穢れた世界に銃弾を~日常の無い復讐者たちの日常~

矢壱

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魔法少女

黒幕

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 結束バンドを外された未菜と咲が校舎に入る。

「向こうの階段です」

 未菜が案内する形で歩く。途中で、めちゃくちゃに破壊された理科室が戦いの激しさを物語っていた。

 階段を昇る。静かな校舎に2人の靴音だけが響いていた。

「ずっと考えてた事があるんだ」

 口火を切ったのは咲だった。

「私とお前が初めて会った時、黒い人型のヤツ倒したろ?」

「はい」

「その後、お前ら4人が公園でデカいヤツと戦っているところも見た。スモークグレネード投げた時だ」

「はい」

「そして、昨日は東京中に出た化け物を殺した」

 2階の階段を昇り切り、3階に到着。

 一呼吸を置く。

「ソイツらは動物の形をしていたが真っ黒で、目も口も無いのっぺらぼう・・・・・・だった。それに、お前のさっきの召喚みたいなやつも同じだったよな? 色こそ違ったが、顔の無いヤツだった」

 未菜は黙って聞く。

「パンドラから出てくるヤツは色々な形をしてる。同じ種類の方が稀だ。なのに、お前らの周りには同じようなモノが居た。これは偶然か?」

「チャッピーが関係してるってことですか?」

「関係ってか黒幕だな。昨日の戦いの最中に嫌な視線を感じた。それは、瀬戸舞花の家でも感じた視線だった。お前らがどんな説明をされたか知らないが、あのウサギのお遊び・・・ってこともあるかもな」

 3階の階段を昇った先には、鉄製の頑丈そうな扉。しかし、ドアの右半分がちぎれていた。

 そのドアを通り抜けると、屋上に出る。そして目当てのウサギが居た。

「チャッピー」

 未菜が声をかける。

 チャッピーは、ウサギらしく鼻をヒクつかせながら未菜と咲を見つめている。

「最初に行っておくが、遊びでやっていたつもりは無い」

 低音を響かせるチャッピー。

「聞こえてたのか。耳も無いのに」

「あぁ。だから全てを話そう。君たちに吐いていた嘘も、全て」

 促す声は無い。

「私の本当の目的は、私の故郷の星を守ってもらうためだ。私たちは非力で自分たちの力で戦うことはできない。寄生という形で力を分け与え、脅威と戦ってもらうのだ。だが、今回の脅威は一筋縄ではいかなかった。敵が強大過ぎて歯が立たなかった。だから私は旅に出た。パンドラを通りやって来た地球で、初めて戦力になりそうな生物を見つけた。それが舞花や君たちだ」

 未菜の表情が曇る。以前聞かされた話の半分は本当で、半分は嘘だった。彼は地球では襲われていなかった。

「本当ならば、力を与えてすぐにでも私の星に連れて行きたかった。しかし、君たちは子供と言う未成熟な人間だと知った。だから、私が敵を生み出し面を被せ、君たちに戦わせた。経験を積ませるために」

 今まで地球の平和を守っていると思っていたことが、実はただの訓練でしかない事に衝撃を受ける未菜。

「昨日の騒ぎも私だ。お前たちがどこを拠点にしているのか知りたかった」

「言いたい事はそれだけか?」

 咲の言葉に頷くチャッピー。

「どうする? 悪あがきでもするか?」

 咲は腰のステアーを抜き、構える。
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