【本編完結】欠陥Ωのマタニティストーリー

カニ蒲鉾

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2【子育て日記】

2-1 幸せな日々

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 子供の成長は本当に早い。

 初めての慣れない子育てに楓真くんと二人で悪戦苦闘、初めの方なんて何が正解かわからず手探り状態でなんとか毎日を過ごすうちに、月日はあっという間に過ぎていった。
 
 
 日中は育休を頂いた僕と家政婦のトヨさんの二人がかりで常に何かをうったえる赤ちゃんに付きっきり。夜は仕事から帰ってきた楓真くんがトヨさんとバトンタッチして、とにかく双子を寝かすのに全力を尽くした。
 それでも毎晩数時間おきに夜泣きは起こり、どちらか一方はぐっすり眠っていても一方が泣き出すと連鎖のように二人して泣き声の大合唱が始まった。完全防音のマンションに住んでいてよかったと、心から思うほど、その泣き声の威力は二人合わされば二倍凄かった。
 
 初め、夜泣きの対応は楓真くんが全てやってくれようとした。
 妊娠中俺は見守ることしか出来なかったから、今が俺の出番です、と、日中仕事で疲れてるはずなのに、双子が泣き出すと必ず起きて抱き上げ別の部屋に行く楓真くん。そんな楓真くんの気持ちは嬉しかったが、やっぱり子育ては二人でするもの。一週間も経たないうちに二人揃ってベッドであやすようになっていた。
 
 寝不足の日々が続き心身ともに疲れてはいても、やっぱり我が子はかわいい。
 
 泣き疲れくっついて眠る小さな二人の柔らかいほっぺと涙で濡れた長いまつ毛、それぞれに着せた恐竜と白うさぎの着ぐるみパジャマ、今しかないこの瞬間を目に焼きつけるようベビーベッドで眠る双子を静かに楓真くんと見つめるこの時間が幸せだった。
 
 
 双子の名前は楓真くんと病院で決めた。
 元々候補はいくつか出してあったが、実際双子を見たらもうこれしかない、というバッチリの名前。
 楓真くんの面影を持ったお兄ちゃんを『楓莉ふうりくん』、僕の面影を持った弟くんを『つくしくん』と名付け、双子のおじいちゃんになる楓珠さんにもそう決めたと伝えるといいねと言って貰えた。
 
 
 二人は早くも日に日にそれぞれの個性を出し始めていた。
 楓莉くんは、とにかくやんちゃな子だった。目を離すとすぐ隣で寝転がるつくしくんの上に乗っかりきゃあきゃあ一人で楽しんでいる様子で、下敷きになったつくしくんはというととにかくマイペースな子なのか、泣くでもなく嫌がるでもなく、ただ重いなぁという様子でじっとしている。
 兎にも角にも、仲良し兄弟みたいだ。
 
 
 
 そんなある日、そろそろ双子をお風呂に入れる時間だと気付くと、夕飯の片付けを中断し吹き抜けのダイニングキッチンからリビングで子供達と過ごす楓真くんに声をかけようとしてふとテレビの音しか聞こえてこない事に気が付く。
 
 
「楓真くん、子供達をお風呂に―――」
 
 
 そこで見た光景は咄嗟にスマホのカメラを起動し写真に収めてしまう程かわいい光景だった。
 仕事疲れなのか、フワフワのカーペットの上に大の字で眠る楓真くんとそのお腹の上に双子がほっぺをぴっとりくっ付けて眠る姿。まるで某有名アニメ映画の森の中の熟睡シーンだ。
 楓真くんのお腹が呼吸によって上下するたびに持ち上がる動きは双子にとって絶好のゆりかごだったに違いない。
 
 明日は楓真くんも仕事が休みの日。
 一日ゆっくり過ごせるしまぁいいか、と自然に起きてくるまでこのままに、再びキッチンへと戻りひとり黙々と片付けを再開させた。
 その時撮った写真はしばらく僕のスマホのホーム画面になり、起きがけすぐに見せた楓真くんは天使達かわぁっと悶絶後、速攻楓珠さんへ自慢の連絡を送り付けていた。
 
 
 
 ―――そんなこんなで家族四人、日々幸せに暮らしています。
 その何気ない日常を綴っていく日記を書いていこうかなって思い、ペンをとりました。
 将来、楓莉くんつくしくんが大きくなって独り立ちして、また楓真くんと二人になった時、この日記を読み返して懐かしいねって話すネタになればいいなって、何十年後の老後を見すえて、これからの幸せをたくさん綴っていきたいな。
 その為には僕の隣には楓真くんがずっといてくれる事、それが一番大事。
 いつまでも、よろしくね、楓真くん。
 
                    つかさ
 
 
 
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