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SS・IF・パロディー
【SS】国王陛下の溺愛(1)
国内ではいまだ、念願の第一王子誕生のお祝いムードが冷めやまぬ頃。
その片鱗はじわじわと感じていた。
とはいえ、『番にしか興味のない塩対応陛下』とまで言われてきた国王クオーツが番以外の存在にここまでどっぷりハマるとは……誰しもが予想だにしないことだった。
「ジェイド、キミはいつ見ても私の愛するラズに似てかわいいね」
「天使から産まれる子もまた天使説がこれで強く証明された」
「はぁ…あまりにもかわいすぎるキミなら目に入れてみても痛くないんじゃないかな…やってみてもいいかい?」
「……」
当然まだ言葉が全く通じない生後たった数週間の赤子に対し、かれこれ小一時間程一人で一方的に話しかけ続ける国王陛下の姿を僕をはじめとしたいつもの面々はドン引きしながら見つめていた。
◆◇◆◇◆
ことの始まりは午前中。
重鎮達との定例会議に出席するため全く気が進まない様子の足取りで部屋を出ていくクオーツを見送ると、今日も特に公務の予定は無い僕はゆっくりとした朝をジェイドやマリン、ラルドと共に過ごしていた。
遅めの朝食を終え窓際で日向ぼっこをしていた頃、突如、バンっと激しく扉が開いたかと思えば、険しい顔をして予定よりだいぶ早く部屋に戻ってきたクオーツに驚く暇もなく、挨拶もそこそこにクオーツが一直線に向かう先は僕やマリンときゃっきゃ遊んでいたジェイド──の、腹。
「「え……」」
赤子特有のぽっこりお腹目がけて一直線に突っ込んでくると、ざっとカーペットへ膝をつき、そのままふわりと顔を埋めるその行動に一同唖然とした。
一国の王が赤ちゃんのお腹に顔を埋め、すーはーすーはー深呼吸を繰り返す光景。
下手すれば警備兵に速攻つまみ出されるくらい不審者極まりないその行動に謎の既視感を覚え、なんだったかと記憶の引き出しを引っ掻き回しているうちに、ハッと辿り着く答え。
傍から見れば超絶気持ち悪い行動だが、その実、極限状態に疲れた体に絶大なる癒し効果を発揮するというかの有名な赤子吸いだと前世の記憶から引っ張り出すことに成功した。
しかし、この国では聞いた事のない独特な文化を何故クオーツが知っているのか───順々に送った視線の先、見つけてしまったラルドのしれっとした表情から、すぐにピンと来た。
入れ知恵したのはラルドかぁ~~~
喉元まで出かかったツッコミを既のところで呑み込み頭を抱える間も続く異様な光景の中、ひとりきゃっきゃ楽しそうなジェイドは短い手足でクオーツの頭をバシバシ叩き、それすらも幸せそうに受け止める王の姿に我々一同何も言わずそっと口を閉じるのだった。
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