手足を鎖で縛られる

和泉奏

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何も見なかったふりをする。

2



「…っぁ…っ」


身体に力が入らない。
かくんと膝が折れて、床に転びそうになる身体に驚く。

なんで…?

ふらふらと歩き出して、視線を彷徨わせた。

ふと、扉から零れてくる光に気づいて、そこに歩みを進める。
まぶしい。

外の様子が全くといっていいほどわからないこの部屋では、どうにも落ち着けないから。

とりあえず、誰かがいる方向にいきたくて。
さっき見た、悪い夢を誰かに会うことで、本当に夢だったんだと安心したくて。
鎖の抵抗にも構わず、歩みを進める。


「…だれか、」


そう声を零して、その隙間から外をのぞき込む。
遠いけど、そこから人がいるのが見えた。
それが、求めていた人の姿で、胸に広がる安堵感にほっと息を零す。

よかった。いた。


「あお――、」


蒼の名を呼ぼうとして、気づく。
そこにいるのが、蒼だけではないことに。


「…ッ、んっ、あお…、ぃ…っ、」

「……………」


時折見える妖艶に絡まる舌と、お互いを抱き合う様な光景に、息を呑んだ。

(…なに、これ)


「…え」


蒼と、誰かが

……キスをしていた。

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