【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

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報告(3)


 
「「「ラズ!」」」
「父…様?え、兄様たちも…、えぇ?みんなで来てくれたの?」
 
 
 客間のソファに腰かけ待っていた母様の隣には父様が並び、L字ソファの短辺には兄様たち二人も居た事に来訪者は母様だけかと思っていた僕は一家揃っての来訪に心底びっくりした。
 が、いったんそっちは置いといて、立ち上がって出迎えてくれている母様一直線に手を広げ駆け込めば優しく受け止めてくれる母様と抱擁を交わし合う。
 総じて背の高いわが家の男性陣の中で頭一つ分低い僕と、ドレスに似合うヒールを履いて目線が並ぶ母様。僕そっくりの顔で優しく微笑んでくれる笑顔に安心する。
 
 見ての通り、いくつになってもれっきとしたマザコンです。母様ラブ。
 
 
「こぉら、あまり走ってはいけませんよ。転んだら大変だわ」
「はぁい。へへ、母様お久しぶりです」
「まぁまぁ…私のかわいいラズ、母様にお顔をよく見せて?」
「はい」
 
 
 両頬に手を添えられた途端、母様が好んでつける香水の優しい香りにふわっと包まれ、元から母様に会えた喜びで緩かった表情はさらにふにゃっと緩む。
 
 
「報告は聞きました。体調は大丈夫?」
「大丈夫です!母様のお顔が見れて元気エネルギーが充電満タンになりました!」
「まぁ、母様もよ。ふふ、本当に…産まれた時は何日もずっと泣き止まなくて途方に暮れたあの子が、こんなにも立派になって……母様は大変誇らしいわ」
「母様……」
 
 
 目に涙を浮かべる母様につられてこちらまで泣きそうになる。そんな感動の母子二人の世界にギリギリで映り込む完全に蚊帳の外である他の家族三人がコソコソとざわめきだした。
 
 
「あ…ラズ…そろそろパパともハグ…」
「ラズ私とも…」
「俺も…」
 
 
 外では威厳あるこの人たちのまるで鳥のさえずりかと思う遠慮交じりの小声のアピールに、初めは気付かないふりをしようかとも思ったが母様とそっと目配せを交し、仕方ないから仲間に入れてあげる事にした。
 
 
「父様、兄様たちも、ほらハグ」
「「「ラズ~~っ」」」
「うぎゃっ」
 
 
 母様から離れ手を広げれば風の速さで三人に取り囲まれた。
 
 
「ラズ、話は聞いたよ。お前はなんて立派なんだ…これからに備えて困ったことがあればすぐに言いなさい、パパがすぐに用意させる」
「私でもいいぞ、ラズの為ならどんな国のものだろうと取り寄せよう」
「ラズ、ストレスとか大丈夫~?なんだか顔やつれてない?俺心配~」
 
 
 三者三様、我先にと一気に話してくる相変わらずなこの人たち。
 うちの力の相関図はわかりやすく母様を頂点に僕、その下に父様たち三人が同列に並ぶ、とても家族円満仲良し家庭なのである。


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