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御主人様の秘密の行為
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というか、
信じられない。
信じられなさすぎる。
なんで、なんでここにさっくんがいるんだ。
「だ、な、…さっ、な、だ、だって鍵は?!!鍵かかってただろ?!」
おかしい!おかしいぞ!と訴えた。
扉を見ても、何故か鍵なんてまるで最初からかかってなかったみたいにこじ開けた形跡も無く開かれている。
でも、ちゃんと鍵をかけたはずなのに。
「…お取込み中に勝手に扉を開けてしまったこと、大変申し訳ありません。隠れて見守らせていただく予定だったのですが、…」
「無視するな!」
そもそもオレが怒ってるのは、戸惑ってるのは、ますたべーしょんの最中に扉を開けたことじゃなくて、どうやって鍵を外したのかってことで、
…ていうか、
「…一体、…いつ、から…?」
「……雑誌を袋からお出しになられたあたりから」
わざとらしく、気まずそうに視線を逸らすさっくんが何を思い出したのか、…ぽ、と頬を染めて口元をおさえている。
(…雑誌を袋から出したってことは、)
……つまり、
「最初から?!!」
ぎょっと目を見開く。
擦ることに必死で扉の方を見てなかったから気づかなかった。
「はい。全てこちらの夏空様成長記録用ビデオで録画させていただきました」
その証拠、というように左手に持っている『ソレ』が持ち上げられる。
「―――!!?」
その、最新型小型ビデオの黒い部分がしてやったりという風にキラン、と光った。
「…~~っ゛!!!どうせならずっと隠れてろ!」
「いえ…一生懸命に泣きそうな顔でお手を動かしていらっしゃるのがあまりにも健気で可愛らしくて、それなのに一度も射精できないお姿に…居ても立っても居られず、つい足が…」
「うるせー!!隠れて見てるのやめろばかぁあああ…っ、!!」
ぶんぶん腕を振りまわして奪い取ろうとしても、オレよりかなり身長の高いさっくんにそれを持ち上げられてしまってはどうしようもない。
しかも録画に残っちまった。一生の恥だ。
以前、さっくんに録画って言うのは一度記録したら消せないものだって聞いたから、もうどうにもできない。
1人でイけなかったから半泣きになってたのに加え、
ずっとその屈辱的な姿をさっくんにじーっとみられ続けていたということが判明し、かつ更に記録に残ってしまったらしいしもう嫌だ。嫌すぎる。気恥しさと情けなさで耳が熱い。
「夏空様、」
「…っ、な、なん、だよ…っ、」
「俺が1から自慰行為の仕方、教えて差し上げましょうか?」
「…っ、」
優しい微笑みの中に、隠しきれていない意地悪そうな含み笑いが滲んでいる。
この人はどうしようもなく、困った人だなぁみたいに思われているような気がして、頬を真っ赤に染めて泣きそうになりながらそっぽを向いた。
「ば、ばかにしやがって…っ、」
「大丈夫ですよ。きちんとお教えいたしますから」
こっちがうむと了承するより先に、後ろからオレを抱くようにして
Tシャツでずっと隠していた…その濡れてひりひりとしているちんちんに手で触れてきた。
自分より大きくて、少し骨ばった男らしい手。
ほのかに光を帯びているようにその肌は白く、まるで彫刻のように滑らかで、指先は優雅に伸びている。
…それがすんなりとふにゃちんを包み込む感覚に、ひくん、と腰がびくついた。
けど、それ以上に自分がまだまだ子どもなんだということを思い知らされる。
…悔しい。
「…自分で、できる」
「…本当にご自分でできますか?」
「……やれる」
心配そうに、疑わしそうに僅かに低くなる声に、む、と眉尻が上がる。
結局さっくんにしてもらったらいつもと変わらないではないか。
それでは意味がないのだ。
「…さっきはあんなにやってもできなかったのに?」
「…っ、ぅ…」
その言葉に思い出し、悔しさに涙が滲んだ。
きゅ、と唇を噛んで俯くと、慰めるようによしよしと頭を撫でられる。
「申し訳ありません。責めているわけではないのです」
「…っ、うん…それは、わかってる…」
目を伏せ、長い睫毛で瞳に影を作ってしゅんと落ち込むさっくんに、オレも少しだけ素直になって頷いた。
「俺なら…未熟なこの身ですが、実技等により夏空様の御役に立たせていただくことができるかもしれないのに…と、…さみしく…なってしまって…」
「寂しい…?」
後ろから肩を抱き寄せるようにしてぎゅっとしてくるさっくんを見上げながら、どうして、と首を傾げた。
「はい。いつだって俺は…貴方の御役に立つことで、至上の幸福を感じられるのですから」
「…っ、…っ、」
前髪を手で気遣うように上にあげられる。
そこに唇を落としながら柔らかく笑う彼に、…オレは顔を真っ赤にしてこくん、と声もなく頷いたのだった。
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