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2【子育て日記】
2-15 お喋り-夜-(4)
しおりを挟むドキドキ走る心拍数にこのままじゃダメだと僕の方から視線を逸らし無理やりその雰囲気を断ち切ると、上気する熱い頬を楓真くんの肩に押し付け隠す。
「……もう今日はダメ」
「ふふ、はぁい」
両手が塞がり撫でられないかわりなのか、頭をこてんと寄せてくる楓真くん。その何気ない接触に次第に心を落ち着かせていると、ふと、リビングのラグの存在を思い出した。
「そうだラグ……楓真くん、明日リビングのラグをクリーニング出さなきゃ」
「あー…やっぱやばいですよね…すみません、うまく処理する余裕なかったです」
「いいよ、僕も同じだったから」
あとではがすの手伝ってね、と耳元で囁き、はぁいと笑い合う、そんな静かなやり取りが続く寝室はとても穏やかだった。
かわらず楓真くんの腕の中ですやすや眠る双子を肩にもたれながらいつまでも飽きることなく眺めていると、次第に僕にまでその眠気が移ったかのようにゆっくりおりてくる瞼。
いつの間にか、意識はあっても目が開かない、そんな軽い睡眠状態に陥っていた僕を、楓真くんの優しくしっかりした手がそっとベッドへ横たえてくれる感覚を動かない身体でなんとなく感じていた。
楓真くん自身もすぐ隣に身体を横たえその胸に抱き寄せられる。
その安心する腕の中で楓真くんの体温を感じながら気持ちよく意識を手放す寸前――
「つかささん――」
そっと名前を呼ばれ、頭を撫でられる。
「これまでもこれからも、
ずっとずっと、
愛してます」
―――僕もだよ
声に出せなかった返事を楓真くんに届けるのは明日の朝におあずけ。
背中を撫でる優しい手のリズムに合わせ今度こそ未練なく、すぅ、と意識を手放し安らかに眠りについた。
次の日
朝イチでクリーニングへ持っていき、ラグのなくなったリビングに双子は一瞬不思議そうにしながらも、ツルツル滑るフローリングの床にすぐさま適応すると、いつも通り楽しそうにきゃっきゃ転がり遊ぶ光景が御門家のお茶の間の癒しとして繰り広げられていた。
そんな愛らしい光景を楓真くんとソファに並んで座りながら眺めていると、ふと思い出したこと。
「あ、楓真くん」
「はい?」
「僕も、愛してるよ。昨日のお返し」
「っ、つかささん~~~」
不意打ちをくらったとでも言いたげな表情をする楓真くんににっこり満足すると、投げるだけ投げ捕まる前に双子のもとへ混ざりに行く。
「ふぅくん、つぅくん、ママも一緒に遊んで~」
「「きゃぁっ」」
床に転がる双子に覆い被さるようにわぁっと勢いよく倒れ込むと一際大きな声が上がり、あははっと笑いが止まらない。
そんな自分だけ除け者に目の前で盛り上がる光景を黙って見ているだけなんて我慢出来るはずのない楓真くんは…
「三人だけでずるい!俺も!」
そう言ったかと思えばさらに大きな身体が三人まとめて覆いかぶさってくる。
朝から家族四人がゴロゴロと床に転がる、愉快で楽しい幸せな時間。
「まぁまっ」
「ぱぁぱっ」
「「はぁい」」
そして、我が子に呼ばれる幸せ。
そんなたくさんの幸福を噛み締めながらぎゅっと身体を寄せ合い過ごした穏やかな一日だった。
「お喋り」-END-
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