貴方は俺を愛せない

和泉奏

文字の大きさ
4 / 369
ご主人様と執事とは

遊戯





…………

……………………


彼の指が、顎に触れる。


「っ、」


ゆっくりと優しく持ち上げられ、強引に熱を帯びた瞳と向き合わされた。

こっちをじっと見つめる真剣な眼差しに、ごく、と唾を飲む。

…普段女を悦ばせ、嫌というほど惹き付けている微笑みが、今はない。  

むしろ顔立ちが整っている分、その表情をされると、心も身体も全てが奪われてしまいそうな錯覚に陥った。

緊張に、手汗を握る。



「………本当に、よろしいのですか」

「…ん。良い」


こくり。

その問いに、一切の容赦なく…何の躊躇いもなく、頷く。

誰になんと言われようと、この気持ちは変わらない。

たとえこの行為がいけないことだとわかっていても。
たとえこの行為によって世間から非難されようと。


……オレは、もう決めたのだ。


唇に触れた硬いモノに、びくっと身体を震わせる。

そんな姿に執事がくす、と笑みを零し、もっともっと、とさらに”それ”を押し付けてくる。

そしてオレは唇に触れたものを受け入れようと

口を開け――、



「あー」
 

そんな掛け声のようなものと同時に、スプーンを咥えた。

肉の柔らかさが舌の上でとろけるように広がる。
ワインと香味野菜の深い香りも相まって、まるで絹のような滑らかさとともに、じわりと濃厚なソースが染み渡った。

もぐもぐ、…ごっくん。

舌先に残る芳醇な香りと、心地よい余韻が口の中に溶けていく。


「ん。もう一口」

「まったく、貴方はいつまでたっても俺にべったりですね」


口を開けてもっと寄越せとせがむオレに対して、
はぁとわざとらしくためいきをつく執事に眉が寄る。

そうやって嫌々やってる風に言うくせに、嬉しそうに頬が緩んでいるのはどういうことだと言いたい。


「もう高校生になられたのですから、こんなことをいつまでも俺にさせていては皆様に笑われてしまいますよ」

「いーんだよ。さっくんの主人はオレなんだから」


オレが主人で、今あーんしてるのは(”雨宮咲人あまみやさくと”、通称さっくん)は執事だ。

いつから一緒にいたのかは覚えてない。
というか、気づいた時にはもう傍にいた。

だから、さっくんとは他の誰よりも一緒に同じ時間を過ごしてきたし、世界中の誰よりも大切な存在だ。

その気持ちは、さっくんも同じ、…だと思う。

感想 15

あなたにおすすめの小説

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 約九万字、全三十話+αの物語です。