【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

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エピローグ


 
 
 とある国のとある時代
 
 その代の王と王妃は世にも珍しい運命の番であった。
 
 
 
 生涯側室を一切持たず一途に王妃を心から愛した王と、そんな王の隣でよく支えた王妃の姿は良き時代の象徴としてその後何代にも渡って後世に語り継がれた。
 
 
 そんな王妃の密かな趣味である“推し活”という文化も水面下で脈々と受け継がれていた。
 
 “恋愛感情での好きの対象”と、“眺めて癒される好きの対象”は別なのだと、推し活の場所であった騎士団の訓練所が見渡せる丘に植わった大木の後ろを定位置とし、ターゲットを眺めながら熱く語る王妃の姿。


「はぁぁぁっ今日もラルドはかっこいぃ~年々歳を重ねて渋みもあいまって……たまらん」

 
 そんな王城内では見慣れた姿に、いつからかもう一人小さな姿が増えていた。
 

「かぁしゃま、うるさいでしゅよラルドが今指示を出していましゅ。かぁしゃまの声で聞こえましぇん」
「ごめんなさい」
 
 
 王クオーツと王妃ラズの子、第一王子ジェイド。
 まだ幼いながらも既に見た目も中身も王にそっくりで聡明な見目麗しい美少年が、しっかり王妃を見て育ち、共にラルドを推しとして推し活をする姿に日々頭を抱える王の姿が噂されていた。
 
 
「───ラズ、ジェイド。またここに居たの?」
 
「うわ、出たなクオーツ」
「……とぉしゃま、お仕事してくだしゃい」
 
 
 愛する番と我が子から揃ってうげっという顔をされる王は苦笑に顔を歪めたかと思えば、ため息を一つこぼし騎士団の訓練所へ視線を送るとボソッとこう呟いた。
 
 
「ラルド、くびにしようかな……」
「きぃぃぃっっお前はそうやってすぐ権力をふりかざす!なんて王だ!公私混同はんたーい!ジェイドも言ったれ!」
「とぉしゃまダメです!一時の感情で優秀な人材を切り捨てては国にとっても大きな損害でしゅ!!」
「お、おう……」
「……ジェイドは随分ラズよりも説得力のある説得をするよね」
 
 
 ふんっと胸を張る幼い我が子を眺める二人の目はなんとも言えない目をしていた。
 
 
「ラズ様~ジェイド様!お菓子とお茶のご用意できてますよ~早く来て~」
「お菓子!」
「ふは、なんだかんだまだジェイドもお菓子に反応するかわいいお年頃なんだよね、いいよ、マリンの所まで行っておいで」
「転ばないようにね」
「あい!」
 
 
 今すぐにでも走り出したくてうずうず見上げてくる我が子に笑ってゴーを出した途端、マリンに向かって突っ込んでいくかわいい後ろ姿を揃って眺める。
 
 
「さ、ラズも戻るよ。それともまた私が抱き運ぼうか?」
「結構でぇす。自分で歩きますよ。またお腹も大きくなって重いんだから。少しでも運動しなきゃ老先生に怒られる」
「ふふ、それじゃゆっくり戻ろ。お手をどうぞ」
「はー…今日はまだ一時間も眺めてなかったのに」
「いつも言うけど、私を眺めてればいいじゃない。ラズの為ならいくらでも時間を作るよ」
「そうじゃないんだよなー…」

 
 
 そんな二人の会話は、共に永い眠りにつくその日まで永遠と繰り広げられたとさ───
 
 
 
 
 
『今日も推しに辿り着く前に嫉妬の激しい番に連れ戻されます』 -END-
 
 
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