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ご主人様と執事とは
遊戯
…………
……………………
彼の指が、顎に触れる。
「っ、」
ゆっくりと優しく持ち上げられ、強引に熱を帯びた瞳と向き合わされた。
こっちをじっと見つめる真剣な眼差しに、ごく、と唾を飲む。
…普段女を悦ばせ、嫌というほど惹き付けている微笑みが、今はない。
むしろ顔立ちが整っている分、その表情をされると、心も身体も全てが奪われてしまいそうな錯覚に陥った。
緊張に、手汗を握る。
「………本当に、よろしいのですか」
「…ん。良い」
こくり。
その問いに、一切の容赦なく…何の躊躇いもなく、頷く。
誰になんと言われようと、この気持ちは変わらない。
たとえこの行為がいけないことだとわかっていても。
たとえこの行為によって世間から非難されようと。
……オレは、もう決めたのだ。
唇に触れた硬いモノに、びくっと身体を震わせる。
そんな姿に執事がくす、と笑みを零し、もっともっと、とさらに”それ”を押し付けてくる。
そしてオレは唇に触れたものを受け入れようと
口を開け――、
「あー」
そんな掛け声のようなものと同時に、スプーンを咥えた。
肉の柔らかさが舌の上でとろけるように広がる。
ワインと香味野菜の深い香りも相まって、まるで絹のような滑らかさとともに、じわりと濃厚なソースが染み渡った。
もぐもぐ、…ごっくん。
舌先に残る芳醇な香りと、心地よい余韻が口の中に溶けていく。
「ん。もう一口」
「まったく、貴方はいつまでたっても俺にべったりですね」
口を開けてもっと寄越せとせがむオレに対して、
はぁとわざとらしくためいきをつく執事に眉が寄る。
そうやって嫌々やってる風に言うくせに、嬉しそうに頬が緩んでいるのはどういうことだと言いたい。
「もう高校生になられたのですから、こんなことをいつまでも俺にさせていては皆様に笑われてしまいますよ」
「いーんだよ。さっくんの主人はオレなんだから」
オレが主人で、今あーんしてるのは(”雨宮咲人”、通称さっくん)は執事だ。
いつから一緒にいたのかは覚えてない。
というか、気づいた時にはもう傍にいた。
だから、さっくんとは他の誰よりも一緒に同じ時間を過ごしてきたし、世界中の誰よりも大切な存在だ。
その気持ちは、さっくんも同じ、…だと思う。
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