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動き出す刻(4)sideラルド
そんなクオーツ様が出会った運命の番───
これからも決して平穏ばかりでは無い日々が待ち受けているクオーツ様が真に心を許せる相手、それがラズ様なのだとわかった瞬間、自分の想いも含め様々な感情が巡ったものの、それ以上に、今後一生この方の隣に立ち支える存在が太陽のような笑顔と心を持つラズ様であれば見事氷の壁を溶かし、必ず大きな力となることだろう……よかった、安心した───
今思い返してみればそう思う自分が心のどこかにいたのだと今更ながらに気が付いた。
それが全ての答えだ。
「恨んでなんかいません」
「───え」
「私がクオーツ様の立場でも、同じことをしたと思います。人を愛するというのはそういう事だと思うので自分優位に行動するのが当たり前です。クオーツ様は正しいことをされています。それに、ラズ様の運命の番はクオーツ様だった、それが神が与えた運命なのですから端から私の出る幕はなかった……そう罪悪感にくれた顔をなさらないでください貴方らしくない」
「……はは、やっぱお前はすごいね、ラルド」
ふっ、と笑った顔はどこか憑き物が落ちたようなそんな表情を見せたのち、すぐに片手でくしゃっと前髪を崩しながら表情を隠してしまわれる。
「すまない……ラルド───」
「クオーツ様、謝るのは反則です。ですが、少しでもそのようなお気持ちがおありでしたら……必ず、幸せにして差し上げてください、ラズ様もお生まれになるお子様も。そして今後も変わらずあなた方のおそばで見守らせてください」
「あぁ…必ず、約束する」
長年有した記憶をラズ様に打ち明けても、感動こそあれど交わしたのは他愛のない話のみ。
結局最後まで自分の気持ちを押し殺し告げる事の出来ない情けない自分に正直その場では嫌気がさしていた。
しかし、それで良かったのだと今となっては思える。
下手な事を言えば、ラズ様の心を乱すだけ。
そして、一生修復することは出来なかったであろう旧友クオーツ様との関係性。
今回、このタイミングでクオーツ様の方から時間を設けていただけて本当によかった。
お互い久々に腹を割って話すことができ、不思議と気持ちがスッキリしている。
今後は再びこの方の友として、長年止まっていた時がいま動き出そうとしている。
ラズ様への想いが完全に整理がついたかと問われるとそれは否である。
しかし、これまでと違い穏やかな気持ちでお二人を、そして、ゆくゆくはお子様も併せた三人を見守ることができることだろう───
彼らの幸せを見届ける、それが今世の私──ラルドの望み。
動き出す時 -END-
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