【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

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報告(2)


 
 クオーツに見守られながら、冷静に、二人の目を見て告げた言葉。
 
 
「僕ね……妊娠、してるみたい」
 
 
 その瞬間、ポカン…と固まる二人の、次に見せた反応は───心から祝福するものだった。
 
 
 
「~~!!ラズ様っうわぁ、うわぁっマジですか!マジですかぁぁ~~!!おめでとう、おめでとう~~っやば、俺今日一日でどんだけ泣くんだってくらい涙が止まらん~~干からびる~」
「……だからって私の服で鼻をかむな。自力で立て」
「だってぇ~…」
「ラズ様、本当に、おめでとうございます」
「へへ、ありがとうございます」
 
 
 一緒に喜んでくれたら嬉しいと思ってはいたが、予想以上に我が事のように喜び大号泣するマリンに胸が温かくなる。
 そして、前世で深い関わりがあり今世では僕の推しである以前にラズとして産まれたその瞬間から僕を世話してくれたラルド様。改めていつかゆっくり話す時間を設けられたらと思いながら、頂いた祝福の言葉を噛み締める。
 
 
「僕もついさっき知ったばかりだし、なにより初めての事で不安がいっぱいだから…二人には色々助けてもらえたら嬉しいです」
「もちろんですよ~~!めちゃくちゃ指南書読み漁って明日には完璧な助産師レベルまで極めてきます」
「えぇっそれはやば……でも頼りにしてる」
「はぁい」
 
 
 長年僕に付いてくれているマリンの気合いが心強い。ラルド様も言葉は少ないながらも頷く姿がとても頼もしかった。
 
 
 一通り僕に祝福の言葉を送ったのち改めて姿勢を正すラルド様は、僕の後ろで黙って眺めていたクオーツに騎士の礼をとる。
 そういう礼儀を忘れないのもさすがラルド様…と、その様子を邪魔にならないよう必死に口を押えながらはぅ…と傍から見守った。
 
 
「遅れましたがクオーツ様、この度は誠におめでとうございます」
「あっそうでしたそうでした、クオーツ様、おめでとうございます」
「ありがとう二人とも。これまで以上にラズの体調面のサポートに尽くしてあげて」
「「は」」
 
 
 マリンもあわせて膝を折る二人にお願いに近い王命を下す光景。大袈裟だなぁ…と思いながら、心から引き受けてくれる二人に有り難さでいっぱいだった。
 
 
「ラズ、些細な事でも私たちや周りにすぐ言って。なんでも頼ってね、共に頑張ろう」
 
 
 後ろから抱きしめられながら心地よいフェロモンで包まれる。
 
 
 
 何度も言うが不安が全くないと言ったらそれは大嘘。不安しかない。
 
 第二の性の概念があるこの世界ではオメガ性であれば男も子を身篭り産むのが当たり前のこと。最低限の知識として僕も学んできた。
 しかし、前世の世界観ではそれは有り得ないこと。有り得ないことが自分の体に起きている。
 
 これからこの先お腹はどんどん膨らみ、その出産方法についてはまだよく知らない。
 果たしてオメガとはいえ男の体に産道というものが存在するのだろうか…
 無いのだとしたらその時は…お腹を切って取り出す、のだろうか───前世でも外の国から入ってきたその出産方法が少数派ながら存在すると耳にしたことはあった。
 

 大丈夫…きっと、大丈夫。
 老先生を信じよう。
 王の子なんだ、そう易々と危険に晒すはずはないだろう───少なくとも、この子は。
 
 
「ラズ、何があってもキミを守るよ」
「───ん」
 
 
 僕の思考を知ってか知らずか、その時のクオーツの表情は一生を共にする運命の番として、僕に対する眼差しはさらに慈愛に満ち溢れていた、と後々マリンが教えてくれた。
 
 
 
 
 
 クオーツ国王陛下のつがいラズ王妃に宿った念願の命。
 
 その知らせはすぐに王城、国内、近隣諸国まで行き渡り、日に日に届くたくさんの祝辞や笑顔でさらにこの国は活気に満ち溢れた。
 みな、新しい御子にお目見えする日を心待ちにしていた。
 
 
 そしてとある日───
 
 
 
「ラズ」
「母様っ」
 
 
 普段あまり王城へは訪れず、こちらから実家へ出向くことでしか会う機会が無かった母様の来城の知らせにクオーツと共に喜んで駆けつけた。

 
 
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