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貴方の首筋にかぶりつく
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バタン…
「…う゛、そ…」
涙で震えた声が、絶望に変わる。
(今、玄関の扉の音…した…?)
出てった…?
部屋からじゃなくて、家から…出ていっちゃった…?
「や、いやだ…っ、さっぐん、まっ…」
違うのに。どっか行けって言ったのは、家からじゃなかったのに。
「――…っ!、…っ、うそ、うそ…だ、…」
ドタドタっ、バチャっ
さっき嫌がってきょぜつしたのなんかそっちのけで、足をもつれさせながら、べちっと転び、はいずり、それでもなんとか玄関まで行く。
外まで追いかけようと、扉の取っ手を掴んで、
ビリッ
「…っ、ぅぎゃぁ!!」
触れた途端、電流みたいなのが身体を直撃して、倒れそうになる。
…そういえば、オレだけじゃ出れないようになってたんだってことを今更思い出して、既に遅かった。
ふらっと視界が回り、お尻が地面に当たる。
……わけじゃなく、何故かふわっと柔らかい感触の上にのっかったような気がした。
「…ぃ゛だ、ぁ……っ、…な、…に…?」
まだびりびりする手に呻き、慌てて身を起こした。
振り向いて下を見れば、…見覚えのある瞳と目が合った。
…白くて、ふわふわで、さらさらな…
「……にゃんこ…だ…っ、」
あの日、さっくんが作ってくれたのと同じ猫がつぶらな目でオレを見上げてて、
…それを見た瞬間ぶわっと涙が溢れ、安堵して、ぎゅうぎゅう抱きしめた。
あったかい。あったかい。あったかい。
…けど、その安堵は一瞬で、にゃんこがいる嬉しさは、すぐに別のものへと変わる。
「にゃんご、ざっぐ、さっぐんどっかいっちゃった、どう、したらいいっ?かえっ、てくるっ?まってたら、ちゃんとかえってくるよな…っ、?う゛、えぐ…っ、オレどうし、たら、」
さっくんと今まで学校以外で一秒も離れたことなんかない。
だから、どうしたらいいか、どうすればいいのか、どうなっちゃうのか、わからない。すごくこわい。
ぎゅうぎゅうしてる猫を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、混乱となげきときょうふの思いのまま縋る。
…と、ぽん、とおでこにやわらかい感触がした。
猫が『おいおい落ちつけよ』みたいな感じで、肉球のある手を伸ばし、オレのおでこにちょこんと触れていた。
「…にゃん、……?」
ひぐ、と痙攣させていた喉を震わせ、首を傾げ、て
「…ぁ、…」
…その瞬間、ぱあっと目の前が光ったような気がした。
触れられた場所から全身にあったかいのが来て、…痛いのとか、悲しいのとか、全部が消えていく。
…さっきまでのが嘘だったみたいに、…すべてが、遠ざかる。
今どこにいるのかもわからなくなって、自分が何かもわからなくなって、…意識が、消えた。
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