43 / 46
魔法少女
黒幕
しおりを挟む
結束バンドを外された未菜と咲が校舎に入る。
「向こうの階段です」
未菜が案内する形で歩く。途中で、めちゃくちゃに破壊された理科室が戦いの激しさを物語っていた。
階段を昇る。静かな校舎に2人の靴音だけが響いていた。
「ずっと考えてた事があるんだ」
口火を切ったのは咲だった。
「私とお前が初めて会った時、黒い人型のヤツ倒したろ?」
「はい」
「その後、お前ら4人が公園でデカいヤツと戦っているところも見た。スモークグレネード投げた時だ」
「はい」
「そして、昨日は東京中に出た化け物を殺した」
2階の階段を昇り切り、3階に到着。
一呼吸を置く。
「ソイツらは動物の形をしていたが真っ黒で、目も口も無いのっぺらぼうだった。それに、お前のさっきの召喚みたいなやつも同じだったよな? 色こそ違ったが、顔の無いヤツだった」
未菜は黙って聞く。
「パンドラから出てくるヤツは色々な形をしてる。同じ種類の方が稀だ。なのに、お前らの周りには同じようなモノが居た。これは偶然か?」
「チャッピーが関係してるってことですか?」
「関係ってか黒幕だな。昨日の戦いの最中に嫌な視線を感じた。それは、瀬戸舞花の家でも感じた視線だった。お前らがどんな説明をされたか知らないが、あのウサギのお遊びってこともあるかもな」
3階の階段を昇った先には、鉄製の頑丈そうな扉。しかし、ドアの右半分がちぎれていた。
そのドアを通り抜けると、屋上に出る。そして目当てのウサギが居た。
「チャッピー」
未菜が声をかける。
チャッピーは、ウサギらしく鼻をヒクつかせながら未菜と咲を見つめている。
「最初に行っておくが、遊びでやっていたつもりは無い」
低音を響かせるチャッピー。
「聞こえてたのか。耳も無いのに」
「あぁ。だから全てを話そう。君たちに吐いていた嘘も、全て」
促す声は無い。
「私の本当の目的は、私の故郷の星を守ってもらうためだ。私たちは非力で自分たちの力で戦うことはできない。寄生という形で力を分け与え、脅威と戦ってもらうのだ。だが、今回の脅威は一筋縄ではいかなかった。敵が強大過ぎて歯が立たなかった。だから私は旅に出た。パンドラを通りやって来た地球で、初めて戦力になりそうな生物を見つけた。それが舞花や君たちだ」
未菜の表情が曇る。以前聞かされた話の半分は本当で、半分は嘘だった。彼は地球では襲われていなかった。
「本当ならば、力を与えてすぐにでも私の星に連れて行きたかった。しかし、君たちは子供と言う未成熟な人間だと知った。だから、私が敵を生み出し面を被せ、君たちに戦わせた。経験を積ませるために」
今まで地球の平和を守っていると思っていたことが、実はただの訓練でしかない事に衝撃を受ける未菜。
「昨日の騒ぎも私だ。お前たちがどこを拠点にしているのか知りたかった」
「言いたい事はそれだけか?」
咲の言葉に頷くチャッピー。
「どうする? 悪あがきでもするか?」
咲は腰のステアーを抜き、構える。
「向こうの階段です」
未菜が案内する形で歩く。途中で、めちゃくちゃに破壊された理科室が戦いの激しさを物語っていた。
階段を昇る。静かな校舎に2人の靴音だけが響いていた。
「ずっと考えてた事があるんだ」
口火を切ったのは咲だった。
「私とお前が初めて会った時、黒い人型のヤツ倒したろ?」
「はい」
「その後、お前ら4人が公園でデカいヤツと戦っているところも見た。スモークグレネード投げた時だ」
「はい」
「そして、昨日は東京中に出た化け物を殺した」
2階の階段を昇り切り、3階に到着。
一呼吸を置く。
「ソイツらは動物の形をしていたが真っ黒で、目も口も無いのっぺらぼうだった。それに、お前のさっきの召喚みたいなやつも同じだったよな? 色こそ違ったが、顔の無いヤツだった」
未菜は黙って聞く。
「パンドラから出てくるヤツは色々な形をしてる。同じ種類の方が稀だ。なのに、お前らの周りには同じようなモノが居た。これは偶然か?」
「チャッピーが関係してるってことですか?」
「関係ってか黒幕だな。昨日の戦いの最中に嫌な視線を感じた。それは、瀬戸舞花の家でも感じた視線だった。お前らがどんな説明をされたか知らないが、あのウサギのお遊びってこともあるかもな」
3階の階段を昇った先には、鉄製の頑丈そうな扉。しかし、ドアの右半分がちぎれていた。
そのドアを通り抜けると、屋上に出る。そして目当てのウサギが居た。
「チャッピー」
未菜が声をかける。
チャッピーは、ウサギらしく鼻をヒクつかせながら未菜と咲を見つめている。
「最初に行っておくが、遊びでやっていたつもりは無い」
低音を響かせるチャッピー。
「聞こえてたのか。耳も無いのに」
「あぁ。だから全てを話そう。君たちに吐いていた嘘も、全て」
促す声は無い。
「私の本当の目的は、私の故郷の星を守ってもらうためだ。私たちは非力で自分たちの力で戦うことはできない。寄生という形で力を分け与え、脅威と戦ってもらうのだ。だが、今回の脅威は一筋縄ではいかなかった。敵が強大過ぎて歯が立たなかった。だから私は旅に出た。パンドラを通りやって来た地球で、初めて戦力になりそうな生物を見つけた。それが舞花や君たちだ」
未菜の表情が曇る。以前聞かされた話の半分は本当で、半分は嘘だった。彼は地球では襲われていなかった。
「本当ならば、力を与えてすぐにでも私の星に連れて行きたかった。しかし、君たちは子供と言う未成熟な人間だと知った。だから、私が敵を生み出し面を被せ、君たちに戦わせた。経験を積ませるために」
今まで地球の平和を守っていると思っていたことが、実はただの訓練でしかない事に衝撃を受ける未菜。
「昨日の騒ぎも私だ。お前たちがどこを拠点にしているのか知りたかった」
「言いたい事はそれだけか?」
咲の言葉に頷くチャッピー。
「どうする? 悪あがきでもするか?」
咲は腰のステアーを抜き、構える。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる