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連れ去られた番(2)sideクオーツ
トールの報告を受けて間もなく、血相変えて駆けつけたマリンとラルドが合流するやいなや何が起きたのかマリンの話を聞く。その傍らで少しでもラズのフェロモンを辿ろうと意識を集中させていた。
ラズが危険な目にあっているかもしれない時に、ただ見つかるのを待つだけではいられなかった。
「お、俺、クオーツ様に言われてすぐに飲み物を準備して元の控え室に戻った頃にはその部屋はもぬけの殻で……ティアラだけが床に転がってて……それで……うっ、ラズ様っ」
「わかった、ありがとうマリン。もういいよ」
「すみませんクオーツ様…すみません……」
「マリン」
「トールどうしよ…ラズ様に何かあったら、俺……」
「……一刻も早く見つけ出そう」
自分が早く戻らなかったから、と悔やみ嗚咽を漏らすマリン。その悲痛な様子にトールへ目配せを送り、近くのソファへと座らせ寄り添い合う双子を尻目にギリっと痛むこめかみを押さえる。
悪いのはマリンではない。
全ての判断を誤った私だ───
「……クオーツ様、騎士団へはラズ様捜索を優先するよう伝達しています。もしもの場合の対応も……ラズ様のお命が第一優先だ、と」
「あぁ。それでいい」
一見冷静に見えるラルドであるが、ラズが連れ去られたと話を聞いたその瞬間、絶句し今すぐにでも飛び出していきたいのを懸命にこらえ、自分のやるべきことを全うしている様子が見て取れた。
こうしてる間にも一人恐怖で怯えているかもしれないラズを思うと視界は赤く染まり頭に血が登りそうになる。
しかし、怒り散らしているだけでは何も解決の糸口は見つからない。
全神経を研ぎ澄ませ探っていたラズのわずかな形跡を見つけ出したのはそれから数分後のことだった。
*****
急いで駆けつけたのは普段滅多に近寄らず、存在すら今初めて知ったような王城内の地下に存在する備蓄倉庫へと続く扉の前。
鍵がこじ開けられたような形跡と底が見えない階段からは僅かにラズのフェロモンが残っていた。
「何人潜んでいるか未知数です。くれぐれもお気をつけください、クオーツ様」
「わかってる。行くよ」
私、ラルド、マリンにトール、そして数名の騎士団員を連れ、各々明かりを片手にこの先どれ程続くか分からない暗闇の螺旋階段を足早に下っていく。
石畳で作られた空間はやけにひんやり感じ、足音が大きく反響した。
長く続いた階段も残りあとわずか───そんな時、突如として女の叫び狂う声が聞こえた瞬間、反射的に走り出していた。
階段を駆け下り無我夢中でラズの形跡を辿る。
そして、やっと辿り着いた拓けた空間で目にしたのは、鮮やかな赤と共に崩れ落ちていくラズとローズの姿だった
「ラズ───ッ!!!」
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