【完結】今日も推しに辿り着く前に嫉妬が激しい番に連れ戻されます

カニ蒲鉾

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SS・IF・パロディー

【SS】血は争えない(2)

 
 
 そして冒頭へと戻る。
 
 
 今も尚、ラズとジェイドの一歩も引かない攻防が繰り広げられていた。
 
 
「もうジェイド!みんな心配したでしょ!?勝手にどこか行ったらめ!てかなんでラルドのとこにいるの!?自分で来たの!?」
「ばぁぁぶっ」
「うわっなにその可愛げのない誇らしげな表情!そんな子にはほっぺもみもみの刑だ!」
 
 
 ラズの手によって赤子特有のふっくらした頬を高速もみもみされ、んあっんあっと嫌そうに顔を歪めながらも、小さな手はがっちりラルドのシャツを握って離さない。どれだけの時間強く握りしめていたのか、その箇所だけすっかり寄れて伸びてしまっていた。
 
 一見微笑ましいこの光景、普通そこは父親である私のポジションなのではないだろうか…
 
 
「クオーツ様、目が据わっています」
「……」
 
 
 トールの呆れたたしなめは綺麗に無視だ。
 そんな時、不意にずっと黙ってジェイドの椅子と化していたラルドが「あの」と声を上げた。
 
 
「ラズ様、いいですか?」
「うん、何?」
「確かにジェイド様は供も連れず、ご自分の手足で一生懸命ハイハイして私の元までやって参りました。こんな事は初めてでしたので驚きましたが、その必死な勢いはかつてのラズ様の幼少期を彷彿とさせるどこか懐かしいもので……そのせいもあり、報告が遅れ申し訳ありませんでした」
「……ぐうの音も出ないとはこのことか」
 
 
 自分の暴走赤子時代を思い出しているのか顔を真っ赤にさせひゃーっと照れるラズと、どこか懐かしそうな表情で見守るラルド。
 切っても切れない縁で繋がる二人を一歩離れた場所から見守るこのなんとも言えない疎外感たるや…久々の感覚だった。
 
 
「───様、クオーツ様」
「!」
「不穏なオーラはお仕舞い下さい。耐性の無い兵が今にも倒れそうです」
「……あぁ」


 昔に比べ頻度が少なくなっていたとある現象───まるで底なし沼に沈んでいくかのように思考が暗く遠くなっていく、そんな錯覚を振り払い、深く息を吐き出すと試しに小さく「ラズ」と呼びかけた。
 すると───
 どんな声にも振り返ってくれるキミのおかげで沈みかけた心はまだ戻ってこれる。


「クオーツ?」
「……んーん、なんでもないよ。無事見付かった事だしそろそろ部屋へ戻ろう。そこから離れそうにもないジェイドは仕方がないからラルド、運んでくれるかな」
「もちろんです」
「うぅ…ラルド疲れてるのにごめんね…も~ジェイド、みんなに迷惑かけてるんだよ?反省しなさい」
「ばぶっ」
 
 
 ぷいっと顔を背け、悠々自適にラルドの胸に収まる強い執着心はここまでくると感心してしまうほど。
 王の子であるものの、しがらみに囚われず自由にのびのびと育てばいいと思ってはいたが───
 
 
「さっきからずっと見てるだけだけどさぁ、クオーツからも何か言ってよ!何あの頑固さ~」
「ふふ、我が子だなぁと感心してしまった」
「きぃぃぃっジェイドに甘すぎ!」
 
 
 王妃である前に一人の親としてジェイドをしっかり育てなければと常に意気込みぷりぷり怒るかわいいラズをなだめつつ、内心いまにも撫で回したい衝動をなんとか抑え、部屋へと戻ってきた。
 相変わらずラルドから離れる様子は一切ないジェイドは、そのまま居心地良さそうにラルドの腕の中を陣取っていたかと思えばいつの間にかすやすや眠りにつく始末。
 
 城中を振り回したとは思えないあどけない無邪気な寝顔に、誰からともなく安堵のため息がもれた。
 
 
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