89 / 842
何も見なかったふりをする。
2
「…っぁ…っ」
身体に力が入らない。
かくんと膝が折れて、床に転びそうになる身体に驚く。
なんで…?
ふらふらと歩き出して、視線を彷徨わせた。
ふと、扉から零れてくる光に気づいて、そこに歩みを進める。
まぶしい。
外の様子が全くといっていいほどわからないこの部屋では、どうにも落ち着けないから。
とりあえず、誰かがいる方向にいきたくて。
さっき見た、悪い夢を誰かに会うことで、本当に夢だったんだと安心したくて。
鎖の抵抗にも構わず、歩みを進める。
「…だれか、」
そう声を零して、その隙間から外をのぞき込む。
遠いけど、そこから人がいるのが見えた。
それが、求めていた人の姿で、胸に広がる安堵感にほっと息を零す。
よかった。いた。
「あお――、」
蒼の名を呼ぼうとして、気づく。
そこにいるのが、蒼だけではないことに。
「…ッ、んっ、あお…、ぃ…っ、」
「……………」
時折見える妖艶に絡まる舌と、お互いを抱き合う様な光景に、息を呑んだ。
(…なに、これ)
「…え」
蒼と、誰かが
……キスをしていた。
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…