を変えない脳筋長男ソーダ殿と、耳にも指にも装飾品を沢山付け飄々とした態度で腹の内が読めないチャラ男次男アズ殿。
 年齢で言うとソーダ殿がラルドと同年32の歳になり、アズ殿が私のひとつ下28の歳。
 それぞれ10と6としが離れたラズを溺愛するあまり、ただ可愛がるだけではなく、幼少期から様々な衣装を着せて楽しむ性癖を持ち合わせた一癖も二癖もあるラズの兄二人が久方ぶりに王城へと訪れ、変わらない溺愛っぷりを発揮していた。
 

 
 
 
感想 43

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」